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外山啓介デビュー10周年記念ピアノ・リサイタル

外山啓介が正式にデビューする前の2005年に毎日新聞社・札幌コンサートホールの主催で《Kitaraのオータムコンサート》が開催されて外山啓介と橘高昌男が出演した。2人は共に札幌出身で日本音楽コンクール・ピアノ部門優勝者(外山は2004年、橘高は1996年)。(*2002年の第1位、鈴木慎崇、2010年の第1位、吉田友昭も札幌出身で札幌のピアノ教育レヴェルの高さがうかがえる)。
その後、2007年に外山啓介デビュー・ピアノリサイタルの全国ツアーが開催された。ツアー前にデビュー・アルバムもリリースされて各地で大反響が巻き起こり、最後の公演地となった札幌のKitara会場も満席で沸きかえった様子が脳裏に浮かぶ。

近年の外山の札幌でのリサイタルは秋に開かれているが、毎年聴き続けていて今回が16回目。13年に書いたブログへのアクセスが今年8月から急激に増えて異常を感じていたが、国内ツアーが秋に断続的に行われていて一過性の状況でないことが判った。

『オール・ショパン・プログラム』は07年、10年、15年に続いて4回目。今回はデビュー・リサイタルとほぼ同じようなプログラム。

2017年10月13日(金)  7:00開演  札幌コンサートホールKitara大ホール
〈Program〉
 ワルツ第1番 「華麗なる大円舞曲」 変ホ長調 op.18
 バラード第1番 ト短調 op.23
 ノクターン第20番 遺作 嬰ハ短調
 幻想即興曲 嬰ハ短調 op.66
 ポロネーズ第7番 「幻想」 変イ長調 op.61
 舟歌 嬰へ長調 op.60
 ピアノ・ソナタ第3番 ロ短調 op.58

「ワルツ第1番」は文字通りに華麗でスケールの大きい曲。19世紀のヨーロッパで最も愛された舞曲で、目まぐるしく回転する踊りを通して、高貴な貴族のイメージが広がる。ポーランドの踊りに由来するポロネーズやマズルカと違って、サロンの舞踏会で展開される娯楽音楽とも言えるような曲。

物語風の詩からイマジネーションを膨らませ美しい旋律で綴った「バラード第1番」をショパンと同じ年のシューマンは他のどの作品よりも好きだったと伝えられている。バラード4曲中で最も親しまれている曲。

「ノクターン第20番」を聴くと映画「戦場のピアニスト」の冒頭場面をいつも思い出す。映画の主人公が放送局でピアノを弾いているとドイツ軍の砲撃が始まる。この時の曲が「ノクターン嬰ハ短調」。2002年のカンヌ国際映画祭で最優秀作品賞を受賞して世界的に話題となった映画の冒頭場面で流れた調べ。(*ドイツ人将校との出会いの場面で弾かれた曲は「バラード第1番」だったと思う)。ピアノ・リサイタルのアンコールピースとして演奏されることが多い曲だが、その調べに常に心が揺さぶられて感動する。

ショパンの4曲の即興曲の中で最初に書かれた「幻想即興曲」は彼の死後に出版されたので「第4番」となり、タイトルもその際に「幻想」と付けられた。曲の中間部の甘美で感傷的な旋律が美しくて最も親しまれている即興曲。

「幻想ポロネーズ」は極めて独創的な作品。ポロネーズの持つ本来の舞踏的な性格は拍子やリズムの一部に残っているが、旋律形式ともに自由に書かれている。旋律は瞑想的で苦渋の雰囲気もあわせて“ファンタジー”となったようである。舞曲を芸術的に高めた作品として評価されている。

バルカロール(舟歌)はヴェネツィアのゴンドラの歌で8分の6拍子である。ショパン唯一の「舟歌」は8分の12拍子で書かれた。ゆったりとした船の動きを表現し、波が揺れるようなリズムや櫂から滴り落ちる水を表すようなメロディが情緒を高めている。名曲として愛されているが、演奏が難しいそうである。

「ピアノ・ソナタ第3番」は雄大な規模と豊かな詩的情緒を湛え、ショパンの最大傑作の一つとされるソナタ。ショパン晩年の代表的な作品。外山は以前ショパン作品の中で最も好きな曲として挙げていた。
4楽章構成。ソナタの伝統的な形式にとらわれずに自由に書き上げた作品。豊かな楽想で変化に富み、曲全体が重厚さに彩られていて美しい。

外山啓介はショパンで鮮烈なデビューを飾って10周年のリサイタルを一応ショパンの集大成の位置づけにしたのだろう。これまでのコンサートでもベートーヴェンやリストを含め他の作曲家の作品も取り上げてきた。それなりに器用なピアニストで繊細で色彩感の豊かな音楽を作り上げてきた印象が強い。ステージ上の礼儀も含めて好感度の高い演奏家である。三十路に入ってより積極的にレパートリーを広げていってほしい。
外山には確かにショパンが似合い聴き手の満足度も高いが、より新しいことに挑戦してもらいたい。

大ホールで1000名以上の聴衆を集め続けるのは大変だが、今回も女性客を中心に結構たくさんの人々がKitaraの客席を埋めた。アンコール曲は①ショパン:ワルツ第2番  ②シューマン=リスト:献呈。







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Author:fsuterry
年間60回以上札幌コンサートホールKitaraに通うクラシック音楽ファン。クラシック全般に関心があるがオーケストラ・ピアノ曲が特に好きである。 

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