札幌文化芸術劇場 プレコンサート~オペラ・バレエ名曲集

本格的なオペラやバレエ、ミュージカルなどの公演に適する北海道初の多面舞台を備えた劇場(2300席)が2018年10月にオープンの予定である。開館が未だ2年先の事であり、プレコンサートと銘打つのは少々大袈裟な感じがしないわけでもない。札幌市民にいち早く情報公開をして市民のための劇場運営を目指して運営に備える試みなのだろうと思う。当日は映像による「札幌市民交流プラザ」の施設紹介もあることで興味を抱き、妻と一緒に参加することにした。

~札響メンバーによる珠玉のオペラ・バレエ名曲集~

2016年8月14日(日) 開演13:30  札幌コンサートホールKitara小ホール

出演/ 大平まゆみ、織田美貴子(ヴァイオリン)、青木晃一(ヴィオラ)、坪田亮(チェロ)

〈プログラム〉
 ビゼー:歌劇「カルメン」より
        アラゴネーズ、セギディーリャ、闘牛士の歌 ほか メロディ
 マスカーニ:歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」より 間奏曲
 ヨハン・シュトラウス2世:喜歌劇「こうもり」より 序曲
 ワーグナー:歌劇「ローエングリン」より 結婚行進曲
 チャイコフスキー:バレエ「くるみ割り人形」より 小さな序曲、トレパック、花のワルツ
 チャイコフスキー:バレエ「白鳥の湖」より 情景、4羽の白鳥の踊り
 ヴェルディ:歌劇「アイーダ」より 凱旋行進曲

コンサートに先立って映像による《札幌市民交流プラザ》(Sapporo Community Plaza)の紹介が行われた。札幌市民交流プラザは札幌の都心に誕生する新しい文化施設。札幌文化芸術劇場(3階~9階)、札幌文化芸術交流センター(1階・2階)、札幌市図書・情報館(1階・2階)の3つの施設から成る。隣接する高層棟には放送局やオフィスが入居するほか、地下には駐車場や公共駐輪場などが整備される。

札幌文化芸術劇場はオペラ、バレエ、ミュージカルなどのほかにポップス、歌謡コンサートなど様々なジャンルの公演に利用される。他都市の劇場や地元文化芸術団体との共同制作などを通して、札幌の舞台芸術の振興を図る。講演会、入学式、卒業式など大規模な集会にも利用される。
こけら落とし公演はオペラ「アイーダ」。神奈川県民ホール、兵庫県立芸術文化センター、iichiko総合文化センター、東京二期会との共同制作。札幌からスタートして北から南まで日本縦断のオペラ公演。指揮はイタリアの若手指揮者アンドレア・バッティスト―ニが務める。(*今、日本で注目のバッティスト―ニの名を聞いてワクワクした。札幌公演のオーケストラは札響。)

10分ほどの映像の後、1時間のコンサート。札響コンサートマスター大平の巧みな話術でフランス、イタリア、オーストリア、ドイツのオペラの名曲が演奏された。大平まゆみがコンサートマスターを務める札響の定期演奏会は何十回も聴いていて、コンマスの仕事ぶりには好感を持っているが、彼女が何度も定期的に開いているリサイタルは聴く機会がない。彼女は人気のある演奏家でリサイタルでも巧みなトークを繰り広げていることが想像された。妻の話では講演会で彼女の話を聴いたことがあるという。演奏だけでなく、トークも得意なようである。適度な説明をしながら演奏会を進めた。他の3人にも話をする機会を与えてコンサートを進行した事にも感心した。マイクの使い方も上手で後方の席でも明瞭に彼女の話は聞こえた。
チャイコフスキーのバレエ音楽から名曲を演奏した後、終曲は《アイーダ》より凱旋行進曲。カルテットの演奏曲としては無理だったと思うが、2年後の〈こけら落とし公演〉を意識して選曲したのだろう。
アンコール曲に《ヴェルデイ:椿姫より 「乾杯の歌」》を演奏してコンサートを締めくくった。予想していたよりは良いコンサートとなった。新劇場のイメージを心に描きながら聴けただけでも良かった。










