東京都交響楽団 札幌特別公演(大野和士指揮)

都響(To・Kyo)として親しまれる東京都交響楽団が創立40周年記念に北海道公演を始めたのが2005年9月。その後、2年に1度の札幌特別公演が続いている。指揮者が05年 金聖響、07年&09年 小泉和裕、11年 レオシュ・スワロフスキー 13年 小林研一郎、15年 下野竜也で、今年は都響音楽監督・大野和士のKitara初登場。

大野和士(Kazushi Ono)は1960年、東京都生まれで日本を代表する世界的指揮者のひとり。87年トスカニーニ国際指揮者コンクールに優勝。クロアチアのザグレブ・フィル音楽監督(90-96)、都響指揮者(90-92)、東京フィル常任指揮者(92-99)、バーデン州立劇場音楽総監督(96-2002)、ベルギー王立歌劇場(モネ劇場)音楽監督(02-08)、フランス国立リヨン歌劇場常任指揮者(08-17)を歴任。15年より都響音楽監督に就任。
これまでミラノ・スカラ座、メトロポリタン歌劇場など欧米の一流の数多の歌劇場に客演、コンサートでもヨーロッパの主要オーケストラに客演して世界的に評価を高めている。ブリュッセル在住。
現在はバルセロナ響音楽監督、東京フィル桂冠指揮者。18年9月に新国立劇場オペラ部門芸術監督に就任予定。

92年に東京フィルを率いて北海道公演札幌特別演奏会を行ったが、今回はそれ以来25年ぶりとなった。

2017年9月18日(月・祝) 14:00開演  札幌コンサートホールKitara大ホール
〈Program〉
 ワーグナー:歌劇『ローエングリン』第3幕への前奏曲
 シベリウス:ヴァイオリン協奏曲 ニ短調 op.47(ヴァイオリン独奏/パク・へユン)
 サン=サーンス:交響曲第3番 ハ短調 op.78 《オルガン付》(オルガン独奏/室住素子)

ドイツ中世の伝説を基にしたオペラの主人公であるローエングリンは聖杯を守護する騎士。ローエングリンと王女エルザの婚礼が行われる第3幕の前奏曲なので、明るく力強い音楽。ワーグナーの管弦楽作品の中でも演奏機会の多い人気曲。騎士を象徴するホルンを中心にオーケストラ全体が高らかに主題を奏で、高揚した雰囲気に包まれる華やかな堂々とした曲。コンサートの幕開けに相応しい曲であった。

パク・へユン(Hyeyoon Park)は1992年、ソウル生まれの韓国人ヴァイオリニスト。09年ミュンヘン国際音楽コンクールで史上最年少優勝。欧米各地で活躍し、N響、読響、東響、名フィルとも共演。
シベリウスのヴァイオリン協奏曲は4大ヴァイオリン協奏曲に次いで人気が高く、演奏機会も多い。北欧の美しくも厳しい自然を背景に生きる人間や動物の姿を思い浮かべながら聴いてみた。ヴァイオリン独奏と管弦楽が緊張感を漂わせながらスケールの大きな音楽を展開した。ヴァイオリンのカデンツァの深みのある演奏が印象的だった。北欧的な寂しさがあるのが他のヴァイオリン協奏曲と違う感じがして、この曲の特徴かと思った。

北海道にも台風が上陸して人々にも様々な影響を及ぼした。交通機関にも影響が出てコンサート会場に来れなかった人もいたようである。それでも8割以上の客席が埋まっていたのではないだろうか。演奏終了後には満足の意の歓声も上がって、アンコール曲に珍しい曲が演奏された。アンコール曲は「エルガー:性格的練習曲集 op.24より No.5」(*メロディも曲のタイトルも全く知らなかった)。」

室住素子(Motoko Murozumi)は室蘭出身のオルガニスト。東京大学文学部文学部美学芸術科を経て、東京藝術大学音楽学部器楽科(オルガン専攻)卒業、同大学大学院修士課程修了。1989-97年、水戸芸術館音楽部門主任学芸員を務める。都響、新日本フィル、N響など共演多数。昨年9月札響定期で「レ―ガ―:序奏とパッサカリア」を弾いた。

サン=サーンスは5曲の交響曲を作曲した。コンサートで演奏される人気の交響曲は「第3番」。他の交響曲のCDを1・2度は耳にしているがメロディは全く覚えていない。オルガン付の交響曲も演奏会の曲目になるたびに予めCDで聴いている程度である。
「オルガン付」は交響曲という枠の中でオルガンを独奏楽器として用いたユニークな作品。“楽器の王様”と言われるオルガンの持つ音響的な奥行きの深さを利用したオーケストレーションが素晴らしい。今までコンサートで何度か聴いてきたこの曲の醍醐味を今回は一番よく味わえたように思った。その要因の一つは座席である。今回は2階CB2列13番で、ホールの真正面。最近はオーケストラ曲は可能な限り、好んでこの辺りの座席から鑑賞している。Kitaraはどの座席からでも良い音を楽しめるとはいえ、やはり座席の違いで鑑賞の感激度に影響がある。
オーケストラの中でのオルガンの響きも楽しめたほかに、この曲にピアノ連弾が入っているのも今回はじめて分った。聴くだけでなく観ることで演奏者の姿が視界に入る。何回か聴いているとメロディも親しんでくるようになる。今までは漠然と聞いていたが、今回は循環形式が用いられていて主題が繰り返されることにも気が付いた。基本的な音楽の知識が不足しているのは自覚しているのだが、音楽の構造が分かると一層楽しくなるだろうと思った。

オペラもコンサートも指揮する機会が多い海外での経験が伝わってくる大野の指揮ぶり。言葉では具体的に表現できないが、音楽全体に何か柔らかさが伝わってくる感じがした。昨夜の「クラシック音楽館」でレジェンドがテーマでカラヤンのN響初共演が話題になっていた。カラヤンはN響の演奏が縦になっているのに驚いて、全員に後ろを向いて演奏するように指示したそうである。結果的にカラヤンによると演奏が良くなったそうである。池辺晋一郎のこの昔話を聞いて何となく分った気がした。

とにかく演奏終了後の拍手大喝采はオーケストラの演奏に対してのものではあったが、聴衆の称賛は指揮者に向けられていたようであった。アンコール曲は「ドヴォルザーク:スラヴ舞曲集 第1集 第1番」。
マエストロ大野には来年オープンする札幌文化芸術劇場への関わりも同時に期待したいものである。

※都響ガイドを通して3月末に直接に購入していたチケットの受け取りに行列ができていて入場まで20分以上掛かった。行列に並ぶ高校生と偶々会話が弾んだ。都響のホルン首席奏者から指導を受けるキャンプに参加して美幌から札幌に来ていて、今日の演奏会を聴きに来た。5時にはキャンプが行われている時計台に戻るという。都響ホルン首席奏者が旭川出身で私の教え子だと話したら私の名をメモしていた。明るい前向きな高校生と知り合って楽しい時間が過ごせた。

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年間60回以上札幌コンサートホールKitaraに通うクラシック音楽ファン。クラシック全般に関心があるがオーケストラ・ピアノ曲が特に好きである。 

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