札響第599回定期演奏会(ホリガー指揮ラトヴィア放送合唱団)

昨日は午前中にKitaraボランティアの活動があり、午後はレストランで今年度新加入のボランテイアを迎えての交流会がランチ会形式で開催された。60名の人数は最近では一番多いほうで、午前の活動も含めてお互いに和気あいあいの雰囲気の中で短時間ながらもボランテイア同志の交流が進んだ。
その後、直ぐの定期コンサート鑑賞。今回はオーケストラ演奏より、ホリガー指揮とともに世界的に名高いラトヴィア放送合唱団の共演に注目が集まった。
ホリガーは2015年9月第580回札響定期に続く2度目の指揮者としての来演。前回はオーボエ演奏も聴けて大満足であった。公演での聴衆の感動もさることながら前回の札響を評価して今回の公演に繋がったのだろうと推測できて嬉しい。

2017年5月20日(土) 14:00開演  札幌コンサートホールKitara大ホール

指揮/ ハインツ・ホリガー(Heinz Holliger)
独唱・合唱/ ラトヴィア放送合唱団(Latvian Radio Choir)

〈Program〉
 シューマン:ミサ・サクラ ハ短調 op.147
 マーラー:アダージェット~交響曲第5番より
       夕映えのなかで~無伴奏合唱のための (交響曲第5番よりアダージェット)
       (編曲:ゴットヴァルト、詞:アイフェンドルフ)
 ドビュッシー:海~3つの交響的素描

シューマンの「ミサ」や「レクイエム」は今まで聴いたこともない。ヨーロッパでは当たり前のことでも、宗教音楽などは日本で馴染みでないことは不思議ではない。今演奏会が札響初演。曲は「キリエ」、「グローリア」、「クレド」、「オッフェルトリウム」、「サンクトゥス」「アニュス・デイ」の6章からなう約45分の曲。ソプラノ独唱、テノール、バスの独唱も入った。さすが統制のとれた綺麗な歌声。
合唱団員の構成はソプラノ、アルト、テノール、バス各6名の24名。合唱団の中でソリストを担当できる人材がいることにこの合唱団のレヴェルの高さが表れていると思った。

マーラーの5楽章から成る「交響曲第5番」の第4楽章「アダージェット」は単独でも演奏される機会があって親しまれている。弦楽合奏とハープのみの演奏。抒情と悲しみに満ちた音楽。

このマーラーの名曲がゴッドヴァルトによって合唱曲にアレンジされたものが「夕映えのなかで」という作品。もちろん、今回初めて聴くが無伴奏で歌われると、この合唱団の素晴らしさが良く分かる。10分ほどの合唱曲。マーラーと妻アルマの愛と死を歌った詞に曲をつけたように思われた。演奏終了後にはブラヴォーの声が客席のあちこちから上がった。ブラヴォーの掛け声と万雷の拍手に聴衆の感動の様子がうかがえた。ホリガーも合唱団を北欧の地から呼び寄せて一緒に公演を行ったことが成功して満足そうであった。札響の演奏と合わせてプログラムを組んだのが良かった。
演奏終了後にホリガーが客席からステージに呼び寄せた人物は合唱曲の編曲者だったのではないかと思った。

最後を飾ったドビュッシーの「海」は幅広い音楽を扱えるホリガーのレパートリーの広さを示していた。フランス音楽でも独特な味を伝える印象派のドビュッシーの音楽。ピアノ曲が多い中で彼のオーケストラ作品は少なめである。
3楽章構成の曲。第1楽章「海の上の夜明けから真昼まで」、第2楽章「波の戯れ」、第3楽章「風と海との対話」。19世紀までの管弦楽曲とは違う洗練されたリズムを使って絶妙な雰囲気の曲を書き上げた。色彩感豊かな表現力にうっとりさせられる。最終楽章での風は弦楽器、海は管楽器が奏でていたように想像した。
2004年にラトル指揮ベルリン・フィル札幌公演でこの曲を聴いてから10年以上も経ったが、音楽を聴きながらの想像力は広がっているのを感じる。
初版総譜の表紙に北斎の浮世絵が刷られた話は有名である。先月、訪れた東海道五十三次内の鞠子(丸子)で当時の様子が伝わる店で“とろろ汁”を食べた。百何十年も前から創業している店内に美術作品があって北斎やドビュッシー関連の絵もあったのをこの機会にまた思い出した。