ふきのとうホール 夏のフェスティバル2016 シューベルト弦楽三重奏曲・ピアノ五重奏曲

昨年7月にオープンした《ふきのとうホール》が夏のフェスティヴァルを3日間にわたって開催する。今月の札幌では好みのコンサートが少なくて何となく物足りない感じがしていた。外国の奏者の名は耳にしたことはなかったが、国内の室内楽の分野での活躍が目立つ演奏家の名と演奏曲目を見て急に思い立ってチケットを2日前に購入した。

2016年8月12日(金) 午後7時開演  ふきのとうホール(六花亭札幌本店6階)
 
ふきのとうホール 夏のフェスティバル 第2日 シューベルトの内なる声

〈出演〉 ゴットリープ・ヴァリシュ(ピアノ)、マオロ・カローリ(フルート)、白井圭(ヴァイオリン)、佐々木亮(ヴィオラ)、花崎薫(チェロ)、吉田秀(コントラバス)
 
〈曲目〉 シューベルト:弦楽三重奏曲 変ロ長調 D471、  フルートとピアノのための「しぼめる花」による序奏と変奏曲 op.160, D802、  ピアノ五重奏曲 イ長調 「ます」 op.114, D667 

開演に先立って〈ふきのとうホール音楽監督、岡山潔〉から本日のプログラムについて10分程度のプレトークがあった。
シューベルトの二重奏曲、三重奏曲、五重奏曲が取り上げられた演奏会。特にフルートとピアノによる二重奏曲にはシューベルトの過去の作品の旋律が数多く使われ演奏も難曲で知られるという。

シューベルト(1797-1828)は弦楽四重奏曲の作品を数多く残している。PMF2016でも「第9番」、「第12番」を聴いたばかりである。八重奏曲も聴いた。彼の「弦楽三重奏曲」(Vn,Va,Vc)は1曲のみで19歳の時に書かれた。作品は未完で第1楽章のみである。実際は第2楽章の一部が書き残されているので、その部分も演奏された。結構、聴くに値する曲だと思うが何らかの理由で完成せなかったり、破り捨てたりした作品がシューベルトには少なからずあるようである。

Gottlieb Wallischは12歳でウィーン楽友協会大ホールでデビューして以降、欧米を中心に世界各地でリサイタルを行い、ウィーン・フィル、ウィ-ン響などと共演。現在はジュネーヴ高等音楽院教授。
Mario Caroliはイタリア生まれ。フィルハーモニア管、東京フィル、フランス国立放送管などと共演。録音では40枚のCDをリリース。ポリーニやパユからの評価も高く、“フルートのパガニーニ”の評もある。
 
“歌曲王”シューベルトは自作のドイツ歌曲を室内楽の素材として用いている。早世したシューベルトが晩年ともいえる27歳の時に書いた作品。“美しき水車小屋の娘”、“ロザムンデ”、“死と乙女”の旋律も入れている。これまでの彼の短い人生で起きた様々なことを振り返っての想いが込められてるような気がした。(*冒頭の解説ではベートーヴェンの第7交響曲の第2楽章のメロディも使われているという話もあった。)

背の高い細身のカロ―リは踊るような仕種で楽器を吹きながらリズムを取ってフルートから美しい音を自由自在に引き出していた。音の魔術師のような世界に浸れた。ピアノのヴァリッシュもヴェテランで様々な色合いの音を生み出せる達人に思えた。

後半の「ます」は何十年も前から聴き親しんだメロディがふんだんに出てくる。このピアノ五重奏曲は1819年、シューベルト22歳の時の作品。この作品の楽器編成は特徴的である。ヴァイオリンがひとつでコントラバスが使われている。ピアノと弦楽器が対照的な音となってバランス良く聴こえた。コントラバスの低音が素晴らしい調和を生み出したように思えた。5楽章編成。全曲が明るい雰囲気に満ち溢れた魅力的な作品。第4楽章で弦楽のみの合奏で《歌曲「ます」》の主題が奏されたのが特に印象に残った。

弦楽器奏者は4人ともに東京藝術大学卒。白井 圭(Kei Shirai)は1983年、トリニダートトバゴ生まれ。2001年日本音楽コンクール第2位、2009年ミュンヘン国際音楽コンクール第2位、ハイドン国際室内楽コンクール・ピアノトリオ部門第2位。ソリストとしてはウィ-ン楽友協会でのリサイタルやチェコ・フィルなどと共演。2011年ウィ-ン・フィル日本ツァーに現地から参加。現在、いくつかの室内楽のメンバーとしてヨーロッパで活躍して、神戸室内管のコンマスも務める。

