仲道郁代 マイ・フェイヴァリット(デビュー30周年を彩るピアノ名曲集)

仲道郁代のピアノ演奏を初めて聴いたのが1989年4月(第302回札響定期)。山田一雄指揮札響と共演して「ベート―ヴェン:ピアノ協奏曲第4番」を弾いた。ベートーヴェンのピアノ協奏曲は「皇帝」しか聴いていなかったので、「第4番」も素晴らしい曲と印象づけられたコンサートとして忘れ難い。
2000年2月にはヤマハ・ピアノ100周年記念コンサート(Kitara大ホール)でリサイタルが開かれた。同年にはKitara札響特別演奏会として「皇帝」が演奏されたこともあった。その後、09年にソプラノとピアノのデュオ・リサイタルを聴いたが、その後はこの日本を代表するピアニストの演奏を聴く機会がなかった。出来れば本格的なプログラム構成の演奏会が好みではあったが、今回のピアノ名曲集を聴いてみることにした。彼女のコンサートを聴くのは7度目である。

Ikuyo Nakamichiは1963年、仙台生まれ。12歳の時に父親の仕事の関係でアメリカに渡り、その後、桐朋学園大学1年在学中に日本音楽コンクール優勝。1985-87年ミュンヘン音楽大学に留学。この間、ジュネーヴ国際コンクールなどで好成績を収め、国内外で活発な活動を展開。海外のオーケストラとの共演も数多く、実力と人気を兼ね備えて常に新たな試みに挑戦し続けているピアニスト。
仲道は札幌コンサートホールでは2014年から3年にわたって【Kitara Kidsミュージック&アーツクラブ】で音楽とアートのワークショップを通じ、子どもたちと温かい交流を重ねている。今回のプログラムは【Kitaraクラシック入門講座】として開催されたが一連の活動と繋がる催しの趣旨があったのかもしれない。

2017年1月21日(土) 14:00開演  札幌コンサートホールKitara小ホール
〈Program〉
 グリーグ:《抒情小曲集》より 「アリエッタ」、「蝶々」、「ノクターン」
 シューマン:《子供の情景》より 「トロイメライ」 作品15-7
 シューマン(リスト編):歌曲集《ミルテの花》より「献呈」 作品25-1 S.566
 リスト:愛の夢 第3番 変イ長調 S.541
     メフィスト・ワルツ第1番 「村の居酒屋での踊り」 S.514
 ショパン:ワルツ第1番 変ホ長調 「華麗なる大円舞曲」 作品18
       ワルツ第3番 イ短調 作品34-2 
       スケルツォ第2番 変ロ長調 作品31
       ポロネーズ第6番 変イ長調 「英雄」 作品53

仲道は作曲家と演奏曲の解説や魅力を話しながらコンサートを進めた。彼女が音楽の魅力にはまったエピソードなどを織り交ぜながら名曲(Her Favorites)を紹介した。
彼女の母は彼女が胎児のころにグリーグのピアノ協奏曲を好んで弾いていたという。その影響か彼女は北欧のショパンと呼ばれることもあるグリーグの曲に親しんだそうである。「抒情小曲集」は10集70曲ほどの中から3曲。聴いたことがあるのは「蝶々」だけ。聴く者の心にしみる短い曲を続けて演奏した。

クララとの9年にわたる恋が実って結婚に至ったシューマンが結婚前夜にクララのために書いた歌曲。リストから贈られたピアノ独奏用の編曲が余りにも華やかだったので、クララは“私たちの愛をこんなにゴージャスにして”と怒ったという。この彼女の反応は初耳であった。
「トロイメライ」と「愛の夢」は「夢」が共通している。「夢」や「憧れ」を4度や6度の音程の違いで表現する話は興味深かった。
仲道はミシガン州に滞在していた折にホロヴィッツの演奏を聴く幸運に恵まれたという。(*彼がニューヨーク以外で演奏する機会は稀有のことであり、演奏会のチケットを手にするのも容易ではない時代であった。)彼の弾いた2音を聴いただけで涙がこぼれたという。2音だけで人の心を動かす音楽に出会って彼女の人生の行方が決まった。ホロヴィッツの「トロイメライ」演奏に感銘を受けたエピソード。

「メフィスト・ワルツ第1番」はリストならではの超絶技巧が凝らされたピアノ独奏曲。演奏する姿を観ながら今ではすっかりこの曲の魅力に取り込まれている。10分余りの運指の速さにピアニストの技量と表現力に魅了された。演奏終了後に歓声が沸き起こった。

後半のプログラムはショパンの曲。彼がワルシャワを離れ、ウィーンに移り、ウィンナー・ワルツとは違う独自の芸術的香りに満ちたワルツを作り上げていく様子が語られた。パリへ移住した後も故国ポーランドに想いを馳せながら過ごした作曲家の人生は曲とともに人々の心を打つ。ショパンの人生の一端を初めて聞いた子どもたちもいたように思う。対照的な2曲のワルツの紹介も良かった。
ショパンが残した4曲のスケルツォ。交響曲の第3楽章に使われていた曲調でショパンが独自のジャンルを作り上げた。「第2番」は聴く機会が多くて4曲中で最も親しまれている。緊迫した雰囲気を持ち、ドラマティックな展開で魅力的な作品。仲道はこの曲を“黒いマント”と何度か呼んだ。

「ポロネーズ」や「マズルカ」はポーランドの民族舞曲。ポロネーズは全16曲のうち、タイトルがついた「第3番 軍隊」、「第7番 幻想ポロネーズ」の他に、「第6番 英雄」が有名である。最も有名で演奏機会の多い第6番は「英雄ポロネーズ」として親しまれている。勇壮な行進曲で2列となって戦争に備えて堂々と行進する姿が印象的である。ポーランドは他国に支配される不幸な状況下に置かれてきた歴史がある。ショパンとポーランドは音楽では切り離せない繋がりである。

アンコール曲は3曲。①ショパン:エチュード「革命」、 ②ショパン:エチュード「別れの曲」、(*「別れ」は短調が多いのが当然と思っていたが、この曲は長調と説明があった。明るい曲として長年にわたって聴き親しんでいるが、改めて調性を意識した。) ③エルガー:愛の挨拶。

チケットは完売であったが、1階席中央の数列で空席が何席も続いているのが気になった。1階席の端や2階バルコニーも埋まっている中でチョット嫌な感じがした。招待券が無駄になっているとしたら勿体ない。


※先週の「クラシック音楽館」(1月15日)の放送で10:30pm~11:00pmまで仲道郁代がゲストでプレイエル(1827年製)とスタインウェイの2台のピアノを使って興味深い演奏を行った。(*彼女は自宅にピアノを4台所有しているはずだから彼女所有のピアノで演奏したと思った)。ピアニストのデビュー30周年を祝ってのオール・ショパン・プログラム。演奏曲は「ノクターン op.9-2」、「練習曲 op.10-3」、「前奏曲 op.28-7」、「練習曲 op.25-1」(以上プレイエル)、「幻想即興曲」、「ワルツ op34-2」(以上スタインウェイ)。ショパンが使っていた時代のピアノと現代のモダン・ピアノでの響きの違いが出ていて面白かった。

チョ・ソンジン ピアノ・リサイタル

ライヴ・コンサートは昨年12月23日以来で、2週間以上も間が空いたのは稀である。TVh北海道とオフィイス・ワン主催の《ニュー・イヤー・スペシャル・コンサート2017》。札幌では『2015年ショパン国際ピアノ・コンクール優勝記念』として開催され、【チョ・ソンジン ピアノ・リサイタル】はその後、福岡・大阪・東京・川崎・名古屋でも開かれ、2月には同プログラムでニューヨーク・カーネギーホールでのリサイタル・デビューも行われる予定という。

チョ・ソンジン(Seong-Jin Cho)は1994年ソウル生まれ。09年浜松国際ピアノコンクールでは15歳で最年少優勝。10年PMFオープニングコンサートに出演して「チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番」をPMFオーケストラと共演。11年チャイコフスキー国際コンクール第3位入賞、その後はパリ国立高等音楽院でミシェル・ベロフ(*辻井伸行のクライバーン・コンクール優勝時の審査員、2013年Kitara来演)に師事。14年ルービンシュタイン・コンクール第3位。15年10月に行われた第17回ショパン国際コンクールの後、11月にはフェドセーエフ指揮N響と共演、直後にアムステルダムでフルシャ指揮ロイヤルコンセルトへボウ管とも共演して別々のコンチェルトを演奏。16年1・2月にはショパン・コンクール以前から決まっていた日本公演に加えて、ショパン・コンクールの入賞者ガラ・コンサートなども重なってハード・スケジュールをこなしていた。

10年、16年に続き3回目のKitaraのステージ。

2016年1月9日(月・祝) 1:30開演  札幌コンサートホールKitara大ホール
〈Program〉
 ベルク:ピアノ・ソナタ ロ短調 Op.1
 シューベルト:ピアノ・ソナタ 第19番 ハ短調 D.958
 ショパン:24の前奏曲 Op.28

ベルク(1885-1935)はシェーンベルク、ヴェーベルンと共に「新ウィーン学派」と呼ばれる作曲家。彼の名を名乗ったアルバン・ベルク弦楽四重奏団は世界最高のカルテットとして親しまれた。ベルクの「ヴァイオリン協奏曲」は渡辺玲子のCDがあって何回か耳にするが、鑑賞が難しい。
ベルクのピアノ・ソナタは初めて聴いた。7・8分程度の単一楽章の曲で古典的なソナタ形式。ロ短調となっているが調性を超えた曲作り。現代音楽として特別な違和感は無く聴けた。

シューベルトは最近は歌曲よりピアノ曲を聴く機会が断然多くなった。全21曲のソナタの中で近年は「第21番」は度々聴く。彼が亡くなる1828年11月の2ヵ月前に書き上げられた3曲(第19・20・21番)はシューベルト最後の作品。「ピアノのための3つの小品」は遺作となった。3作とも各4楽章構成で大作となっている。
「第19番」は前年に死去したベートーヴェンの影響が特に色濃く表れている曲とされる。ベートーヴェンを想起させる力強い第1主題とコラール風の柔らかい第2主題を中心に展開される第1楽章。シューベルトらしい歌謡的な美しさ溢れる第2楽章。第3楽章は素朴な味わいの短いメヌエット。第4楽章は主題が多彩に展開される長大なフィナーレ。
ポピュラーな曲ではないが、演奏終了後にブラヴォーの声があちこちから上がるほどに聴衆を魅了したチョ・ソンジン。

ショパンの《24の前奏曲》の中でも「第15番 雨だれ」は最も有名で親しまれている曲。演奏時間が一番短い30秒から一番長い5分程度の曲が24曲。この作品は第1番のハ長調から第24番のニ短調まで24の調をすべて用いて書かれた。長調と短調が交互に現れる。第15番は何度も同じ音が繰り返されるところが雨のしずくを表しているように聞こえるところから、後に「雨だれ」と名づけられた。他に親しんでいる曲は1分足らずの「第7番 アンダンティーノ」、「第24番 アレグロ・アパッショナート」の2曲ぐらいだった。昨年のユンディ・リのリサイタルでも<24の前奏曲〉を聴いたこともあって、身近に感じれる曲も増えた。対比が面白い「第10番」やドラマティックな演奏の「第18番」など。

卓越したテクニックと透明な美しい音色で綴られる変化に富んだ曲の流れに最初から最後まで集中度を保ち続けた聴衆も素晴らしかった。演奏終了後のホールは歓声に湧いた。近現代の曲も含め必ずしも耳慣れた曲ではないプログラムにも関わらず、今日のオーディエンスの反応は凄かった。心が揺さぶられる演奏に浸れて感動を覚えて胸が高鳴った。
アンコール曲は「ドビュッシー:月の光」と「ブラームス:ハンガリー舞曲第5番」。誰もが耳にしたことのあるポピュラーな曲が本格的なプログラミングのコンサートに華を添えた。
集客を重視して、ともすれば安易に陥りがちなプログラミングも演奏家と聴衆の要求度が一致すると成功するのではないかと痛感した。22歳の若い韓国人ピアニストの日韓文化交流に果たす役割も小さくない。

及川浩治ピアノ・リサイタル2016

98年以来、日本のピアニストの中で及川浩治のコンサートを聴く機会は多い方である。今回は2年ぶり15回目となる。

2016年12月18日(日) 1:30pm開演  札幌コンサートホールKitara大ホール

〈ロマンティック・ヴィルトゥオーゾプログラム〉
 デビュー21年目のスペシャル・プログラムとして人々に親しまれている曲ばかりを並べての名曲コンサート。

 J.S.バッハ(ブゾーニ編):シャコンヌ ニ短調 BWV1004より
 ショパン:ラルゲット(ピアノ協奏曲第2番op.21より第2楽章)
       練習曲《別れの曲》 ホ長調 op.10-3
 リスト(ブゾーニ編):ラ・カンパネラ 嬰ト短調
 リスト:愛の夢第3番 変イ長調、 メフィストワルツ第1番
 ドビュッシー:月の光、 アルぺジョのための練習曲
 ラヴェル:亡き王女のためのパヴァーヌ、 ラ・ヴァルス
 ラフマニノフ:前奏曲《鐘》 op.3-2、 ヴォカリーズ(コチシュ編)op.34-4
 クライスラー(ラフマニノフ編):愛の喜び
 ラフマニノフ:練習曲《音の絵》 ニ長調 op.39-9

昨年デビュー20周年を迎えた及川浩治は彼の音楽の原点であるブルガリア・ソフィアを訪れ、かの地で20数年ぶりにコンサートを開催したという。新たな出発の年にふさわしい若さと夢とロマンに溢れた作品でプログラムを構成したようである。
前半6曲、後半8曲。

第1曲目の「シャコンヌ」のブゾーニ編曲によるピアノ曲はこの数年リサイタルで聴く機会が非常に多い。バッハの無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第2番の最終楽章はいつ聴いても感動する。今回のピアノ編曲での演奏は今までに無いほどの強烈な印象を受けた。強い打鍵を用いての深い感情移入が新鮮な曲となった感じがした。編曲の範囲を超えたブゾーニ(1866-1924)のピアノ音楽の素晴らしさを味わった。

ショパンの2曲は及川のCDでもよく耳にした。15年前の2001年、及川はブルガリアのゲオルギエヴァ(Vn)とデュエットを組んで国内ツアーを行った。妻と一緒に出掛けた札幌公演で私はゲオルギエヴァ、妻は及川のCDを買った。どちらも小品集であった。及川のCDに収録されていた「ラルゲット」はその当時から珍しいと思っていた。ショパンのピアノ協奏曲で第1番と第2番は各12名のピアニストのCDを所有しているが勿論すべて全楽章の演奏盤。及川にとって「ラルゲット」は特に思い入れのある楽章なのだろう。
「ラルゲット」は当時ショパンが恋心を抱いていた女性への想いを表現した楽章と言われる。美しい旋律の中に織り込まれる情感と合い通じるものがあるのかも知れないなどと勝手に推し量ってみた。

「ラ・カンパネラ」は最も親しまれている曲の一つで、超絶技巧による演奏も魅力であるが、ブゾーニがここでも自身のヴィルトオーゾぶりを存分に発揮している。原曲が歌曲の「愛の夢 第3番」は改めて言及するまでもないピアノ独奏版の名曲で美しい調べが心に染み入る。
上記の2曲に比べてポピュラーではないが「メフィストワルツ第1番」はリストならではの作品。管弦楽曲がピアノ独奏用に編曲された。十数年前からアルゲリッチのCDで聴くようになった。リストの曲の中でも難易度が高い曲と言われ、演奏の様子を観ていると超絶技巧ぶりが良く分かる。
演奏終了後に迫真の演奏に対して一斉にため息交じりの歓声が沸き起こった。及川浩治は演奏中の“間”の取り方が巧みで、自身の集中力をコントロールすると同時に聴衆の心も掴んでいる感じがする。連続してほかの曲に入る場合に余計な拍手が入らなくて済むのは聴く者の集中度も高まって非常に良かった。

比較的ピアノタッチの力強い演奏が目立った前半とは対照的に後半のスタートは柔らかな繊細なタッチのドビュッシーの曲。2曲目のタイトルが余り馴染みではないと一瞬思ったが、〈12の練習曲集〉の1曲でドビュッシーならではの音の世界に引き込まれた。

ピアノ曲として演奏機会の多い「亡き王女のためのパヴァーヌ」はラヴェル自身が管弦楽曲にも編曲している。ラヴェルが20代の頃に書いたピアノ曲。パヴァーヌはヨーロッパの宮廷で流行った舞踊。この曲は様々な楽器編成のためにも編曲されている。

ワルツという意味の「ラ・ヴァルス」は管弦楽曲として演奏されることが多い。ラヴェル自身がピアノ曲に編曲しているが、ピアノリサイタルで聴くのは珍しい。目まぐるしく華麗に変化するラヴェルの世界が独奏ピアノで見事に繰り広げられる演奏はまさに圧巻であった。
後半の静かな3曲とは打って変わった曲の展開に聴衆もすっかり魅了された。

最後の4曲はラフマニノフがメイン。ラフマニノフは“鐘”を様々な楽曲に用いている。このピアノ曲の冒頭の楽想はクレムリン宮殿の鐘にインスピレーションを得たといわれる。詩情あふれる曲だが、この曲はリストの「鐘」のようにはポピュラーな曲ではない。

“ヴォカリーズ”とは歌詞の無い歌曲全般を指すが、現在では『ヴォカリーズといえばラフマニノフ』と言われるほど親しまれている。
原曲はソプラノまたはテノールのための【14の歌曲集】の終曲。ピアノ独奏曲だけでなく多くの編曲版がある。
編曲者のゾルタン・コチシュ(1952-2016)はアンドラーシュ・シフ、デジュ・ラーンキとともに“ハンガリーの三羽烏”のピアニストとして名を成した。83年にイヴァン・フィッシャーとともにブタペスト祝祭管を創設、指揮者として今年10月予定の来日が病気で中止となり先月死去。コチシュ演奏のドビュッシーのCDを持っていて親しみのあるピアニストだった。作曲家としての活動は知らなかったので、今日の編曲版を聴いて一層感慨の想いに浸った。

クライスラーの「愛の喜び」はヴァイオリン曲として最も演奏される機会の多い名曲。ピアノ曲としては聴くのは初めてである。ラフマニノフがピアノ曲に編曲したとは全然知らなかった。二人はマネージャーが同じ間柄で親しかったそうである。
この曲は即興的に編曲されたらしい。有名な旋律が何度も繰り返し変奏されて原曲の2倍ほどの長さになっている。意外性のある選曲で面白かった。

《音の絵》はラフマニノフのロシア時代の最後の作品。演奏技術と表現力習得のための練習曲集が2集全17曲。17曲中のうち数曲は外山啓介や小山実稚恵のCDに入っていたが、5年前に小山の[音の旅]の演奏会の折に全曲入りのCDを買い求めた。タイトルから想像する抒情的な旋律が出てくる曲ではないので簡単に素人が親しめない。何回か演奏会やCDで聴いているが深く印象に残っていない。
作品39-9は練習曲集の終曲。華やかで交響的な曲の感じで、コンサートの最後を飾るにふさわしい壮大な演奏となった。
いつものリサイタルより曲数が多くて焦点が定まらないかと思ったが、経験豊富なピアニストだけにプログラミングは充分に説得力のあるものになっていた。

アンコール曲は「プーランク:エディットピアフへのオマージュ」。

小山実稚恵「音の旅」第22回 ベートーヴェン・ブラームス・シューベルト

小山実稚恵の12年間・24回にわたるピアノリサイタルシリーズも今回を含めて残すところ3回となった。

第22回 2016年 秋
~心の歌~ イメージ〈グレーベージュ:深い森の中へ分け入っていく

2016年11月3日(木・祝) 15:00開演  札幌コンサートホールKitara小ホール

〈Program〉
 ベートーヴェン:ソナタ 第30番 ホ長調 作品109
 ブラームス:6つの小品 作品118
 シューベルト:ソナタ第20番 イ長調 D.959 

演奏前のプレトーク。24回のリサイタル・シリーズのうち最後の3回のプログラムは構想当初にいち早く決定していたという。ベートーヴェン後期三大ソナタ、シューベルト最晩年の2つのソナタ、ブラーム晩年の小品。
今回はシリーズの中で最も優しさ溢れる「静」のプログラムであると小山は語った。

「ハンマークラヴィーア」でピアノ・ソナタの巨大性を追求したベートーヴェンは「第30番」のソナタでは深い精神性を表現した。非常に落ち着いた内省的な作品。“歌うように心の底から感動を持って”とのベートーヴェンの言葉が添えられている第3楽章が象徴的。美しい主題と6つの変奏、最後にテーマに戻る重厚な作品。小山はゴルトベルク変奏曲に通じる心の底からの感動がある「心の歌」と述べている。

ブラームスの晩年に書かれたピアノ小品はクライバーンとムソルグスキーのCDで聴いていた程度であった。コンサートのアンコール曲に演奏される度に親しみを持ってCDを聴き直したりしていた。ブラームスの作品ではピアノ協奏曲のほかにピアノ小品の良さも分るようになってきて、数年前には田部京子のCDを演奏会の折に購入した。今回もコンサート前に予め聴いておいた。
第1、2、4、6曲は「間奏曲」で第3曲「バラード」、第5曲「ロマンス」。形式は小規模で簡素であるがブラームスの心情が吐露されて心にしみる味わい深い作品。バラードで急に曲調が変わったがほのかな希望の表れだろう。
地味で華やかさには欠けるが、何回か聴いていると聴きごたえのある作品だと思う。

シューベルトのピアノ作品に親しむようになったのは紗良・オットの演奏会が切っ掛けで、ラドゥ・ルプーのオール・シューベルト・プログラムによるコンサートで魅力が一気に開花した。今回も彼のCDを聴いて演奏会に備えた。まだ、ベートーヴェンやショパンの曲ほどには聴きこなせていない。
「第20番」のソナタはシューベルトが亡くなる2ケ月前に書かれた“3つのソナタ”の2番目の作品。3曲の中では最も明るく華やかさもあるが、忍び寄る死の影が感じられるという。
壮大なソナタに相応しい力強さと幻想的な第1楽章。抒情的な第2楽章。第3楽章は即興的なスケルツォ。第4楽章は幸福感に満ちた歌謡主題を持つ長大な最終楽章。
シューベルトの音楽もベートーヴェンやショパンに比べると聴いている頻度が違うので曲の良さが分りつつも心地よい親しみのあるまでには至っていないような気がする。

小山実稚恵「音の旅」を聴き続けて16回。この数年のKitaraでの「音の旅」は満席に近い状況が続く盛り上がりを見せている。来年の秋で今シリーズは終了するが、早くも2018年以降の小山の新しいコンサート企画に関心が集まっているようである。

アンコール曲は①シューベルト:即興曲 Op.90-4 、②シューマン:トロイメライ。2曲とも最も親しまれている心地よい曲だった。

舘野 泉ピアノコンサート(舘野泉ファンクラブ北海道創立30周年記念)

IZUMI TATENO PIANO CONCERT
 
舘野泉のピアノを最初に聴いたのが1982年ヘルシンキ・フィルの旭川公演。89年日本フィル札幌公演の演奏曲も「グリーグ:ピアノ協奏曲」だった。95年、96年はピアノ・リサイタル。ヘルシンキを本拠地にして活動していたが90年代までに北海道で彼の演奏を聴く機会は6回はあった。左手のピアニストとしての復帰後のコンサートは05、08、10、12、14年に続いて6回目。05、08、14年は「ラヴェル:左手のためのピアノ協奏曲」を演奏した。14年9月札響名曲シリーズに出演の際にブログで彼のプロフィールも含めて記録を整理しておいた。
2010年には彼の演奏生活50周年を祝って「舘野泉のために作曲された4作品」のピアノ・リサイタル。12年は長男ヤンネとのデュオ・リサイタルがKitara小ホールで開催された。今回のコンサートは〈舘野泉ファンクラブ北海道〉の主催で開催された。

2016年10月14日(金) 18:30開演  六花亭札幌本店 ふきのとうホール

〈PROGRAM〉
 バッハ(ブラームス編):シャコンヌ ニ短調
 スクリャービン:前奏曲と夜想曲 Op,9
 光永浩一郎:サムライ(舘野泉に捧ぐ)
 吉松 隆:「平清盛」より “遊びをせんとや生まれけむ”、“海鳴り”
 ノルドグレン:「小泉八雲の怪談によるバラード」より “振袖火事”(舘野泉に捧ぐ)
 coba:記憶樹(舘野泉に捧ぐ)

ブラームス編曲の「シャコンヌ」は初めて聴くような気がする。ブゾーニ編以外に聴いた記憶は余りないが、いろいろな作曲家が編曲を試みているらしい。バッハの曲が原曲なのでメロディは当然馴染みである。
左手だけで弾いているとは思えない演奏ぶりには驚きを禁じ得なかった。「ラヴェル:左手のためのピアノ協奏曲」が有名であるが、ブラームスやスクリャービンによる本日の曲も左手用の曲なのではないかと思った。左手のピアニストとして有名だったヴィトゲンシュタインの依頼で作曲されたのかも知れない(?)。スクリャービンの曲も心に深く沁みいるメロディで素晴らしかった。

光永浩一郎という名は初めて耳にした。現代作曲家なのだろう。外国人がイメージとして持つ“SAMURAI”とは違う心が優しく精神的に強そうなサムライの曲。

吉松隆は「プレイアデス舞曲集」で20年前に話題になった有名な現代作曲家。2010年舘野泉ピアノ・リサイタルでは吉松が彼に依頼されて作った曲が世界初演された。2人の音楽家は強い友情で結ばれている。
2012年のNHK大河ドラマ「平清盛」で音楽を担当した吉松は番組の中で書いた曲を左手のピアノのためにアレンジした。当時のドラマで色彩感に溢れた抒情的なメロディを舘野が演奏した。4年前に耳にしたのだろうが平安時代末期の流行歌(*子供の遊び歌)だったらしいが余り覚えていない。ロビーでCDを買った後で分かったことである。

後半2曲の演奏前に舘野がプレトークを行なった。ノルドグレンはフィンランドの現代作曲家として知られる。〈小泉八雲の怪談〉の中から「振袖火事」の話があった。比較的に興味深い話でストーリーに沿って曲が展開されたが、恐ろしい悲劇的な物語とは違って曲そのものは透き通った澄んだ音色でタイトルからは思いもよらない美しい調べ。天空の世界を描いている感じがした。

後半は2曲とも楽譜を用意して譜めくりストがついた。cobaはアコーデオン奏者・作曲家で、この曲は前回2010年のリサイタルで演奏された。〈舘野泉左手の文庫〉助成作品として08年、舘野泉に献呈された。全10曲のうちから6曲。記憶樹は人の感覚と繋がっている生命体。感覚と肉体は共にあり、記憶樹は精神と深く繋がっていることを作曲家は表現しているらしい。曲の内容は難しいが舘野泉は優れた作品として世界の各地で100回は演奏していると紹介した。(*cobaは東儀秀樹、古澤巌とトリオを組んで定期的に演奏会を開いてKitaraのステージにも何度か登場している。)

アンコール曲を続けて2曲(ステージの出入りが大変なので続けて2曲と言って聴衆の笑いを誘った)。〈左手のためのピアノ小品集〉より「母に捧げる子守歌」と「赤とんぼ」。演奏が終って、もう1曲の演奏は多分「アヴェ・マリア」。(*曲名の発表は無かった。1999年の田部京子の演奏会で「吉松隆:アヴェ・マリア」をアンコール曲で初めて聴いた記憶があったので、その後に左手のためのピアノ曲にアレンジされた曲と想像した。)

※舘野泉は来月に80歳を迎えるが、昨年から「音楽の友」誌に寄稿を続けている。11月号で連載も15回となる。最近は面白い記事が多い。彼の母の実家が室蘭ということも知って思いもよらぬ情報だった。彼の祖父は仙台から室蘭に移住し眼科医として日本3大名医とも言われた人。母は幼少時に室蘭で暮らしていた。電信浜や地球岬のことが触れられていると高校時代が懐かしくなる。
泉はチェリストの父とピアニストの母のもと東京で生まれた。10月号では慶応義塾高校卒業後に東京藝術大学に入学した経緯も書かれていた。凡人には専門的な音楽のことだけではなく成長の過程や演奏活動の裏話などが読めて面白さが増すのである。