※ラトヴィアは人口200万ぐらいの小国でバルト三国のひとつ。ラトヴィアはヴァイオリンのギドン・クレーメル、指揮者のマリス・ヤンソンス(バイエルン放送響音楽監督)、アンドリス・ネルソンス(ボストン響音楽監督)など世界トップで活躍する音楽家を次々と輩出している。ソプラノ歌手、オポライスのMETでの活躍ぶりは目覚ましい。ラトヴィア合唱団も世界最高の合唱団と言われるほどの高い評価を受けて、21日は武蔵野市民文化会館での公演、25日にはホリガー作曲の作品が上演される東京オペラシティにも出演する。

オーケストラHARUKA第14回演奏会(ショスタコーヴィチ交響曲第5番)

何処から住所を手に入れたのか分らないが主催者から自宅に定期演奏会の案内状が届いたこともあってコンサート当日にチケットを受け取って入場できるように手配しておいた。このオーケストラによる年一回の定期演奏会を聴くのは4年ぶりである。昨年11月に北大交響楽団と共演し、同月にデュオ・リサイタルも聴いたソリストの出演も魅力的だった。

2017年5月6日(土) 13:30開演  札幌コンサートホールKitara大ホール

指揮/ 三河 正典    管弦楽/ オーケストラHARUKA
ピアノ/ 佐野 峻司

〈Program〉
 ガーシュウィン:ラプソディ・イン・ブルー(ピアノ独奏:佐野峻司)
           パリのアメリカ人
 ショスタコーヴィチ:交響曲第5番 ニ短調 作品47

ガーシュイン(1898-1937)の代表作2作品は演奏機会が結構多い。アメリカのジャズがふんだんに取り入れられた作品はもう現在ではクラシック音楽の範疇に入る曲となっている。まるで幻想曲風のピアノ協奏曲。
クラリネット・ソロの開始部分が極めて印象的で特別な気分に引き込まれた。クラリネットの上昇グリッサンド(*音階を駆け上がっていく奏法は普通のクラシックには無い奏法らしい)に続いてピアノのカデンツァ。曲はシンフォニックに展開され、全曲にわたってシンコペーションのリズムが出てきて伝統的なクラシック音楽にはない新鮮さが漂った。

佐野は北大医学部5年在学中で、レパートリーの広さがうかがえた。聴衆が期待するアンコール曲は披露されなかったが、その理由が後で判った。(コンサートの後半の大曲にも出演したのである。)

オーケストラのメンバーはプロとアマの混成らしい。前回の印象より管楽器の安定度が増しているように思えた。クラリネット・ソロは素晴らしかったし、オーケストラ全体のバランスが取れていた。

「パリのアメリカ人」はガーシュインがパリを訪れた時の印象を書き綴った。ポピュラー音楽を書き続けていたガーシュインは1924年に書き上げた“Rhapsody in Blue”が成功して、再び委嘱を受けてジャズとクラシッを融合した作品を発表(1928年)。“An American in Paris”のアメリカ人は作曲者自身を指す。ニューヨーク・フィルハーモニック交響楽団の定期演奏会で初演されたという。

曲はヴァイオリンとオーボエによる「散歩とテーマ」で始まり、その後にタクシーのクラクションの音も聞こえる。トランペットによる哀調を帯びたブルースも歌われて、華やかなクライマックスでフィナーレ。
クラシック音楽では普段は使われない3本のサクソフォン(*アルト、テナー、バリトン)をはじめ管楽器の響きが目立って興味深く聴けた。

ショスタコーヴィチ(1906-75)の15曲の交響曲の中で今まで一番多く耳にしていたのが「第5番」。最近は「第8番」、「第10番」を聴いてショスタコーヴィチの音楽の深さがだんだん分かってきた。
「第5番」はムラヴィンスキー指揮レニングラード・フィルのCD(1973)で何回か聴いていた。最新のCDは佐渡裕指揮ベルリン・フィル・デビューLIVE(2011)。
約50分の大作。ピアノとチェレスタが佐野。(*ピアノが最後部で高いところに配置され、ピアニストの手の動きが見れた。)
4楽章構成。第1楽章からピアノとチェレスタが使われているのを知った。陰鬱な空気に包まれた状況で暮らす人々の姿、闘争が始まりそうな様相が感じられた。第2楽章は諧謔的なスケルツォ。第3楽章は痛切な悲しみを堪えた内省的な緩徐楽章。ショスタコーヴィチの声が聞こえてくるような感じさえした。第4楽章のティンパニの連打が意味するものは聴く者の心に響くが、どう受け止めるかは解釈次第。作曲者は破滅的な結末を予言したのではないか。暗から明へと向かうベートーヴェン流の音楽でカモフラージュしたとも解釈されている。当時のソ連の社会体制の中で生き抜くショスタコーヴィチの苦しかった当時の心境がいろいろと想像される曲ではある。

今日は3曲とも三河の安定したタクトのもとでオーケストラの演奏も素人にとっては充分に満足でき、聴きごたえのある演奏会になった。
アンコール曲は「ショスタコーヴィチ:ジャズ組曲 第2番 より ワルツ」。ショスタコーヴィチがこんなワルツを書いているとは!

Kitaraあ・ら・かると 《きがるにオーケストラ》(大植英次&札響)

2013・2014年に次いで3年ぶりの“Kitaraあ・ら・かると”鑑賞になった。ゴールデンウィークの音楽祭として定着しているが、個人的には魅力あるプログラムではない。大植英次の指揮に魅力があって2年連続して聴いた。大植は昨年に続いて《きがるにオーケストラ》に4回目の出演となった。

2017年5月3日(水・祝) 15:00開演  札幌コンサートホールKitara大ホール

指揮/ 大植英次     管弦楽/ 札幌交響楽団

〈プログラム〉
 リヒャルト・シュトラウス:交響詩「ツァラトゥストラはかく語りき」作品30より “導入部”
 ストラヴィンスキー:バレエ組曲「火の鳥」(1919年版より) “火の鳥のヴァリエーション”
 伊福部 昭:ゴジラのテーマ
 ヨハン・シュトラウスⅡ:ワルツ「美しく青きドナウ」作品314
 ストラヴィンスキー:バレエ組曲「火の鳥」(1919年版)より 3曲
 ジョン・ウィリアムズ:映画「シンドラーのリスト」より “メイン・テーマ”
 バーンスタイン(ハーモン編):組曲「キャンディ-ド」
 レスピーギ:交響詩「ローマの松」より “アッピア街道の松”

オープニングはドイツの大哲学者ニーチェの著作に基づく作品。曲の導入部“日の出”は2分程度で、映画「2001年宇宙の旅」(1968)で人気曲となった。トランペットが吹奏する荘厳な「自然のテーマ」が宇宙の壮大さを感じさせた。大植は北海道の広大さも表現したかったようである。

指揮者は札幌の歴史を調べて今回のコンサートの選曲を行った。札幌の語源はアイヌ語で「乾いた大きな川」を意味する“サッ・ポロ・ベツ”。「乾いた」はストラヴィンスキーの作品に感じられる“dry”な感性。「大きな」は札幌で学生時代を過ごした北海道出身の作曲家・伊福部の“ゴジラ”で北海道の大きさとスケール感を表現。「川」は「ドナウ河」で表した。

ストラヴィンスキーの3大バレエ音楽の第1作「火の鳥」。組曲は7曲から成る。第3曲が“火の鳥のヴァリエーション”。第5曲“カスチェイ王の悪魔の踊り”、第6曲“子守歌”、第7曲“終曲”の3曲が続けて演奏された。この組曲(1919年版)が演奏曲目になった理由は世界的に知られるようになった札幌味噌ラーメンの創始者が1919年生まれだという。こんな話は初耳である。かなりのこじ付けだが札幌に寄せる指揮者の並々ならぬ想いを感じた。

前半は札幌に視点を当てた曲。演奏時間30分、トーク30分。とうとうと話しまくり、知らない話もあったが、音楽でもっと雄弁に語って欲しいと思ったのが正直な感想。

後半の「シンドラーのリスト」は映画で感動したのが20年も前のことで、音楽は全く印象に残っていなかった。札響コンサートマスター・大平まゆみのヴァイオリン独奏による哀切なメロディを持つオーケストラ演奏を通して戦争の悲惨さ、人種を越えての他人への思いやりなどを感じ取ってもらおうと選曲したようである。作曲者は指揮者の友人でもあるそうである。

バーンスタインは大植英次の師匠。「キャンディ-ド」はPMFを含めて耳にする機会の多い曲で、いつもと少々違う感じのする曲だと思った。後で気づくと編曲版だった。曲には馴染んでいても、ヴォルテールの原作「カンデイ-ド、あるいは楽天主義説」のストーリーは知らなかった。ドイツの片田舎で暮らしていた楽天家の主人公が城を追い出されて、行く先々で様々な苦難を経験した末、故郷の良さを知って生まれ育った土地へ帰る物語。北海道を故郷に持つ幸せを感じ取って欲しいという指揮者の願いが込められた選曲。

最後の曲は「アッピア街道の松」。レスピーギが古代ローマの幻影を追い求めて書いた曲。北海道には松前藩があった。(ほっ)かいどうのまつ(まえはん)---街道の松---から連想した選曲。かなりのこじ付けに笑いを堪えられない発想に驚いた。松がたくさん自生する北海道の自然に着目し、金管楽器のファンファーレで勇壮に閉じられる人気の曲で最後を飾って、聴衆の記憶に届ける印象の深さを狙ったようである。

最初と最後の曲にはオルガンが用いられて札幌コンサートホール専属オルガニストのダヴィデ・マリアーノが出演。「アッピア街道の松」ではバンダで札幌日本大学高等学校吹奏楽部員9名が出演。2階のRB, LB席横からの吹奏で聴衆の喝采を浴びた。

映画音楽や気軽に楽しめる曲が多くて客席には高校生、特に吹奏楽部員らしい生徒がかなり多く目立った。大植の指揮ぶりはダイナミックで聴衆を楽しませる雰囲気を見せたが、トークの準備が大変だったようである。熱意は評価できるが、年月日などあまり意味のない言及も目立った。ドナウ河が流れる20近い国(たぶん17ヶ国)の名を早口で並べ続けたのには感心して舌を巻いた。
最後の曲でコンサートを盛り上げる演出は巧みであった。

聴衆の拍手大喝采に応えてアンコール曲は映画音楽「スターウォーズ」。前半は札幌、後半は北海道に焦点を当てた演奏。アメリカのミネソタやドイツのハノーファーで絶大な人気を集めた熱い心が伝わり、“情熱のマエストロ”と呼ばれる所以が判った気がしたことは確かである。




トヨタ・マスター・プレイヤーズ、ウィーン2017 札幌公演

《ウィーン・プレミアム・コンサート》札幌公演

2000年にトヨタの社会貢献活動の一環として始まったコンサートは日本国内7都市で開催されているが、札幌もその中に入っているのは幸せである。チケットを買い遅れると完売になっていることが度々あって、今年は3ヶ月前に購入していた。ただ、ここ数年は必ずしも満席でない状況が続いている。ステージ後方のP席に客がいなかったことは初めてのような気がした。
しかし、演奏会は年に一度の特別なものとして期待感に溢れた雰囲気の中で始まった。

2017年4月24日(月) 19:00開演  札幌コンサートホール大ホール
〈PROGRAM〉
 ベートーヴェン:「コリオラン」序曲 ハ短調 Op.62
 ハイドン:チェロ協奏曲 第2番 ニ長調 Hob.Ⅶb-2(チェロ:ロベルト・ノージュ)
 モーツァルト:交響曲 第35番 ニ長調 「ハフナー」K.385
 シューベルト:交響曲 第6番 ハ長調 D.589

鮮烈な序曲が開演を彩った。古代ローマの悲劇の英雄コリオラヌスを題材とした芝居「コリオラン」からインスピレーションを得て書いたといわれる「序曲」は実際の舞台上演では演奏される機会は無かったようである。コンサートの演目として単独でしばしば取り上げられている曲。7分ほどの演奏終了後にブラヴォーの声を上げる人もいた。

