クリスマス オルガンコンサート

Kitara恒例のクリスマス オルガンコンサートを聴くのは久しぶりである。今年はホルンの名手バボラークが出演して例年のオルガンと合唱のプログラムに彩りを添える楽しみなプログラム。

2014年12月14日(日) 17:00開演 札幌コンサートホール Kitara大ホール

ホルン/ ラデク・バボラーク
オルガン/ アレシュ・バールタ
指揮/大木秀一   合唱/ 北海道札幌旭丘高等学校合唱部

ラデク・バボラーク(Radek Baborak)は1976年、チェコ生まれ。ミュンヘン国際コンクール優勝。これまでチェコ・フィル、ミュンヘン・フィル、バンベルク響、ベルリン・フィルのソロ・ホルン奏者を歴任。ベルリン・フィル首席奏者を辞任して、チェコ・シンフォニエッタを創設して、より自由な演奏活動を行なっている。水戸室内管など日本での活動も相変わらずで、近年は指揮者としての活躍も目覚ましく、昨年のPMFの室内楽でも指揮活動が目立った。

アレシュ・バールタ(Alesh Barta)は1960年、チェコ生まれ。ブルノ音楽院、プラハ芸術アカデミーで学ぶ。82年、ブルックナー国際オルガンコンクール優勝。83年、リスト国際オルガンコンクール第2位。84年、「プラハの春」国際音楽オルガンコンクールで圧倒的第1位を獲得して、海外での活躍の舞台を広げた。リサイタル活動の他にチェコ・フィル等のオーケストラとも共演。95年からプラハ放送響の専属ソリストに就任。

〈PROGRAM〉
★ホルンとオルガン
  J.S.バッハ:コラール「われらが神はかたき砦」BWV720
         アリア「汝、わがそばにあらば」BWV508
         コラール「目覚めよ、と呼ぶ声あり」BWV645
  ブラウン:無伴奏ホルンのための12の前奏曲より 第7番、第8番、第11番 [ホルンソロ]
  リスト:バッハの名による前奏曲とフーガ S.260 [オルガン ソロ]
  ブルックナー(ボク編):交響曲第7番 ホ長調 作品107より 第2楽章アダージョ
  ボク:ホルンとオルガンのためのマニフィカト(新作委嘱)
  サン=サーンス:ホルンとオルガンのためのアンダンテ ヘ長調
  ボク:夢見るクリスマス・キャロル
 ★合唱とオルガン
  クリスマス・キャロル/森友紀編:もろびとこぞりて、信長貴富編:オー・ホーリー・ナイト
  フランク:天使の糧
  カッチーニ/江上孝則編:アヴェ・マリア
  ラター:エンジェルズ・キャロル

バッハのオルガン曲には“コラール”と銘打った小品が沢山ある。最も有名なコラールの1曲が「目覚めよ、と呼ぶ声あり」で演奏される機会も多くて、メロディも耳に馴染んでいる。ホルンとオルガンの共演は勿論はじめてだった。
ブラウン(1922-2014)の名も曲も初めて耳にする。彼はドイツ生まれだが、イスラエル育ちで、バボラークとの繋がりが深い作曲家であったと言う。バボラークの特殊才能を生かしての作品なのだろう。
リストがオルガン曲として残した有名な曲。今までかなりオルガン曲の生演奏を聴いてきたが、運指の速さが想像できないほど凄かった。目では見れなかったが、正に超絶技巧を要する曲で印象に残った。教会音楽というより演奏会用音楽なのではないだろうか。
ブルックナーは苦手な作曲家の一人。彼の交響曲で第4番と第7番だけは比較的に親しみ易い曲。カラヤン指揮ベルリン・フィルのCDで偶に聴くが、めったに聴かない。今日に備えて「第7番第2楽章」だけきいてみたが、このアダージョが聴いていてとても心地良かった。マーラーの「第5番」のアダージョと同じように親しめて新鮮な感じがした。今回は20分ほどの楽章が編曲されて10分ほどの曲になって演奏されたが、原曲の良さは余り感じ取れなかった。それでもブルックナーを聴き直す切っ掛けになるかも知れない演奏曲になったので良かった。バールタはブルックナーとリストが得意なようである。

バボラークの演奏は何度耳にしても素晴らしい。ホルンからどうやってあのような綺麗な音が生まれるのか不思議なほどである。

前半最後のブックナーの編曲を手がけたミロシュ・ボク(1968- )はチェコの作曲家で、指揮者・ピアニストとしても活躍していると言う。バボラークが結成した〈チェコ・ホルン・コーラス〉のためにブルックナーの声楽作品を編曲したり、バボラークのためにも編曲や作曲活動を行っているとの事。今回の演奏会で披露される委嘱新作「マニフィカト」もバボラークならではの試みだと思う。
サン=サーンス(1835-1921)は作曲家としてだけでなく、教会オルガニストを務め、ピアノの名手でもあり文学や数学にも秀でる才能の持ち主として知られた。この作品は1835年頃に書かれたらしいが、譜面が1980年代に再発見されたと言う。まだ演奏も録音の機会も珍しい曲。
昔から親しまれているクリスマス・キャロルは全8曲からなるオーケストラ作品であるが、ボクがホルンとオルガンのために編曲した。

前半が終わって18時。休憩20分。後半の「ホルンとオルガン」のプログラムが30分弱。「合唱とオルガン」のプログラムが始まったのが18時50分。

今年はクリスマスコンサートの飾りが大ホールには無かったが、合唱が始まると同時に照明器具を使ってステ―ジ横の壁にステンドグラスが描かれ教会内の雰囲気が広がった。日本で最も優秀な高校合唱部の一つとして実績のある北海道旭丘高等学校合唱部が出演。
クリスマス時期に歌われる名曲の中から5曲を披露した。フランク作曲の讃美歌がソプラノのソロと合唱で歌われた。ソリストの透明感のある美声は素晴らしかった。合唱曲も静かにクリスマスを祝う雰囲気が醸し出されてホールに優しく広がった。さすが全国で注目される合唱部の面目躍如の歌声。今回は1・2年生だけの出演ということだっだが、音楽専門の顧問の指導力もあって、見事で高度な合唱を聴かせてもらった。
アンコール・ピースは「きよしこの夜」。照明の演出で夜空に満天の星が輝く中で、空まで届きそうな優しい歌声が響き渡った。とても清々しい気分になった。
合唱部員全員が退場するまで拍手を続ける観客の姿に満足の様子と合唱部員への称賛の気持ちが読み取れた。

大ホールのホアイエでは出演者のCDを買ってサイン会に並ぶ人々の列が延々と続いていた。
17時開演で大ホールを埋めるのは難しい。前半で席を立つ人や、合唱が始まる前に帰った人は素晴らしいクリスマスの歌の響きを聴き逃して勿体ない気がした。クリスマスのコンサートは土日開催では15時開演の方が客が多く入ると思う。

*バボラーク&バールタ デュオ・リサイタルが12月8日に水戸芸術館コンサートホールで開かれ、Kitaraとほぼ同様のコンサートがあった。12月16日には東京芸術劇場でパイプオルガンコンサートがあり二人が共演する予定。

オルガン名曲コンサート (ジャン=フィリップ・メルカールト)

例年10月は札幌コンサートホール新専属オルガニストがKitaraでデビュー・リサイタルを開催してきた。2015年2月16日から6月16日までKitaraが休館することになるために、14年9月~15年8月の期間は専属オルガニストは不在となる。その間は他のオルガニストが恒例のオルガン・コンサートに出演することになる。
この秋のコンサートは第6代専属オルガニストとして活躍したメルカールトが出演する。

2014年10月4日(土) 14:00開演  札幌コンサートホール Kitara大ホール

〈プログラム〉
 フォーレ(メルカールト編曲):組曲「ペレアストとメリザンド」 作品80
 サン=サーンス(ルメア編曲):死の舞踏 作品40
 ドビュッシー(メルカールト編曲):牧神の午後への前奏曲
 フランク(メルカールト編曲):交響曲 ニ短調

ジャン=フィリップ・メルカールト(Jean-Philippe Merckaert)は1980年、ベルギー生まれ。00年にパリ国立高等音楽院に入学し、オルガンをオリヴィエ・ラトリーに師事。05年、同音楽院をプリミエ・プリを得て卒業。在学中の03年、札幌コンサートホール第6代専属オルガニストに就任。任期中、日本各地でソロリサイタルやオーケストラとの共演を行ない、オルガン教育にも携わった。08年、ブリュッセル王立音楽院にて修士号を取得。07年、ドイツ・フライベルクのジルバーマン国際音楽コンクール第2位。09年、ブルージュ国際古楽コンクールオルガン部門第2位。
11年4月~14年3月まで所沢市民文化センター・ミューズ第2代ホールオルガニストを務めた。07年から活動拠点を日本に移して、サントリーホール、東京オペラシティ、横浜みなとみらいホール、京都コンサートホールなど国内主要ホールに出演。現在、栃木県・那須野が原ハーモニーホールオルガニストを務めている。

メルカールトはKitaraではメルケールと呼ばれていた。(ベルギーの北半分のフランダース地方ではオランダ語、南半分のワロン地方ではフランス語が話されている。 07年までKitaraでは彼の名をフランス語読みにしていた。所沢ミューズでオランダ語読みになったので、Kitaraでも11年以降の出演の際はオランダ語読みになったと思われる。)
私は彼が出演するコンサートを初めて聴いたのが03年のクリスマス・オルガンコンサート、04年のオルガンフェスティヴァルとKitaraのバースディ、07年のリサイタルの4回。ドイツ、フランスの作曲家の他にベルギーの作曲家の曲も取り上げ、協奏曲の演奏も行うなど意欲的なプログラミングが目立った。

今回はオーケストラの編曲ものばかりのプログラムで期待大であった。作曲法も学び、オルガンという楽器の可能性を広げる活動で、有名なオーケストラ曲を自らオルガン曲に編曲して演奏する能力は誰しも出来ることではない。Kitaraのオルガンの特徴を生かした曲の選定がうかがえた。