佐々木 亮(Ryou Sasaki)は1969年生まれ。ジュリアード音楽院卒業。91年日本現代音楽協会室内楽コンクール第1位、92年東京国際音楽コンクール室内楽部門第2位、アスペン音楽祭、マールボロ音楽祭に参加。2つの大学卒業後はソロ、室内楽、オーケストラ奏者として全米各地で演奏活動を行う。ニューヨーク・リンカーンセンターでのリサイタル、内田光子やヒラーリー・ハーンなどとの共演は特筆される。2004年N響入団、08年首席奏者、同時にソリスト、室内楽奏者として幅広く活動している。

花崎 薫(Kaoru Hanazaki)は1981年第50回日本音楽コンクールチェロ部門第3位。東京芸大在学中にベルリン芸術大学に2年間留学。86年にもドイツ留学。89年エルデーディ弦楽四重奏団結成。11年、長年にわたって首席チェロ奏者を務めた新日本フィルを退団。現在、愛知県立芸術大学教授。

吉田 秀(Shu Yshida)は1963年生まれ。東京藝術大学管弦楽研究部首席奏者を経て、91年N響に入団。現在、首席奏者を務める。デュメイ、ズーカーマン、キュッヒル、クレーメル、ピリス、アルゲリッチ、カルミナ弦楽四重奏団などと共演。霧島国際音楽祭、宮崎国際音楽祭に参加。東京藝術大学準教授、東京音楽大学客員教授。

弦楽四重奏団の演奏会は増えているが、珍しいデュエット、トリオ、クインテットの演奏機会は多くない、今回のプログラミングは大変良かった。音楽監督が力を入れて取り組んだ成果と言えよう。今年のPMFでコントラバスとハープの二重奏が楽しめたが、コントラバスを生かしたプログラムがあると面白い。素晴らしい室内楽ホールの良さが生きる意欲的なプログラミングを今後とも期待したい。



PMFアメリカ演奏会

PMFヨーロッパが指導する前半のプログラムが終了した。16日から24日まで5つのコンサートに参加した。22、23、24の三日連続のコンサート鑑賞は特徴ある演奏会で楽しめた。前後の21、25日に時計台ボランティア活動が入っていたので、さすがに疲れが出て翌日は一日中家にいた。
今週初めからPMFアメリカが指導する後半のプログラムが用意されている。
例年開催されていたPMFアメリカ演奏会(PMF AMERICA Concert)は昨年Kitaraではなく地方で開催された。

出演/ PMFアメリカ
    David Chan, violin/Metropolitan Opera Orchestra, Stephen Rose, violin/Cleveland Orchestra, Daniel Foster, viola/National Symphony Orchestra, Raphael Figueroa, cello/Metropolitan Opera Orchestra, Alexander Hanna, double bass/Chicago Symphony Orchestra, Timothy Hutchins, flute/Orchestre symphonique de Montreal, Nathan Hughes, oboe/Metropolitan Opera Orchestra, Stephen Williamson, clarinet/Chicago Symphony Orchestra, Daniel Matsukawa, bassoon/Philadelphia Orchestra, William Caballero,horn/Pittsburgh Symphony Orchestra, Mark J. Inouye, trumpet/San Francisco Symphony, Denson Paul Pollard,trombone/Metropolitan Opera Orchestra, David Herbert, timpani/Chicago Symphony Orchestra
佐久間晃子(PMFピアニスト)

〈Program〉
 ロドニー・ニュートン:3つのバス・ダンス(*世界初演)
 クーツィール:トランペット、トロンボーンとピアノのための協奏曲 作品17
 ヒナステラ:フルートとオーボエのための二重奏曲 作品13
 シューベルト:八重奏曲 ヘ長調 D.803

第1曲はコントラバスとティンパニ。「バス・ダンス(Basse Dance)」は15,16世紀に人気のあった威厳に満ちた踊り。作品名に演奏する楽器がかけられている。5分強の曲。面白い楽器の組み合わせで、奏者が同じオーケストラ所属であることに注目した。アレクサンダー・ハンナはPMF初参加。

