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中木健ニ(チェロ)X松本望(ピアノ)デュオ・リサイタル

中木健ニ(Kenji Nakagi)の名は六花亭札幌本店に「ふきのとうホール」が落成してオープニング・フェスティバルが2015年7月に約1ヶ月間にわたって開催された時のプログラム一覧で知った。25回のコンサートのうち7回聴いたが、彼が出演するコンサートには行っていなかった。中木は東京藝術大学を経て、パリ国立高等音楽院、ベルン音楽大学の両校を首席で卒業。05年ルトスワフスキ国際チェロ・コンクール第1位など受賞歴も多く、10-14年フランス国立ボルドー・アキテーヌ管首席奏者を務める。帰国後、ソロ、室内楽活動やオーケストラへの客演などで活躍を続け、現在は紀尾井ホール室内管弦楽団メンバー、東京藝術大学准教授。

松本望(Nozomi Matsumoto)は私が勤務した高校の卒業生。彼女のクラスを担当したことは3年間なかったが、同じ担当学年の優秀な生徒で顔は覚えていないが名は知っていた。彼女は東京藝術大学の作曲科に進学し、高校合唱部演奏会ではピアノを弾いていた。卒業後も何度か卒業生として合唱部演奏会には出演していた。彼女が作曲した合唱曲が最優秀作品に選ばれたり、彼女の作品が全国合唱音楽コンクールの課題曲になったことは承知していた。「音楽の友」誌で一部の音楽評論家から高い評価を受けて、ピアニストとして活躍している様子も分かっていた。大学院修士課程修了後、パリ国立高等音楽院で学んでいたことは後で知った。パリ音楽院ピアノ伴奏科を首席で卒業し、デュオ、トリオの国際コンクール優勝を重ねた実績は喜ばしい限りである。現在は作曲家・ピアニストとして活動し、国立音大や洗足学園音大で後進の指導にも当たっている。
今回のコンサート開催を知ってチケットは早くから購入していた。

2018年3月7日(水) 7:00PM 開演  ふきのとうホール
〈Program〉
 ベートーヴェン:魔笛の主題による7つの変奏曲 変ホ長調 WoO.46
 メンデルスゾーン:歌曲《歌の翼に》op.34-4(チェロとピアノのための編曲版)
 メンデルゾーン(ピアッティ編):ピアノのための無言歌より《狩人の歌》 op.19-3
 メンデルスゾーン:チェロとピアノのための無言歌 ニ長調 op.109
 R.シュトラウス:チェロとピアノのためのソナタ へ長調 op.6
 ドビュッシー:チェロとピアノのためのソナタ
 フォーレ:チェロとピアノのためのソナタ第2番 ト短調 op.117
 メシアン:世の終わりのための四重奏曲より《イエスの永遠性への賛歌》

ベートーヴェンのチェロ・ソナタのCDはアルゲリッチ&マイスキーの演奏で持っているが、その中に「魔笛の主題による2つの変奏曲」が収録されていた記憶があった。「変奏曲」は購入時に1度聴いたきりだったと思うが、この機会に聴いておいた。歌劇《魔笛》のアリアの主題と変奏曲で生で聴くと素朴さと優しい愛らしさが強く感じられた。

メンデルスゾーンのピアノ曲で知られる有名な「歌の翼に」と「狩人の歌」にチェロが加わっても何の違和感もなく聴けた。「チェロとピアノための無言歌」は初めて耳にした。

前日に聴いたR.シュトラウスのヴァイオリン・ソナタの魅力は素晴らしかった。十数年前までは交響詩や特定のオペラに親しめずに苦手な作曲家に入っていたシュトラウスだったが、近年は彼の才能の豊かさに驚いている方である。チェロ・ソナタもヴァイオリン・ソナタと同様に伝統的な急・緩・急の3楽章構成の曲で、2つの楽器が対等に渡り合う演奏は歌心に溢れて躍動感もあり非常に楽しく聴けた。コンサートのハイライトになった。

