読売日本交響楽団 創立50周年記念事業《三大交響曲》 in 札幌 第2夜

 読売日本交響楽団は1962年4月に創設され2012年で50周年を迎えた。創立30周年の折には札幌と旭川でも特別演奏会が開かれた。小林研一郎指揮で演奏曲目はグリンカの《歌劇「ルスランとリュドミーラ」序曲》、ベートーヴェンの《交響曲第3番「英雄」》と堀米ゆず子がソリストを務めたチャイコフスキー《ヴァイオリン協奏曲》。
(ヴァイオリニスト堀米ゆず子は去る8月、ドイツのフランクフルト空港で愛器のグァルネリ・デル・ジェズを税関に押収された事件で記憶している人も多いと思う。愛器は10月中旬にはベルギーの自宅に無事に戻った。)

 読売日響は比較的に新しいオーケストラである。日本では1911年創設の「東京フィルハーモニー交響楽団」が1番古い。NHK交響楽団の創設は1926年である。他のオ―ケストラは戦後の創設で、群馬(1945)、東京(1946)、大阪フィル(1947)、九州(1953)、京都市(1956)、日本フィル(1956)、札幌(1961)などである。
 
 ちなみに世界最古のオーケストラは1548年創立のドイツの「シュターツカペレ・ドレスデン」(=ドレスデン国立歌劇場管弦楽団)。「ライプツィヒ・ゲバントハウス管弦楽団」は1743年。「ウィ―ン・フィル」は1842年。「ベルリン・フィル」は1882年。「ロイヤル・コンセルトへボウ」は1888年。歴史の浅いアメリカでも「ニューヨーク・フィル」は1842年。ボストン(1888)、シカゴ(1891)、フィラデルフィア(1900)などオーケストラは古い歴史を持っている。
 逆に短い年月のうちに日本がオーケストラ、コンサートホールや音楽家の側面では西欧に追いついて今日のレヴェルに達したのは驚嘆すべきことなのだろう。あとはフィルハーモニー(音楽愛好)の心が国民の間に広まっていく課題が残されている。
 
 前置きがいつものように長くなった。

今日は第2夜三大交響曲の公演。昨日は協奏曲ばかり3曲で指揮の下野はソリストの引き立て役に徹した。

 今日のプログラムは ドヴォルザーク:交響曲第9番 ≪新世界から≫
           シューベルト:交響曲第7番 ≪未完成≫
           ベートーヴェン:交響曲第5番 ≪運命≫

 3曲とも交響曲の超定番。特に≪運命≫と≪未完成≫は50数年前からクラシック音楽を聴き始めた時の自分の原点と言える曲。私は音楽は大好きでも讀譜力が無いが、この2曲は何百回も聴いているので、音を"produce" できなくても"recognize"できるぐらい親しんでいる交響曲である。
 
 最初の曲≪新世界から≫はチェコ、スロヴァキア、ハンガリーなどの東欧のオーケストラが来札した際の公演の曲目になり、日本のオーケストラも演奏する機会が断然多い。ドヴォルザークが自由の国アメリカに入国する際の期待感は下野のドラマティックな指揮ぶりで印象づけられる。 第2楽章でのイングりッシュ・ホルンのノスタルジックな旋律は日本人の心に奥深く響き渡る。第3、4楽章のボヘミアの民族舞曲風の旋律はドヴォルザークの故郷に想いを馳せる心が伝わる。第4楽章は第1・2・3楽章の主題も再現され力強いフィナーレ。
下野竜也はメリハリの利いた動きで指揮者の意向が楽団員にも観客にも伝わりやすい指揮ぶり。

 シューベルトの「未完成」は元8番としてよく聴いたが、最近では現8番の「ザ・グレイト」の方が聴く機会が多い。≪未完成≫は久しぶりに懐かしい想いで聴いたが、やはり名曲である。ロマンティックな気分に浸った。下野の指揮も軽やかな曲の流れに合わせて無駄な体の動きがない。
 
 「ジャジャジャジャ―ン」と言えば誰でも判るほど知られた曲の出だしで始まる≪運命≫。苦悩を通して歓喜に至るまでの人間の姿は感動的である。ベートーヴェンは凄いと再認識させられる。下野のタクトを使っての巧みな手や腕の動きがよく見える席で集中力を保って曲を鑑賞できた。曲が終わった瞬間に満足感が体中に広がった。
 
 私は演奏会がある場合はその日の演奏曲目をCDで聴いてから出かけるのを習慣にしているが、今回は忙しかったのと、超定番の曲ばかりということもあって、全然聴かないで出かけた。結果的に、そのことが期待以上に定番の曲に新鮮さを感じ取れて感動できたのかなと思う。

 最後に、読響月刊オーケストラ12月号掲載の楽団員名簿を20年前と比較すると、約80名中25名の名前が一致した。およそ3分の1の団員が残って読響の伝統ある音を引き継いでいるのではないかと推測した次第である。
  
 下野竜也は2013年4月からシルヴァン・カンブルランの後を継いで読売日本交響楽団首席指揮者に就任予定。今後の読売交響楽団の更なる発展を祈りたい。





 
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年間60回以上札幌コンサートホールKitaraに通うクラシック音楽ファン。クラシック全般に関心があるがオーケストラ・ピアノ曲が特に好きである。 

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