第555回札幌交響楽団定期演奏会

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 いつもは昼公演を聴いているが今回は振替えで昨日の夜公演を聴いた

 アレクサンダー・シェリー(Alexander Shelly)という指揮者の名は聞いたことがなかったのでWikipediaで検索してみた。当初ロストロポーヴィチやシュタルケルのマスタークラスを受けるくらいのチェリストで、2003年のValery Gergiev が卒いるWorld Orchestra for Peaceのメンバーとしてツアーで活躍していた履歴を持つ。
 2005年の第8回リーズ指揮者コンクールで優勝してその才能を高く評価され、フィルハーモニア管やバーミンガム市響などで客演。20代後半でヨーロッパの数多くの一流オーケストラで客演指揮者として活躍。特に私の目を引いたのは来年11月パーヴォ・ヤルヴィ指揮で来札するドイツ・カンマ―フィルハーモニー・ブレーメンとの客演である。2009~12年の客演活動を見ると今迄、日本で知られていないのが不思議なくらいである。
 ヨーロッパだけでなくアジア、オーストラリア、南米、北米での幅広い活躍ぶりが目立つ。2012~13年はライプツィヒ・ゲバントハウス管、ベルリン・ドイツ響、オランダ放送フィル管など世界でもメジャーとされるオーケストラと共演。17年までドイツ・ニュルンベルク響の首席指揮者。
 
 今回の札響出演が初来日。
彼が選んだ曲目は パリー:ブラームスに寄せる哀歌
         ニールセン:クラリネット協奏曲
         ブラームス:交響曲 第1番 ハ短調

 札響が初演となる珍しい曲が2曲。 私は素人なのでパリ―という作曲家の名は聞いたことがなかった。
ブラームスが亡くなった1897年に作曲された文字通り「ブラームスを哀悼するエレジー」。
 
 ニールセンはデンマークが生んだ最も有名な作曲家。2007年10月にアマチュアの北海道交響楽団が定期演奏会でニールセンの交響曲第4番≪不滅≫を演奏した。アマが定演で取り上げる曲として珍しく演奏の出来もよかったので印象に残っている。
 クラリネット奏者のセバスチャン・マンツ(Sebastian Manz)は2008年、22歳でミュンヘン国際コンクール・クラリネット部門で40年間第1位なしの大会で優勝。10~11年シュトゥットガルト放送響ソロ・クラリネット奏者に就任。ソリストとしてミュンヘン・フィル、ドレスデン・フィル、ニュルンベルク響と協演。
11月29日から12月16日までの日本公演では札響のほか広島響、ロータス・カルテットと共演、リサイタルなど9公演を行う。
 ≪クラリネット協奏曲≫は弦楽器の他にはファゴット2本、ホルン2本と小太鼓だけという極めて珍しい楽器編成。 
コントラバスとヴィオラの超低音の重い響きで曲が始まったのが印象的であった。
その後クラリネットがオーケストラをバックにソロで自由自在に驚くほどの超絶技巧で聴衆を魅了。
マンツが40年間第1位が出なかったミュンヘン国際コンクールのクラリネット部門で優勝を果たしたことが解ったような気がした。師のザビーネ・マイヤー(Sabine Meyer)を凌ぐほどのテクニックには驚嘆。
 ストルツマン(Richard Stolzman)やシュミ―ドル(Peter Schmidle)を越えるクラリネット奏者に成長することが期待できる人材ではないかと思った。
 アンコールに応えてストラヴィンスキーの「クラリネットのための小品」から第1・第2楽章。日本語で懸命に紹介しようとする姿勢に好感を持った。

 ≪ブラームスの交響曲第1番≫は着想から完成まで20年も費やしたことでも知られる。古典の価値を尊重して伝統を重んじ、ベートーヴェンの遺産を受け継いで発展させるために時間を要した大曲と言える。私はホルンの響きがこだまする美しい旋律が入る第4楽章が大好きである。 ベートーヴェンの第九の「歓喜の歌」との類似性のある賛歌風の調べ{第1主題}、ヴァイオリンのしなやかな旋律{第2主題}、第1主題と第2主題の再現と融合が心地よく心に響く。
 
 シェリーは長身で端正な顔立ちで格好良く、指揮ぶりは派手ではない。長めの指揮棒を柔らかい身のこなしで振り、無理のない体の動き。もう少し力を注いでも良いのではという感じも受けた。2階正面後方の席で彼の顔の表情が読み取れないのが心残りであった。

 指揮者に関心が強い場合にはP席を選ぶことが多いので、今回はP席かRA席にすればよかったと思った。指揮者の情報を得たのがコンサートの前日だったので残念なことをした。 

 今回の尾高音楽監督の起用でシェリーが第2のエリシュカになるかもと一瞬思ったが、いずれにしても日本の音楽界に英国の新鋭指揮者を紹介する機会にはなったと期待する。彼は33歳とまだ若いので数年後に日本で話題になる指揮者になる予感はする。



 



 
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Author:fsuterry
年間60回以上札幌コンサートホールKitaraに通うクラシック音楽ファン。クラシック全般に関心があるがオーケストラ・ピアノ曲が特に好きである。 

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