札響名曲シリーズ2017-18 Vol.2 グリーグ&シベリウス(尾高&田部)

【森の響フレンドコンサート】
 新伝説のフィンランディア

2017年9月9日(土)  14:00開演  札幌コンサートホールKitara大ホール
 
指揮/ 尾高 忠明    ピアノ/ 田部 京子
管弦楽/ 札幌交響楽団

〈Program〉
 グリ―ク:ホルベルク組曲(ホルベアの時代から) op.40
       ピアノ協奏曲 イ短調 op.16
 シベリウス:「カレリア」組曲 op.11
         交響詩「トゥオネラの白鳥」 op.22-2
         交響詩「フィンランディア」 op.26

北欧の人気作曲家の音楽。尾高&札響は2009、2010年にグリーグ&シベリウスの管弦楽曲を各1枚リリースしている。北欧音楽を日本最北のオーケストラが録音して好評を得ているらしい。本日のピアニストは北海道出身で日本を代表する演奏家の一人、田部京子。人気の高い札響名曲シリーズが行われた今日はほぼ満席状態で盛り上がった。

ノルウエー出身のグリーグは同じベルゲン生まれの戯曲作家ホルムベルク(1684-1754)の作品に曲を付けた。ベルゲン市が主催するホルムベルクの生誕200年祭に協力したとされる。彼はカンタータとピアノ組曲を書いた。後にピアノ曲を弦楽合奏版に書き換えて「ホルベルク組曲」となった。(*ホルベルクの名は当時の宗主国デンマークに渡って活躍したので、デンマーク読みで“ホルベア”と表記されることもある。)
古い時代のスタイルで書かれたバロック様式の音楽で5曲から成る。①前奏曲 ②サラバンド ③ガヴォットとミュゼット ④アリア⑤リゴードン。タイトルから曲の印象が浮かぶが、ノルウェーの民俗音楽の香りもあってロマン派らしい曲作りも感じられた。札響の弦楽合奏の響きは安定していて実に美しく味わいがある。

グリ―クのピアノ協奏曲は人気が高くて演奏会でも度々弾かれる。田部京子のピアノを聴くのは今回が6回目。10年夏の札響特別演奏会で会員が選んだ三大ピアノ協奏曲(チャイコフスキー第1番、ラフマニノフ第2番、グリ-グ)から田部が「グリ-グ」を演奏した当時のコンサートの様子は鮮明に脳裏に浮かぶ。
ノルウェー民謡風の旋律が醸し出す北欧的な抒情味あふれる曲は魅力に満ちていた。グリーグの幸福感が躍動感を伴って田部のピアノから伝わってきた。第1楽章のカデンツァは華麗で輝きを放っていた。第2楽章はロマンティックな緩徐楽章で各楽器の織りなす色彩感も見事だった。第3楽章はピアノとオーケストラが華やかに掛け合いながらダイナミックなフィナーレへ。

7年前の時は第1曲目のラフマニノフが聴衆の心を圧倒して、その後の集中度を保つのが困難なほどであったと記憶している。名演奏家がそれなりに演奏しても3曲通して聴衆が集中力を維持するのは難しいことを別の機会にも経験した。田部のグリーグは第2曲目だった。1番人気のチャイコフスキーもラフマニノフの影響を明らかに受けていた。
今回の演奏会の焦点を田部の演奏に当てていた聴衆が多かったと思う。人々の期待に応えた田部の演奏は凄かった。2階3列正面からオーケストラ全体が目に入ってピアニストの手の動きが良く見えて、私自身は夢幻的な世界に誘いこまれたように曲に没入した。とにかく素晴らしい演奏であった。圧倒的な演奏の結果ではあるが、やはり会場が満席状態の時はコンサートは一段と盛り上がる。
演奏終了後の拍手大喝采はしばらく鳴りやまなかったが時間が押していることもあってかアンコール曲は披露されなかった。

尾高はフィンランドに赴いて当地のオーケストラと何度も共演を重ねている上、札響とのシベリウス交響曲ツィクルスを完成してCDもリリースしている。3曲共に名曲であるが、「フィンランディア」を除いては札響の演奏会で聴くのは珍しい。

シベリウスはロシアと隣接するカレリア地方を訪れて民族意識に目覚め、カレリア歴史劇のための音楽を書いた。のちに声楽入りの7曲から3曲を選んで組曲に編んだ。①間奏曲 ②バラード ③行進曲風に。第3曲のメロディが特に親しまれていて耳にする心地よい音楽。
*カレリア地方は第2次世界大戦後にソヴィエト連邦の領土となり、現在はロシア領である。

シベリウスは《カレワラによる4つの伝説曲》(レミンカイネン組曲)を書いたが、その第2曲が「トゥオネラの白鳥」。トゥオネラ川に浮かぶ白鳥の情景が描かれている。演奏時間が8分程度の美しい曲。

「フィンランディア」はフィンランドの音楽的象徴として国歌より名高い曲のようである。ロシアの支配下にあってフィンランド国民を鼓舞する音楽として知られ、現在も演奏機会が多い。人間を勇気づける曲で何回耳にしても力強い魅力的な曲。

尾高&札響のコンビで作り上げる北欧ものは素晴らしい。アンコールに馴染みの弦楽合奏曲「シベリウス:アンダンテ・フェスティーボ」。札響名誉音楽監督とオーケストラの信頼関係が作り上げる北欧の音楽は心深くに届く。



関連記事
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

fsuterry

Author:fsuterry
年間60回以上札幌コンサートホールKitaraに通うクラシック音楽ファン。クラシック全般に関心があるがオーケストラ・ピアノ曲が特に好きである。 

最新記事
カテゴリ
月別アーカイブ
検索フォーム
最新コメント
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR