鼓童 打男DADAN 2017 (坂東玉三郎演出)

太鼓ソロ奏者の林英哲が世界的に活躍してKitaraでも毎年のように公演を行っているのは知っていたが、コンサート鑑賞のスケジュールが合わないこともあって今までに一度も聴く機会は持っていなかった。
今年の6月に坂東玉三郎が来札して行った《坂東玉三郎がいざなう鼓童の世界》を鑑賞した妻が感動の様子を熱く語った。今度は音響の良いKitaraでの公演なので、私も一度は聴いてみる気になっていた。他のコンサートの開催の状況を考えながら、チケットは2ヶ月前に購入したがS席は数席しか残っていなかった。この時点で鼓童の人気の凄さを感じていた。

『鼓童』は佐渡を拠点に国際的に活動しているプロの和太鼓集団で、グループでの豪快な乱れ打ちに興味を抱いていた。坂東玉三郎は魅力的な歌舞伎女形役者として実演や歌舞伎シネマを通して素晴らしい艶姿と演技に接してきた。歌舞伎の演出だけでなく、彼は芸術を総合的に高める創造的な仕事にも携わっているようである。その新しい一面も知ってみたいと思っていた。

この太鼓集団は1981年創立。プログラムによると、1981年ベルリン芸術祭でデビュー以来49ヶ国で6000回を超える公演を実施。世界中を駆け巡って公演を続けているのは信じがたいほどである。坂東玉三郎は2012年から2016年まで芸術監督に就任して『鼓童』と関わったことで今回のツアーはその集大成といえる公演かも知れない。

演目は一幕5曲、二幕4曲。日本各地の伝統芸能を素材にしたもの、現代音楽作曲家に依頼したもの、鼓童メンバーのオリジナルなどのようであった。一・ニ幕の休憩時間を除いて全演目が切れ目なしで演奏された。一幕第2曲は坂東玉三郎の作曲と知って驚いた。曲に斬新さもあり20分ほどもかかる大曲。舞台転換が曲の中断を避けて巧みに行われていた。ただ、聴衆が拍手をするタイミングが取れないでいたが、何曲か進んでいくうちに自然に拍手も沸き起こった。
大太鼓、中太鼓、囃子太鼓(?)が主として使われ、ティンパニと思われる楽器も含め、数種類の打楽器。3台の大太鼓は直径が1メートル30センチぐらいの巨大なもの。
演奏者は疲れを知らず、ただひたすらに太鼓を叩く。特に大太鼓を叩き続ける姿は見事で美しい。音も凄いが、姿勢正しく打つ男の姿には見とれてしまう(打男の言葉がふさわしい)。普段から体力を鍛えていないと、体がもたない感じ。相当な訓練なしには絶対にできない連続した乱打うちが何分も続く。まるで神業である。しかもそこに美しさが伴って人の心を打つ。

楽器の中には名がハッキリ分らないが、童(こども)が鼓を休みなく打ち続ける姿も感じ取れて微笑ましい感じがした。多分、佐渡には子どもが鼓に親しむ環境も作られ、アフリカや南米にも広がっている共通の楽器のような気がした。
この太鼓集団が欧米だけでなく、世界中で人気のある所以は世界共通の民族楽器の持つ素朴さと人々の琴線に触れる音ではないのだろうか。途中で諦めることなく、生命の限りを尽くす精神を人々に告げているようでもある。

休憩20分を挟んで1時間40分の公演。演奏終了後の割れんばかりの拍手と大歓声は普段のクラシックコンサートの時とは違った盛り上がり。気持ちを爆発させて感動している人々が多くいた。アンコールに演奏されたサンバのリズムに聴衆も熱狂していた。太鼓のリズムは特に日本人の気持ちを揺さぶる響きを持ち合わせているようであった。

2017年ツアーは昨日の札幌公演で始まり、12月末まで全国縦断32公演が続く。2018年にも引き続き、国内公演、海外公演も予定されているようである。今回は12名の出演だったが、メンバーの入れ替わリもあるだろうが、技能面は当然ながら精神面、体力面の総合力を維持して日本の誇る芸術を高めてもらいたい。



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Author:fsuterry
年間60回以上札幌コンサートホールKitaraに通うクラシック音楽ファン。クラシック全般に関心があるがオーケストラ・ピアノ曲が特に好きである。 

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