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ラトル指揮ベルリン・フィル日本公演2017に先立ち、東京公演と同じプログラムをデジタル・コンサートホールで鑑賞

2017年11月のベルリン・フィルハーモニー管弦楽団(サイモン・ラトル指揮)アジア・ツアーに先立って、ベルリン・フィルハーモニーで11月3日と4日の2日間、東京公演と同じプログラムが演奏された。シーズン・プログラム(PROGRAMME 2017/2018)には11月のコンサートは一つだけで少ないと思っていた。11月にアジア・ツアーが実施され、香港・中国・韓国・日本の公演があるのに気づいていなかった。
メールに香港公演のプログラムが入っていて、東京公演と同じ2種類のコンサートを視聴できることを知った。定期公演(3日)の視聴を先日済ませていて、今日は4日に行われたフィルハーモニーでの公演を視聴した。今日は3日の公演も再び視聴した。

【ラトルが《ペトルーシュカ》とラフマニノフ「第3番」を指揮】
演奏曲目/ストラヴィンスキー:ペトルーシュカ(1947年版)、チン・ウンスク(陳銀淑):コロス・コルドン(ベルリン・フィル委嘱作品)、ラフマニノフ:交響曲第3番。

「ペトルーシュカ」は当初、ピアノとオーケストラの協奏曲風の作品として構想され、ディアギレフの説得を受けてバレエ音楽として書かれ、1911年に初演された。1947年に楽器編成を縮小して改訂版が出された。ペテルブルグの謝肉祭に起こった人形ペトルーシュカの悲劇を題材にした音楽。ピアノの華々しい活躍があり、ロシア民謡、舞踏曲などの音楽が入った華麗な作品で、CDで聴いていただけでは分らない漠然とした音楽が,今回は生き生きとして伝わってきて非常に楽しめた。映像を見て、ストーリーの場面を把握しながらワクワクした気分で鑑賞した。ラトルも表情豊かな指揮ぶりで、木管、金管各奏者のソロも含めて楽器の特徴的な響きを心から楽しめた。ストラヴィンスキーの曲をこんなに楽しい気分で最初から最後まで聴けたのは今までにないことで、日を変えて2度聴いた。

Unsuk Chinは韓国の若い女性作曲家。曲のタイトルは“古代ギリシャの弦の踊り”の意味。天文学や宇宙論に興味があるというが、陳の演奏時間11分の曲は音響的にはストラヴィンスキーに近い性格の現代曲。韓国で彼女は大歓迎を受けるのは間違いなさそうである。

ラフマニノフの最後の交響曲「第3番」は米国に亡命中の1935・36年の完成で、第2番から30年近くが経っていた。ピアニストとして多忙で絶頂期を迎えていた時期に書かれた作品はラフマニノフ特有のロシア的抒情を湛えながらも、晩年に近い心境も吐露された曲のように思えた。第2番に比べて聴く機会が少ないが、非常に聴きごたえのある作品であった。
ヴァイオリン・ソロでコンマスの樫本が奏でる甘美な旋律、フルートのパユ(*来月5日にKitaraで久しぶりにリサイタルを開く)が歌う旋律も美しい。オーボエのマイヤー、ホルンのドールのソロなどの惚れ惚れする響きも心にしみた。ラフマニノフのオーケストレーションの素晴らしさを満喫した。

【チョ・ソンジンがラトル指揮でベルリン・フィルにデビュー】
演奏曲目/R.シュトラウス:交響詩「ドン・ファン」、ラヴェル:ピアノ協奏曲 ト長調、ブラームス:交響曲第4番。

シュトラウスはハンガリーの詩人レーナウの叙情詩に基づいて、この曲を書き、理想の女性を求めて女から女へと移り、最後には決闘で傷ついて人生を終える悲劇的な男の姿を描いた。何度も聴いている曲であるが、いつもと違って、より身近な曲として聴けて楽しかった。4日のコンマスはスタブラヴァ、各楽器のソロ担当は前日と違う奏者だった。西欧のオーケストラは東欧と比べて奏者の負担が少なくて済む陣容を整えているのを実感した。

ピアノ奏者に予定されていたラン・ランの代役で2015年ショパン国際ピアノコンクール優勝者Seong-Jin Choがベルリン・フィル初登場。今年の1月にKitaraで感動的なリサイタルで強烈な印象を残したチョ・ソンジンは当然ベルリン・フィルハーモニーのステージに上がっていると思っていたので少々意外であった。急遽の代役で、予定の曲目はChoが15歳から弾き続けているというラベルの協奏曲に変更された。
ラヴェルのスペイン趣味やアメリカのジャズから生まれた独自の幻想味あふれる曲の展開はラヴェルならではの独創的な試みがなされている。楽想が豊かで、色彩感のある表現も見事である。第2楽章は繊細さと華やかさを備えた緩徐楽章。終楽章は力強く煌びやかなフィナーレ。
何度か演奏会で聴いているが、やはり手の動きと顔の表情が明瞭に見れる映像付きで聴く音楽は違う。チョは、まだ23歳だが、貫禄十分で圧倒的な演奏で聴衆の盛大な拍手と歓声を贈られていた。
ベルリン・フィルの日本人第2ヴァイオリニストの伊藤マレーネからのインタヴューを受けて、本拠地をパリからベルリンに移した話も初めて耳にした。フランス音楽を勉強して、その成果をCDでリリースしてもいる。今回の韓国訪問は2度目の凱旋帰国になり熱狂的な歓迎を受けるようであるが、本人は冷静にいつもと変わらぬ演奏を続ける覚悟を語った。

ブラームスの「第4番」は第1番と並ぶ人気の交響曲。「ドン・ファン」と「ブラームス第4番」は前回の日本公演と同一プログラムだそうである。ラトル最後のベルリン・フィル首席指揮者としての最後の来日公演を飾る記念すべきプログラムのようである。
2日間にわたるラトルの指揮ぶりは心なしかいつもより渾身の力のこもった指揮ぶりに思えた。23・24・25日の川崎・東京公演が成功裡に終わることを祈る!
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Author:fsuterry
年間60回以上札幌コンサートホールKitaraに通うクラシック音楽ファン。クラシック全般に関心があるがオーケストラ・ピアノ曲が特に好きである。 

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