北海道交響楽団 第71回演奏会

北海道交響楽団 (1980年創立)は北海道内最大級(4管編成)のアマチュア・オーケストラ。81年以来、これまでに70回の定期演奏会、9回のトヨタ・コミュニティ・コンサートを開催している。自主公演の他に、いろいろな演奏活動を積極的に展開している。

 私は2001年9月の第41回演奏会(ドヴォルジャーク:チェロ協奏曲、スメタナ:連作交響詩「わが祖国」)を初めて聴いた。その後、03、07、08年に各1回聴く機会を持った。注目したのはブルックナー、ニールセン、ヴォ―ン・ウイリアムズのような、それほどポピュラーでない作曲家の交響曲を取り上げていたことだった。07年、リムスキー=コルサコフ:交響組曲「シェエラザード」を聴いた時、素人の耳にはその演奏レヴェルがプロのオーケストラとさほど違うようには聴こえなかった。演奏会開催までの1曲の練習時間の多さがプロとの差を縮めているのではないかと思った。そんなわけで、その後、10、11年には各2回聴いた。

 今回の演奏会は2年ぶりである。
曲目は ラヴェル:道化師のの歌、マーラー:交響曲第7番「の歌」
 指揮:川越 守(Mamoru Kawagoe)

「道化師の朝の歌」はラヴェルのピアノ組曲《鏡》の第4曲が原曲。ラヴェル自身が管弦楽曲版に編曲。小曲ながら大編成管弦楽曲で多種の打楽器が使われ、スペイン風のメロディがラヴェル独特の軽快なリズムと色彩感を持って表現された。迫力ある演奏で楽しかった。この曲はスペイン宮廷のの行事で奏でられた音楽。マーラーの「の歌」を意識して選曲したと思われる。

 マーラーの7番は難曲として知られ彼の交響曲のなかでも演奏機会が少ない曲のようである。1994年PMFでマイケル・ティルソン・トーマス指揮ロンドン交響楽団が札幌芸術の森野外ステージで北海道初演(翌日旭川で公演)。札幌交響楽団の初演が1998年だそうで、つい2年前の11年3月の高関健指揮の札響は2回目ということだったらしい。05年2月バレンボイム指揮ベルリン・シュタ―カペレが私がKitaraで生演奏で聴いた最初の演奏会だったらしい。ベートーヴェンの「ピアノ協奏曲第2番」の弾き振りの方に注目して、マーラーの第7番の演奏は当時さほど注目していなかった。世界のバレンボイムのKitara初登場なのに客の入りの少なさに驚いた記憶だけは残っている。今回このような演奏機会の少ない難曲にアマチュアのオーケストラが取り組んだ意欲に敬意を表したい。

 曲は5楽章あって第2楽章と第4楽章が≪Nachtmusik≫(夜曲)とタイトルが付いている。夜鳴き鶯が鳴き、動物たちの森での行進を思わせる情景。セレナードやスケルツォの形を取りながらパロディの感じもある。第4楽章は今まで交響曲には使われたことがないギターとマンドリンが加わってセレナードの雰囲気だが、何となく不気味な暗さも漂う。第5楽章は突然に夜が昼に変わった様子。いきなり派手なティンパ二―に導かれてファンファーレが登場してカーニバル状態。輝かしい勝利感と異様なパロディ性。4楽章までとの曲のつながりが見えてこなくてよく解らないが、第1楽章のメロディが繰り返して所々に出てくる。テノール・ホルン、マンドリン、ギターの他に多くの打楽器で色彩感あふれる曲ではあった。

 マーラーの演奏で名高い東京都響のインバルがフランクフルト響と録音したCDを何回か聴いているが、やはりかなり聴き込まないと理解し難い。ただ単純に各楽章を聴いている分には何の違和感もない。あまり考え込まないと面白くもさえある。作家の村上春樹と指揮者の小沢征爾が二人の対談の中でマーラーの音楽と第7番の難解さについて言及していた著書のことを思い出した。

 札響の定期演奏会ではSS席が手に入らないが、このようなアマチュアの演奏会で1階の中央の最も良い席から最高の音響で各楽器奏者の演奏の様子を見れてCDでは絶対に得れない満足感を味わった。ただ一つ残念だったことは、前列の女性同士が最初の曲の演奏中に2度も周囲に聞こえる声で会話を交わしたのにはビックリしました(出演者に友人を見つけた様子)。マーラーの曲が始まっても会話をされたら困るので、休憩時間中にマナーを守るように注意をせざるを得ませんでした(私自身は全く初めてのこと)。「スイマセン」と言って、マーラーの80分近い大曲の演奏時間中は幸いマナーは守ってくれました。

 今晩はいつもの彼らの演奏会より聴衆の数は少なかったが、楽団が難曲に挑戦する姿勢は称賛に値する。川越守氏は北海道大学交響楽団の指揮者としても知られるが、50年以上前の演奏会で一二度聴いたことがある。今でも北大交響楽団の演奏会に偶に出かけるが、彼が2つのアマチュアの交響楽団の指揮者として長年に亘って活躍している姿には感動さえ覚える。演奏終了後にコメントで指揮者は一応何とか合格点を上げていた。彼の主張ではベートーヴェンのは交響曲で、マーラーのは交響曲ではなく、この第7番は器楽大合奏曲と捉えているようであった。いつものユーモア溢れるトークで独特の見解を述べながら、アンコール曲にヨハン・シュトラウスⅡ世:ワルツ「春の声」を演奏。まだまだ健在で今後一層の活躍が期待される。
 
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年間60回以上札幌コンサートホールKitaraに通うクラシック音楽ファン。クラシック全般に関心があるがオーケストラ・ピアノ曲が特に好きである。 

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