HTB・朝日 シルベスターコンサート  と 横山幸雄

HTB・朝日SILVESTER CONCERT
  
 ジルヴェスターとはドイツ語で大晦日のことである。ジルベスタ―・コンサートはニュー・イヤー・コンサートと共に年の変わり目をコンサートで迎える音楽の都ウイーンの恒例行事として今では世界的にも知れ渡っている。日本でも毎年各地でこのようなコンサートが開かれるようになった。日本ではサントリーホールが本格的にこのようなコンサートを定着させた最初のホールではないだろうか。公共のホールが12月31日や1月2・3日にコンサートを主催するのは難しい。

 札幌コンサートホールKitaraは開館した1997年に初めてのジルヴェスターコンサートを開催している。
私はその翌年のコンサートに妻と一緒に出かけた。9:00PM開場、10:00PM開演。カウントダウンで新年を迎えた。終演が元旦・午前0時半頃だった。指揮が服部克久であったというのは記憶していたが、その時の曲目は覚えていない。当時のプログラムを見ると、演奏は1998ジルベスター・オーケストラ(東響コンサートマスター 小森谷巧)となっていて、バラエティに富んだプログラム編成であった。

 今回は横山幸雄と成田達輝が出演するとあって14年振りに聴くこととなった。
指揮の現田茂夫は2004年に錦織健プロデュ―スオペラ「セビリアの理髪師」で神奈川フィルハーモニー管弦楽団と協演(北海道厚生年金会館)して以来2度目。2005年からジルベスタ―コンサートの指揮者として活動を続け今年で8年目になるそうです。日本のプリマドンナの第一人者として名高い佐藤しのぶの夫君でもある。私にとって実質的に初めて指揮ぶりを見る機会であった。

 横山幸雄は今回で9回目。1995年12月の北海道公演(根室、網走、旭川、滝川、札幌、小樽)でピアノ・リサイタルを開き、札幌サンプラザホールで私が初めて聴いたことになっているが記憶がほとんど無いのが悔しい。
その後、2000年12月Kitara小ホールでリサイタルがあった時にCD2枚を購入してサインも貰っているが、CDのことは良く覚えているのにコンサートの印象が曖昧なのが自分でも不思議でならない。
 2002年1月イルジ・ピエロフラーヴェク指揮プラハ・フィルハーモニー管弦楽団と協演。ショパンのピアノ協奏曲第1番を演奏している。2003年3月のピアノ・リサイタルは大ホールで開かれ'Yukio Plays Yokoyama'というタイトルがついた演奏会で自作の曲の演奏の他にベートーヴェンの「熱情」、ショパンの「バラード第3番」、リストの「ラ・カンパネラ」などを演奏したのは記憶に残っている。
 
 その後、彼が札幌での演奏会を開く機会がなかったので、作曲活動や大学での教育活動に忙しくてピアニストとしての活動が中断しているのかなと思っていた。たまたま来札する機会がなかったらしい。
 09年1月札響定期のソリストとして飯森泰次郎指揮で伊福部昭:「ピアノと管弦楽のためのリトミカ・オステリナータ」を演奏。地味な曲で残念ながら強烈な印象は受けなかった。
 09年7月のピアノ・リサイタルは彼が指導した辻井伸行の国際コンクールの優勝の年に彼が勤める大学の関連でKitara小ホールでオール・ショパン・プログラムで開かれた。
 
 何と言っても横山が真価を発揮したのが10年7月に行われた札響の夏の特別演奏会であった。≪札響リクエストコンサート~3大ピアノ協奏曲≫としてチャイコフスキー第1番、ラフマニノフ第2番、グリーグの上位3曲が3人のピアニストによって演奏された。
 当日は前半にリクエストが2番目に多かったラフマニノフを「横山幸雄」、後半にリクエスト第3位のグリーグを「田部京子」、リクエスト第1位のチャイコフスキーを「清水和音」が弾いた。前半のラフマニノフの横山の演奏に聴衆は完全に呑み込まれてしまったのである。興奮は冷めやらずにラフマニノフの余韻が残されたまま休憩後のプログラムに入っていった。二人のピアニストにはチョット気の毒な状況になったことを今でも思い出す。もちろん田部、清水の演奏にも聴衆は満足してこの演奏会は大成功を収めたのである。

 2011年8月は假屋崎省吾x横山幸雄「ピアノと花の華麗なる世界」として札幌市民ホールで開催されたコンサートに出かけた時には女性客が多くてビックリ。1階席前方の周囲は女性ばかりで少々違和感があった。横山のピアノよりも假屋崎フアンが主な客層だったのである。戸惑いはしたがオール・ショパン・プログラムには満足して楽しんだ。

 横山幸雄は2011年5月3日に行ったショパン・ピアノ・ソロ全212曲コンサートでは18時間に及ぶ全曲暗譜演奏という信じられないほどの偉業を成し遂げた。この数年札幌での活動も増えてきたがKitaraでの本格的なピアノ・リサイタルを是非聴いて彼の音楽の魅力に浸りたいと常々思っている。

 大晦日のプログラムはヴェルディ(2013年は生誕200年)の歌劇「アイーダ」より≪凱旋行進曲≫という威勢の良い曲で現田茂夫指揮札幌交響楽団の演奏でスタートした。 アイーダ演奏用のトランペットの凄く長い楽器も珍しく興味を惹いた。観る演奏ならではの楽しみである。 
 続いてブリテン(2013年は生誕100年)の「マチネミュージカルより 行進曲」が演奏されたが多分初めて耳にする曲。次にお馴染みのバーンスタイン:≪「キャンディ―ド」序曲≫。
 現田は在り来たりの黒のタキシードではなく、品の良いグレーのタキシードを着用していて好感が持てた。

 ゲストのゴスペルシンガーで北海道・十勝出身のKiKiが60名のクワィアを率いて、Worship Melodyを披露。彼女は乳癌を患いながら抗がん剤治療を求めず3度の手術で10年も癌と闘いながら命を賭けて全国で公演を続けているそうです。悲壮感はないが彼女の生き様から勇気を得ている人もいるのではないか。フル・オーケストラをバックにKitara初出演とあって彼女にとっても生きる力が一層湧いてきたのではと願う。

 プログラム2部はチャイコフスキー:歌劇「エフゲニー・オネーギン」よりポロネーズで始まる。管弦楽は札響。96年のPMFで演奏会形式で観た歌劇だが、予想に反して極めて華々しい音楽。今日のコンサートにふさわしい曲。現田はオペラの指揮が豊富でそれほど派手な指揮ぶりでなく、どちらかと言えば控えめな指揮ぶり。8年目とあって気心の知れた指揮になっているのだろう。

 いよいよヴァイオリニスト成田達輝の登場。ステージに登場するや否や指揮者やコンサートマスターと握手。先日の読売日響でのステージでのマナーの反省の表れかなと思った。初々しい印象。ベートーヴェン:ロマンス第2番、 サラサーテ:ツゴイネルワイゼン。「ロマンス」は爽やかな歌にあふれた詩的リリシズムの世界が表現され、サラサーテのジプシーの音楽のメロディは野性味がにじみ出て超絶技巧が発揮されていた。対照的な選曲で、今日の成田の演奏は大変素晴らしく感動的なものになった。演奏直後に聴衆から称賛の溜息がもれ盛大な拍手が起こって印象的であった。日本のヴァイオリン界期待の大器であることは間違いない。

 今日の最後のゲストは横山幸雄。 チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番第1楽章。横山は真っ赤なジャケットで登場して先ず観客の目を奪った。ピアノを弾き始めた途端に彼の華やかな世界に聴衆を引きずり込んだ。彼の演奏には華がある。時間の関係で20分ほどの第1楽章だけで終ったのが何となく物足りなかったが、これはコンサートの企画担当者の問題なので止むを得なかった。

 大晦日の最後の曲はワーグナー:楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」第一幕への前奏曲。ワーグナーもヴェルディと同じく2013年が生誕200年。札響がワーグナーの曲で最も祝典的で華やかな曲を演奏して2012年の幕を閉じた。
 
 2012年23時59分50秒から会場を埋めた聴衆とゲスト全員が加わってカウントダウンが始まった。10、9.8.7、、3、2、1.舞台の裾から爆竹が上がり歓声が起こり、拍手。一斉に「おめでとうございます」の声。

 2013年新年の曲はKikiの歌う“You raise me up.” パガニーニ:24のカプリ―ス第1番(成田達輝)、
リスト:ラ・カンパネラ(横山幸雄)、ヴィエニャフスキ:華麗なるポロネーズ(成田・横山)、
ヨハン・シュトラウスⅠ世:ラデツキー行進曲(現田・札幌交響楽団)でフィナーレ。
 
 司会者によるとアンコールのヴィエニャフスキの曲は前日の練習が終わってタクシーで帰る際に横山が成田に声をかけて実現したもので予定していたものではなかったそうである。成田が嬉しそうに楽譜を持って現れ、曲が終ると成田が横山に抱き着いて感激をあらわにしていた様子(彼らはパリ高等音楽院の先輩・後輩の関係)は見ていて微笑ましくもあった。成田は先日の読売日響の時とは違って人間性豊かな表情を見せてヴァイオリンの技術面はもとより好感度がより一層増した。

 帰り際エントランスホールでお祝いのお屠蘇を飲んでチョットした正月気分を味わった。
前回はジルヴェスター・コンサートはもう結構と思ったが、今回のようなコンサートなら又来てみようかなと思うぐらい楽しい時間を過ごした。

Happy New Year









 
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年間60回以上札幌コンサートホールKitaraに通うクラシック音楽ファン。クラシック全般に関心があるがオーケストラ・ピアノ曲が特に好きである。 

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