オーストリアのピアニスト、イェルク・デムスは87歳の現役ピアニストとして毎年のように来日して演奏を続けている(*Kitaraには1999年と2007年に登場)。舘野泉も今回のメッセージで“まだまだ弾いていくつもりです”と伝えている。「演奏生活60周年には何をしようか」と以前は語っていたが、先ずは健康を維持して次回のコンサートに臨んで人々に生きる力を与えてほしいと切に願うばかりである。今日のコンサートにもかなり高齢の人々の姿が多く目について彼のコンサートを大切にしている人が多い印象を受けた。




アリス=紗良・オット ピアノ・リサイタル札幌公演

アリス=紗良・オットの公演を聴くのは昨年8月のN響北海道公演に続いて7回目。この公演で彼女は「ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第3番」を弾いたが、アンコール曲に弾いた「ラ・カンパネラ」が聴衆の熱狂的な反応を呼び起こした。この時に彼女の演奏を初めて聴いたと思われる人々の感動の声が私の耳に飛び込んできた。「ラ・カンパネラ」は何度も演奏会で聴く機会があるが私自身も[最も感銘を受けたラ・カンパネラ]として印象に残っている。“紗良・オットのリサイタルには絶対くる”という若い女性の声も耳にした。
今回のリサイタルは札幌では2011、2012年に続いて3回目のリサイタルになると思う。

2016年10月4日(火) 開演19:00  札幌コンサートホールKitara大ホール
〈Program〉
 グリーグ:叙情小曲集より
       ノルウェー民謡による変奏曲形式のバラード Op.24
 リスト:ソナタ ロ短調 S.178

グリーグ(1843-1907)のピアノ協奏曲は演奏会で聴く機会はあってもピアノのための小品はこれまでコンサートで聴いた記憶があまりない。協奏曲以外にピアノ曲として彼が書いた数多くの作品で数曲収められた「叙情小曲集」のCDが手元にあると思っていたが見つからなかった。コンサート前に彼の曲を聴く機会を持てなくてコンサートに臨んだ。ステージに登場した紗良・オットは演奏を始める前にプレ・トークを行なった。今までにない試みだった。彼女にとって思い入れの強いグリーグの曲をメインにした演奏会は昨年から発表されていた。忙しい日常の演奏活動でストレスもたまる状況で彼女はグリーグのピアノ曲に出会った。懐かし子供時代を思い出す曲が彼女の心を癒したと言う。
ピア二ストでもあったグリーグは数多くのピアノ小品を生涯にわたって書き綴った。日々の生活の中で感興の赴くままに綴られた作品は子供心に溢れ美しい夢の世界も描いている。各巻6曲~8曲程度から成る10集構成の「抒情小品集」。紗良・オットは数十曲の小品集から12曲を選んで演奏した。

前半のプログラムは50分もの長い曲だが続けて演奏したいということで、聴衆をワンダーランドで繰り広げられるおとぎの世界に案内してくれることになった。彼女自身がまるで妖精のようにメルヒェンの世界に踏み込んでいった。曲が始まって馴染みのメロディも耳に入ってきた。数曲は聴き慣れた曲だった。(*グリーグのピアノ協奏曲とともに収録された「抒情小品集」のCDで20年前に購入して、ここ10年以上は聴いていなかったのですっかり忘れていた。)
馴染みの曲は「蝶々」、「春に寄す」とグリーグ自身が管弦楽に編曲した《抒情組曲》に含まれている「小人の行進」、「夜想曲」。ノルウェーの自然の様子や伝説の物語が美しい音楽にのせて幻想的に奏でられた。

〈バラード〉は変奏曲形式で小さな曲のつながり。この作品でも妖精や小人が現れワンダーランドの旅が続いた。この作品のフィナーレの演奏は強烈な打鍵で、リストを思わせる激しい演奏になって見応えもあった。

50分連続の演奏を聴くのが大変だった人もいたようが、途中で拍手したりする人もなくピア二ストが集中力を切らさないでワンダーランドの世界を描き切ったのは良かった。
前半の演奏終了後の聴衆の反応はかってないほどで、二度もステージに演奏者が戻るほどの拍手喝采で感動した客が多かった。

後半ブログラムのリスト(1811-86)はピアノ・ソナタの概念を超えた作品として知られ単一楽章で書かれた傑作。難曲とされているが、近年では演奏会の曲目になることも多くて聴く機会が結構多い。私も今はすっかり馴染みのピアノ曲として聴けるようになった。
前半の妖精のようなイメージのドレスとは対照的な黒いドレスに身を包んだオットがステージに出てくると会場に溜息が漏れた。ファッションモデルのようにスタイルの良い細身の身体は何を着ても似合う。後半のステージは照明が落とされステージ上に一筋の明かりが鍵盤を照らすだけでホールは真っ暗。照明の効果も計算したステージ。前半とは対照的な暗いイメージの悪魔のような音楽に仕上げる演出にもなっていた。

オットの演奏は彼女独特のもので個性的である。メリハリがついていて彼女の感性が伝わってくる感じの演奏になる。言葉では上手く表現できないが他のピアニストの演奏とは違う味がする。
単一楽章とはいえ緩徐楽章や終楽章を思わせる変化のある構成で30分の時間も彼女の演奏に引き込まれるとアッという間に過ぎた。圧倒的な演奏に終了後の聴衆の感動がホールに広がった。

アンコール曲は《グリーグ:〈ぺ―ル・ギュント組曲 第1番〉より「山の魔王の宮殿にて」》

日本でも人気のピアニストで今回の日本ツアーも10公演ある。福岡での前半最後の公演が終わって札幌は後半最初の公演だったようである。台風の影響で心配された飛行機も運行されて無事に札幌での公演も終った。
3階を除いて客席が売り出されたが思ったより客の入りは良くはなかった。
紗良・オットは飾り気のない明るい人柄で聴衆への配慮も温かい。ステージでのお辞儀は常に角度も90度以上で身体が極めて柔らかい。何といっても20代後半の現在でも天真爛漫の雰囲気に満ちている。
帰りのホワイエで彼女のサインを貰う長蛇の列には改めて驚いた。私は前回サインをもらったので今回はやめにした。

外山啓介ピアノ・リサイタル2016 ~ベートーヴェン&リスト~

2005年にKitaraで聴き初めてから欠かさずに聴き続けている外山啓介のコンサートも今回が15回目になる。外山は2007年に正式にデビューして《Keisuke Toyama Piano Recital》として全国ツアーが国内十数か所で始まり、毎年1回定期的に開催されている。

日曜日の午後1時過ぎに地下鉄中島公園駅を降りる人の数が多くて、まるで札響定期演奏会に向かう人たちの群れのようであった。大ホールで開催される人気のある演奏家のリサイタルも10年も経つと聴衆が減っていくのが普通である。外山のコンサートはここ数年は夜に開催されていた。今日は日曜日の昼開催で参加しやすく、当日券を求めて並んでいる人の姿も多くA席は売り切れでS席のみ残っているようであった。1階は満員。最近のリサイタルで2階RA・LA席が満席状態になるのは見たことがなかった。2階のS席に少し空きがあるとはいえ約1300名の大入りであった。それだけに客の高揚感もありホールの雰囲気も良かった。