ドビュッシーは晩年に6曲のソナタ集を計画したが、完成せず3曲で終わった。第3曲のヴァイオリン・ソナタが彼の最後の作品で何度かコンサートでも聴いているが、第1曲のチェロ・ソナタは今回初めて聴いた。この曲を聴くと、ドビュッシーが現代作曲家であったことがよく判る。今年はドビュッシー没後100年に当たる。人気の作曲家であるが、今まで余り聴く機会のない作品も今後は聴けると良いと思っている。

フォーレはラヴェルを陰から支援し、ラヴェル事件の後にパリ音楽院長を務めたことでも知られるが、彼の生涯は詳しく知らない。彼の小品「夢のあとに」、「エレジー」、「シチリアーノ」などはチェロ名曲集に入っている。彼の美しい旋律が特徴のピアノ曲集は持っているのだが、馴染みのある特定のメロディの曲は残念ながら知らない。今回の曲のメロディも一貫して美しい曲の特徴が出ていた。フォーレはベートーヴェンと同じように難聴に苦しんでいて、この作品も殆ど耳が聞こえない状況で書かれたそうである。彼の生命力の強さと音楽への深い想いを知らされた。

20世紀最大の作曲家のひとりオリヴィエ・メシアンの代表作は昨年12月末のベルリン・フィルの“Late Night”のコンサートで演奏されて、私の記憶に新しい。第二次世界大戦で捕虜となったメシアンはドイツの収容所で音楽を演奏する自由を与えられた。収容所内で知り合った3人の音楽家と知り合い、彼らが演奏できる楽器ヴァイオリン、チェロ、クラリネットとピアノで演奏会を開いた。
曲は8楽章構成。全員合奏のほかにクラリネット独奏、チェロ独奏、ヴァイオリン独奏も入る。「イエスの永遠性への賛歌」は第5楽章で旋律はチェロが担当して、ピアノは一定のリズムで和音を刻む。ピアノが打楽器のような技法で演奏したので12月末のラトルの演奏が印象に残っていた。こういう難しい曲は目で見ながら耳から聴くと、その良さが解る気がした。優しさと神々しさに彩られた音楽が紡がれた。

パリ国立高等音楽院でメシアン夫妻に教えを受けた日本人は多いと思うが、2人が室内楽曲の最後にメシアンを演奏した選曲も十分に理解できた。9日には東京のHakujuホールでも演奏会があるが聴衆の喝采を浴びることは間違いないだろう。特に玄人受けするプログラミングである。

中木は室蘭出身と知って親近感が増した。演奏中は目を閉じて一心に音に集中して楽器を弾き続ける姿は極めて印象的であった。演奏後に、ニコっとする姿も素敵だった。松本も総じて柔らかなタッチで表現力豊かな安定した演奏が印象的だった。R.シュトラウスの演奏では作曲家の力強い将来への憧れと想いがダイナミックに表現されて秀逸であった。いろいろな作曲家に対応できる幅の広い演奏技術を身に着けているのが素人にも分かった。若々しい端正な容姿も魅力的だった。

聴衆の盛大な拍手を受けて、中木が挨拶すると思ったが、地元出身の松本が初めての札幌のコンサートで挨拶して、アンコール曲の演奏があった。ブルッフの曲と聞こえたが、確かでない。

※さっぽろ雪まつり期間中に時計台に来館したフランス人の女性と音楽の話をした時に、演奏会で聴くフランスの作曲家の名を訊かれ、ラヴェルやドビュッシーなどのほかにメシアンの名を挙げたら知らないと言われた。彼の有名な曲「トゥランガリラ交響曲」のことを話しても通じなかった。意外に思ったと同時に、日本で音楽が好きな人でも黛敏郎、武満徹、細川俊夫の名を知らない人がいても不思議ではないと思った。
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年間60回以上札幌コンサートホールKitaraに通うクラシック音楽ファン。クラシック全般に関心があるがオーケストラ・ピアノ曲が特に好きである。 

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