TOYOTA MASTER PLAYERS, WIEN

 トヨタ・マスター・プレイヤーズ,ウィーンによるコンサートが
2000年4月トヨタ・ミレ二アム・コンサート(TOYOTA MILLENNIUM CONCERT)と銘打って日本国内8都市で10公演が行われた。

 ≪トヨタ・マスター・プレイヤーズ,ウィ―ン≫はこのコンサートのために編成されたオーケストラ。ウィ―ン・フィルハーモニー管弦楽団の首席クラスのメンバーを中心に世界トップレべルの演奏家30名で編成された。
 札幌公演でのプログラムはモーツァルト:交響曲第29番、クラリネット協奏曲、交響曲第41番。
クラリネット独奏はペーター・シュミードル。
 Peter Schmidleは2011年までPMF(Pacific Music Festival)へは1991年から21回参加して、この音楽祭が世界三大教育音楽祭に数えられる過程でソリストとしても教育家としても活動し多大な貢献をしてきた。また、2000年からトヨタ・マスター・プレイヤーズ,ウィ―ンの芸術監督として今日まで活躍を続けている。札幌では顔馴染みの演奏家である。
 
 毎年のように札幌公演が開催されていると思うが、私が次に聴いたトヨタ・マスター・プレイヤーズ,ウィ―ンは05年3月。この年の公演は「愛・地球博」開幕記念コンサート。 札幌では「ウィ―ン・プレミアム・コンサート」として開催された。
 プログラムはモーツアルト:歌劇「皇帝ティートの慈悲」より序曲、同歌劇より“私は行くが、君は平和に”(ソプラノ:佐藤美枝子)、歌劇「魔笛」より序曲、同歌劇より“復讐の心は地獄のようにわが胸に燃え”(ソプラノ:佐藤美枝子)
J.シュトラウス:春の声、R.シュトラウス:歌劇「ナクソス島のアリアドネ」より“偉大なる王女様”(ソプラノ:佐藤美枝子)
 佐藤美枝子は1998年チャイコフスキー国際コンクール声楽部門で、日本人初の第1位を獲得。音楽界の話題をさらい国民の注目を集めた。

 その次が09年4月の「ウィ―ン・プレミアム・コンサート」だったと思う。
演奏曲目はハイドン:交響曲第94番「驚愕」
  ウェーバー:クラリネット協奏曲第2番(クラリネット:ペーター・シュミードル)
  メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲ホ短調(ヴァイオリン:フォルクハルト・シュトイデ)
  ベートーヴェン:交響曲第1番        
Volkhard Steudeは99年からウィ―ン・フィルのコンサートマスターを務め、2000年よりトヨタ・マスター・プレーヤーズ,ウィ―ンのコンサートマスター。

 11年4月のコンサートは東日本大震災の影響により全公演中止。12年4月、「ウィ―ン・プレミアム・コンサート」として再開催。
プログラムはロッシーニ:歌劇「アルジェのイタリア女」序曲
   モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲第2番(ヴァイオリン:三浦文彰)
   シュターミッツ:クラリネットとファゴットのための協奏曲
   (クラリネット:ペーター・シュミードル、ファゴット:シュテパン・トゥルノフスキー)
   モーツァルト:交響曲第40番
 三浦文彰は前年度のソリストとして予定され期待していた。彼は09年、世界最難関とも言われるハノーファー国際コンクールにおいて、史上最年少の16歳で優勝して国際的に大きな話題となっていた若きヴァイオリニストである。モーツァルトのヴァイオリン協奏曲は5曲あって、第3、第4、第5番に比べて演奏機会が多くない第2番を選曲したあたりに彼の並々ならぬ自信と挑戦を感じ取った。ヴァイオリンの名曲に多い二長調で書かれている。新鮮で生き生きとした明るい曲で、第1楽章のカデンツァを若々しい大胆さで朗々と弾いた。期待に違わぬ演奏であった。

 2013年は全国7都市7公演で、昨年に続き東北では仙台、盛岡の2公演があった。今年も仙台公演・盛岡公演では、東北復興支援チャリティとして、両公演のチケット売上げの全額が東北3県(岩手・宮城・福島)に寄付される。トヨタの東北復興支援活動の取り組みである。
 4月9日の札幌公演は今年度の最後の公演地であったが、毎年北海道での開催があるのは嬉しい。
PROGRAM
 ワーグナー:ジークフリート牧歌
 ブルッフ:クラリネットとヴィオラのための協奏曲
       (クラリネット:ペーター・シュミードル、ヴィオラ:清水直子)
 ベートーヴェン:ロマンス第1番(ヴァイオリン:フォルクハルト・シュトイデ)
         交響曲第7番
 