2016年9月18日(日) 13:30開演  札幌コンサートホールKitara大ホール

〈Program〉
 ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第14番 嬰ハ短調 op.27-2 {月光」
           ピアノ・ソナタ第17番 ニ短調 op.31-1 「テンペスト」
 リスト:愛の夢~3つのノクターン~ S.541
     ラ・カンパネラ (パガニーニによる大練習曲第3番) 嬰ト短調S.141-3
 ワーグナー(リスト編):イゾルデと愛の死 S.447
  リスト:バラード第2番 ロ短調 S.171

前半はベートーヴェン、後半はリストのプログラム。
ベートーヴェンの3大ソナタの中から1曲と7大ソナタに入る1曲。コンサートで「悲愴」、「月光」、「熱情」が定番で、「ワルトシュタイン」が入る時もあるが、「田園」や「告別」などは演奏されることはめったにない。「テンペスト」の選曲はそういう意味で新鮮味があった。
ベートーヴェン自身が付けた“幻想曲風ソナタ”は第1楽章が静かで抒情的な調べで親しまれているが、今日は第3楽章のダイナミックなフィナーレがより印象に残った。

ピアニスト自身によるとコンサートで「テンペスト」を取り上げるのは初めてだそうである。3楽章すべてがソナタ形式で書かれ、暗く劇的で緊迫感のある曲の流れ。シェイクスピアの戯曲とは直接の関係はないのだろうが、つい関連付けて聴いてしまう。10年ほど前にハイドシェックの演奏で興味を抱いた作品。やはり外山の演奏では彼なりのピアノの世界に引き込まれた。

《愛の夢「第3番」》はコンサートで演奏機会の多いリストの名曲でCDにも多く収録されている小品。ショパンのノクターンを思わせる曲として親しまれている。もともと3曲は歌曲だと知ったのは10年ほど前の地元のゾンゴラコンサート。その後、“3つのノットゥルノ”と副題がついた「愛の夢」のCD(ピアノ:ミシェル・ダルベルト)を手に入れた。
第1曲と第2曲の原曲はドイツの詩人ウーラントの「気高き愛」、「聖なる死」。2曲とも歌謡的な色彩が強くてピアノ曲としては少し盛り上がりに欠ける感じ。第3曲のメロディが最も親しまれている《愛の夢》。ドイツ・ロマン派の詩人フライリヒラートの詩集〈墓の間で〉の中にある「愛し得る限り愛せ」による歌曲。冒頭の美しいメロディが曲全体を通して流れ愛を賛美する。

「ラ・カンパネラ」の原曲はパガニーニのヴァイオリン協奏曲第2番の第3楽章〈鐘のロンド〉。超絶技巧を凝らした華麗な作品はリストならではのピアノ曲。鐘の音を模した主題と変奏が繰り返されリズミカルに響き、演奏が終ると大歓声が沸き起こった。それまでおとなし過ぎた聴衆が聴き慣れた調べと生演奏の醍醐味を味わって一気に反応した。

ワグナーの楽劇《トリスタンとイゾルデ》第3幕の終盤、イゾルデが愛の幻想の中で死にゆくモノローグをリストが編曲した。以前コンサートで聴いたことがあったがCDは所有していないと思っていた。河村尚子のショパン:バラード集のCDにリストによる編曲も組み込まれているのに気づいた。早速一昨日聴いてみた。イゾルデの感情の起伏や回想が興味深く表現されていた。実人生でのリストとワーグナーの関係を思うと複雑であるが音楽は超越した芸術なのだろう。

最後の「バラード第2番」の曲はCDで一度聴いたことになっていたが、CDが見つからなかった。帰宅後にリストの10組のCDボックスがあるのでが分った(*チッコリーニの演奏による輸入盤)。リストが遺したバラードの曲に通じていなかった。
プログラム・ノートには演奏至難の曲と書かれていた。外山の演奏はドラマティックで親しみやすい曲として聴けた。最後の演目が終って聴衆の盛大な拍手の後で、外山が述べた言葉があった。「バラード第2番は高校生の頃ピアニストへの道を諦めかけた時期に立ち直る切っ掛けを与えてくれた思い入れの深い作品です。故郷の地でこの曲を皆様に聴いていただけたことを幸せに思います。」と語った。

アンコール曲は「ドビュッシー:ロマンティックなワルツ」。

※リストの曲名あとの「S番号」はサールによるリストの作品整理番号である。








遠藤郁子ピアノ・リサイタル「ショパン序破急幻」

Ikuko Endo Piano Recital 「ショパン序破急幻」 ~亡夫 田中克己を偲んで~

昨年3月の東日本大震災被災者支援コンサートに続いて聴く今回の遠藤郁子コンサートは彼女の夫の三回忌供養で開催された。彼女のピアノ演奏を初めて聴いたのが1992年だった。カジミエシュ・コルト指揮ワルシャワ・フィルとの共演で「ショパン:ピアノ協奏曲第2番」を弾いた。当時コルトから“日本人で唯一のショパン弾き”と高い評価を得た。95年にはCD「ショパン序破急幻」をリリース。
彼女の音楽活動で注目したのが阪神大震災、特にサリン事件被害者に寄り添う支援活動で“癒しのピアニスト”の評価が高まった。彼女自身が陥いった人生の絶望の淵から奇跡的に復帰して生命への無限の愛を表現するピアニストとして注目を浴びたのだと思う。
2000、01、03年とKitara大ホールで続けて彼女のリサイタルを聴いた。オール・ショパン・プログラムが多くて特にショパン「序破急幻」という耳慣れないタイトルの付いた演奏会は何か特別な世界に導かれたようであった。着物姿での演奏は昨年久しぶりに拝見して、彼女独特のピアノの世界に浸った。

2016年9月15日(木) 7:00開演  ふきのとうホール

〈プログラム〉 
 ノクターン 第5番 嬰へ長調 op.15-2 「高砂」(たかさご)
 ノクターン 第7番 嬰ハ短調 op.27-2 「清経」(きよつね)
 バラード 第2番 ヘ長調 op.38 「箙」(えびら)
 ノクターン 第13番 ハ短調 op.48-1 「巴」(ともえ)
 バラード 第3番 変イ長調 op.47 「杜若」(かきつばた)
 -------------------------
 ノクターン 第17番 ロ長調 op.62-1 「羽衣」(はごろも)
 バラード 第1番 ト短調 op.23 「葵上」(あおいのうえ)
 ノクターン 第15番 ヘ短調 op.55-1 「俊寛」(しゅんかん)
 バラード 第4番 ヘ短調 op.52 「通小町」(かよいこまち)
 ノクターン 第18番 ホ長調 op.62-2 「泰山府君」(たいさんぶくん)

開演前に15分間ピアニスト自身によるプレトークがあった。「序破急」は日本古来のテンポとリズムということを初めて知った。〈「序」はゆっくりと始まり「破」のリズミカルな響きにつながってゆく。やがてリズムもテンポも速く激しくなり「急」になって流れも終曲に近づく。全ての日本文化はこの「序破急」で成り立っており、大陸の文化とは異なる。〉
CD『ショパン序破急幻』は同名の田中克己(*遠藤の亡夫)写真集『薪能 序破急幻』から着想したそうである。今回のリサイタルの各曲に能の演目がつけられていて、プログラム・ノートに遠藤自身の書いた解説が載っていた。彼女の人生とショパンの人生を重ね合わせ、同時に能の代表的な演目を通して故田中克己との幸せな生活を振り返って彼へ感謝を捧げる献奏となる趣旨のリサイタルであった。