PMFにはイノウエは9回目、ポラードは7回目で気の合ったブラス・セクションのファカルティ。15分強の3楽章構成の曲。力強いピアノ伴奏を得て2人は息継ぎの大変な演奏曲を魅力的に吹いた。聴きごたえのある曲だった。

最初の2曲の作曲家名は初めて耳にするが、ヒナステラは何となく聞いたことがありそうな名前。南米の作曲家らしい名。フルートとオーボエのための二重奏曲は馴染んではいないがPMFの演奏会で数度は聴いている。2年前のモントリオール響の札幌公演でハッチンズとバスキンが世界一流のコンビと知った。PMFアメリカにカナダのオーケストラの重鎮ハッチンズが加わって新鮮さと重厚感が出た。ヒューズもPMFには初参加。
木管楽器の室内楽の方が聴きやすいのは好みのせいだろう。

後半のプログラムは「OCTET for Clarinet, Horn, Bassoon, String Quartet and Contrabass」。ベートーヴェンかシューベルトの七重奏曲か八重奏曲を以前に聴いたことがあった。演奏に1時間もかかったので、記憶とは違っていたようだ。室内楽で1曲1時間かかる曲はコンサートで聴いた記憶がない。
デイヴィッド・チャンはメトロポリタン歌劇場管のコンサートマスターでPMFには6回目の参加。ローズ、フォスター、カバレロは10回目、最多参加マツカワは16回目。弦楽器奏者5人と木管・金管奏者3人による八重奏曲。6楽章構成で演奏時間60分の大曲。聴きごたえのある曲で聴衆を魅了した。何となく聞いたことのある親しみのある曲ではあった。
演奏終了後にアカデミー生から沸き上がった歓声で会場の雰囲気も盛り上がった。
JRの一部区間不通のためか空席が少々目について鑑賞できなかった人には気の毒であった。

帰宅して調べてみるとシューベルト(1797-1828)が1824年に八重奏曲を書いていてCDを所有していることが分かった。探したCDが見つからずに時間を要した。室内楽のコーナーにはなくて、D・オイストラフの10CDのうちの1枚に収められていた。まさかヴァイオリン協奏曲やピアノ三重奏曲以外にoctetが収録されていることに気づかなかった。購入時に必ず一度は聴いているので3年前には耳にしていたことになる。(EUでの制作で原盤の録音年は1955年)。

※新聞夕刊でピアニスト中村紘子が亡くなったことを知って衝撃を受けた。彼女がガンを患って入退院を繰り返していたことは承知していたがリサイタルを再開して安心していた。《「音楽の友」8月号》の連載も読み終えたばかりだった。
彼女は中学3年時の1959年日本音楽コンクール第1位。翌年N響の初の海外ツアー(70日間世界1周)にソリストとして同行。65年ショパン国際コンクール第4位入賞。ピアニストとして国際的な活動を繰り広げるだけでなく、文才を発揮した。「チャイコフスキー・コンクール」、「ピアニストという蛮族がいる」の2作の連続受賞で話題を呼んだ。彼女は指導者として浜松国際ピアノコンクールを世界的なコンクールに育て上げ、音楽界に多大な貢献を果たした。彼女のCDは5・6枚は所有していて、彼女のコンサートも89年から9回聴いてきた。2年前のデビュー55周年コンサートを聴いたばかりで次回を楽しみにしていた。
惜しい人材を亡くした。心から冥福をお祈りします。





PMF無料コンサート

PMFは1990年の創設から27年目に入ったが、近年は野外コンサートだけでなく屋内で行われるコンサートの無料公演が増えてきている。3週間余りにわたって繰り広げられる音楽祭で約半分の公演が無料である。室内での公演は定員があって混み合うので今までに参加したことはなかった。
今年は時計台コンサートや豊平館コンサートは魅力的で開場時間には長蛇の列が出来そうである。〈フリーコンサート〉はPMFで学ぶアカデミー生たちがレッスンの成果を示す場でもある。
私はKitara小ホールで行われる《オープン・ドア・コンサートⅡ》に行ってみたくなった。ハープの演奏をぜひ聴いてみたいと思った。

開演20分前には会場に着いた。Kitara会員対象の先行発売のチケットを購入してからホールに入って間もなく1階343の客席は満席となってしまった。2階は使われなくて入場できない人が多く出たようであった。

