ウォルフガング・サヴァリッシュの逝去

世界的指揮者 ウォルフガング・サヴァリッシュ(Wolfgang Sawallisch)   2月22日逝去。享年89歳。
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 第2次大戦後のドイツを代表する指揮者で、歌劇場から音楽人生をスタートして1957年には当時としては史上最年少の指揮者としてバイロイト音楽祭にデビュー。71年からはバイエルン州立歌劇場の音楽監督、82~92年は音楽総監督を務め同歌劇場の水準を飛躍的に向上させたと言われる。93~2003年にはフィラデルフィア管弦楽団の音楽監督を務めた。
 NHK交響楽団には64年初客演してから毎年のように客演を続け、N響がドイツ音楽を得意とする上で多大な貢献を果たしたと評価され同団の桂冠名誉指揮者となった。日本の音楽ファンにとって最も身近なマエストロであった。06年に引退するまでN響の演奏会のほか海外のオーケストラの日本公演でも活躍した。

 私は88年12月13日 北海道厚生年金会館で行われたバイエルン国立歌劇場1988年日本公演を聴いていた。この年は特別コンサートとしてサントリーホールでワーグナー「ガラ・コンサート」やベートーヴェン「ミサ・ソレムニス」の他に、大阪・名古屋・東京・横浜・札幌でベートーヴェン「交響曲第9番」。
 ウォルフガング・サヴァリッシュ指揮バイエルン国立管弦楽団、バイエルン国立歌劇場合唱団(Staatsは日本語では〈国立〉、〈州立〉同じ)、他にソリスト4名。25年も前のことで具体的なことはほとんど覚えていない。

 サヴァリッシュがフィラデルフィア管弦楽団の音楽監督に就任した93年の日本公演でも幸い聴く機会があった。前回の公演では1階最後方のA席で聴いたが、この時はS席で聴いたと思う。Kitaraが開館した1997年からコンサートなどの半券はアルバムに貼って漏れなく記録してあるが、それ以前のチケットの半券などは必ずしも保管・整理をきちんとしていなかった。今回は2回ともA4版サイズ変形の立派なプログラムが出てきたので判ったのだが、それまでは自分はサヴァリッシュをフィラデルフィア管との繋がりで実演を聴いたのは1回だけと思っていた。この時のプログラムによると曲目はシューベルトの「未完成」、R.シュトラウスの「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」とドヴォルザークの「新世界より」であった。
 話は逸れるが、89年の小沢征爾指揮のロンドン交響楽団の公演はS席18.000円だったので、フィラデルフィア管の時も同じくらいしたと思う。この数年いつも思うのだが、20年以上前と比べて、コンサートのチケット代は高くはなっていない。ウイーン・フィル、ベルリン・フィルなどを別とすれば、むしろ安くなっている。いくら満席になってもチケット代だけで興行が成立しているわけではない。海外オーケストラの演奏会はスポンサーが付かないと赤字になる。今でもS席は高いので私自身もKitaraではP席やRA席を購入することが多い。

 マエストロ・サヴァリッシュはN響アワーで何度も聴いて親しみを感じていた。この後、手元にあるCDを聴いたり、札幌公演の時の、今ではあまり目にすることのない当時の立派なプログラムを読みながら今世紀の偉大な指揮者を偲んでみようと思う。

追記: サヴァリッシュが作り出す音楽は伝統に基づく安定感のある重厚で端正なものであると思っていたが、彼の人柄も温厚で誠実であったことが判る。当時のプログラムに掲載されていたN響事務局の方の文章からも、マエストロの人物像が浮かび上がる。そこで書かれているエピソードを紹介する。
「指揮者はエネルギー源として大いに食べ、大いに飲み、汗をかくのが普通であるが、N響の午前・午後に行われる練習時間でマエストロは絶対に昼食をとらなかったし、水も飲まなかった。昼食をとらない理由は《食事をすると暫くは脳の神経が鈍くなって、百人のオーケストラを指揮できなくなる》。水を飲まないのは汗をかかないためで礼儀と心得ているらしい。
サヴァリッシュはミュンヘンから来日する時は決まってニュー・デリーやバンコック、香港などに4~5泊して、時差を徐々に馴らしてから日本へ来た。日本到着と同時に体と頭をフル回転させようという周到な用意からであった。
ホールのステージで照明や空調温度、舞台の配置などでアーティストからいろいろ細かい注文が出るが、サヴァリッシュは指示や要望を出しても無理な要求はせずに文句を言わないし、トラブルを起こさなかった。マエストロは偉大な芸術家であると同時に深い常識を備えたインテリ・紳士なのである。」
 





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年間60回以上札幌コンサートホールKitaraに通うクラシック音楽ファン。クラシック全般に関心があるがオーケストラ・ピアノ曲が特に好きである。 

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