 2013年はワーグナーの生誕200年の記念年。ワーグナーは息子ジークフリートの誕生を喜んで、1870年に愛妻コージマの誕生日の12月25日、「ジークフリート牧歌」が彼女の誕生日とクリスマスのプレゼントとして初演された。コージマはリストの娘で、有名な指揮者ハンス・フォン・ビューローの妻であったが、ワーグナーは略奪結婚をしたのである。1870年はウイーン・フィルの本拠地、ウイーン楽友協会大ホールが完成した年でもある。今年のコンサートでの選曲の理由が判る。弦楽器の美しさが際立つ曲で管楽器は控えめに演奏されたが、ワーグナーの曲としては意外性のある安らかで平和な曲。
 
ブルッフはバイオリン協奏曲が良く知られている。彼はクラリネット奏者の息子と友人のために書いた協奏曲を名手シュミードルと清水直子が演奏。清水直子はベルリン・フィルのヴィオラ首席奏者。97年ミュンヘン国際音楽コンクール第1位受賞等、数々のコンクールで入賞し、2001年からベルリン・フィルに在籍。11年のPMF、東京クヮルテットとの共演ではその名演ぶりが話題となった。彼女が弦を弾いた途端に、ヴィオラの持つ美しい音が広がって聴衆を一気に彼女の世界に引き込んだ。シュミ―ドルは清水を支えながら卓越した技量を発揮して、この珍しい楽器の組み合わせの協奏曲を紹介してくれた。ヴィオラの美しい旋律を伝えるには室内オーケストラの音量がより適していると感じた。とにかく清水の演奏は見事であった。(トランペットとティンパニーによるファンファーレで始まる第3楽章もアクセントが付いて印象的であった。)

 シュトイデはウイーン・フィル(VPO)のコンサートマスター4名のうちの1人。VPOは外国人の楽団員は少なく、彼はドイツ出身であるが将来のウイーン・フィルを背負う逸材。ベートーヴェンは2曲の「ロマンス」を残しているが、≪ロマンス第1番≫はベートーヴェンの表現しようとした夢と憧れの世界を、シュトイデは爽やかな歌心ある演奏で聴衆を詩的リリシズムの世界に誘った。

 以上の3曲は指揮者を置かない演奏スタイルで何の違和感もなく、特に弦楽器のハーモニーの素晴らしさと管楽器の程よい調和がとられていた。

 21世紀に入ってからの「交響曲第7番」の人気度はうなぎ上りで今や大曲である。指揮者なしで、小編成のオーケストラでは満足度が足りなかったのが率直な印象であった。協奏曲と交響曲の第1楽章が終ったところで一部拍手をする人たちがいて、興がそがれたのも一因であった。特にこの交響曲はリズミカルな躍動感にあふれた作品であり、第1楽章のあと第2楽章に移る切り替えが、一部の聴衆の思わぬ拍手で演奏者や他の聴衆の迷惑になることが時々ある。PMFで顔なじみの奏者も何人か目にして懐かしい想いもして傾聴していたが、この瞬間に雑念が入って集中力が途切れてしまい個人的には心ゆくまで楽しめなかったのが残念であった。
 ワーグナーが誕生した1813年にベートーヴェンの「第7番」の初演が行われたので、今年はいつもの年より演奏会のプログラムに入る機会が増えるかもしれない。私が今年この曲を聴くのもサロネン指揮フィルハーモニア管についで2度目である。

 アンコールに応えて2曲。J.シュトラウス:歌劇「こうもり」より、チャルダッシュ「ふるさとの調べ」。 ブラームス:ハンガリー舞曲第5番。

今年の日本での公演もすべて終了。別れを惜しむ雰囲気も会場に流れ、オーケストラの団員もホッとした気持ちになったのではないか。ウィ―ンの香りを運んでくるオーケストラの札幌公演を来年度以降も期待したい。




 
                            
        



 
 
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年間60回以上札幌コンサートホールKitaraに通うクラシック音楽ファン。クラシック全般に関心があるがオーケストラ・ピアノ曲が特に好きである。 

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