2016年7月23日(土) 15:00開演  札幌コンサートホールKitara小ホール

〈出演〉 PMFオーケストラ・メンバー、ミヒャエル・ブラーデラー(double bass)PMFウィーン、安楽真理子(harp)PMFアメリカ
〈Program〉
 シュルホフ:フルート、ヴィオラとコントラバスのための小協奏曲
      Haruyo Ohira、Japan (flute)、Howard Cheng、Taiwan (viola)、Sebastian Zinca、USA (double bass)
 バックス:フルート、ヴィオラとハープのための悲歌三重奏曲
      Hyunseo Cheon、Korea (flute)、So Hyun Chung、Korea (viola)、Sonia Bize、France(harp)
 ラヴェル(エスコサ編):マ・メール・ロワ より 「眠れる森の美女のパヴァーヌ」、「親指小僧」、「パゴダの女王ドロネット」、「妖精の園」
      Mariko Anraku、Metropolitan Opera Orchestra (harp)、Sonia Bize (harp)
 サルゼード:古代様式の主題による変奏曲 作品30
      Mariko Anraku (harp)
 フランセ:バロック風二重奏曲
 フォーレ(ツィンマーマン編):夢のあとに
 サン=サーンス:白鳥
      Michael Bladerer、Wiener Philharmoniker (double bass)、Mariko Anraku (harp)

最初は4楽章構成で20分弱の曲。フルート奏者(大平治世)は第2楽章でピッコロに持ち替え第4楽章の冒頭でもピッコロで演奏した。コントラバスは小ボールで使われることは比較的に少ないので楽器の大きさを改めて感じた。
第2曲は10分弱の単一楽章の曲。ハープの奏でる悲しみに満ちた旋律が切ない感じを出していた。

子供のためのピアノ連弾曲として書かれた《マ・メール・ロワ》はオーケストラ組曲として演奏される機会が多い。解りやすい曲想で神秘的な世界に誘い込まれた。ハープの美しい音色に導かれでフィナーレは別世界に連れて行かれたようだった。

安楽のハープ・ソロは魅力的な演奏で素晴らしかった。天使のような清らかな澄んだ音色は他の楽器では表現できない美しさを醸し出していた。

最後にハープとコントラバスの共演を存分に楽しめた。予定されていた曲のほかにチェロで聴く機会の多い「夢のあとに」と「白鳥」を聴けたのが凄く良かった。チェロが出す音をコントラバスが奏でるのに何の違和感もなかった。世界一流の演奏を聴けた満足感を味わった。休憩のない75分がアッと言う間に過ぎた。有料でも聴くに値するコンサートになった。

※オープン・ドア・コンサートは入退場自由となっていたが、今日のようなコンサートでは中途で退場する人が少なくて空席待ちの人が僅か十数人入場できただけで大部分の人は折角会場に来て鑑賞できずに終わったのは気の毒であった。














    

PMFベルリン演奏会

2016年7月22日(金) 19:00開演  札幌コンサートホールKitara 小ホール

出演/ PMFベルリン(Members of the Berliner Philharmoniker)
アンドレアス・ブラウ(flute)、ジョナサン・ケリー(oboe)、アレクサンダー・バーダー(clarinet)、フォルカー・テスマン(bassoon)、サラ・ウィルス(horn)、タマーシュ・ヴェレンツェイ(trumpet)、シュテファン・シュルツ(trombone)
*ブラウは前ベルリン・フィル首席奏者、テスマンはベルリン音楽大学教授。ケリーとテスマンはPMFには初めての参加。

    佐久間晃子(PMFピアニスト)

〈Program〉
 モーツァルト(シェーファー編):歌劇「コジ・ファン・トゥッテ」によるハルモニ―ムジ―クから 6曲 〔木管五重奏版〕
 テレマン(ギュンター編):協奏曲 ヘ短調 TWV51:f1 [トランペットとトロンボーン〕
 ベートーヴェン(レヒトマン編):弦楽五重奏曲 変ホ長調 作品4 〔木管五重奏版〕
 ヒルドガード(マルバッド編):コンチェルト・ボレアリス〔バス・トロンボーンとピアノ〕
 リスト(ドクシツェル編):コンソレーション 第3番 〔トロンボーンとピアノ〕
 ドビュッシー(リンケルマン編):「子供の領分」から 3曲 〔木管五重奏版〕
 ピアソラ(シェーファー編):「タンゴの歴史」から 2曲 〔木管五重奏版〕 

