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カティア・ブニアティシヴィリ ピアノ・リサイタル

世界の俊英ピアニストのひとり、ブニアティシヴィリはクレーメル・トリオのメンバーとして2011年4月6日、Kitaraでチャイコフスキーのピアノ三重奏曲などを演奏する予定になっていた。残念ながら、東日本大震災のためキャンセルになった。その時からピアニストの名を記憶していて、彼女が世界の注目を浴びる演奏家になっていく様子を見守っていた。1年前から札幌公演の情報を得て、今回のリサイタルを楽しみしていた。

札幌コンサートホール開館20周年 〈Kitaraワールドソリストシリーズ〉
Khatia Buniatishvili Piano Recital

2017年11月18日(土) 14:00開演  札幌コンサートホールKitara小ホール

ブニアティシヴィリは1987年グルジア(現在のジョージア)生まれ。12歳から本格的な演奏活動を始める。2003年ホロヴィッツ国際コンクールで特別賞、2008年ルービンシュタイン国際ピアノコンクール第3位。同年カーネギーホールにデビュー。その後、プレトニョフ、アシュケナージ、パーヴォ・ヤルヴィ指揮の世界の一流オーケストラと共演するほかに、リサイタルや室内楽で活躍している。

〈Program〉
 ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ 第23番 ヘ短調 「熱情」 作品57
 リスト:「ドン・ジョバンニ」の回想
 チャイコフスキー(プレトニョフ編曲):組曲「くるみ割り人形」
 ショパン:バラード 第4番 ヘ短調 作品52
 リスト:スペイン狂詩曲
 リスト(ホロヴィッツ編曲):ハンガリー狂詩曲 第2番 嬰ハ短調

ピアノという楽器の限界を駆使しながら情熱を荒々しく表現したベートーヴェンの最高傑作ともいえるピアノ・ソナタ。バックハウス、シュナーベル、グールド、ホロヴィッツ、ゲルバー、ハイドシェク、ポリーニ、ブーニン、トカレフ、ユンディと10枚を超えるCDが手元にあり、ライヴで聴いたピアニストは数えきれないほど。運命の動機が入り、緊迫感のある第1楽章、情感を湛えた第2楽章、情熱的な嵐が吹く第3楽章。ダイナミックでドラマティックな曲を久しぶりに聴いた。

モーツァルトの「ドン・ジョバンニ」は序曲は聴く機会が多く、今月2日のグルベローヴァの演奏会で「ドンナ・アンナのアリア」も聴いたばかり(*スロヴァキア、チェコ、ドイツ、スイスなどgruberova.comから毎日私のブログにアクセスしてくるが、グルベローヴァ・ファンの多さに改めて驚く)。
ピアノ編曲版は初めて聴いた。オペラの第2幕、墓地で騎士長の石像がドン・ジョバンニに復讐をほのめかす場面から始まり、美しい二重唱「お手をどうぞ」による変奏などを聴きながら、オペラの場面を何となく思い浮かべた。さすが、リストの曲だと思わせる鍵盤の上を手が走り回る超絶技巧の演奏テクニックに目を奪われた。
演奏中に村上春樹の小説「騎士団長殺し」を思い浮かべる雑念もあった。とにかく面白かった。

プレトニョフ編曲の「くるみ割り人形」は10年前まで4年連続して来演していた若手のニコライ・トカレフのCDが手元にある。「行進曲」、「金平糖の踊り」、「タランテラ」、「間奏曲」、「トレパーク」、「中国の踊り」、「アンダンテ・マエストーソ」の7曲から成る組曲。管弦楽のバレエ音楽を見事にピアノ曲に編曲した作品で、馴染みのメロディに心も弾む。来年10月開館の札幌文化芸術劇場でバレエを観る機会がいつかあると期待も大きくなる。

ブニアティシヴィリはリストとショパンのアルバムをリリースしていて彼らの曲を得意にしているようである。リストとは全く趣の違ったショパンの曲。美しい主題が、次々と変容していくドラマティックで色彩感に富んだ曲。バラード4曲中で「第1番」が最も親しまれていると思うが、「第4番」はショパンの偉大な創造性が示された作品として音楽的に傑作とされているようである。

前半2曲の後に休憩を挟んで後半は4曲。後半はステージを下がらずに弾き続け、最後の2曲はピアニストが最も得意としているリストの作品。
「スペイン狂詩曲」はスティーヴン・ハフと反田恭平のCDがあるが、馴染みの曲にはなっていないので、今回のコンサートの前に聴いてみた。2年前にリリースしたKyohei Soritaの“Liszt”は発売早々に手に入れた。ニューヨーク・スタインウェイCD75(1912年製造)を使用しての演奏は素晴らしくて、何度か繰り返して聴いている。リストはスペイン旅行を行った1845年に「スペインの歌による演奏会用大幻想曲」を完成している。1863年頃、この作品の主題を用いて新たに書かれた曲が「スペイン狂詩曲」。前半ではフォリアと呼ばれる荘重なスペイン舞曲、中間部ではホタ・アラゴネーサ(スペインのアラゴン地方の民謡)が用いられ、最後はフォリアが華麗に再現される。リストの作品の中でも、ひときわ高度な演奏技術が要求されるという難曲をいとも簡単な様子で弾くブニアティシヴィリ。運指の動きがホール中央の座席から見え、ミスタッチがあるかもしれないような速度で何分も弾き続けるピアニスト。凄いと言うほかに言葉が見つからないほどのテクニック。

最後はホロヴィッツ編曲の「ハンガリー狂詩曲第2番」。この曲は演奏会で馴染みのメロディ。ランランとトカレフの弾くCDでもよく聴いた。全19曲のうちで、「第2番」は実に華やかで、聴いていて楽しい。コンサートの最後を飾った曲にブラヴォーの声があちこちから飛び交った。

1ヶ月前にチケット完売となり、演奏終了後の客席を埋めた聴衆盛大な拍手喝采に、ブニアティシヴィリも満足の様子で、次々とアンコール曲を披露して最終的には5曲にもなった。2階バルコニー席からスタンデイング・オヴェ―ションをしている若い客の姿も目に入った。
アンコール曲は①シューベルト(リスト編):セレナード ②リスト:メフィストワルツ第1番 ③ドビュッシー:月の光 ④ヘンデル:メヌエット ⑤ショパン:前奏曲 ホ短調 作品28-4。

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Author:fsuterry
年間60回以上札幌コンサートホールKitaraに通うクラシック音楽ファン。クラシック全般に関心があるがオーケストラ・ピアノ曲が特に好きである。 

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