聴き慣れた曲ばかりだった。バラード全4曲は今年もユンディ・リと辻井伸行のリサイタルでも聴いたが遠藤郁子のショパンはやはり彼女特有の味がある。彼女の人生が色濃く滲み出る音楽になっていた。客席数が221(横17列、縦13列)の小ホールはチケット完売で立派な椅子の補助席が最後部に17席用意されるほどの大盛況であった。

※バラードのプログラム・ノートに注目したので記録に留めておく。
第1番「コンラード・ウォレンロード」。ポーランド人ウォレンロードは宴会で古事を語り、圧政者に死を与えるため癩やその他の疫病を偽りの抱擁で伝染、死に至らしめた件を語り、自分にも今それが可能であることを居並ぶ圧政者に告げる。祖国の悲劇の復讐伝説。
第2番「ウイリスの湖」。湖畔で遊ぶポーランド乙女たち。そこへなだれ込むロシア軍。神はそのあまりの酷さに大地を開き乙女らを吞み込んだ・・・・。後にそこに咲いた花を手折る者に災いあれ。
第3番「水の精」。湖畔で若者は乙女に永遠の愛を誓う。疑う乙女は水の精に変身。若者は誘惑に負けて水の精にも愛を誓う。二重の誓いの罰で若者は深い湖に投げ込まれ、掴まえられぬ水の精を永遠に追う運命となる。
第4番「3人のバドリス」。リトアニアのバラード。父の命令で3人兄弟が遠い国へ宝探しの旅へ出た。長い時が過ぎて父は兄弟の死を想ったが、ある嵐の日に3人の息子達はそれぞれ花嫁を連れて戻ってきた。しかしショパンの音にはハッピーエンドが感じられない。

海老彰子ピアノ・リサイタル

カワイコンサート KAWAI CONCERT 2016

カワイコンサートは低料金で一流ピアニストの演奏を聴けるので大変有り難い。先週の金曜日に次いで使用楽器はSHIGERU KAWAIのコンサート・グランドピアノSK-EX。海老彰子のピアノ・リサイタルを聴くのは初めてである。彼女は1991年5月札響定期に初登場。山田一雄指揮のべ^―ト―ヴェン・シリーズでピアノ協奏曲第1番を弾いた記録がある。その当時の記憶は定かでないが1980年ショパン国際ピアノコンクール入賞者でその名を知っていた。彼女は2015年第9回浜松国際ピアノコンクールの審査委員長を務めた。同コンクール優勝のアレクサンデル・ガジェヴのリサイタルが1週間前にKitara小ホールで開催されたばかりで珍しい現象である。日本を代表する国際的ピアニストによるフランス音楽の夕べを楽しみにしていた。

海老彰子(Akiko Ebi)は1953年、大阪生まれ。72年、東京藝術大学1年の時に日本音楽コンクールで第1位を獲得。渡仏してパリ国立高等音楽院でチッコリー二に師事し、最優秀首席で卒業。75年ロン・ティボー国際コンクール第2位、80年ショパン国際コンクールでは第5位に入賞し、当時の審査員アルゲリッチから高い評価を得て彼女の信頼が厚いと言われている。パリを拠点に活動して世界各地の音楽祭にも招かれている。2015年ショパン国際ピアノコンクールの審査員を務め、2012年以降の浜松国際ピアノコンクールの審査委員長も務めている。

2016年7月1日(金) 開演18:30  札幌コンサートホールKitara小ホール

〈Program〉
 武満 徹:雨の樹 素描Ⅱ
 ドビュッシー:雨の庭《版画》、 オンディーヌ《前奏曲第2集第8曲》、
       金色の魚《映像第2集》、 水の反映《映像第1集》、 
       月の光《ベルガマスク組曲》、
       雪の上の足跡《前奏曲第1集第6曲》、西風の見せたもの《前奏曲第1集第7曲》
 ラヴェル:ソナチネ、 クープランの墓 

武満徹(1930-96)がオリヴィエ・メシアンに捧げた追悼曲。フランス音楽の影響を受けた作品に仕上がっている。

ドビュッシー(1862-1918)はフランス印象派音楽を確立した作曲家。印象主義派の画家たちが扱った変転する自然ーーー海、雲、風、雨、水などを音で生き生きと表現した。絵画的タッチで色彩が感じられる曲を作り、官能的な雰囲気を持つ作品もある。「月の光」はピアノ曲の中でも最も知られている作品。「金色の魚」は日本の漆塗りのお盆に描かれた金魚か緋鯉を見て作曲されたと言われる。
7曲は続けて演奏された。ホールを埋めた聴衆はピアニストの集中力を妨げることなく聴き入り、演奏終了後には力強いブラヴォーの声が客席後方から上がったが何か関係者の叫びだったような気がしないでもなかった。もっとも、素晴らしい演奏が展開されてドビュッシーの世界に引き込まれた聴衆が満足したことは確かである。

ラヴェル(1875-1937)のピアノ独奏曲はそれほど多くはない。「亡き王女のためのパヴァーヌ」や「水の戯れ」など今日コンサートで演奏される機会の多い作品はパリ音楽院時代に発表されていたが彼の作曲能力は当時の教授陣からは評価されなかった。ローマ大賞を取れなくて“ラヴェル事件”が起こった話は有名である。
1905年に作曲された「ソナチネ」はラヴェルの出世作となった。3楽章構成の小規模なソナタ形式の曲。古典的ではあるが循環形式が採られ無駄な音のない簡潔な作品。

組曲《クープランの墓》はラヴェルの最後のピアノ独奏曲。1914年に着手したが兵役のために中断して1917年の除隊後に完成された。クープランに代表される18世紀フランス音楽を称えた6曲から成る曲。曲は第一次世界大戦で亡くなった友人に捧げられている。第1曲「前奏曲」、第2曲「フーガ」、第3曲~第5曲は舞曲、第6曲「トッカータ」。
4曲から成る管弦楽曲は演奏会で数回は聴いているがピアノ曲は初めて。第6曲の力強い演奏は一層聴きごたえがあった。高度な演奏力が求められそうな曲でピアニストの手の動きが見えて迫力あるフィナーレを楽しめた。

ドビュッシーとは少し違う色合いのフランス音楽を肌で感じた。ドビュッシーの影響を受けながらも独自の音楽作りを行なったラヴェル。2人のピアノ曲を心から堪能できたコンサートだった。パリを拠点にして活動する海老彰子の本領が発揮されたリサイタルとなった。

万雷の拍手を浴びてピアニストは来場の聴衆に感謝をして熊本応援のメッセージを述べた。アンコール曲を4曲弾いた後で、2015年ショパン国際ピアノコンクールで使われたピアノに魅せられたのか、“長めの曲を弾いてもいいですか?”と言って5曲目を演奏した。アンコール曲は全てショパンの曲。
①ノクターン第4番 op.15-1  ②ワルツ第3番「華麗なる円舞曲」 op.34-2 ③即興曲第3番 op.51 ④幻想即興曲 op.66 ⑤バラード第1番 op.23

