Kitara開館20周年 ダネル弦楽四重奏団

〈Kitara弦楽四重奏シリーズ〉

札幌コンサートホールKitaraは1997年7月の開館以来、さまざまな自主企画のコンサートを行ってきている。《弦楽四重奏シリーズ》も重要な企画の一つである。
海外のストリング・カルテットでチェコのプラジャーク・カルテットとベルギーのダネル・カルテットは比較的定期的に来札している弦楽四重奏団である。
ダネル弦楽四重奏団(Quatuor Danel)は2005年に札幌コンサートホールの招聘による初来日を果し、その後、06、07、09、11、13年に続いて今回は4年ぶりのKitara公演になった。Kitaraでは2夜連続公演も多く、今回は『ベートーヴェン カルテットの真髄』と銘打ってオール・ベートーヴェン・プログラムで開かれた。第一夜が〈ラズモフスキー全曲〉、第二夜〈後期の傑作3曲〉。

2017年9月22日(金) 19:00開演  札幌コンサートホールKitara小ホール
〈Program〉
 弦楽四重奏曲 第7番 へ長調 「ラズモフスキー第1番」 作品59-1
 弦楽四重奏曲 第8番 ホ短調 「ラズモフスキー第2番」 作品59-2
 弦楽四重奏曲 第9番 ハ長調 「ラズモフスキー第3番」 作品59-3

ベートーヴェン中期の弦楽四重奏曲のラズモフスキー3曲はハイドンやモーツァルトからの影響を完全に脱した曲作りとされている。すべての要素がベートーヴェン固有の特徴を持つ曲となり、演奏技巧もより高いものが必要とされるようである。
作品59の3曲は当時のウィ-ン駐在のロシア大使、ラズモフスキー伯爵の依頼で作曲された。彼は政治面より芸術文化面で大きな役割を果たした人物で、伯爵邸で弦楽四重奏演奏会が開かれていたことも容易に想像できる。

他のジャンルと比べて弦楽四重奏曲の良さがまだ充分にわかっていないが、この3曲はベートーヴェンの弦楽四重奏曲では親しんでいる方である。カルテットの演奏会でも聴く機会が多い。演奏会の曲目になるたびにスメタナ四重奏団やアルバン・ベルク四重奏団のCDでサラッと耳にしているので慣れ親しんだメロディもある。

「59-1」は規模が雄大で重厚な感じ。弦楽器の演奏だが管楽器などの他の楽器に似た響きも聴き取れる。第4楽章にロシア民謡も入って楽しいフィナーレ。
「59-2」は「第1番」と違って内省的な曲調。第1楽章が何となく暗い雰囲気だが、第3楽章にロシア民謡が使われていて伯爵への心遣いが感じ取れる。終楽章はギャロップ風で軽快なフィナーレ。
「59-3」は3曲中で最も明るい作品。英雄的で堂々とした音楽。第2楽章は暗い雰囲気もあったが情緒が豊かに感じられた。チェロのピッチカートが印象的であった。第3楽章がメヌエット。第4楽章は充実してエネルギッシュな楽章となり輝かしいフィナーレ。前2曲との違いも出ていて、よりシンフォニックな印象を受けた。

今日の演奏では4つの楽器の対話が見事に生き生きと表現されている様が見て取れた。第1ヴァイオリンのダネルのリーダーシップが際立ち、4人の奏者のハーモニーを導き出していると思った。チェロが低音域とピッチカート奏法で魅力を一段と放っていた。地味に思える弦楽四重奏曲の素晴らしさがタップリ味わえた演奏会となった。

今までに無いような拍手大喝采に包まれて演奏が終了したのが9時10分。熱演でアンコール曲は無いかもと思っていたら大声援に応えて2曲の弦楽四重奏曲(*作品18から?)の一部が演奏されるサービスがあった(*アンコール曲名は確かではない)。ある種の感動に包まれた瞬間! Kitara招聘のカルテットならではの特別な配慮を感じたが、聴衆の感動が演奏家に伝わったのだと思った。終了時間が9時半になっていたが、ホワイエはサイン会に並ぶ人で賑わい心地よい雰囲気が漂っていた。

※8月末から前回のダネル弦楽四重奏団演奏会のブログ(13年9月)へのアクセスが多いので不思議に思っていた。その理由が分かった気がした。今回は札幌大谷大学と札幌コンサートホール連携事業で26日にはダネル弦楽四重奏団を迎えて大谷大学で公開講座も開かれることを知った。加えて、前回ブログで「ラヴェル事件」について触れたので興味を持った人がいてアクセス数が急増したのかもしれないと思った。
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Author:fsuterry
年間60回以上札幌コンサートホールKitaraに通うクラシック音楽ファン。クラシック全般に関心があるがオーケストラ・ピアノ曲が特に好きである。 

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