New Kitara ホールカルテット 6th Concert

 弦楽四重奏曲を毎年のようにコンサートで聴けるようになったのは札幌コンサートホールKitaraができたお蔭である。Kitaraが開館する前の1994年に〈かでる2・7ホール〉でEMERSON STRING QUARTETの演奏を聴く機会があった。ベートーヴェンの弦楽四重奏曲Nos.7~9であった。そのエマーソン弦楽四重奏団がKitaraに初出演したのが1999年5月25日で演奏曲目はべートーヴェンの第11番、ショスタコーヴィチの第3番、シューベルトの第14番。今日のコンサートのプログラムとはショスタコーヴィチの曲番号が違うだけである。というわけで今日のコンサートは何となく楽しみが増えた。

 ≪Kitaraホールカルテット≫という弦楽四重奏団はKitaraのレジデント・カルテットとして日本を代表する若手弦楽器奏者4人(矢部達也(vn),川田知子(vn),川本嘉子(va),金木博幸(vc)が結成。毎年春・秋の2回、定期的にコンサートを開催。私は1999年5月に2nd Concertを聴いた。その後、メンバーの交替もあったが2007年6月の19th Concertまで続き、何回か聴いたものである。

 2001年6月イタリア弦楽四重奏団、2002年3月東京クヮルテット&ザビーネ・マイヤー、2003年7月PMFウイーン弦楽四重奏団などの演奏会で室内楽に親しむ機会も多くなった。札幌コンサートホールは{Kitara弦楽四重奏シリーズ}の企画を充実させ海外のカルテットも定期的に出演するようになった。プラジャーク弦楽四重奏団ダネル弦楽四重奏団などは何度も来札して公演を行っている。日本人が結成した「ロータスカルテット」の活躍もますます期待される。

 2005年5月のアルバン・ベルク弦楽四重奏団のKitara大ホールでの演奏は未だ記憶がなまなましい。世界最高のカルテットの登場で、その時の演奏曲であるシューベルトの「死と乙女」は何となく今でも音が伝わってくる感じ。チョット大袈裟になるがそのくらいのインパクトがあった。

 PMF弦楽四重奏コースで東京クヮルテットが果たした功績は大である。PMFの期間中に行われた東京クヮルテットの演奏会、特に2012年の最後の大ホールでの演奏会は演奏家と聴衆が一体となって盛り上がり感動的であった。アンコール曲に弾いてくれたウェーベルンの「弦楽四重奏のための緩徐楽章」(記憶が正しければ)は2002年のプログラムに同じような曲名が載っていた。ウェーベルンはシェ―ンベルクと同様に現代音楽の作曲家で理解が難しいと思い込んでいたので、このような抒情的な美しい曲と似たような曲を10年前に聴いたとは思いもよりませんでした。中途半端な知識で先入観を持ってしまっていたことの戒めになりました。とにかくこの時に聴いたアンコール曲はウェーベルンをとても身近に感じるくらいの美しい曲でした。2013年6月で解散ということで世界的なカルテットがAlban Berg Quartetとともに消え去るのは寂しい気がします。
  
 2010年6月New Kitaraホールカルテット Debut Concertが開催され、2011年の3rd Concertに続いて、第2ヴァイオリンの交替があって新しくスタートした2012年7月の5th Concertを聴きました。

 New Kitaraホールカルテットのメンバー
  伊藤亮太郎(vn), 大森潤子(vn), 廣狩亮(va), 石川祐支(vc)    
     (札幌交響楽団コンサートマスターと首席奏者)
今日のプログラム:
  ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第11番「セリオーソ」
  ショスタコーヴィチ:弦楽四重奏曲第11番
  シューベルト:弦楽四重奏曲第14番「死と乙女」

 ベートーヴェンの弦楽四重奏曲全16曲あるなかで初期の作品はあまり聴いていないが、中期の7番以降はCDもあり偶に聴く。特に演奏会の曲目に入っていれば予め聴いて出かける。「セリオーソ」は{真面目な}、{厳粛な}という意味で曲の性格を暗示している。情熱的で重々しい楽章で始まり、第3楽章は“serioso”の指示のある舞曲風のリズムのある独特な楽章。最終楽章で軽快な調べが激しいクライマックスへと向かう。 
 New Kitaraホールカルテットでは第1と第2ヴァイオリンが交替で担当する。ベートーヴェンは大森が第1ヴァイオリンで力強くリーダーシップを取り、結成当初からのメンバーであるかのように安定感のある見事な演奏ぶりで前回よりも好感度が上がった。綺麗なドレスの舞台衣装で登場したこともあって華やかさが増した。

 ショスタコーヴィチはべ-トーヴェンに比肩しうる15曲の弦楽四重奏を作曲している。所有のCDをチェックしてみたら、偶然エマーソン弦楽四重奏団によるNos.3.8.11だった。最初に書いた14年前の彼らの演奏は殆ど記憶にないが、今晩のコンサートでのプログラムの類似に気付いて驚くとともに面白いとも思った。11番は50年ほど前の作品。短い7つの楽章が切れ目なく演奏される。第6・7楽章が全体の半分を占める。全体として静かで意味深長な音楽。古典派音楽と比べると親しむのが難しい。

 シューベルトは短い生涯の間に弦楽四重奏曲を15曲も残している。ハイドンやモーツァルトの影響を受けた作品が多くて、シューベルトの創造性が明確な作品が後期の3曲(13,14,15番)と言われている。
 「死と乙女」の名はこの曲の第2楽章の主題である歌曲《死と乙女》からとられた。死のイメージが強く暗示された曲。絶望や死を連想させる暗い響きは第2楽章だけでなく4楽章全体にわたる。1823年から健康を害して将来に絶望感を抱いていた当時のシューベルトの心境を描いているようだ。
 重々しい耳に親しんだ旋律が現れ聴き慣れた調べ、悲壮感の漂う抒情的な旋律。勇壮な感じさえする旋律もあり力強いフィナーレへ。 

 ショスタコ―ヴィチとシューベルトの曲は伊藤が第1ヴァイオリン。「死と乙女」は約40分の大曲とあって伊藤や石川は汗をハンカチで拭きながらの熱演。アンコール曲はハイドンの弦楽四重奏曲第39番「鳥」。New Kitaraホールカルテットは各奏者の幅広いフアン層もあって毎回満席に近い客の入りで盛況。レジデント・カルテットとして地元と密着した強みがこのカルテットにはある。ソリスト、室内楽奏者としての活動が札幌交響楽団の音作りにも役立っているものと確信した。今回は半年ぶりに聴いた弦楽四重奏曲のコンサート。どんな素晴らしいカルテットによるCDより生の演奏が心に響くのを毎回実感する。



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年間60回以上札幌コンサートホールKitaraに通うクラシック音楽ファン。クラシック全般に関心があるがオーケストラ・ピアノ曲が特に好きである。 

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