ゲルハルト・オピッツ ピアノ・リサイタル

 今年の12月の前半は私の気に入りのコンサートが続く。1日~7日までの1週間で5日間Kitaraに通うことになる。今日はオピッツが4年ぶりに札幌を訪れる。
 
 ゲルハルト・オピッツ(Gerhard Oppitz)は第2次世界大戦後に芸術家を目指す環境が無くなった国で、戦後生まれのドイツ・ピアノ界の巨匠と言われる。ウイルヘルム・ケンプからベートーヴェンの曲について学び、ケンプの後継と呼ばれる存在になった。

 2008年12月に開いたKitaraでのリサイタルではベートーヴェンの4大ピアノ・ソナタとして「悲愴」、「月光」、「テンペスト」と「熱情」を弾いた。オピッツは2005年~08年にわたり、ベートーヴェンの「ピアノ・ソナタ」全曲演奏会を東京で企画して大成功を収めた。このベートーヴェン・チクルスの企画が大きな反響を呼び、日本ツアーの開催にも繋がったのではないだろうか。満席に近い客の入りだったと記憶しているが、私は3階の中央の席から鑑賞した。音も良く響き、手の動きも観察できて、何度も聴き慣れた曲に満足して聴き入った。

 今日は4年ぶりのオピッツのリサイタルで、プログラムの前半は、シューマン:子供の情景 作品15、
シューベルト:即興曲集 作品142、D935
 
 30曲のピアノ小品から13曲を選んでまとめられたのが「子供の情景」である。クララへの手紙によると、当初は12曲で構成される予定であったが、追加された1曲が《トロイメライ》だそうである。13曲の中で最も有名な曲として親しまれ、子供の夢がいっぱい詰まった可愛い曲でヴァイオリン等いろんな楽器用に編曲されている。自分の子供時代を思い出したり、シューマンとクララの穏やかで幸せな瞬間に想いを馳せたりしながら聴いた。

 シューベルトの「4つの即興曲」は素朴で、独特のリズムのある軽快な旋律があちこちに出てくる。詩情豊かな即興性のある曲で聴いていて軽やかな気分になった。

 後半は、ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ 第8番「悲愴」、
                ピアノ・ソナタ 第23番「熱情」。

 「悲愴」はパセティックな重々しい調べの後に苦悩に満ちた表情も見られるが、第3楽章では「悲愴」とは言ってもリズムの美しい哀感に満ちた旋律が溢れ出る。「熱情」は情熱的で激しい感情の吐露、生々しい高揚感が迫力のある演奏で表現される。
 オピッツの圧倒的な存在感が際立ったベートーヴェンの演奏に聴衆も魅了された。
 
 4年前のコンサートではアンコール曲はなかったが、今夜はアンコールに応えて1曲演奏してくれた。
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ 第17番≪テンペスト≫第3楽章

 今回は3階やP席を売り出さず2階席も空席が目立ったが、オピッツ・ファンの皆が最後には彼の演奏に酔いしれた。
 オピッツは12月2日に大阪のザ・シンフォニーホールで4年前の札幌と同じベートーヴェンの4大ソナタ、12月12日と27日に東京のオペラシティ・コンサートホールで≪シューベルト連続演奏会≫第5回と第6回を各々別のプログラムで開催する。15日にはソリストとして東京都交響楽団と共演する。[音楽の友のコンサート・ガイドによる]
 まだ還暦前とは言え、彼のエネルギッシュな活動には敬服する。 

追記: 日本のピアニスト近藤嘉宏はドイツ留学中、ミュンヘン国立音楽大学でオピッツに師事していた。彼は日本デビューを果たす前にミュンヘン交響楽団と共演している。         
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Author:fsuterry
年間60回以上札幌コンサートホールKitaraに通うクラシック音楽ファン。クラシック全般に関心があるがオーケストラ・ピアノ曲が特に好きである。 

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