日本在住で日本語も不自由しないのか、上手で丁寧な日本語で挨拶。3年ぶりのKitara出演で今回のコンサートを楽しみにしていたとのこと。挨拶の内容から日本の聴衆の求めているものを充分に知っている様子であった。聴衆の再三の拍手を浴び、プログラムを告げて演奏開始。

メーテルリンクの戯曲「ぺレアスとメリザンド」はオペラになっているが、その抜粋による管弦楽組曲としても知られている。「前奏曲」、「糸を紡ぐ女」、「シシリエンヌ」、「メリザンドの死」の4曲が演奏された。3曲目が何回か聴いたことのある馴染みのメロディだった。フォーレはオルガニストでもあったせいか、オルガン曲にもアレンジしやすかったらしい。

交響詩「死の舞踏」は真夜中に骸骨たちが現れて踊る情景が描かれ、夜明けに墓に戻って静寂になるストーリー。原曲は知らないが、オルガン編曲はとても面白かった。

ドビュッシーがマラルメの詩「牧神の午後」にインスピレーションを得て作曲し、当時は大きな反響を呼んだ作品。甘美なまでに美しい音色に満ち溢れ、印象派の絵画を思わせる色彩感で幻想的な雰囲気を持つ管弦楽曲。あまりにも有名な原曲をオルガン曲に編曲して良さを出すのは難しかったように思った。

前半3曲はそれぞれ10分前後の曲で、全体的に楽しめた。譜めくりすとをメルカールトの妻であるオルガニストの徳岡めぐみが務めた。オーケストラ曲の編曲には沢山の音色を使うので、レジストレーションを記録するメモリーが足りなくなって準備が大変だった様子。休憩時間に後半のプログラムのために音色を記録しなおす作業を強いられたらしい。アシスタントを務めた妻の裏方の仕事も評価される演奏会。(*Kitara「オルゲル新聞」からの情報による)
譜面をめくる作業は通常オルガニストの右側で行われるが、今日は時折左側からも行っていた。オルガニストの手鍵盤や足鍵盤の使い方を演奏中に観たい場合にRA席のオルガンに一番近い席に座る客には行き届いた配慮だった。(左側から譜めくりしていた理由は知らないが、、、。オルガン演奏会でRA席を選んで困惑している客をよく見かける。)

後半はベルギー出身のフランクの唯一の交響曲。通常の交響曲とは趣の違う曲。交響曲には珍しい3楽章構成。フランクは長年オルガニストを務めてオルガンの名手であっただけに、オルガン的技法が壮麗な響きに現れている。
今まで生演奏で聴いたこともあるが、今日のオルガン編曲の方が感動しやすい曲に感じられた。40分を越える大曲の編曲であったが、編曲作業にかなりの時間を要したと思われる。今回のコンサートのメイン曲となった。

アンコール曲に「サン=サーンス:組曲「動物の謝肉祭」より第13曲「白鳥」。「白鳥」は独立したチェロの作品として演奏されることが多い馴染みの曲。このような名曲をオルガン曲にすると、オルガン演奏会に足を運ぶ人も増えるのではないかと常日頃思っている。今日は客の入りは良かった方である。

演奏終了後ホアイエでメルカールトのCDを買ってサインを貰った。サイン会ではいつものように感想を述べたが、丁寧にフル・ネームでサインしてくれた。デビューから10年も経つが若くて爽やかな印象は変わらなかった。最後に“I hope you will come back.”と言うと“Me,too.”と答えてくれた。後方に思ったより多くの人がサイン会の列に並んでいた。

オクタヴィアン・ソニエ フェアウェル オルガンリサイタル

Kitara第16代専属オルガニスト、オクタヴィアン・ソニエの1年間の任期の締めくくりとなるサヨナラ公演。

2014年8月24日(日) 14:00開演 札幌コンサートホール Kitara大ホール

〈プログラム〉
 メシアン:永遠の教会の出現、 天上の宴
 J.S.バッハ:トッカータとフーガ ニ短調 BWV565
 ヴィヴァルディ(J.S.バッハ編曲):協奏曲 ニ短調 BWV596
 J.S.バッハ:トリオ・ソナタ 第6番 ト長調 BWV530より 第1楽章
 ヘンデル(ギュー編曲):オルガン協奏曲 ニ短調 作品7-4 HWV309より 第2楽章
 メシアン:キリストの昇天
 デュリュフレ:オルガン組曲 作品5
 ヴィエルヌ:幻想的小品集より 「ウェストミンスターの鐘」 作品54-6

オクタヴィアンは昨年9月の専属オルガニスト就任以来、東京・京都でのコンサート・ホールや道内の教会での演奏会を含めてこの1年間で30以上ものコンサートに出演してエネルギッシュな活動を続けてきた。本日が文字通りのサヨナラ公演。

13年10月のデビューリサイタルではメシアンの曲で締めたが、今日はメシアンの曲から始まった。
メシアン(1908-92)は2008年の生誕100年記念で「トゥ-ランガリラ交響曲」など彼の曲を聴く機会が増えた。鑑賞が難しい作曲家と思っていたが、この2つのオルガン曲は意外と心に沁みた。
パリ音楽院でメシアンの教えを受けた加古隆が数年前にパリを訪れ、メシアンが弾いていたノートルダム大寺院のオルガンに耳を傾けるテレビ番組を見た。その時の教会のイメージを目を閉じながらオクタヴィアンの演奏に聴き入った。普段のKitaraのオルガンと違った聴き方が出来た。現代のオルガンの持つ音量や演奏者の高度な演奏技法とはあまり関係のない宗教音楽が美しく流れた。 純粋で清楚な温かい響きがした。

