エサ=ペッカ・サロネン指揮フィルハーモニア管弦楽団

Philharmonia Orchestra conducted by Esa-Pekka Salonen

Fantastic! Gorgeous! I have never had such an impressive, wonderful performance as tonight's Salonen and Philharmonia gave us at Sapporo Concert Hall Kitara.

エサ=ペッカ・サロネンは私が札幌での彼の公演を長い間待ち望んでいた指揮者である。世界で名を成している指揮者はほとんどKitaraに登場している。サロネンはフィンランドではセーゲルスタムに続く後期世代の指揮者としてサラステとともに期待されていた。ロスアンジェルス・フィルの音楽監督(1992~2009)としてオーケストラを全米のトップ・レベルに押し上げた。
 50歳を迎えた絶頂期に作曲家としての活動に専念できる環境を求めて、以前から信頼関係にあったイギリスのフィルハーモニア管の首席指揮者となり今回の来日公演の運びとなった。

 フィルハーモニア管は戦後の1945年にレコーディング専用のオーケストラとして創立。カラヤンとともに多くの録音を行った。定期公演などの活動も増えクレンペラーが1959年終身指揮者となって大きな芸術的な成果を上げたと言われている。オーケストラは一時解散されてニュー・フィルハーモニア管となった時期もあったが、1977年に元のフィルハーモニア管に戻りムーティ、シノーポリ、ドホナー二が後を継いで発展していった。アシュケナージやラトルがフィルハーモニア管との録音を契機に大きく飛躍していったというから、このオーケストラが世界で果してきた役割は大きなものがある。私もフィルハーモニア管やニュー・フィルハーモニア管演奏のCDを少なからず持っているので、以前違うオーケストラかと思っていた時があった。
 2008年にサロネンが首席指揮者に就任し、今回の日本公演となった。岩国、西宮、札幌、名古屋、東京、横浜の6都市8公演。

本日のプログラム。
 ベートーヴェン:劇付随音楽「シュテファン王」序曲、 交響曲 第7番、
 ストラヴィンスキー:バレエ音楽「春の祭典」

 札幌ではKitara15周年を祝い1813年初演の「交響曲第7番」、1913年初演の「春の祭典」がプログラミングされたが、サロネンが特別に選曲した。(それぞれ100周年、200周年にあたる記念作品)

 コンサートの最初に「シュテファン王」序曲が演奏されたが、ベートーヴェンがハンガリーの新ドイツ劇場の杮落としのために依頼されて作曲し1812年に演奏されたことで200周年の祝いの曲にもなる。華やかな祝典を祝う曲で軽快な序曲であった。初めて聴く曲かと思ったが、何となく馴染みのある感じがしたので、帰宅後に調べてみたらベートーヴェンの序曲集の輸入盤のCDに曲があった。
 
 今日の演奏会ではステージの上手にチェロが配置されていたのが目をひいた。チェロの美しい低音を充分に引き出す狙いか。第1ヴァイオリン奏者やチェロ奏者に身体全体を向けて指揮をしたりして、サロネンは僅か7分ばかりの曲にも最初からいろいろな豊かな表情の指揮ぶりであった。

 ベートーヴェンの「交響曲第7番」はこの20年ほど日本でもテレビや映画で取り上げられ最近では演奏会で取り上げられる機会の多い曲になっている。ビックリする程の人気ぶりである。今晩聴いた「第7番」は今迄何十回と聴いてきた中で最高の演奏であった。 最初から最後までサロネンの指揮ぶりを中心に観ていたが、それぞれの楽器のグループに呼びかけるタクトや柔らかい手の動き。躍動感に溢れる指揮の様子は完全に私の心を掴んで夢中にさせた。サロネンは知的でどちらかと言えば穏やかな指揮ぶりを思い描いていた。だが、動的で、積極的で、情熱的であり、表情豊かで実にエネルギッシュな指揮者であった。
 この名曲の説明はするまでもないが、今回の名演で気が付いたことがある。指揮者が第2楽章だけ指揮棒を使わなかったこと。指揮棒を使う指揮者と使わない指揮者がいるが、楽章でも使い分けをする場面は初めて見ました。単純で同音反復の美しい楽章の第2楽章は手の動きだけで充分だったのでしょう。第4楽章の熱狂的なフィナーレは聴きごたえがあってこの曲を盛り上げる効果的な演奏であった。

 ストラヴィンスキーはサロネンの最も得意とする分野の作曲家である。
バレエ音楽「春の祭典」がピエール・モント―の指揮とニジンスキーの振付によって、1913年5月20日にパリのシャンゼリゼ劇場で初演された時には聴衆の間で大騒ぎになった話は有名である。聴衆の野次や口笛はオーケストラの音を消すほどで指揮者が聴衆に最後まで聴いてほしいと叫んだ話が伝わっている。それから100年、今では現代音楽の古典として名曲になっている。

 古代ロシアの春の儀式の情景を描いた作品。高音域のファゴットで始まる自然の目覚めの描写が極めて印象的。春を待つ乙女たちの踊り、熱狂的な大地の踊り。生贄の乙女を選ぶ神秘的な踊り。金管の強烈な響きで祖先の霊が呼び出されて儀式が盛り上がり、最後に生贄の乙女の踊りでフィナーレ。
 
 楽器編成で特徴的なのは木管・金管が各20人ぐらいで合わせて40数人の大編成。ホルン奏者だけでも10人ぐらい。いろいろな珍しい打楽器を担当する打楽器奏者も6人。管楽器でこれほどの大編成のオーケストラはKitaraでは初体験。何度か「春の祭典」は聴いたことがあるが今回ほどの圧倒的な音量を持つ素晴らしい演奏で今迄経験したことのない感動を味わった。
 サロネンの指揮もベートーヴェンの曲の指揮法とは違って鋭角的な体の動きも加わり、ストラヴィンスキーの曲にあった指揮ぶりでこの点でも深い感銘を受けた。大曲を2曲も演奏し終わった後で、聴衆の大歓声と拍手がしばらく止まなかった。全精力を使った様子でアンコール曲はなかった。楽団員の大部分がステージを去ったあとに、サロネンがステージに姿を見せてまだ残っていた多くの聴衆に感謝のお辞儀。

 大曲2曲とも素晴らしい演奏で久しぶりというか、こんな大きな感動と100%に近い満足感は初めて味わった。暫くの間、興奮が収まらなかった。こんなことも珍しい。1997年10月10日のウイーン・フィルは3階の奥で聴いて弦楽器の美しさに感動したが、今日は1階の前方やや左のS席で弦楽器と管楽器のハーモニー、特に管楽器の圧倒的な素晴らしい音の響きに魅せられた。サロネンとフィルハーモニア管は期待以上で大満足。エサ=ペッカ・サロネンは現代最高の指揮者の一人であることを身を持って体験した。

IMG_0799kabukiza (300x225)
今年のさっぽろ雪まつりの大雪像~この春オープンの新歌舞伎座。
(吹雪の悪天候の日[2/7]で映像が鮮明でなかった)
 
関連記事
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

fsuterry

Author:fsuterry
年間60回以上札幌コンサートホールKitaraに通うクラシック音楽ファン。クラシック全般に関心があるがオーケストラ・ピアノ曲が特に好きである。 

最新記事
カテゴリ
月別アーカイブ
検索フォーム
最新コメント
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR