ルノー・カプソン(vn)&児玉 桃(p)
アルゲリッチ&カプソン兄弟の室内楽公演が確か15年ほど前に札幌であった気がしている。Kitaraでなくて他のホールが会場で二の足を踏んだようであった。その時からカプソン兄弟の名は覚えていた。ベルリン・フィルのデジタルコンサートでルノーの弟ゴーティエのチェロの演奏を視聴したが、ルノーのヴァイオリンを聴いたのは初めてであった。
ルノー・カプソン(Renaud Capuson)は1976年フランス生まれ。世界各地の聴衆を魅了するヴァイオリニスト。97-2000年までアバド指名のマーラー・ユーゲント・オーケストラのコンサートマスターを務め、02年ハイティンク指揮ベルリン・フィルでデビュー。ウィーン・フィル、ボストン響、ロンドン響、パリ管などとも共演。ザルツブルク音楽祭やルツェルン音楽祭などでも活躍。日本ではN響、東京フィルなどに客演。
児玉 桃(Momo Kodama)は1972年、大阪生まれだが、1歳で家族と共にドイツ移住。16歳でパリ国立高等音楽院を卒業して、国際的コンクールで優勝を重ね、91年ミュンヘン国際音楽コンクールで第2位(1位なし)。世界のトップ・オーケストラと共演。1997年Kitaraオープニング・シーリズでフォスター指揮N響で初登場以来、16年の《Kitaraのクリスマス》で井上道義指揮札響と共演してグリ―クのピアノ協奏曲を弾いた。今迄、Kitaraに5回出演でショパン、ベートーヴェンのピアノ・コンチェルトを弾いたが、12年2月札響定期で「メシアン:トゥーランガリラ交響曲」を聴いたのが強く印象に残っている。ドイツ、フランスの伝統を生かした演奏で独自の境地を開いているといわれ、メシアンに力を注いでいるが、武満や細川作品などレパートリーの広いピアニスト。
2018年3月12日(月) 19:00開演 トッパン・ホール
〈program〉
ラヴェル:ヴァイオリン・ソナタ(遺作)
フォーレ:ヴァイオリン・ソナタ第1番 イ長調 Op.13
メシアン:主題と変奏
サン=サーンス:ヴァイオリン・ソナタ第1番 ニ短調 Op.75
ラヴェル:ツィガーヌ
トッパン・ホールには電車を利用する面倒を避けて、ホテルのフロントで地図を書いてもらって徒歩で出かけた。21階建ての「トッパン小石川ビル」の1・2階を使った408席の小ホール。リサイタルで使用頻度の高い評判のホール。
プログラムは全てフランス音楽。ヴァイオリン曲で、全曲の作品がフランスものとは二人ならではのプログラミングだと思った。
ラヴェル(1875-1937)の曲は遺作となっているが、作品の自筆譜の発見が1975年で、ラヴェルが22歳の頃の作品らしい。単一楽章で書かれた色彩感豊かな曲で、色がどんどん変化していく様子が目まぐるしい。
フォーレ(1845-1924)はラヴェルの師匠。1876年作の4楽章構成。第1楽章・第4楽章はエネルギーに満ちた明るい感じで、第2楽章のアンダンテは優しさあふれる美しい旋律、第3楽章のアレグロも心が高揚する感じがした。教え子に伝える基本的な曲の骨組みをラヴェルが独自に発展させて行ったのかと想像してみた。
前半2曲はそれぞれ25分程度。演奏終了後に満席の聴衆からブラヴォーの声が上がった。無駄な空間が無いようなホールで、ステージの演奏家と客席の距離感が絶妙のようであった。
デュオ・リサイタルでは珍しいメシアン(1908-92)の曲。彼が24歳の頃の作品で晩年の現代音楽の特徴はそれほど強烈ではない。22歳ころから教会のオルガニストとして活動を始めていたそうである。主題と5つの変奏が途切れずに続いた。
サンーサーンス(1835-1921)は「フランス国民音楽協会」を創設した作曲家・オルガニスト。才能に恵まれ、あらゆる分野で存在感を発揮したが、ローマ大賞は取れなかった。
曲は2楽章構成だが、2つの楽章がそれぞれ2つの部分に分かれている。交響曲第3番「オルガン付」と同じ構成。新しい形式を模索していた曲作りの時期だったのだろうと思った。
演奏会は馴染みの「ツィガーヌ」で締めくくられた。ロマの音楽をヴァイオリンの派手な技巧で表現した極めて印象的なメロディを持つ曲で最後を飾った。もちろん、万雷の拍手が会場を包んだ。
小柄ではあるが端正な容貌を持ち、ヴァイオリンの艶やかな音色と完璧なテクニックを共有するカプソンの魅力が溢れていた。ピアノの児玉は度々カプソンとも共演して息の合ったコンビで存在感の大きさを示した。
アンコール曲は2曲。①ドビュッシー:ヴァイオリン・ソナタ より “第3楽章” ②マスネ:タイスの瞑想曲。
作曲家の流れも解るプログラムに続いて、アンコール曲も全てフランスの作曲家の作品で感服した。
ホテルまでの道順が完全に分ったので、夜道は不安が無く、足取りも軽くて往路より10分ほど早く30分弱でホテルに着いた。
ルノー・カプソン(Renaud Capuson)は1976年フランス生まれ。世界各地の聴衆を魅了するヴァイオリニスト。97-2000年までアバド指名のマーラー・ユーゲント・オーケストラのコンサートマスターを務め、02年ハイティンク指揮ベルリン・フィルでデビュー。ウィーン・フィル、ボストン響、ロンドン響、パリ管などとも共演。ザルツブルク音楽祭やルツェルン音楽祭などでも活躍。日本ではN響、東京フィルなどに客演。
児玉 桃(Momo Kodama)は1972年、大阪生まれだが、1歳で家族と共にドイツ移住。16歳でパリ国立高等音楽院を卒業して、国際的コンクールで優勝を重ね、91年ミュンヘン国際音楽コンクールで第2位(1位なし)。世界のトップ・オーケストラと共演。1997年Kitaraオープニング・シーリズでフォスター指揮N響で初登場以来、16年の《Kitaraのクリスマス》で井上道義指揮札響と共演してグリ―クのピアノ協奏曲を弾いた。今迄、Kitaraに5回出演でショパン、ベートーヴェンのピアノ・コンチェルトを弾いたが、12年2月札響定期で「メシアン:トゥーランガリラ交響曲」を聴いたのが強く印象に残っている。ドイツ、フランスの伝統を生かした演奏で独自の境地を開いているといわれ、メシアンに力を注いでいるが、武満や細川作品などレパートリーの広いピアニスト。
2018年3月12日(月) 19:00開演 トッパン・ホール
〈program〉
ラヴェル:ヴァイオリン・ソナタ(遺作)
フォーレ:ヴァイオリン・ソナタ第1番 イ長調 Op.13
メシアン:主題と変奏
サン=サーンス:ヴァイオリン・ソナタ第1番 ニ短調 Op.75
ラヴェル:ツィガーヌ
トッパン・ホールには電車を利用する面倒を避けて、ホテルのフロントで地図を書いてもらって徒歩で出かけた。21階建ての「トッパン小石川ビル」の1・2階を使った408席の小ホール。リサイタルで使用頻度の高い評判のホール。
プログラムは全てフランス音楽。ヴァイオリン曲で、全曲の作品がフランスものとは二人ならではのプログラミングだと思った。
ラヴェル(1875-1937)の曲は遺作となっているが、作品の自筆譜の発見が1975年で、ラヴェルが22歳の頃の作品らしい。単一楽章で書かれた色彩感豊かな曲で、色がどんどん変化していく様子が目まぐるしい。
フォーレ(1845-1924)はラヴェルの師匠。1876年作の4楽章構成。第1楽章・第4楽章はエネルギーに満ちた明るい感じで、第2楽章のアンダンテは優しさあふれる美しい旋律、第3楽章のアレグロも心が高揚する感じがした。教え子に伝える基本的な曲の骨組みをラヴェルが独自に発展させて行ったのかと想像してみた。
前半2曲はそれぞれ25分程度。演奏終了後に満席の聴衆からブラヴォーの声が上がった。無駄な空間が無いようなホールで、ステージの演奏家と客席の距離感が絶妙のようであった。
デュオ・リサイタルでは珍しいメシアン(1908-92)の曲。彼が24歳の頃の作品で晩年の現代音楽の特徴はそれほど強烈ではない。22歳ころから教会のオルガニストとして活動を始めていたそうである。主題と5つの変奏が途切れずに続いた。
サンーサーンス(1835-1921)は「フランス国民音楽協会」を創設した作曲家・オルガニスト。才能に恵まれ、あらゆる分野で存在感を発揮したが、ローマ大賞は取れなかった。
曲は2楽章構成だが、2つの楽章がそれぞれ2つの部分に分かれている。交響曲第3番「オルガン付」と同じ構成。新しい形式を模索していた曲作りの時期だったのだろうと思った。
演奏会は馴染みの「ツィガーヌ」で締めくくられた。ロマの音楽をヴァイオリンの派手な技巧で表現した極めて印象的なメロディを持つ曲で最後を飾った。もちろん、万雷の拍手が会場を包んだ。
小柄ではあるが端正な容貌を持ち、ヴァイオリンの艶やかな音色と完璧なテクニックを共有するカプソンの魅力が溢れていた。ピアノの児玉は度々カプソンとも共演して息の合ったコンビで存在感の大きさを示した。
アンコール曲は2曲。①ドビュッシー:ヴァイオリン・ソナタ より “第3楽章” ②マスネ:タイスの瞑想曲。
作曲家の流れも解るプログラムに続いて、アンコール曲も全てフランスの作曲家の作品で感服した。
ホテルまでの道順が完全に分ったので、夜道は不安が無く、足取りも軽くて往路より10分ほど早く30分弱でホテルに着いた。
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