打って変って、最も馴染みのあるオルガン曲である「バッハ:トッカータとフーガBWV565」は今まで何十回と聴いてきた演奏で一番印象に残った。前2曲と対照的な演奏となったので、なおさらこの曲がダイナミックで新鮮に感じられたのだと思う。

ヴィヴァルディ(1684-1741)からイタリア音楽の影響を受けたバッハ(1685-1750)のこの編曲は明るい雰囲気でヴィヴァルディらしさがあると感じた。何となく聴いたことがあると思ったら、この曲は第15代の専属オルガニストのマグダレナ・カチョルが録音したCDに入っていた。

休憩直後の2曲はオルガン曲としては大曲になると思う。

メシアンの「キリストの昇天」はその一部を聴いたことがあるが全曲は初めてである。オクタヴィアンの解説によると、この曲集は元々オーケストラのために書かれたものがオルガン用に編曲されたと言う。この曲は何度か聴かないと良さが伝わってこないと感じた。

デュリュフレ(1902-86)の名はオルガン曲は好みではなくても判るほどになった。何度か彼の小品は演奏会で耳にしている。《オルガン組曲 作品5》は彼の最も有名な作品のひとつだそうである。「前奏曲」、「シチリアーナ」、「トッカータ」の3つの楽章から成る。ドラマティックで緊張感に満ちた「前奏曲」に続いて、清らかな旋律で詩情豊かな「シチリアーナ」。最後の「トッカータ」は技巧的で非常に力強い主題が足鍵盤で演奏された。
第11代の専属オルガニストのシンディ・カスティーヨが「シチリアーナ」の楽章をCDに録音していた。オルガン曲は詳しくないので手元のCDで演奏会前後に聴いて親しむようにしている。

ヴィエルヌ(1870-1937)の名もKitaraでオルガン曲を聴いて知った。彼は小品を多く作曲しているためか、オルガンリサイタルで演奏されたり歴代の専属オルガニストがCDに好んで録音している。
「幻想的小品集」は4つの組曲がある。作品51~54。オクタヴィアンによると、彼の小品集の作曲によって「コンサートのためのオルガン音楽」が普及したそうである。
「ウェストミンスターの鐘」は作品54の終曲である。ヴィエルヌはチャイムのメロディをモチーフとして作曲した。荘厳で力強い作品になっている。
日本で学校などで放送されている「キーンコーンカーンコーン」のチャイムのメロディとして知られている。(ウエストミンスターの鐘は日本では学校のチャイムとして始業、終業のチャイムとして親しまれ、今日でも使っている学校があるのではないか。)
 
演奏終了後に日本語で丁寧な挨拶があり、彼のオルガン伴奏に合わせて聴衆が「金子詔一:今日の日はさようなら」を歌った。日本のメロディと歌詞が気に入って日本の聴衆と一緒に音楽を楽しみたいと思ったようである。「今日の日はさようなら またあう日まで」の最後の歌詞に想いを込めたのではないだろうか。

アンコールとして上記の曲を最後にした方が良かったと思ったが、最後のアンコール曲として「モーツァルト:アンダンテ ヘ長調 K.616」を演奏した。この曲は〈自動オルガンのための〉曲として作られた。誰でも耳にした曲としてそのメロディが親しまれている。自動オルガンのため長々と続いた感があったのが少々気にかかった。本人にとっては時間がまだまだ欲しい演奏会だったのだろう。終演時間が16時半近くになっていた。彼のCDを購入しようかと思ったが、時間的余裕がなかったので別の機会にすることにした。多分、サイン会に多くの人が並んだのではないかと思った。5、6年前にKitaraボランティアとして演奏会当日にサイン会を開いたらどうかと提案したことがあった。

異文化に接し、日本語、日本の数々の文化を積極的に吸収した意欲的な日本でのこの1年間はオクタヴィアンにとって掛け替えのない経験になったことに祝意を表したい。 きっとKitaraに帰ってこれるだろうし、帰ってきてほしいと願う。

***ロンドンにあるウェストミンスター宮殿(英国国会議事堂)に付属する時計塔(ビッグ・ベン)が奏でるメロディが「ウェストミンスターの鐘」。時計塔は1859年に創設され、正式名は“Clock Tower”。通称“Big Ben”として親しまれている。ビッグ・ベンは中にある鐘の名前であるが、現在では時計塔全体、時計本体の名称として知られている。2012年6月にエリザベス2世の在位60周年を記念して、同年9月に時計塔の正式名が“Elizabeth Tower”に改称された。ただ「エリザベス・タワー」が正式名になったとは言え、長年に亘ってロンドン市民に親しまれてきている「ビッグ・ベン」の愛称が変わらないかも知れない。
「札幌市時計台」(旧札幌農学校演武場)でボランティア活動に携わって6年目になる。札幌市時計台の時計は米国ボストン市ハワード社製で1881年に設置された。133年を経た現在も、重り巻き上げ方式で正確に時を刻んでいる。明治時代に創設された唯一の日本最古の塔時計である。
上記の「クロック・タワー」の正式名を知らなかったイギリス人も、現在では「エリザベス・タワー」と呼ぶ人が増えていると思う。今後、定着するかどうかはわからない。今月、ボランティア活動でたまたま話題が時計塔に及んだ時に初耳だという人が多かったのでここで言及してみた。






オルガンサマーナイトコンサート

2014年6月6日(金) 19:00開演  札幌コンサートホール Kitara大ホール

出演:オクタヴィアン・ソニエ(オルガン)、  中江早希(ソプラノ)

《プログラム》
  〈オルガン・ソロ〉
   高野智恵美(北海道作曲家協会会員): 響の試み(委嘱作品/初演)
   モーツァルト:アンダンテ ヘ長調 K.616
   ヴィエルヌ:「幻想的小品集」より 月の光 作品53-5、太陽への賛歌 作品53-3 
   ワーグナー(ルメア編曲):楽劇「ワルキューレ」より ワルキューレの騎行
 
  〈オルガンとソプラノ〉
   ヘンデル:歌劇「リナルド」HWV 7aより “私を泣かせてください”
   モーツァルト:モテット「踊れ、喜べ、汝幸いなる魂よ」 K.165(158a)より“アレルヤ”
   フォーレ:「レクイエム」作品48より “ピエ・イエズ”  
   ヴィエルヌ:「アンジェラスの鐘」作品57      
   モーツァルト:歌劇「魔笛」K.620より “復讐の心は地獄のようにわが胸に燃え”

第16代札幌コンサートホール専属オルガニスト、オクタヴィアン・ソニエ(Octavian Saunier)は昨年10月のデビュー・リサイタル以後も積極的にコンサートの他に多方面で活動している。先月は東京、京都でもコンサートを開催している。

中江早希(Saki Nakae)は北海道教育大学岩見沢校卒業。東京藝術大学大学院修士課程修了後、現在は同大学院博士課程に在籍。藝大各種コンサートで、高関健、湯浅卓雄らと共演。オペラでも活躍。第14回日本モーツァルト音楽コンクール声楽部門第2位。第12回中田喜直記念コンクール大賞受賞。第25回ハイメス音楽コンクール声楽部門第1位。第11回東京音楽コンクール声楽部門第3位など輝かしい経歴を持つ北海道期待のソプラノ歌手。

オクタヴィアンのオルガンコンサートは久しぶりである。中江の評判も耳にして大ホールでオルガンとソプラノの協演に臨んだ。演奏曲で初めて聴くのは数曲のみ。
最初はオルガンの大音響にかき消されて大ホールのオルガン演奏台の傍で歌う声が明瞭に届かない感があった。
オルガン・ソロで印象に残ったのはヴィエルヌの「太陽への賛歌」。ヴィエルヌの「幻想的小品集」はフランス出身の歴代Kitara専属オルガニスト数人のCDにも収録されているので親しんでいると言える。「月の光」は優しく心地よい作品だが、同時に対照的な「太陽への賛歌」の明るい曲が聴けて良かった。オルガン曲で一番面白かったのが「ワルキューレの騎行」。この曲はオーケストラ曲として聴く機会があるが、ワルキューレたちが天空を駆ける様子が巧みに描かれている。壮大でドラマティックな情景を心に描きながら楽しく聴いた。

中江のソプラノで堪能した曲が最後の「夜の女王」のアリア。素晴らしい歌声で、高度な歌唱テクニックにも感動した。北海道の地元でも将来を嘱望される音楽家が育っているのは頼もしい限りである。

最後のオルガン曲と共に「終わりよければすべて良し」の印象のコンサートであった。
最後の二人の挨拶もとても良かった。特にオルガニストの日本語の挨拶が素晴らしかった。日本語の上達度は耳にしていたが、見事な日本語に感服。
アンコール曲は「ベルク:ナイティンゲール」。オルガン伴奏の音量が控えめで、結果的にソプラノの声が生かされていた。
帰りのホアイエで出会う人は若い世代の人がいつもより断然多くて、若い出演者の友人や知人が聴きに来ていたようだ。ワンコインで聴ける気軽さもあったのかも知れない。

新専属オルガニスト オクタヴィアン・ソニエ デビューリサイタル

第16代札幌コンサートホール専属オルガニスト
オクタヴィアン・ソニエ デビューリサイタル

オクタヴィアン・ソニエ(Octavian Saunier)は1985年、ルーマニア生まれ。フランスで育ち、5歳でピアノを始め、10歳の時にオルガンに出会ってからオルガン一筋の生活だったそうである。リヨン国立高等音楽院に学ぶ。ソロコンサートの他、合唱や室内楽、オーケストラと共演。12年と13年にはリヨン国立管弦楽団とヤナーチェク「タラス・ブーリバ」、バルトーク「中国の不思議な役人」などで共演。Kitara専属オルガニストだった友人2人から勧められて招聘プログラムに応募。13年9月、第16代札幌コンサートホール専属オルガニストに就任。

Program
J.S.バッハ(1685-1750):[クラヴィーア練習曲集 第3部より] 《前奏曲とフーガ 変ホ長調 BWV552/1》 、《われらすべて唯一の神を信ず BWV680》、《深き苦しみの淵より、われ汝を呼ぶ BWV686》、《われらの主キリスト、ヨルダン川に来たれり BWV684》、《フーガ 変ホ長調 BWV552/2》。
           [シューブラ―・コラール集より] 《目覚めよ、と呼ぶ声あり BWV645》、《わが魂は主をたたう BWV648》、《ああ、われらとともにとどまりたまえ、主イエス・キリスト BWV649》。
           [トッカータ、アダージョとフーガ ハ長調 BWV564]  
                  
ヴィエルヌ(1870-1937):オルガン交響曲第2番 ホ短調 作品20より
フランク(1822-90):3つの小品より カンタービレ ロ長調
ヴィドール(1844-1937):オルガン交響曲第8番 ロ短調 作品42-4 フィナーレ
アラン(1911-40):間奏曲 JA66 bis
メシアン(1908-92):主の降誕より 御言葉
       聖霊降臨祭のミサより 閉祭唱ー聖霊の風

前半はバッハの作品、後半は19、20世紀のフランスの作品をそれぞれ約1時間も要した、やや盛り沢山の内容。意気込みは解ったが挨拶、休憩を含めて2時間半の演奏時間は少し長過ぎた感あり。

第15代が女性で柔らかい音を出していた印象が強かったせいかも知れないが、今回の男性オルガニストの演奏は力強かった。特に鍵盤を弾く力が強い所為か、バッハの演奏は何となく単調に聴こえた。聴き慣れた曲が「目覚めよ、と呼ぶ声あり」や「トッカータ、アダージョとフーガ」ぐらいで、自分自身が多分バッハの曲に固定観念があるためだろう。

ヴィエルヌの「オルガン交響曲第2番」は聴きごたえがあった。ヴィドールの「オルガン交響曲第8番のフィナーレ」も良かった。今度のオルガニストはオルガン交響曲が得意なのかも知れないと思った。
アンコールに弾いた「即興演奏」は今迄に聴いたことがない演奏ぶりでとても面白かった。ストップを頻繁に使用して鳥の鳴き声を連想させる美しい曲で、メシアンの鳥のテーマと関係があるのかと一瞬思ったが即興演奏と解ってビックリ。今日一番の印象に残った演奏。
オルガンは良く解らないので的外れの感想かも知れない。

第16代オルガニストは先月のKitaraボランティアのダイレクト・メールの作業の折に挨拶に来たが、愛想が良く、コミュニケーションの取り方も抜群で、人柄も良く、日本に溶け込む態度はボランティアに好印象を与えた。今後の活動が期待大である。











マリア・マグダレナ・カチョル フェアウェルオルガンリサイタル

  マグダレナ・カチョルは1年間の任期を終えて来週には帰国するが、第15代札幌コンサートホール専属オルガニストとしての最後のコンサートが開かれた。在任中、彼女はKitaraで40公演を行い、サントリーホールや東京芸術劇場などにも招かれてコンサートを開催した。札幌市内の小・中学校を訪問してアウトリーチ活動にも積極的に参加した。その他、札幌交響楽団と共演する機会も何度かあった。

PROGRAM
レゾン:第5旋法のオッフェルトリウム「パリ人の王に栄えあれ」
ヴィヴァルディ/J.S.バッハ編曲:協奏曲 ニ短調BWV596
ヴィドール:オルガン交響曲第8番 ロ短調 作品42-4より 第3楽章 アレグロ
リスト/カチョル編曲:「詩的で宗教的な調べ」より葬送、1849年10月
エスケシュ:「復活のいけにえに」による5つのヴェルセット
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
リスト:バッハの名による前奏曲とフーガ
ショパン:ノクターン第2番 作品9-2
アラン:組曲より スケルツォ JA70
コシュロー:シャルル・ラケの主題によるボレロ(パーカッション/藤原貴子、谷野健太郎)
ベートーヴェン:笛時計のための5曲より アダージョWoO 33
ベートーヴェン/カチョル編曲:交響曲第5番 ハ短調「運命」作品67より
                           第4楽章 アレグロ
 
レゾン(1650~1719)」やエスケシュ(1965~)の名は初めて聞く。
マグダレナは感受性が豊かであるが、8月に入って帰国が近づくにつれ感情が揺れ動くことが多いようだ。心なしか集中力に欠け、不安定な感じが素人目にも見て取れた。自ら編曲してCDにも収録したリストの曲はタイトルの通り、死者を弔うに相応しく、全体に重々しく暗い感じの曲。オルガンの響きが一層葬送の雰囲気を醸し出した。教会のオルガニストを務めているエスケシュの曲は彼が20年ほど前に作曲したと言われ、現在もローマ・カトリック教会の典礼で歌われているらしい。

