札響名曲シリーズ2017-18 遠くイタリアを夢見て(指揮/バーメルト)

〈森の響フレンドコンサート〉
 
スイス出身の指揮者、マティアス・バーメルトは過去2回札響定期に登場。札響との初共演が2014年1月、続く2016年1月はヴァイオリニストのイザベル・ファウストと協演して2度目の登場。今回の3度目の共演を前に2018年4月から札幌交響楽団首席指揮者に就任することが決まった。

2017年10月14日(土) 14:00開演  札幌コンサートホールKitara大ホール

指揮/ マティアス・バーメルト(Matthias Bamert)     管弦楽/ 札幌交響楽団

〈Program〉
 チャイコフスキー:幻想序曲「ロメオとジュリエット」
 メンデルスゾーン:交響曲第4番 イ長調 「イタリア」 op/90
 プロコフィエフ:組曲「ロメオとジュリエット」抜粋(バーメルト編)

チャイコフスキーはシェイクスピアに題材を得た管弦楽曲を3曲残しているが、《幻想序曲「ロメオとジュリエット」》は最初に書かれた曲で最も親しまれている。(*他の2曲は《交響的幻想曲「テンペスト」》と《幻想序曲「ハムレット」》。偶々、ドゥダメル指揮シモン・ボリバル響の演奏による3曲入りの輸入盤が手元にあったが耳にしたのは一度だけである)。「ロメオとジュリエット」はゲルギエフ指揮ウィ-ン・フィルのCDに「悲愴」とカップリングされていて何度か聴いたことがある。
チャイコフスキーの初期の傑作とされる「ロメオとジュリエット」は色彩豊かでオーケストレーションがダイナミックである。馴染みのストーリー展開であるが、モンタギュー家とキャプレット家の抗争が巧みに表現され、イングリッシュ・ホルンとヴィオラによる“愛の主題”が歌われる。両家の反目の主題がトゥッテイで奏され、最後に二人の死を悼むティンパニの響き。思っていたより大人数での演奏も観ていて気持ちが高揚した。

メンデルスゾーンが書いた5曲の交響曲の中で最も有名で広く親しまれている「イタリア」。メンデルスゾーンは20歳の頃にヨーロッパ各地を演奏旅行した折の印象を様々な曲に綴っている。その中でもドイツと対照的な明るい風土を持つイタリアが気に入って作曲した「イタリア交響曲」。ナポリなど風光明媚な街を訪れ、明るい陽の光の中で過ごす人々と接して得た色々な印象を基に作曲した。4楽章全体にわたって印象的なメロディが入っていて魅力的な曲。第4楽章はローマ周辺で流行った舞曲「サルタレロ」のリズムで始まり、ナポリの舞曲「タランテラ」のリズムも加わった。楽しい気分のうちにクライマックスへ。
前曲と対照的にオーケストラの編成は意外と小振りであった。

プロコフィエフは1917年ロシア革命勃発でアメリカに亡命して、33年に母国ソ連に戻り、祖国復帰後の初の大作が《バレエ音楽「ロメオとジュリエット」(全曲52曲)》。ボリショイ劇場での初演の機会に恵まれずに、プロコフィエフは演奏会用組曲に編み直し、36年に〈第1番〉7曲、37年に〈第2番〉7曲で初演にこぎつけた。44年に〈第3番〉6曲。
組曲がそのままの形で演奏されることは珍しく、指揮者が様々な形で抜粋することが多いようである。デュトワ指揮N響のCDでは8曲が収録されていて何度か聴いているが、演奏会で聴くのは今回が多分初めてだと思う。
今回はバーメルト抜粋で11曲。「モンタギュー家とキャピュレット家」、「朝の歌」、「少女ジュリエット」、「情景」、「朝の踊り」、「仮面」、「踊り」、「ティボルトの死」、「別れの前のロメオとジュリエット」、「ジュリエットの墓の前のロメオ」、「ジュリエットの死」。
5曲がCDと一致していたが、馴染みのメロディは2・3曲だけだった。
両家の抗争の場面は別にして音楽は抒情的な場面が多くて、粗筋は知っていても、具体的な場面が想像だけで把握しきれなかった。指揮者に目が行くより、ピアノ、チェレスタ、打楽器、管楽器の奏者に注目して音が発する楽器に思わず目が行った。ステージ全体が見渡せる2階正面の席から各奏者の動きが観れたが、静かな音楽が中心の曲の流れに何となく身をゆだねた感じになってしまった。

※バレエとしての初演は38年チェコスロヴァキアのブルノ劇場、祖国での初演は40年レニングラードのキーロフ劇場。
10年ほど前にゲルギエフ指揮マリインスキー劇場キーロフ・オーケストラによるバレエ音楽の全曲のCD2枚を手に入れ、購入時に一度は通して聴いている。バレエの実演で観ないとなかなか充実した鑑賞は出来ない。来年オープンする札幌文化芸術劇場でいつの日かバレエ音楽を鑑賞できる日を待ちたいと思う。

今回の演奏会では次期札響常任指揮者に就任したバーメルトへの歓迎の雰囲気が演奏会の最初から最後まで大ホールに漲っていた。特に演奏終了後のバーメルトに対する態度でオーケストラ楽員を含めて聴衆の盛大な拍手は凄かった。
来シーズンは4月の名曲シリーズ、4月定期、9月定期、1月定期と4回バーメルトは札響の指揮を執る。

アンコール曲は弦楽合奏で「モーツァルト:カッサシオン K.63より “アンダンテ”」。
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年間60回以上札幌コンサートホールKitaraに通うクラシック音楽ファン。クラシック全般に関心があるがオーケストラ・ピアノ曲が特に好きである。 

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