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上杉春雄(p)&川本嘉子(va)デュオ・リサイタル

Kitara以外のホールでのコンサートの情報は積極的に求めていないので良いコンサートを見逃すことがある。上杉春雄は札幌在住の医師・ピアニストで会場がKitaraの場合は聴くことが多いが、今回は4年ぶりで7回目であった。川本嘉子はKitaraが開館した年に結成されたKitaraホール・カルテット(矢部達哉、川田知子、川本嘉子、金木博幸)のメンバーとして05年ころまでは活動を続けていたと思う。15・6回開催のコンサートのうちで出かけたのは2000年の第6回だけの1度だけであった。まだ、カルテットに親しんでいない時期だったが、当時のステージ上の様子は鮮明に記憶している。
数ヶ月前に二人のコンサートの情報を得て、札響定期のコンサートを振り替えて、彼らのコンサートを聴こうとスケジュールを調整していた。
川本嘉子(Yoshiko Kawamoto)は現在、N響客演首席奏者。小澤、アルゲリッチら世界的音楽家からの信頼も厚く、ソリスト・室内楽奏者として日本を代表するヴィオラ奏者のひとり。

ザ・ルーテルホール クリスマス・チャリティ・コンサート
2017年12月2日(土) 13:30開演  ザ・ルーテルホール

ドイツ・リートの傑作を名手・川本嘉子のヴィオラで聴く 愛と人生の歌!
 〈Program〉
 シューマン:3つの幻想小曲集 作品73
 シューマン:歌曲集「詩人の恋」 作品48 (ヴィオラ&ピアノ版)
 ブラームス:4つの厳粛な歌 作品121(ヴィオラ&ピアノ版)
 ピアソラ:タンゴの歴史、 リベルタンゴ

シューマンの幻想小曲集はピアノ曲として作品12と作品111もあるが、作品番号が違う。彼は“幻想”と言う語を好んで使ったようである。上杉の解説によると、Fantasieは“即興演奏”という意味でも使われるらしい。ふと浮かんだ心の動きをそのまま音楽にしたという解釈もあるとすると納得しやすい。いずれにせよ、この曲ではどちらの意味でも分かる。
ハイネの詩による歌曲集「詩人の恋」はタイトルには馴染んでいて、全16曲の中で2・3曲はピアノ曲としてコンサートでも聴いたことがある。歌曲として聴いた記憶は無い。シューマンは恩師ヴィ―クの娘クララと恋に落ち、ヴィ―クの反対を押し切り、裁判にまで訴えて結婚に至った1940年に歌曲を集中的に書いた。シューベルトが確立したドイツ・リートを発展させ、情感豊かな曲作りをした。愛の喜びと苦しみを綴った歌曲を今回は珍しくヴィオラ&ピアノ版で聴けた。
ヴァイオリンとチェロの間で目立たないといわれるヴィオラが、楽器特有の人間の声に近い音を発揮して、今迄とは一味もふた味も違うヴィオラの良さが伝わってくる演奏に浸れた。ヴァイオリニストからヴィオリストに転向した音楽家のことはよく耳にするが、その理由が分かる演奏であった。ヴィオラ・ソナタを聴く機会が増えれば、なお一層その感を深くするだろう。

クララとのつながりも深かったブラームスは彼女が病に倒れてから曲を書き始め、完成直後にクララは亡くなっていた。その翌年にブラームスも世を去った。テキストは旧約聖書によるもので、「人は死ぬ運命にある」、「死よ、なんと苦いものか、満ち足りた生活を送っている時には。死よ、なんと心地よきものか、貧しい者、弱き者、年老いた者には」など、死生観が描かれている。
曲自体のことも全く知らなかったが、ここでも充実した演奏が聴けた。(*上杉によるプログラムの解説が非常に参考になった)

最後のピアソラは2曲とも演奏会で聴いたことがある。スペインから持ち込まれた舞曲に新しい響きとセンスを加えて、アルゼンチン・タンゴを書いたピアソラの作品群はクラシック音楽会で演奏されることも多くなっている。
上杉はバッハが得意であるようだが、現代曲も含め何でもこなす。川本はヴィオラの曲ではないものばかりを難なく弾きこなしてヴィオラの特徴を出すのだから、やはり凄腕の演奏家である。

彼女は久しぶりに来道し、雪の舞う様に叙情を感じとったらしい。また、ピアノが高音過ぎて、情熱が先走って興奮した状態になったと率直に語った。上杉は何の違和感もなかったと話した。

アンコール曲は①メンデルスゾーン:チェロ・ソナタ ?番 第3楽章 ②ポンセ:エストレリータ(小さな星) ③エルガー:愛の挨拶。
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Author:fsuterry
年間60回以上札幌コンサートホールKitaraに通うクラシック音楽ファン。クラシック全般に関心があるがオーケストラ・ピアノ曲が特に好きである。 

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