後半のリストの後に予定していたヴィエルヌの幻想的小品集を変更して、ショパンの名曲を弾いた。ポーランドゆかりの作曲家の曲が入っていないことに急遽気付いて曲目を変更した。通訳を通して、この1年の演奏活動を振り返って語った。
コシュロー(1924~84)は去る2月のコンサートでも取り上げた作曲家であるが、彼はパリのノートルダム大聖堂のオルガニストを務め、世界的に評価が高い演奏家だったそうである。74年にノートルダム大聖堂で録音された即興演奏を息子のジャン=マルクが書き起こしたものをオルガンとパーカッションで演奏。10分余りの魅力的で変化に富んだ曲であった。この曲目は聴衆への“サプライズ”として彼女が用意したプログラムで盛り上がったのではないか。

ベートーヴェンのオルガン曲は自動演奏のオルガン用に作曲され、2月に開かれたオルガン・ウインターコンサートで4手編曲版でモニカ・メルツォーヴァと共演した曲。懐かしかったが4手版の方が迫力があった。
本日の圧巻は何と言っても、最後のベートーヴェンの有名な作品のオルガン編曲版。彼女はこの作品を演奏しようと思った切っ掛けは、Kitaraのオルガンが生み出す大きくて、美しい音色だったと言っている。オーケストラのような楽器の持つ迫力が彼女にベートーヴェンの「運命」を編曲して実際に演奏してみようと思わせたのである。忙しい演奏活動の合間を縫っての編曲の作業は大変だったと容易に想像がつく。素晴らしい演奏であった。勿論、プロの編曲家ではないので、スムーズな流れではない箇所もあったが充分に楽しめた。

今日の演奏会で気になったのは、私の真後ろの座席に座った年輩と思われる男性(顔は見なかったが、、、)が、後半のショパンの曲以降、1曲終わるごとに“ブラボ”と叫んでいたことであった。引っ込みがつかなくて何度も“ブラボ”と声を発したようだったが、叫んだ後の呼吸が苦しそうであった。こんな歓声を上げた人は、初めてであった。感動したのは判るが、最後は義務的に叫んでいるように思えた。人それぞれの感情の表現があっても良いが、不自然な感じがした。

マグダレナ・カチョルは最後に通訳を通して別れの挨拶をした。Kitaraの何人かの職員の名前を上げて長々と感謝の言葉を述べていたが、演奏会ではチョット場違いではないかと思ったのが正直な感想。間もなく札幌を離れることで、いろいろな感情がこみあげてきて万感胸に迫るものがあった様子。日本を去り難い様子が見てとれ聴衆の中には感動した人も多かったと思う。彼女の心境を推し量ることはできたが、日本語で“アリガトウ”や“サヨナラ”の言葉を発しなかったのは極めて残念ではあった。
アンコールに応えて30秒ほどの短いポーランドの曲を弾いて、Kitaraのオルガンに“Thank you so much.”と話しかけ、1年間親しんだオルガンに最後の別れを告げた。

彼女は帰国して直ぐヨーロッパ数カ国での演奏会の日程も入っているように聞いているが、今後一層の演奏活動の活躍を期待している。






  

オルガン ウインター コンサート

Kitara ORGAN WINTER CONCERT 

 毎年、札幌の雪まつりの期間中にオルガンウインターコンサートが開かれている。有名な札幌の雪まつりとあって本州や外国からの聴衆も見かける。ワンコインコンサートとして札幌市民には馴染みのコンサートである。今シーズンの第15代札幌コンサートホール専属オルガニストと約10年前の第5代専属オルガニストとの共演のコンサート。
 
プログラム。
 
J.S.バッハ:前奏曲とフーガ 変ホ長調 BWV552
マッテル:“若い娘”による幻想曲
   (以上、演奏 モニカ・メルツォ―ヴァ(Monica Melcova) 

J.S.バッハ:トッカータとフーガ ニ短調 BWV565
M.スジンスキ:カプリッチョ Op.36c
ペータース:アリア Op.51
P.コシュロー:交響的スケルツォ
   (以上、演奏 マリア・マグダレナ・カチョル(Maria Magdalena Kaczor) )

ベートーヴェン:「笛時計のための5曲」よりアダージョWoO.331(4手編曲版)
    (連弾)

 パイプオルガンの音色を初めて耳にしたのが中学3年(1953年)の修学旅行で訪れた仙台の東北学院大学でした。中学の英語の先生の母校だったので松島に行く途中で旅行日程に入ったのだと思う。詳しいことは覚えていないが、オルガンの音色と設置されていた場所の様子は鮮明に記憶している。
 Kitaraがオープンした1997年7月4日から毎年定期的にオルガンを聴く機会がある。当初はエドガー・クラップ、ジリアン・ウイーア、トン・コープマンなどのオルガン・リサイタルが物珍しかった。今ではデビュー・リサイタル、クリスマス・オルガンコンサート、オルガンウインターコンサート等はすっかり定着したコンサートになりました。今迄でとても良かった企画は2007~2008シーズンの「世界オルガン名曲シリーズ 10人のオルガニスト」でした。1シーズンで歴代オルガニスト10人全員のコンサートを堪能しました。
 
 歴代のオルガニストの共演は魅力的です。今日のコンサートも素敵でした。馴染みのあるオルガン作曲家はバッハだけでしたが、それが却ってとても新鮮でした。
 モニカのバッハの曲は彼女が2002年にデビュー・リサイタルで弾いた思い出の曲であると日本語の挨拶で話していましたが、12~15分の長さの曲は2曲とも聴きごたえがありました。彼女の演奏は04,07,11年に続いて聴いたことになりました。譜面をめくる人がオルガニストの横に立ち続けている状態だったので演奏者の鍵盤を弾く様子が見れなかったのが少々残念でした。
 マグダレナは黒の服でなくて雪を連想させる白いジャケットと赤いスカートで登場しましたが素敵でした。勿論、演奏曲目もバッハの「トッカータとフーガ BWV565」で一段と盛り上がりました。今日はオルガニストの手や足の動きが見える席で鑑賞しましたので初めて聴く作曲家の変化に富んだ曲を十分に楽しみました。4段の手鍵盤や足鍵盤の使い方が見えて一層興味深い鑑賞となりました。
 ベートーヴェンの機械仕掛けオルガンのための作品は美しい旋律にあふれ、ピアノと管楽器の合奏を思わせる連弾は意外性のあるオルガン曲で素晴らしかった。

 モニカのアンコール曲はスカルラッティの「ソナタK159」、マグダレナのアンコール曲はバッハの「最愛のイエス我らここにあり」。2曲ともに心の奥深くに優しく広がる曲。
 
 今までウインターコンサートは正午開始だったが、昨年から「中島公園のゆきあかり」の行事との関連も考えてか午後3時開始となった。日曜日で札幌雪まつりの期間中ということもあってか観光客の姿もあり、客席もかなり埋まってコンサートが盛り上がった感じを受けた。
 
IMG_0805 (300x225) キャンドルが灯る雪あかりの中島公園。
Kitaraで演奏した音楽家が宿泊するホテルが奥に見える。

IMG_0808 (300x225)
 スノーランタンやペットボトルランタン1.000個が輝く中島公園の「彩の広場」。
2枚の写真は前日のコンサート(2/9)の夕方5時半ごろ撮影。

マリア・マグダレナ・カチョル デビューリサイタル

 第15代 札幌コンサートホール専属オルガニストの札幌でのデビューとなるリサイタルが今日の2時からKitaraで開かれた。
 1998~99シーズンからKitara専属オルガニスト制度がスタートして、毎年ヨーロッパの若いオルガニストが1年間の任期でコンサートや講習会などの活動を行っている。この制度は日本では極めて高い評価を受けており、今迄に東京・京都・新潟などのコンサートホールからも依頼がきて客演している。
 この制度が始まって2012~13シーズンで15年目を迎える。フランス・ハンガリー・スペイン・ベルギー・ドイツ・スロヴァキア出身のオルガニストが今迄に来札している。

 マリア・マグダレナ・カチョルはポーランド出身でヨーロッパの各地の音楽祭にも定期的に出演していて、この9月にKitaraの専属オルガニストに就任して初めてのリサイタルを開いた。

 全部で9人の作曲家の曲を演奏したが、そのうち6人の作曲家の名前を知らなかったのには自分自身でもビックリするほどであった。知っていたのはJ.S.バッハ、フランク、リストだけであった。この3人の作曲家は50年も前から知っていた。オルガン曲に関しては知識が不足しているのは自覚していたが,Kitaraでオルガンのコンサートを聴き始めて以来、ブクステフーデ、ヴィドール、ヴィエルヌ、デュプレ、デュリュフレなどオルガン曲の作曲家の名前に親しんできたが、数知れないほどの作曲家がまだまだ沢山いることを前提にしたほうが良いと思った。

 バッハの「トッカータ、アダージョとフーガ ハ長調 BWV564」はCDを持っていて何度も聴いているが、バッハの曲は即興演奏が多く入るのでオルガニストによって凄く違いがあって、途中までidentifyできないほどであった。3楽章からなる協奏曲のような感じが良く表現されて印象深かった。

 リストの数少ないオルガン曲「コラール{アド・ノス、アド・サルタレム・ウンダム}による幻想曲とフーガ」はまるで管弦楽のようで、Kitaraの良く鳴るオルガン(パイプの本数4976)の特徴が存分に生かされる見事な演奏で、30分もかかる難曲を集中力を切らさずに最後まで大胆に弾き切って聴衆の拍手喝采を浴びた。

 マグダレナも自身の演奏に対しての満足感とKitaraのオルガンの素晴らしさに感動し、演奏が終わって思わず「泣いてしまった」と告白した。何度もオルガンと聴衆に感謝して、アンコールに「ミサ曲」を演奏。「12月のコンサートは皆さんのために演奏する」と言って、最後に"See you in December."と英語であいさつ。

 オルガン演奏だけでなく、彼女の人柄も強い印象を残した演奏会となった。
プロフィール

fsuterry

Author:fsuterry
年間60回以上札幌コンサートホールKitaraに通うクラシック音楽ファン。クラシック全般に関心があるがオーケストラ・ピアノ曲が特に好きである。 

最新記事
カテゴリ
月別アーカイブ
検索フォーム
最新コメント
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR