PMFベルリン演奏会2017

【PMFベルリン】はベルリン・フィルの管楽器奏者たちの豪華メンバー。今シーズンはKitara2公演が同じプログラムで10日、13日の2日間にわたって開催された。

2017年7月13日(木) 19:00開演  札幌コンサートホールKitara小ホール

〈ARTISTS〉PMF ベルリン(ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団メンバー)
 ブラウ(flute)、ケリー(oboe),、バーダー(clarinet)、シュバイゲルト(basson)、ウィリス(horn)、ヴェレンツェイ(trumpet)、ソレンセン(trombone) (*7名のうち、ブラウは前べルリン・フィル首席奏者)
 佐久間晃子(piano)
〈PROGRAM〉
 J.S.バッハ(マリー・クレール・アラン編):カンタータ第205番からアリア
                                [トランペットとピアノ]
 ダンツィ:木管五重奏曲 ト短調 作品56 第2番
 シューマン(ソレンセン編):ロマンス 作品28から第2曲[トロンボーンとピアノ]
 J.ウイリアムズ:何人に対しても悪意を抱かず(映画「リンカーン」から)
                                [トランペットとピアノ]
 ロッシーニ(シェーファー編):歌劇「チェネレントラによるハルモニームジ―クから
                       “シンフォニア” 他4曲  [木管五重奏曲版]
 シューマン(ソレンセン編):歌曲集「詩人の恋」 作品48から
                      “美しい五月に” 他4曲 [トロンボーンとピアノ]
 ボザ:木管五重奏のためのスケルツォ 作品48
 イベール:木管五重奏のための3つ小品
 
木管楽器奏者5名と金管楽器奏者2名のベルリン・フィル・メンバーで曲を編成すると自ずから演奏曲が限定される。知らない曲が多いのは気にならなく、却って興味度が増した。
1月からデジタル・コンサート・ホールで演奏会をもう20回ほど観ているので、演奏者の姿がテレビを通してではなく目の前で見れるのが何とも嬉しかった。今までは特定のメンバーしか、顔と名前が一致しなかったが、今回は全員のメンバーが分かった。演奏の素晴らしさは言うまでもないが、アーティストをより身近な存在に受け取れるのが特別な嬉しさであった。木管楽器奏者のハーモニーは素晴らしくて惚れ惚れする演奏だった。

作曲家名で知らなかったのはボザ(1905-91)だけ。イタリア人とフランス人の両親のもとに生まれ、ほぼ全てのジャンルに作品と遺したという。コンサートの最後から2番目の曲だったが、他の曲とは趣の違う曲で変化があって面白かった。

第1曲目のオルガニストのアランの編曲は何回か聴いていたオルガンとトランペットのコンサートを思い起こさせた。鍵盤楽器とトランペットの相性の良さを感じた。前半のコンサートのスタートに相応しい優しい響きの音楽だと思った。

ダンツィ(1763-1826)はドイツの作曲家で「木管五重奏」が代表作と言われる。2年前のPMFベルリンで彼の別の作品を聴いたのを覚えている。4楽章から成る曲は抒情味あふれる曲で心地よく聴けた。

シューマンの曲を集中的に聴きだして10年にもなっていない。CDは交響曲、ピアノ曲、室内楽などまとめて所有している。今回のプログラムに入っていた「ロマンス」第2曲がピアノ曲にあった(*一度耳にしただけで覚えていない)。この機会に約4分の曲を聴いてみたが、クララへの甘美な儚い夢が香る抒情的な曲。トロンボーン用に編曲したソレンセン自らの演奏は凄く良かった。ピアノ曲をトロンボーン曲に編曲するアイディアが凄いと思った。ごく自然な味わいのある曲になっていた。

J.ウィリアムズ(1932ー )は映画音楽「スター・ウォーズ」で名高い。スピルバーグ監督による2012年のアメリカ映画「リンカーン」は観なかったので、初めて耳にするメロディ。トランペットの響きが印象的な演奏だった。

ロッシーニのオペラ「チェネレントラ」はシンデレラの物語。ロッシ―ニならではの美しいメロディに満ちたオペラの中から5曲が木管五重奏曲版として演奏された。 “シンフォニア”、“わが女系の後継ぎたちー何か分らぬ甘美なものが”、“ご主人様、一言だけ”、“そう、僕は誓って彼女を見つけ出す”、“終曲”。
オペラからの抜粋で特に曲の連続性はないが、全曲の演奏が終わるまで拍手は起こらないで聴衆は静聴していた。それぞれの曲に盛り上がりがあるので、先日の野外コンサートでは1曲ごとに拍手が起きたのとは対照的であった。

シューマンの歌曲集のCDは持っていないが、「ミルテの花」、「リーダークライス」、「詩人の恋」などの一部の歌曲が収められたものがある。「詩人の恋」は16曲から成る。第1曲“美しい五月に”、第7曲“恨みはしない”の2曲が入っていたので聴いておいた。
1940年、クララと結婚できたシューマンの〈歌曲の年〉に書かれた130余りの歌曲のなかで傑作とされる。愛の喜び、失恋、回想の流れで描かれている。歌詞はハイネ。
“美しい五月に”、“ばらに、百合に、鳩に、太陽”、“心を潜めよう” “恨みはしない”、“恋人の歌を聞くとき”。1曲が1・2分程度の短い曲。明るい季節への複雑な想いを綴った第1曲と、恋人の裏切りへの切なくやるせない想いを歌った第7曲の2曲は特にCDについていた歌詞を読んでいたので演奏を聴く参考になった。
ロマンチストのシューマンならではの作品が意外な編曲で聴いて味わい深かった。

イベール(1890-1962)はパリ生まれの作曲家。日本建国2600年記念奉祝曲の依頼を受けて「祝典序曲」を作曲したことでも知られる。ローマ大賞を受けてイタリアに留学。交響組曲「寄港地」が彼の代表作。吹奏楽でも人気の作曲家のようである。
フランスの作曲家特有の洒落たセンスが音楽にも表れていた。

各曲の終了後の外国人聴衆(アカデミー・メンバー)の反応が日本人と違うのはいつもと同じである。外国人のアカデミー・メンバーが鑑賞していると、指導している教授陣に対する称賛の表し方が一段と強い。口笛も飛んだり、歓声の上げ方も日本人のおとなしさとは違う。特に陽気なホルン奏者のサラ・ウィリスの個性に彼らは敏感に反応する。

全ての演奏が終って、サラは“拍手有難うございます。PMFはとても大切な音楽祭です”と日本語で挨拶して、アンコール曲に「ディーク:ホラ・スタッカート」を演奏。“盛大な拍手を頂ければ、私の日本語が上達したことになる”と言って拍手を煽る仕草。最後に馴染みの曲「アヴレウ:ティコティコ」を3人のパーカッション担当のアカデミー生を加えて演奏。嬌声や珍しく手拍子の拍手が起るなか楽しい雰囲気のうちにPMFベルリン演奏会が締めくくられた。
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Author:fsuterry
年間60回以上札幌コンサートホールKitaraに通うクラシック音楽ファン。クラシック全般に関心があるがオーケストラ・ピアノ曲が特に好きである。 

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