バッティスト―ニ北海道初登場(札響&木下美穂子)

2018年10月札幌文化劇場こけら落とし公演「アイーダ」に先立って、今や世界でカリスマ的に活躍中の若手指揮者アンドレア・バッティスト―ニが札幌文化劇場プレイべントとして札響&木下美穂子と共にKitaraのコンサートに出演した。
 
Battistoni は1987年生まれのイタリアの指揮者。2013年よりフェリーチェ歌劇場の首席客演指揮者に就任。2015年より東京フィルの首席客演指揮者を務めて16年から首席指揮者に就任。ヨーロッパの著名な歌劇場と共に世界的に優れたオーケストラとも共演してセンセーションを巻き起こしている。日本でも「ナブッコ」、「トゥ-ランドット」などのオペラをはじめピアニスト反田恭平などとの共演で話題沸騰中。
木下美穂子(Mihoko Kinoshita)は日本を代表するソプラノ歌手のひとり。2001年に日本音楽コンクール第1位、その後は世界の数々の声楽コンクールで第1位や上位入賞で受賞歴多数。NHKニューイヤー・オペラコンサートなどを通して活躍の様子は目にしている。

2017年9月15日(金) 19:00開演  札幌コンサートホールKitara大ホール
〈Program〉
 ヴェルディ:歌劇「ナブッコ」序曲
 プッチーニ:歌劇「ジャンニ・スキッキ」より “私のお父さん”
         歌劇「修道女アンジェリカ」より “母もなしに”
         交響的前奏曲
         歌劇「トスカ」より “歌に生き、恋に生き”
         歌劇「蝶々夫人」より “ある晴れた日に”
 ヴェルディ:歌劇「運命の力」序曲
 レスピーギ:交響詩「ローマの松」

関係者からチケットの売れ行きが芳しくない話が耳に入っていたが、当日の会場は9割以上の客が入って満席を思わせるほどで熱気が漂うほどの雰囲気であった。
前半のプログラムはバッティストーニが得意とするヴェルデイのオペラの序曲を挟んで、同じイタリア・オペラの大作曲家プッチーニの有名な4つの歌劇からアリアが各1曲歌われた。

上演される歌劇より「序曲」が親しまれて演奏機会の多い曲で開幕を飾ったが、バッティストーニはダイナミックな指揮ぶりで聴衆の心を一気に掴んだ。オーケストラを自身のタクトで自由自在に操って会場を湧かせた。

木下美穂子は来年10月の「アイーダ」でタイトルロールを歌う予定のソプラノ歌手。深紅のドレスに身を包んだ長身でステージ映えのする木下は第一声から素晴らしい歌声を披露し、アリア「私のお父さん」を表現力豊かに歌い上げた。歌唱後にブラヴォーの声が掛かるほどの美声で鮮やかな印象を残した。他の3曲と比べると馴染み度が薄い「修道女アンジェリカ」からのアリアも国内外で活躍している歌手ならではの歌唱で、感情も込められていた見事な演唱であった。

「交響的前奏曲」の知識は全くなかったが、バッティストーニが好んで取り上げるという抒情性豊かな曲。プッチーニのミラノ音楽院の卒業作品だそうである。

「トスカ」、「蝶々夫人」は最も有名なアリアを含むオペラで、実演や映画などで親しまれている。誰もが耳にしたことのある2曲の「アリア」はやはり身近に楽しめた。期待以上の歌唱で聴衆を魅了した木下が来年の札幌文化芸術劇場のこけら落とし公演で歌う姿が待ち遠しくなった。歌唱終了後の拍手大喝采は何回もカーテンコールが続いて聴衆の満足度が表れていた。

プログラム後半はオーケストラ作品でイタリアの作曲家レスピーギの代表作《ローマ三部作》から「ローマの松」。第1作「ローマの噴水」、第2作「ローマの松」、第3作「ローマの祭り」で3曲中、「ローマの松」が最も芸術的とされて演奏機会も多い。札響でも節目となる祝いの際に演奏されてきた。
《ローマの松》は4楽章構成。第1楽章「ボルゲーゼ荘の松」、公園で子どもたちが遊ぶ姿が描かれ華麗で絢爛たるオーケストレーションがアッという間に終わる。第2楽章「カタコンベ近くの松」、地下墓場から聞こえてくる聖歌の合唱を幻想的に描いた(*楽屋裏からトランペットの響き)。第3楽章「ジャニコロの松」、満月に照らされた南国の静かな夜の描写。第4楽章「アッピア街道の松」、古代ローマの軍隊が夜明けに行進する壮麗な幻想的な場面(*オルガンも加わり、2階の左右からバンダのトランペット各2本、2階中央から2本のトロンボーン、計6本の金管楽器の壮麗で壮大な響きが奏でられた極めて印象的なフィナーレ)。

バッティストーニは楽団員を掌握してオーケストラから思い通りに音を引き出しているように見えた。タクトを大きく使い、腕の動きも最大限に使って表情豊かにダイナミックな指揮ぶりを展開した。非常に個性的でカリスマ性を発揮した姿に強烈な印象を受けた。来年の札幌文化劇場のこけら落とし公演がますます楽しみになるイヴェントであった。

満席に近い聴衆の拍手大喝采だけでなく札響メンバー全員の称賛を受けて、アンコール曲に《ウィリアム・テル「序曲」より“スイス軍の行進”》。
アンコール曲が終っても鳴りやまぬ拍手に、今回のプレイベントの成功と来年のこけら落とし公演に向けての聴衆の期待度の高まりを感じ取った。帰りのホワイエでCDを購入してサイン会に並ぶ人の列ができていた。18年10月7日・8日の2日間公演も成功することは間違いなさそうである。楽しい気分に浸って家路に着けるのは有難いことである。


 
関連記事
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

fsuterry

Author:fsuterry
年間60回以上札幌コンサートホールKitaraに通うクラシック音楽ファン。クラシック全般に関心があるがオーケストラ・ピアノ曲が特に好きである。 

最新記事
カテゴリ
月別アーカイブ
検索フォーム
最新コメント
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR