近藤嘉宏ピアノ・リサイタル2017

2015年12月にデビュー20周年を迎えた近藤嘉宏による毎年恒例のピアノ・リサイタル。今回で彼のコンサートを聴くのも14回を数える。近年はソロ活動に加えて弦楽四重奏団との共演、国内外のオーケストラ客演,、海外でのりサイタルなど多岐にわたる幅広い活動に携わり、これまでのキャリアを着実に高めている。

2017年4月16日(日) 1:30PM開演  札幌コンサートホールKitara大ホール
〈Program〉
 J.S.バッハ(ブゾーニ編):コラール前奏曲「来たれ、異教徒の救い主よ」
 J.S.バッハ(ヘス編):主よ、人の望みの喜びよ
 モーツァルト:ピアノ・ソナタ第8番 イ短調 K.310
 ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第31番 変イ長調 Op.110
 サティ:グノシェンス第1番
 ドビュッシー:「月の光」~ベルガマスク組曲より
 ラヴェル:水の戯れ
 ショパン:アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ 変ホ長調 Op.22
 リスト:メフィスト・ワルツ第1番 S.514

前半はバッハ、モーツァルト、ベートーヴェとドイツ・オーストリアの作曲家、後半はサティ、ドビュッシー、ラヴェルとフランスの作曲家に加えてパリの社交界で大ピアニストとしても活躍したショパン、リストの名曲を連ねたプログラム構成。

来年には50歳を迎えるというのが信じられないほどの若い雰囲気を保ちつつ、卓越したテクニックと表現力で近藤嘉宏が綴る名曲の数々には歌心が溢れている。(*彼の昨日のブログには“歌のイメージを具体的に自分の中で描くことが大変重要である”と書かれていた。歌心を大切にしていることが実感できる演奏会であった。)

モーツァルトの「第8番」では珍しい短調の曲での“悲しみ”の表現が心を打つ。べート―ヴェンの「第31番」では彼が到達した人生観がしみじみと心奥深くに届く。演奏を聴いてこんな感想を抱いた。
チョット変わったタイトルや作風で知られるサテイの曲はドビュッシーやラヴェルの曲ほどには通じていない。月の光の輝く様子や水の音と輝きをイメージした曲を聴いて美しい世界に身を置いた。
ショパンの曲の魅力がふんだんに散りばめられた華麗な名曲と、超難曲であるとピアニストの運指を見ていても分かるリストの「メフィスト・ワルツ第1番」。1月に仲道郁代の演奏でも聴いたが、手の動きを見ながら鑑賞するとワクワクする。以前に舞台での寸劇「村の居酒屋での踊り」の場面付きの演奏を思い出しながら鑑賞した。悪魔的、官能的な音楽をより一層楽しめた。

見事な演奏終了後に歓声も上がった。アンコールに「ベートーヴェン:月光」が演奏されて一層大きな歓声が沸き起こった。時間があったとはいえ、アンコール曲に3楽章から成る「ソナタ」が演奏されてるのは極めて珍しくて今までの記憶にない。聴衆も大喜びで、“今日は得をした”と言う声が聞かれるほどであった。「月光」の魅力は凄いと改めて感じた。

※2年前に大病を患って以来となる妻と一緒の旅行に明日出かける。東京の桜は満開の時期は終わったようだが、4月中旬で鹿児島の桜は満開でなかったようだから、今年の春は地域によって例年とは違う様相を呈している。富士山が見渡せる地域で桜を含め春の花が楽しめれば嬉しい。2泊3日の小旅行だが、何の準備もしていないので、今回は早めにブログを書き終えた。
 

池辺晋一郎&上杉春雄ジョイント・コンサート(ゲスト:小林沙羅)

作曲家・池辺晋一郎と医師兼ピアニスト・上杉春雄のジョイント・コンサートがKitaraで始まったのが2006年である。その後、この二人のジョイント・コンサートは2年ごとに開催されていた。06年のコンサートⅠがモーツァルト、08年のⅡがベートーヴェン、10年のⅢがシューマンの作品。一人の作曲家の作品が池辺・上杉のほかにゲストを入れて演奏された。東日本大震災後の12年は池辺が総合プロデュース&トークで藤原真理、波多野睦美、上杉春雄の出演でバッハの曲で被災者への“祈りと希望”というタイトルのコンサートとして開催。
今回は間が空いて5年ぶりのジョイント・コンサート。《フランス音楽の魅力》。

2017年4月15日(土) 1:30開演  札幌コンサートホールKitara大ホール

【第1部】「これもフランス音楽!?から、これぞフランス音楽!まで」
  マショー(池辺編):ノートルダム・ミサ曲より    クープラン:恋のナイチンゲール
  ロワイエ:めまい        ラモー:ガヴォットと変奏
【第2部】「ザ・フランス音楽百花繚乱」
  アーン:クロリスに    デュパルク:悲しき歌、旅へのいざない
  フォーレ:夢のあとに (以上4曲 ソプラノ:小林沙羅)
  ドビュッシー:亜麻色の髪の乙女、 映像第1集より「水の反映」(ピアノ:上杉)
  ラヴェル:水の戯れ(ピアノ:上杉)、 「マ・メール・ロワ」より 3曲(ピアノ:池辺・上杉)     
  グノー:宝石の歌 (ソプラノ:小林沙羅) 

第1部は“教会や王侯貴族のためのフランス音楽”
 マショー(1300頃ー1377)は聖職者・作曲家・詩人で中世の怪人と呼ばれる人物。オリジナルは全6曲から成る合唱曲。曲中の“キリエ”を池辺晋一郎が編曲した2台ピアノ版「ノートルダム・ファンタジー」で池辺と上杉の共演。
 クープラン(1668-1733)はラヴェルを通して親しんでいる作曲家名。クープラン家のうち最も有名なフランソワはフランス・バロック音楽を代表する人物。鍵盤楽器の名手であったフランソワの「クラブサン曲集」の1曲。愛らしい調べ。
 ロワン(1705-55)はイタリア生まれだがフランスでバッハと同時代に活躍した。エネルギッシュな音楽。
 ラモー(1683-1764)はバッハの陰に隠れていたが近代音楽の父と呼ばれていたこともあってか名前は知っていた。鍵盤音楽の大家だがオペラも作曲したそうである。舞曲で華やかな印象とともに何となく品の良い調べ。

4人の曲を聴くのは初めてだったが、曲はドイツのオルガン曲とは違うシャレたフランス風の音楽に思えた。コンサートは池辺の勧めで地元のピアニスト上杉の司会で進行。大学の作曲コースでフランス楽派を専攻した池辺のトークで新しい知識を得た。

第2部はフォーレ、ドビュッシー、ラヴェルたちがひと時代を築いた“市民のフランス音楽”
 小林沙羅がKitaraのステージに初登場して歌曲を4曲、続けて熱唱。透明で伸びやかな歌声で聴衆を魅了。彼女は東京藝術大学大学院終了後、2006年に国内デビュー。2010年にウィーンとローマで研鑽を積み、2012年にソフィア国立歌劇場でオペラ・デビュー。近年はオペラ以外での活躍も目立ち、多くの国内オーケストラとの共演でコンサートソリストとしての活動も多い。映画、ミュージカル、テレビなど多方面での幅広い活動が注目されている人気のソプラノ歌手。
今回のKitara 初出演でフランス歌曲も勉強してきたと初々しく語った。

フランスの作曲家は19世紀に入ってベルリオーズ、サン=サーンス、ビゼーなどが活躍したが、ドイツ・オーストリアと比べると後世に残る作曲家は少ない感がある。フォーレがフランス近代音楽の先陣を切った。「夢のあとに」はチェロの曲として耳にすることが多いと思うが、歌曲で聴けたのは新鮮だった。
ドビュッシーやラヴェルについては言及するまでもない。上杉春雄のリサイタルはデビュー15周年と25周年の2回聴いた。2013年のリサイタルは感動的なリサイタルで、医師とピアニストの両立を図っている高度なレヴェルの演奏がいまだ記憶に残る。近年はピアニストの活動が増えている様子。水の音と水面の輝きをイメージした曲がそれぞれ違う美しさで聴きとれた見事な演奏に心癒された。上杉は近年はバッハを得意としているようだが、どんな音楽でもカバーできる正にプロフェッショナル。

「マ・メール・ロワ」より“眠れる森の美女のパヴァーヌ”、“バゴタの女王レドロネット”、“妖精の園”の3曲。ピアノ連弾でメルヘンの世界が繰り広げられた。音楽ではマ・メール・ロワ、文学ではマザー・グースとして広く知られている。フランス語と英語の違いで池辺の説明もあった。

最後の曲はグノー(1818-93):歌劇「ファウスト」より“宝石の歌”。華やかな衣装でステージに登場した小林が得意とするオペラのアリアを披露。歌曲とは違った演唱にウットリ! 若い純真な娘が虚栄心を垣間見せながら無邪気に喜ぶ場面が描かれた。
コンサートの最後を飾るにふさわしいアリアで聴衆を湧かせた。

アンコールに「サティ:ジュ・ドゥ・ヴュ(あなたが大好き)」。ピアノのイントロで始まり、ピアノ・ソロと思わせたが、曲の感じでソプラノが入ると思った。下手のドアーが開いていて小林が歌いながらステージの真ん中に。なかなかシャレた演出だった。拍手大喝采でフィナーレ。

※Kitara のホールから外に出ると、目の不自由な人がレセプショニストに手を引かれて歩いている姿が目に入った。先月も同じ状況があった時に思ったことを直ぐに実行に移した。レセプショニストと別れた時に、彼に話しかけて帰路を共にした。地下鉄大通り駅で彼が降車するまでご一緒した。ごく自然に行動でき、帰路にいろいろ音楽の話などができて良かった。見ているだけでなくて助けになることを自然にできたことを嬉しく思った。


N響ベストコンサート2016のアンケート投票で第1位デュトワ指揮《カルメン》

1997年に〈N響ベストコンサート〉として始まって以来、第20回目となる〈最も心に残るN響コンサート2016〉(2016年1月~12月定期公演)のアンケート集計結果が発表された。送られてきたTwitterで偶々情報を得た。(*所有のパソコンがWindows10になった15年12月からTwitterはやっていないが、以前の書き込みからTwitterのハイライトが送信されてきている。)

N響定期公演はライヴで聴いたことはないが、「N響アワー」や「クラシック音楽館」はよく視聴している。昨シーズンの投票で第1位はシャルル・デュトワ指揮《ビゼー:歌劇「カルメン」(演奏会形式)》(12月Aプロ)。12月定期公演の模様が「クラシック音楽館」で3月5日と12日の2週にわたって放映された。N響名誉音楽監督デュトワが指揮するNHK交響楽団、新国立劇場合唱団、NHK東京児童合唱団がステージに上がっての演奏会形式は歌劇場でのオペラ上演とは一味違う楽しみ方が出来て感動していたのである。
有名な“闘牛士の歌”、“闘牛士の入場“、“カルメンの宿命のテーマ”などが散りばめられた「前奏曲」は久しぶりで聴く心躍る名曲。3つの「間奏曲」も久しぶりに楽しめた。

カルメン、ホセ、エスカミーリョ、ミカエラの4役は外国人で、その堂々たる体躯から歌いだされる歌唱力、存在感は見事なものであった。オペラ上演で長い歴史を誇る欧米の歌手陣の層の厚さを改めて感じたが、脇役の日本人歌手も健闘していた。

演奏会形式の良さが伝わったのは結果的にオーケストラと合唱に焦点を当てて聴けたことである。第1日の第1幕と第2幕には普通のオペラ上演とは違う楽しさを味わった。残念だったのは、放送時間の関係で第3幕と第4幕が翌週に回ってしまったこと。折角の集中力がやや失われていた。いずれにしても、ひと月前のコンサートが鮮明に思い浮かぶ。毎回、視聴しているわけではないが、「カルメン」を聴いた多くの人々が第1位に選んだことが納得できるコンサートであった。

※3月5日の放映後に所有のオペラ全集のDISCで「カルメン」全曲を聴いた。ジョルジュ・プレートル指揮パリ国立歌劇場管、マリア・カラス主演による1964年の録音。世界の一流歌劇場で活躍した名指揮者プレートルは1998年国立パリ管を率いて来札、2008年ウィーン・フィルのニューイヤーコンサートに登場して話題となった。2017年1月に92歳で逝去。

※〈最も心に残ったN響コンサート2016〉の第3位に選ばれたコンサートは、38年ぶりのN響との協演となった井上道義によるオール・ショスタコーヴィチ・プログラム(11月Cプロ)。とても印象的なコンサートだった。ショスタコーヴィチの世界観が表現された井上の気合いの入ったダイナミックな指揮ぶりが素晴らしかった。
なお、札響音楽監督の尾高忠明指揮の5月Aプロが第2位に入っていたことも嬉しいニュースであった。(*このコンサートは聴き逃した。)

札響ウインド・アンサンブル演奏会(モーツァルト:グラン・パルティータ)

垣内悠希が指揮するコンサートを聴く機会を一度は持ちたいと思っていた。彼は1978年東京生まれ。東京藝術大学、ウィーン国立音楽大学に学び、2011年ブザンソン国際指揮者コンクール優勝。フランス、ベルギー、ロシアなどの海外のオーケストラを含め日本各地のオーケストラにも客演している俊英の指揮者。昨年4月より札響指揮者に就任したが、定期や名曲シリーズにはまだ出演していない。偶々、ふきのとうホールでのコンサートの出演を知って六花亭札幌本店まで出かけてチケットを購入していた。

2017年4月5日(水) 午後7時開演  六花亭札幌本店 ふきのとうホール

〈出演〉札幌交響楽団木管楽器奏者&ホルン奏者
〈指揮〉垣内 悠希(Yuki Kakiuchi)
〈曲目〉R.シュトラウス:13管楽器のための組曲 変ロ長調 op.4
    モーツァルト:セレナード第10番 変ロ長調 K.361 「グラン・パルティータ」

R.シュトラウス(1864-1949)の父は宮廷オペラのホルン奏者、王立音楽学校教師であったこともあり、息子リヒャルトは幼少より音楽に秀でていた。17歳で「13吹奏楽器のためのセレナード」を書いた曲が翌年ドレスデンで初演された。その後、ミュンヘン大学に入学して哲学や美術も聴講して教養を広げた。84年マイニンゲン管弦楽団のために「13管(=吹奏)楽器のための組曲」を作曲し、ミュンヘンで自らの指揮で初演。翌年マイニンゲン宮廷管弦楽団の第2指揮者に就任して、ビューローの代理指揮者となる。86年に病気のためマイニンゲンを去り、作曲家としての道を歩んだ。

この曲の楽器編成はフルート2、オーボエ2、クラリネット2、ファゴット2、コントラファゴット1、ホルン4。4楽章構成。今までに全く聴いたことのない曲で見当もつかなかった。ただ「23の独奏弦楽器のためのメタモルフォーゼン」(*1945年の作品)という彼の曲のディスクが手元にあって、シュトラウスらしいタイトルだとは思っていた。
Ⅰ.前奏曲 Ⅱ.ロマンス Ⅲ.ガヴォット Ⅳ.序奏とフーガ(*各楽章のドイツ語の翻訳は当てずっぽう?)。第1楽章は少々重々しい感じだったが、第2・3楽章は軽やかな雰囲気で第4楽章は歯切れが良い曲に思えた。30分余りの曲の良さは充分には分からなかった。