ハイドンの「チェロ協奏曲」はマイスキーや藤原真理のCDで十年以上前は何度か聴いていた。最近はコンサートで聴く機会もなかった。この曲はハイドンが指導するオーケストラのメンバーのために書かれたといわれる。華々しい演奏効果を持つ曲にするためにヴィルトゥオーゾの腕前を持つチェリストの助言を得て作り上げたようである。
第1楽章は優雅な響きで、終わり近くにカデンツァが入った。第2楽章は美しい調べで静謐な緩徐楽章。溌溂として生気に満ちたフィナーレ。
ウィ-ン・フィルのソロ・チェロ奏者Robert Nagyの苗字はナジとも日本では表記されている。彼は20年前からKitaraのステージには度々登場している。1966年ハンガリー生まれで、09年よりウィ-ン国立芸術大学教授も務めているチェロの名手。PMF2017の教授陣として7月にも来札予定。

ウィーン古典派のハイドンに続くモーツァルトの曲はハフナー家のために書いた華やかな交響曲。後期三大交響曲が余りにも有名で少々陰に隠れていて、それほど演奏機会は多くないがタイトルが付けられていてモーツァルトの交響曲の中でも親しまれている曲ではある。原曲がモーツァルトがハフナー家の祝宴のために創ったセレナードだったことは解説を読んで知った。多楽章のセレナードが4楽章シンフォニーになり、フルートとクラリネットが加わったそうである。
第1楽章が力強く終わった時に曲の終了と勘違いした客が拍手をしたが、コンサートに慣れていないのだから仕方がないだろう。懲りずに次回も会場に足を運んでほしいと思った。

先月の札響定期で「シューベルト:交響曲第5番」を聴いたばかりだが、今回は「シューベルト:交響曲第6番」。聴く機会の少ない曲が演目に入ると個人的には嬉しい。コンサート前日にムーティ指揮ウィーン・フィルのCDで予め聴いておいたが、シューベルトらしいなかなか良い曲だと思った。

シュトイデ率いる室内オーケストラを通して素晴らしい音楽に触れるコンサート。今回はプログラム構成もあってかウィ-ンの香りが漂う雰囲気を満喫した。ブラヴォー、アンコールの声が飛び交い、いつものコンサートとは一味違う会場の興奮の高まりが通じたのか、盛大な拍手に応えて恐らく予定外の「美しく青きドナウ」を演奏してくれた。これには聴衆も大喜びで一段と大きな歓声が沸き起こった。

※例年より少し高めの鑑賞料金のせいもあって、客の入りが8割を切っていたように思えた。“東北復興チャリティとして売り上げの一部が子供たちへの育成支援のために寄付される”コンサートでもあったのだが、オーケストラ・メンバーの意向が届く広報活動がもう一工夫あっても良かったのではないかと思った。








 

札響第598回定期演奏会(広上淳一・友情客演指揮者就任記念)

広上淳一は現在、京都市交響楽団常任指揮者兼ミュージック・アドヴァイザー、東京音楽大学指揮科教授を務め、全国各地のオーケストラに客演する他に、オペラ指揮などで日本の音楽界の牽牛役として目覚ましい活躍をしている。京都市響を関西随一のレヴェルに引き上げた手腕も高く評価されている。2012年からは毎年Kitaraのステージで札響に客演している。今年のKitaraのニューイヤーに続いての札響指揮。2017年4月から札響友情客演指揮者に就任。珍しいタイトルであるが、札響に対する深い想いと愛情から日本人指揮者としてを何らかの役割を果たしたい思いに駆られたのではないかと推察する。

2017年4月22日(土) 14:00開演  札幌コンサートホールKitara大ホール

《コルンゴルト生誕120周年&没後60年記念》

指揮/広上 淳一     ヴァイオリン/ ダニエル・ホープ
女性合唱/札響合唱団    合唱指揮/長内 勲

〈Program〉
 コルンゴルト:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 op.35
 ホルスト:組曲「惑星」 op.32

コルンゴルト(1897-1957)の名は現代音楽や映画音楽で知られるアメリカの作曲家と思い込んでいた。最近のコンサートで彼の曲が演奏される機会が増えているようである。3月に漆原啓子がヴァイオリン曲で「から騒ぎ」を弾いた。その時に目にした作曲者の名前の綴りからドイツ系と思った。Korngoldはオーストリア=ハンガリー帝国(現在のチェコ)に生まれ、4歳でウィ-ンに移住。1934年に渡米して映画音楽をたくさん書いた。1943年にアメリカに帰化。近年、コルンゴルトの再評価が進んでいるらしい。
札響初演となったこの曲を1974年2月定期(指揮:秋山和慶、ヴァイオリン:藤原浜雄)で聴いていたことが判った。当時の会場は札幌市民会館で全然記憶に残っていない。余程のことがないと忘れているほうが普通かもしれない。
 
この曲はフーベルマンのために着想されたが、彼の急死でハイフェッツに献呈。初演が1947年、セントルイス響の演奏で行われた。どの楽章も彼が書いた映画音楽が基になっている。ハリウッドで活躍した作曲家の様子も分る理解しやすい現代音楽になっている。ヴァイオリンの名手に捧げた高度な技法が用いられている曲のように思えた。

ヴァイオリンのDaniel Hopeは1974年英国生まれ。メニューインと60回を越す共演を重ねたとされる。数多くの著名なオーケストラや一流演奏家たちと共演を重ね、録音も多く、ラジオやテレビの司会者としても活躍している。
ダニエル・ホープは珍しい曲の演奏で聴衆を魅了し、大喝采を浴びた。アンコールに弾いた曲も今までに聞いたことがなく、普通のクラシック音楽とは違う感じの曲だった。難しいと思われる曲でも集中して聴く耳を持つ日本人の礼儀正しさも常日頃すごいと思っている。

ホルスト(1874-1934)が残した「ジュピター」は人気曲。全7曲から成る組曲を聴く機会はめったにない。札響の全曲演奏は今回が20年ぶりで3回目のようである。2000年にカラヤン指揮ウィーン・フィルのCDで一時は聴き親しんで、10年にレヴァイン指揮シカゴ響のCDで金管の響きを好んだ。その後は殆ど耳にしていないが、ここ数年はPMFのテーマ曲として「ジュピター」は気に入りのメロディとなっている。

壮大な宇宙をテーマにした“THE PLANETS”.。4管編成でホルン6本、多数の打楽器やオルガンも使われ、札響メンバーのほかに30名に近い客演奏者が出演した。
第1曲「火星」は戦争を予感させる緊迫感に満ちたダイナミックな曲。第2曲「金星」は穏やかで安らぎに満ちた平和な曲。第3曲「水星」は陽気で軽やかな曲。第4曲「木星」は6本のホルンが奏でる朗々とした快活な気分の主題で始まる。この楽章は全曲の中心で規模も大きく、英国的な雰囲気が出ている印象を受ける。第5曲「土星」は年老いて感じる想いの曲。第6曲「天王星」は魔術師に導かれるような曲。第7曲「冥王星」は幽玄な雰囲気が漂う神秘的な曲で女性合唱を伴う。

約50分を要する大オーケストラによる演奏を最初から最後まで広上は小柄な体を大きく使ってとてもダイナミックな指揮ぶりだった。拍手大喝采に包まれて、ホルン首席の山田圭祐、オーボエの関美矢子はじめ木管・金管奏者、打楽器奏者たちの健闘を湛え札響の全メンバーに拍手を贈る広上の姿も好ましいものであった。
コンサートの終わりに広上淳一は聴衆に向けて札響の奏でる音楽の素晴らしさを語り、札幌と北海道のオーケストラとして世界に誇るオーケストラのために聴衆とともに彼自身も精進していくと力強い挨拶をした。
 
※彼の挨拶の中で“オーケストラは街のレストランである”という言葉が印象に残った。









 
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fsuterry

Author:fsuterry
年間60回以上札幌コンサートホールKitaraに通うクラシック音楽ファン。クラシック全般に関心があるがオーケストラ・ピアノ曲が特に好きである。 

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