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西本幸弘ヴァイオリンリサイタルシリーズ 札幌公演

11月は海外から一流の演奏家が立て続けに来札して充実した演奏会が続いた。グルベローヴァ、プロムシュテットのような全盛期を過ぎた歌手、指揮者の栄光は今も輝いている。コンサートの感想への世界の読者の反応に驚きを禁じ得ない。特にグルベローヴァのファンは世界中で組織を作って彼女の活動の様子を様々な言語に翻訳して関係者に伝えている様子が窺がえる。私のブログを英語に翻訳する仕事をしている人もいるようである。今までもドイツ語、フランス語などの翻訳記事でアクセスしている人は結構いた。今回は一時的な現象だろうが、スロヴァキア語、チェコ語、ドイツ語(ドイツ、スイス)、フランス語、スペイン語、デンマーク語などの言語を通して10ヵ国もの人々のアクセスがあったのは初めてである。彼女のコンサートからひと月近くになるが, gruberova.comから毎日のようにアクセスが続いている。彼女の人気の凄さに驚いている。

前回のコンサートから1週間も空いた。11月最後の日に札幌出身のヴァイオリニストで、仙台フィルのコンマスを務めている西本幸弘のコンサートを聴いてみることにした。

2017年11月30日(木) 19:00開演  札幌コンサートホール大ホール
Yukio Nishimoto VIOLINable Discovery vol.4
(ピアノ/ 大伏 啓太)

〈Program〉
 ヘンデル:ヴァイオリンソナタ 第4番 ニ長調 op.1-13 HWV371
 クライスラー:クープランの様式による才たけた貴婦人
 サラサーテ:ミ二ヨンのガヴォット op.16
 サン=サーンス:サラバンドとリゴードン op.93
 ベートーヴェン:ヴァイオリンソナタ 第4番 イ短調 op.23
 フォーレ:初見視奏曲
 フォーレ:ヴァイオリンソナタ 第1番 イ長調 op.13
 
“Violinable Discovery”という言葉にはヴァイオリンの“可能性”を追い求めながら、様々な“発見”をするコンサートの意図が込められているようである。
西本は東京芸大卒業後、英国の音楽院に学んで多くの褒賞を受賞。英国を拠点にして目覚ましい活躍を行い、2010年に帰国。2012年、仙台フィルハーモニー管弦楽団コンサートマスターに就任。多様な音楽活動に従事しながら、毎年恒例の札幌公演も今回で4回目となる。
プログラムが新鮮に思えた。べート―ヴェンのソナタ第4番だけはCDで数度耳にしているが、他の曲はたぶん初めてであった。

ヘンデルはバッハと同時代の作曲家だが、現代と違って当時はバッハよりヘンデルが大人気だったと言われている。バロック期の音楽は通奏低音がハープシコードだったと思うので、現代のピアノは何となくイメージが違った。しかし、ヴァイオリンには当時の雰囲気が出ている感じはした。

続く小品3曲はフランスの香りが漂う曲で始まった。サラサーテの曲は元々はフランスの作曲家・トマの《ミニヨン》というオペラの中に出てくる舞曲だという。サラサーテならではの超絶技巧のヴァイオリン曲になっていた。サラバンドとリゴードンは元々弦楽合奏のために書かれた作品で、タイトルはバッハの舞曲を用いた曲でも知られる。軽やかなリズムでドイツ音楽とは違う色彩感はあった。

ベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタの中では第5番と9番が有名で演奏会で聴く機会が多くて、「第4番」は珍しい。数日前に樫本&リフシッツと庄司&カシオ―リの2種類のCDで聴いてみたが、3楽章ともに馴染みの旋律のある曲になっているのに自分でも意外に思って嬉しくなった。
西本は10年計画でベートーヴェンのソナタ全10曲を演奏中らしい。今回は第4回で「第4番」ということで、順番に演奏している。最終回が第10番となるようである。
ベートーヴェンが初めて書いた短調のソナタはベートーヴェン独自の特徴が出ている曲作り。第1楽章と第3楽章が緊迫感のあるドラマティックな展開となり、第2楽章がスケルツォで心休まる緩徐楽章。ピアノとヴァイオリンが対等な役割で演奏されて充実した聴き方が出来た。海外での活躍ぶりが納得のいく説得力のある演奏をした西本の実力が見て取れた。
ピアノの大伏は前2回の川畠成道のリサイタルでもピアノ伴奏の実力のほどを示していたが、安定感が抜群であった。ベルリンフィルのクラリネット首席奏者フックスなど国内外の一流の演奏家と共演している様子からも伴奏者として高い評価を受けているのが判る。

後半はフォーレの作品。チェロで聴く「夢のあとに」や「エレジー」で親しまれている作曲家。彼の最大の作品は「レクイエム」らしい。ジャン=フィリップ・コラールのピアノ集のCDを所有しているが、ピアノ音楽を通して聴くフォーレの音楽は優しくて美しい。今回のヴァイオリン曲は新鮮な気持ちで耳を傾けた。
1曲目はタイトルからして耳慣れない「初見視奏曲」。パリ音楽院の教授をしていた時に学生試験用に書かれたという非常に短い曲。フォーレらしい優しい調べで、あっという間に終った。

「ヴァイオリンソナタ第1番」は4楽章構成。温かい柔らかなピアノの調べで始まり、情熱的なヴァイオリンの演奏が入って変化のある第1楽章。ピアノとヴァイオリンの呼吸が合う滑らかな第2楽章。スケルツォの第3楽章ではヴァイオリンの技巧が光った。第4楽章は優しさあふれるフィナーレとなるが、全体的にフォーレの音楽の特徴が出ていた。

※フォーレはラヴェルがパリ音楽院に在学していた頃、教授陣の評価が低かったラヴェルを支えた教授で、ラヴェル事件の後にパリ音楽院院長として活躍した人物としても知られている。彼の作品はラヴェルとは全く違う作風であるが、当時からラヴェルの才能を見抜いていたフォーレは偉大な作曲家でもあった。

西本は才能豊かでトークも得意のようで、クラシック音楽の垣根を越えて様々な活動に従事している様子。幅広い分野で活躍している若い音楽家の今後の期待は大である。また、いつか都合が付けば彼のリサイタルに足を運ぼうと思った。

アンコール曲は「バッハ(グノー編曲):アヴェ・マリア」。
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Author:fsuterry
年間60回以上札幌コンサートホールKitaraに通うクラシック音楽ファン。クラシック全般に関心があるがオーケストラ・ピアノ曲が特に好きである。 

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