モーツァルトのセレナードの中で《第13番 弦楽のためのセレナード 「アイネ・クライネ・ナハトムジ―ク」》が最も親しまれていて演奏機会も多い。「第10番」は彼が書いた管楽アンサンブルで最大の編成であり、全曲で50分ほどの大曲。楽器編成がオーボエ2、クラリネット2、パセットホルン2、ホルン4、ファゴット2、コントラバス1(*コントラファゴットで代用される場合は「13管楽器のためのセレナード」と呼ばれることもある)。オルフェウス室内管のディスクで数回聴いたことがある曲だが、メロディには親しむまでには至っていない。午前中も一応は曲を聴いてコンサートに臨んだ。
「グラン・パルティータ」は“大組曲”の意味。7楽章構成。Ⅰ.ラルゴ-モルト・アレグロ Ⅱ.メヌエット Ⅲ.アダージョ Ⅳ.メヌエット、アレグレット Ⅴ.ロマンスーアダージョ Ⅵ.主題と変奏(第1~第6) Ⅶ.ロンド-モルト・アレグロ。
印象的なメロディが多く、多彩な楽器の音色が駆使されている。生演奏で聴く曲は良さが伝わる。第1楽章からモーツァルトらしい軽快なメロディの連続。ハーモニーも美しく心地良く聴けた。特に心躍るようなフィナーレはバロック時代の組曲パルティータの名にふさわしかった。

小ホールのステージは13名の奏者に指揮者が加わると狭く見えた。リーダーがいる弦楽合奏と違って、楽器の種類が多い管楽合奏には指揮者がいないとハーモニーが難しいのかなと感じた。大編成でなくても指揮者の存在感のあるコンサートを味わった。
垣内はフランス在住で本拠地をフランスと日本においての活動なのだろう。コンサートガイドによると、3月も札響、オーケストラ・アンサンブル金沢、京都響、東京シテイ・フィルと4回全く違ったプログラムで全国を駆け巡っての公演活動は頼もしい限り。4月1日もKitaraで札響と共演した様子。
現在、ポンマー、エリシュカ、尾高という名指揮者で最強時代を築き上げている札響。佐藤俊太郎、垣内悠希など若い指揮者が札響に吹き込むエネルギーも潤滑剤になっているような気もする。最近、安定した実力を誇る札響オーケストラであるが、管楽器セクションの著しい実力向上の結果とも言えるだろう。今回のような管楽作品のプログラムはオーケストラ全体の向上にも繋がる試みで大いに評価したい。

今夜も満員となったホールは大いに盛り上がった。六花亭主催のコンサートではプログラム・ノートが無いが、短い解説でも聴衆にとっては有難いのではないかと思う。コンサート前のコーヒー&ケーキのサービスも悪くはないが、コンサートのサービスの在り方の工夫があっても良いと思った。

※ブザンソン国際指揮者コンクールは1951年に第1回が始まって59年の第9回で小澤征爾が優勝し、国際指揮者コンクールとして長い伝統を誇り、日本人優勝者が多いコンクールとしても知られている。93年の第43回まで毎年開催されていたが、その後は隔年開催となっている。
ブザンソンはフランス東部の都市。時計産業(高級時計製造業)で知られる。2017年9月に第55回コンクールが予定されているが、結果も楽しみである。
歴代のブザンソン国際指揮者コンクールの日本人優勝者。
 1959年 小澤 征爾   1982年 松尾 葉子   1989年 佐渡 裕   
 1990年 沼尻 竜典   1991年 曽我 大介   1995年 阪 哲朗   
 2001年 下野 竜也   2009年 山田 和樹   2011年 垣内 悠希


 

天満敦子ソロ・ヴァイオリン・コンサート2017

昨年に続く珠玉の名曲を集めての天満敦子の無伴奏によるヴァイオリンのコンサート。ソリストとしてジャンルの枠にとらわれない演奏活動を続けている。
1992年のルーマニア訪問から話題を集め、「望郷のバラード」で一気にブレイク。彼女のコンサート・プログラム最後を飾る曲として長年続いた彼女の代名詞とも称された曲。近年は「ジュピター」で終わるプログラム編成。今回のプログラムの特徴は作曲家・和田薫が天満敦子に献呈した曲の演奏。