モーツァルトの歌劇「コジ・ファン・トゥッテ」は「フィガロの結婚」と並んで彼の喜劇的ブッファの代表作。オペラは他愛もないストーリーが多いが、“女はみんなこうしたもの”の意味のこの歌劇も荒唐無稽な物語。演奏会形式も含めて今までに2・3度オペラ上演を観る機会もあった。「序曲」はCDで度々聴いている。編曲ものとはいえ耳慣れたメロディで心地よく聴けた。

ベートーヴェンの弦楽五重奏曲は2・3曲書かれているようだが聴いたことはない。弦楽曲が管楽器で演奏されると曲の印象がかなり変わる。フルートが第1ヴァイオリン、チェロのパートは何かな?と想像を巡らせながら聴いた。
演奏終了後に“ブラヴィー”の声が上がった。“ブラヴォー”の声も聞こえたが、力強い“ブラヴィー”の掛け声が数度続いた。多分イタリア人だろうと思った。PMFの演奏会で数年前に初めて耳にした言葉、“ブラヴィー(Bravi)”。男女混合の複数のアーティスト対象に使われる。プログラムで確認するとイタリア出身のファゴット奏者と思われた。(*イタリアでは男性に“Bravo”、女性に“Brava”) 

会場にはPMFアカデミー・メンバーの姿も見えた。休憩時間中のホワイエでPMFウィーン教授陣3人がコーヒーを飲みながら談笑している姿も目にした。国際音楽祭の雰囲気が漂う会場に何となく心も躍る。

トロンボーン奏者のシュルツは2006年以降5回目のPMF参加。4楽章から成る20分ほどのトロンボーンの大曲を熱演。小ホールに鳴り響くトロンボーンの豪快な演奏を久しぶりに耳に出来て良かった。

トランペット奏者のヴェレンツェイは2006年以降9回目のPMF参加でベルリン・フィル奏者として一番参加回数が多くて顔なじみの教授。彼の選んだ曲はリストの有名なピアノ曲。“慰め”の意を持つ「コンソレ―ション」6曲中の「第3番」。原曲はショパンのノクターンに似た雰囲気がしたが、トランペットでは曲調が違ったが吹き続けるのは難曲と思われた。5分程度の曲をいつもとは違った鑑賞で楽しめた。(*Kitaraのボランテイアで彼の追っかけをしている女性がいる。)

木管奏者による最後の2つのプログラム。
ドビュッシーの6曲のピアノ組曲から3曲。彼の娘に捧げられた小品集から編曲された曲が楽しい。3曲中でゴリウォーグの人形がケークウォークで躍る姿が5つの楽器で表現され生き生きとした音楽となっていた。聴き慣れたメロディでも人形が楽しく踊っている様子が想像できて非常に面白かった。
ピアソラの1900年と1960年作のタンゴなのだろう。南米のタンゴの調べが会場の雰囲気を高揚させて再び“ブラヴィー”の声があがって盛大な拍手。
演奏終了後にホルン奏者のサラ・ウィリスが日本語で丁寧な挨拶。彼女はPMFには14年から3回目の参加だが、明るい性格で毎回リーダーとして振る舞い元気溌剌とした様子で周囲を楽しませている。
アカデミー・メンバー(パーカッション2名)を加えてのアンコール曲は「アブレウ:ティコ・ティコ」。3名がサングラスをつけての演奏でサービス満点。サラはエンタテイナーの要素を備えたアーティストと言えよう。

※オーボエ奏者Jonathan KellyはPMF初登場ではあるが、オーケストラメンバーとしてKitaraのステージには何度か登場している。2002年9月バーミンガム市響、2004年11月ベルリン・フィルのメンバー、2016年2月ベルリン・バロック・ゾリステンと共演。彼のような偉大な演奏家がソリストとして来札している時は忘れるはずもないが、楽団員としてKitaraのステージに上がっている音楽家は意外と他にも多くいるように思った。



 
 

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プロフィール

Author:fsuterry
年間60回以上札幌コンサートホールKitaraに通うクラシック音楽ファン。クラシック全般に関心があるがオーケストラ・ピアノ曲が特に好きである。 

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