サイン会に並んで周囲を見ると殆ど女性ばかりだった。購入したラヴェルのCDは昨年カワイコンサートグランドピアノを使用してリリースしたもので、海外向けにも作られ解説がドイツ語、英語、日本語の3ヶ国語で書かれていた。曲目はフランス語で書かれていた。さすが国際派ピアニストだと思った。
海老はひとりひとり極めて丁寧に対応して耳を傾け名前を聞いてサインに応じていた。私の番が来て感想を述べ25年前のことを話したら覚えていた表情だった。同じホールでの1週間前のガジェヴのリサイタルの話もついでにすると気づいていなかったようで驚いていた。最後に彼女から握手を求められ“お元気で”と言ってくれた。実に人当たりの良い人物で好印象を受けた。CDにはサインとともに“Merci!”と書かれ私の苗字も書いてくれていた。

※指揮者に転向したミハイル・プレトニョフがKAWAIのピアノに出会ってピアニストに戻った話は嬉しいニュースであった。昨年の浜松国際コンクールの第一次予選でカワイのコンサートピアノを使用した出場者の数は驚異的といえるものだった。第一次予選では全72名中24名、第二次予選では全24名中11名、第三次予選では全12名中7名、ファイナルでは全6名中3名だったそうである。改めてカワイピアノ「SK-EX」の世界的な評価の高さに注目した。

アレクサンデル・ガジェブ(浜松国際コンクール優勝者)ピアノリサイタル

〈浜松市・札幌市 音楽文化交流都市交流事業〉

浜松市と札幌市は音楽文化の交流を行なっている。浜松国際ピアノコンクール優勝者/札幌市長賞受賞者が札幌での演奏会に毎回参加している。2009年第7回の優勝者、韓国のチョ・ソンジンがPMF2010のオープニングコンサートでPMFオーケストラと共演して「チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番」をKitara大ホールで演奏した。2012年第8回の優勝者、ロシアのイリヤ・ラシュコフスキーは札幌芸術の森でおこなわれたPMF2013オープニングコンサートで「リスト:ハンガリー狂詩曲第2番とラ・カンパネラ」を演奏。
2015年第9回の覇者イタリアのガジェヴが昨日のKitara 小ホールで大々的なリサイタルを開催した。
今回のKitara 小ホールでのリサイタルは第4回浜松国際ピアノコンクール優勝者ガヴリリュク以来のことである。

2016年6月24日(金) 19:00開演  札幌コンサートホールKitara小ホール

〈プロフラム〉
 ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第31番 変イ長調 作品110
 ショパン:ピアノ・ソナタ第2番 変ロ長調 「葬送」 作品35
 J.S.バッハ(ブゾーニ編曲):シャコンヌ ニ短調 BWV1004
 リスト:ピアノ・ソナタ ロ短調

現在では比較的に聴き慣れた曲ばかりとはいえ、4曲とも力の抜けない大曲。プログラミングに力が入っていると思った。
ベートーヴェンの後期三大ピアノ・ソナタに親しみを覚えるようになって5.6年になる。それまでは曲にタイトルの付いた曲ばかりを聴いていた。この数年はコンサートで取り上げられることも多くなったので、親しみのある旋律も増えた。叙情的な味わい深いソナタとなってベートーヴェンの内面性もより印象深く感じ取れる。

ショパンのソナタ「第2番」「第3番」はコンサートで何十回も聴いているが、毎回曲の素晴らしさを味わっている。特に印象的なのは《第2番》の第3楽章「葬送行進曲」。久しぶりで1階6列9番の席に座ってピアニストの運指がはっきり見れた。第1楽章の打鍵の強さと運指の素早さは想像以上であった。激情的な表現と穏やかで柔和な心の動きの対比がよく出ていた。特に葬送での清らかな音楽が心に響く。
※「葬送行進曲」には今までに忘れられない思い出が2つある。1つは昭和天皇が崩御した昭和64年1月7日。当日は初めて聴くブーニンのコンサートが行なわれる日になっていた。電話でコンサートの開催を確認して会場に足のを運んだ。開幕前に“演奏終了後の拍手はご遠慮ください”とアナウンスがあった。緞帳が開いて「ショパン:葬送行進曲」が奏でられた。(*1989年1月7日の出来事)
もう1つは09年ケマル・ゲキチのコンサートでの出来事。ショパンの全曲バラードやリストのロ短調がメインで2時間に及ぶコンサートの後にアンコール曲が4・5曲は演奏された。そのうちの1曲が9分近くかかる「葬送行進曲」だった。30分にも及ぶアンコール曲を披露してくれたが忘れ難い思い出となっている。

ブゾーニ編曲のバッハの「シャコンヌ」はここ2・3年コンサートでよく聴く。〈無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第2番の第5楽章〉でクレーメルやハーンの演奏で耳にしている馴染みの旋律。ヴァイオリン曲として聴く習慣を身につけたせいか、全曲の流れの中で聴く「シャコンヌ」は何といっても雄渾で壮大な音楽。ピアノ曲で聴く音としてかなりの音量を意図的に出したのだろうが、バッハのイメージがピッタリこなかったのが正直な感想。

リストの曲で「ロ短調」を意識し出したのは10年くらい前。リヒテルとアルゲリッチのCDを持っていたが、ピアノ協奏曲2曲と一緒に収録されていて、そのことに気づいたのも5.6年前のことであった。リストの他の作品と違って演奏会の曲目になることも殆どなかった。今回の演奏会で聴くのは久しぶりだった。リストが試みた大胆で革新的な曲作り。演奏者の生演奏を見ているだけで心が躍る。CDでよほど集中して聴いていないと伝わらない音がライヴでは演奏技術が眼前で刻々と繰り広げられた。これほどの迫力で演奏される曲を目の当たりにして名状し難い気持ちになった。とにかく30分に亘る圧巻の演奏は聴衆の度肝を抜いた。

演奏終了後の万雷の拍手は割れんばかりであった。精力を使い果たしたと思われたが続いて2曲のアンコール曲を披露した。超絶技巧に満ちた曲は21歳の若者のエネルギーの凄さを感じさせた実に力強い演奏だった。最後は美しい旋律の馴染みの曲でリサイタルを締めくくった。
アンコール曲は①ドビュッシー:12のエチュード 第11曲 “組み合わされたアルペッジョのための“、②プロコフィエフ:ピアノ・ソナタ第7番 第3楽章 Precioitato、③ドビュッシー:前奏曲集 第1集 第8曲「亜麻色の髪の乙女」。

※過去の浜松国際ピアノコンクールの優勝者や入賞者はその後の活躍も目覚ましく、16歳で優勝したガブリリュクは今や若くして巨匠と呼ばれる活躍をしており、15歳で優勝したチョ・ソンジンは前回のショパン国際コンクールでも見事な優勝を飾った。20歳で優勝を果たしたガジェヴの今後の活躍は期待大である。
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fsuterry

Author:fsuterry
年間60回以上札幌コンサートホールKitaraに通うクラシック音楽ファン。クラシック全般に関心があるがオーケストラ・ピアノ曲が特に好きである。 

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