2017年4月2日(日) 1:30PM開演  札幌コンサートホールKitara大ホール

〈プログラム〉
 J.S.バッハ:アダージョ(無伴奏ソナタ第1番より)、G線上のアリア
 フォーレ:夢のあとに、 シチリアーナ
 マスネ:タイスの瞑想曲
 ドヴォルザーク:ユーモレスク
 和田 薫:独奏ヴァイオリンのための譚歌より
        「琥珀」、「紅蓮」、「漆黒」、「萌黄」
 熊本県民謡:五木の子守唄、    山本正美:ねむの木の子守歌
 弘田龍太郎:叱られて、       菅野よう子:花は咲く
 ポルムべスク:望郷のバラ―ド
 ホルスト:ジュピター

コンサート前半の外国の作品6曲はクラシック音楽の名曲として親しまれているが、すべて無伴奏で暗譜による演奏。「ユーモレスク」は気恥ずかしくて演奏をためらっていたが、この曲を演奏した時に彼女の父が“やっと演奏してくれた”と語ったという曲。父への思いも込めての演奏だったようである。6曲の演奏終了後に2007年~10年に亘って和田薫から献呈された《独奏ヴァイオリンのための全5曲》より4曲が演奏された。天満の無伴奏のヴァイオリン演奏に感銘を受けた作曲家が書き上げた作品。
多彩な音色と技巧に彩られ、東洋的な詩情あふれる作品になっている。各曲に日本独自の色彩名が付いている。

後半のプログラム前半4曲は馴染みの曲。プログラム・ノートで初めて知り得たことが多々あった。「五木の子守唄」は赤ちゃんをあやすための子守唄ではなく、子守り奉公に出された娘の気持ちを歌った唄だそうである。
「ねむの木の子守歌」は皇后陛下美智子様が聖心女学院高等科在学中に作られた詩に、指揮者・作曲家だった故山本直純夫人の山本正美が清純な詩に感動して作曲して、1965年の秋篠宮様のご誕生を祝って皇后さまに献上したという話は初耳であった。
「叱られて」は久しぶりに耳にする懐かしいメロディ。郷愁を誘うメロディを持つ童謡を懐かしく思い出した。
「花は咲く」は東日本大震災の被害からの復興を応援するNHKによる支援プロジェクトのテーマソングとして広く知られている。

「望郷のバラード」はルーマニアの作曲家が祖国の独立運動に関わって投獄され、獄中で故郷を偲びつつ書いた作品。29歳の若さでこの世を去ったポルムべスクにスポットライトを当てることになった天満のヴァイオリン。心を揺さぶる旋律が、手にして30年目を迎えるストラディヴァリウスから紡がれ続ける。

ホルストが書いた《組曲「惑星」》の第4曲「木星」が最も親しまれている曲。この曲の第4主題に歌詞をつけた「ジュピター」は英国の愛国的賛歌として広く歌われているという。札幌の国際音楽祭PMFでは「ジュピター」(田中カレン編曲、井上頌一作詞)をPMF賛歌として聴衆全員が斉唱するのが恒例で人々に親しまれている。

2011年以降、天満は“日本のうた”を演奏曲目に入れ始めたようである。飾り気のない語り口と人々の心に染み入る演奏で人気を高めて、来年の札幌公演(4月8日)の予告もしていた。
1000人ほどの聴衆を集めたコンサートは盛会であった。彼女は“Kitaraで演奏会を開けて嬉しい”と今年も語った。アンコール曲は続けて2曲。①中田喜直:雪の降る街を ②岡野貞一:故郷(ふるさと)。
プロフィール

fsuterry

Author:fsuterry
年間60回以上札幌コンサートホールKitaraに通うクラシック音楽ファン。クラシック全般に関心があるがオーケストラ・ピアノ曲が特に好きである。 

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