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エマニュエル・パユ(fl)&エリック・ル・サージュ(p) デュオ・リサイタル

札幌コンサートホール開館20周年〈Kitaraワールドソリストシリーズ〉

フルート界のスーパースター、エマニュエル・パユはKitaraで2回フルートリサイタルを開催してきた。2004年10月はエリック・ル・サージュと共演。同年11月にはベルリン・フィル首席奏者として登場。08年12月は無伴奏フルートリサイタルでジョリヴェとテレマンの曲を交互に弾いた(パユ、ピノック&マンソンのトリオでバッハフルートセレクションの予定が単独出演になった。公演がキャンセルにならないで成立したことに感激した当時を思い起こす)。パユのリサイタルは3度目になった。1年前からデジタルコンサートホールで彼の演奏の様子をしょっちゅう見ているのでとても身近な演奏家となっている。
Emmanuel Pahudは1970年ジュネーヴ生まれ。89年にフルートの登竜門、神戸国際コンクール優勝、92年には難関ジュネーヴ国際コンクール優勝。同年ベルリン・フィルに入団し、翌年同団首席奏者に就任。2000年に一時退団し、02年に同団復帰。ベルリン・フィル首席奏者・ソリストとして世界を股にかけて活動。現在のフルート界における世界の第一人者として実力・人気ともに抜群である。Kitara出演は14年2月のベルリン・バロック・ゾリステンとの共演以来となった。

エリック・ル・サージュ(Eric Le Sage)は1964年、フランス生まれの世界的なピアニスト。89年シューマン国際コンクール優勝、90年リーズ国際コンクール第3位など輝かしい実績を誇る。オーケストラとの共演も多く、リサイタルの他に、パユ、メイエ(cl)のパートナーとして室内楽活動も顕著である。

2017年12月5日(火) 19:00開演  札幌コンサートホールKitara大ホール
〈Program 〉
 モーツァルト:ソナタ 第17番 ハ長調 K.296(原曲:ヴァイオリン・ソナタ)
 シューベルト:「しぼめる花」の主題による序奏と変奏曲 D802
 ドビュッシー:(レンスキ編曲):ビリティス
 フォーレ:シシリエンヌ op.78、 コンクール用小品、 幻想曲 op.79
 プーランク:フルート・ソナタ

モーツァルトのヴァイオリン・ソナタはケッヘル番号を見て演奏会で数度耳にしている曲だと判った。彼の中期までのヴァイオリン・ソナタはフルートとピアノで演奏される機会も多いことを初めて知って興味が沸いた。基本的には同じメロディだが、ピアノとフルートの役割に注目しながら聴いた。モーツァルトが若い学習者のために書いた作品で、明るく生き生きとした曲。

シューベルトは歌曲王として知り、「冬の旅」や「美しき水車小屋の娘」などはKitaraの開館当初にペーター・シュライアーのコンサートで親しんだ。「しぼめる花」は《美しき水車小屋の娘》の第18曲。青年が娘からもらった花に託して失恋の悲しみを歌ったミュラーの詩をシューベルトが気に入って書いたという作品。「しぼめる花」は序奏、主題と7つの変奏から成る。フルート、ピアノともに高度な奏法を要する曲だそうであるが、曲に込められたイメージが鮮やかに表現されていた。

前半の演奏終了後には、歓声も上がった。 いつもより中高生の姿が目立ち、たぶんフランス人と思われる十数人の外国人の姿もあった。P席と3階席は売り出されなかったが、2階もかなりの客席が埋まり軽く1000名を超える聴衆の入りで、フルート奏者パユの人気度が反映しているようだった。

後半はフランスの作曲家の音楽。
ドビュッシーが若い頃には歌曲ばかり書いていた話は知らなかった。彼は詩人ピエール・ルイスが書いた古代ギリシャの情景を詠んだ詩集「ビリティスの歌」がお気に入りだったという。この詩を基にして、ドビュッシーはいくつかの版で曲を書いた、今回の曲はレンスキによるフルートとピアノ用の編曲版。古代ギリシャへの憧憬を描いたドビュッシー独特の繊細で美しい音の世界だった。

フォーレは美しい旋律の気品の高い作品を書いたフランスの大作曲家。チェロやヴァイオリンで弾かれることが多い「夢のあとに」、や「エレジー」、「シシリエンヌ」で親しまれている。最初に耳慣れた名曲「シシリエンヌ」の美しいメロディが流れた。続いて流れた短い曲は、フォーレがパリ音楽院教授時代に試験用に書いた「初見視奏曲」(*1週間前のコンサートでヴァイオリニスト西本が演奏した作品と同じ学生用の作品)。フォーレはフルートやハープのための作品も書いていて、今回はフルートとピアノのための曲。楽譜を渡されて直ぐ演奏する曲として書かれ、今回のタイトルは「コンクール用小品」となっていた。「幻想曲」は必ずしも幻の曲と言うだけでなく、心に浮かんだことを綴って華やかなイメージで彩った曲として聴いた。

プーランクは第一次世界大戦後にパリで結成された「六人組」の作曲家のひとり。近年の演奏会ではピアニストの牛田智大がプーランクの作品を好んで取り上げている。
フルート・ソナタはランパルと作曲家自身のピアノで1957年に初演された。都会で暮らす人の孤独な心を綴った第1楽章、情緒あふれる第2楽章、人生を楽しもうとするが、憂いが帯びるメロディも混ざる第3楽章。このプーランクの曲は13年前の彼らのコンサートでも演奏されたので、フルートの傑作となっているのだろう。

アンコール曲は①「子どもの不思議な角笛」より “ラインの伝説”、 ②「亡き子をしのぶ歌」より “いつも思う”、“子ども達はちょっと出かけただけなのだ”。

拍手大喝采でカーテンコールが何回も繰り返された。帰りのホワイエはサイン会に並ぶ行列ができていて、演奏会の興奮の余韻が漂っていた。やはりパユはフルートの貴公子として放つオーラ、存在感は何か特別なものがある。そのパユを支えるル・サージュの安定感も今や注目の的であるが、やや伴奏に徹していた感は止むを得ないところなのかもしれない。

パユは11月下旬のベルリン・フィル日本公演の直後にリサイタルのツアーを行って、札幌が最後の公演であった。

※神戸国際フルートコンクールは1985年に第1回が開催された。世界への登竜門と位置づけられ、神戸市主催で4年ごとに開催されるフルート単独の国際コンクール。パユは第2回の優勝者。2005年優勝者の小山裕幾は現在フィンランド放送響の首席奏者。2年前には神戸市が補助金打ち切りを決めて、コンクール開催の危機に陥いったが、パユを始めコンクール継続に向けての多くの関係者の努力によって、何とか2017年の第8回大会は無事に開催された。2021年の第9回コンクールは神戸市長が補助金復活を表明して神戸市主催で開催される予定になっている。
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Author:fsuterry
年間60回以上札幌コンサートホールKitaraに通うクラシック音楽ファン。クラシック全般に関心があるがオーケストラ・ピアノ曲が特に好きである。 

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