Kitaraのバースディ~札幌コンサートホール開館20周年記念

Kitaraのバースディは札幌コンサートホールのシンボルであるオルガンにスポットを当てて開催されてきた。今年はKitara開館20周年を記念して1997年7月4日に行われた落成記念式典&記念演奏を核にしたプログラムで開催された。パイプオルガンとオーケストラ、ソプラノ、そして札幌市内の中学生たちによる吹奏楽の演奏。

〈出演〉指揮/尾高 忠明   オルガン/ダヴィデ・マリアーノ   ソプラノ/針生 美智子
     管弦楽/札幌交響楽団   吹奏楽/Kitara20周年記念バンド(指揮/鹿討 譲二)
〈PROGRAM 〉
 【オルガン・ソロ】
  三善 晃(マリアーノ編):札幌コンサートホール開館記念ファンファーレ~23の金管のための
 【ソプラノとオルガン】
  フランク:天使の糧
  モーツァルト:モテット「踊れ、喜べ、汝幸いなる魂よ」より “アレルヤ”
  ヘンデル:「メサイア」より “シオンの娘たちよ、大いに喜べ”
 【吹奏楽】
  ショスタコーヴィチ(ハンスバーガー編):祝典序曲 作品96
  内藤淳一:式典のための行進曲「栄光をたたえて」
  ワーグナー(カイリェ編):歌劇「ローエングリン」より “エルザの大聖堂への行列”
 【管弦楽】
  プーランク:オルガン、管弦楽とティンパニのための協奏曲
  ベートーヴェン:交響曲第7番 イ長調 作品92
 
Kitaraホール落成記念式典の冒頭では原曲が札響の23名の金管奏者によってステージ上と客席両側に分かれて三方向から演奏された。オルガンでは残念ながら20年前の迫力は伝わらなかった。

ソプラノの針生(Hariu)は小樽出身でKitara開館の記念演奏の「第九」にも出演し、以来、何度もKitaraのステージに登場している。二期会会員で活躍を続けているが、北海道を代表するソプラノ歌手。札響との共演では「カルミナ・ブラーナ」(2008年)の熱唱が特に印象に残っていた。
オルガン伴奏での歌唱もオーケストラやピアノとは違った味が出ていた。フランクはヴァイオリン・ソナタで親しんでいるが、オルガン曲も偶に耳にする。彼の歌曲は初めて聴くような気がした。「神を褒め称えよ」という意味の「アレルヤ」を繰り返す歌は馴染みであり、明るく華やかな雰囲気が技巧的な歌唱に良く出ていた。ヘンデルの曲もイエスの生誕を喜ぶ人々の様子が歌われているそうで快活なアリアとして楽しく聴けた。3曲とも祝典にふさわしい曲とされる。

20年前の記念演奏ではファンファーレに続いて小林英之によるオルガン演奏があったのはハッキリ記憶しているが、中学生による吹奏楽演奏があったことは忘れていた。その日に演奏されたショスタコーヴィチとワーグナーを当時と同じ指揮者を迎えて、市内4つの中学校から選抜されたメンバー(72名)に当時の中学生4名も参加したWind Ensembleによる演奏が、今回も行われた。
ソ連の革命記念日のために書かれたオーケストラ曲が原曲だが、作品完成の1954年当初から吹奏楽にアレンジされて盛んに演奏されていたといわれる。演奏終了後にブラヴォーの声が上がって会場は盛大な拍手に包まれた。
内藤の作品は2001年度の全日本吹奏楽コンクール課題曲だったという。式典にふさわしい堂々とした曲。トランペットとトロンボーンのファンファーレでは20年前のメンバーが活躍した様子がうかがえた。
1965年に結成された札幌市中学校吹奏楽部協議会も50年もの歴史を持ち、中学生の実力も年を追うごとに向上しているようである。今回の演奏ではメンバーの大部分が女生徒でチョット驚いたが演奏技術は高くて、心地よく聴けた。
ワーグナーの曲はフィラデルフィア管のクラリネット奏者だったカイリェが吹奏楽用にアレンジしたそうだが、前2曲に比して壮大さとハーモニーの点で今一歩という感じがした。
総合的な印象では中学生の演奏がここまで向上しているのかと感心した。

フランスのエスプリを表現した魅力的なピアノ曲を通して知っている程度のプーランク。管弦楽の作品は余り知らない。楽器編成が弦5部とティンパニとオルガンという「オルガン協奏曲」と言える曲を聴いて凄く感動した。オルガンが管楽器の役割を果たしていた。フルート管やトランペット管などの音を出せることは知っていても、木管や金管のソロ・パートが単独で見事に演奏される様は正に圧巻であった。弦楽器と対する演奏も絶妙であった。協奏曲としてオルガンの魅力がふんだんに発揮される様に魅了された。初演がデュリュフレというのは理解できたが、プーランクはオルガンの名手でもあったのだろうか。
第18代Kitara専属オルガニストDavide Marianoのコンサートは昨年10月以来、何度か聴いているが、いつも素晴らしい。

尾高のベートーヴェン・ツィクルスは2011年に聴いているが、「第7番」は13年のサロネン指揮フィルハーモニア管の演奏が強烈な印象を残した。日本でも超人気の交響曲となった第7番は4楽章のすべてが魅力的。類例を見ないほどリズミカルで躍動感に溢れる作品。第1楽章ヴィヴァーチェ、第2楽章アレグレット、第3楽章プレスト、第4楽章アレグロという速さ。
オルガン協奏曲に集中しすぎて、余りにも定番の曲で良い曲、良い演奏でも、何となく聞き流した感じになってしまった。

演奏終了後にアンコールという声が沸き起こって、マエストロ尾高からKitaraホールの素晴らしさに感謝の言葉。Kitaraホールの音響担当者Toyotaは世界中の音楽ホールの音響設計を委嘱されて自動車会社と同じくらいに有名になっている。尾高札響名誉音楽監督は“Kitaraは一番上手くいった”と彼が語っていたと話した。いつの発言かは分からないが、現在でも世界の名だたるホールの地位にあることは間違いない。
アンコール曲に「エルガー:威風堂々 第1番」。祝典の最後を飾るに相応しい曲であった。

目の前の座席に若い外国人の男女が座っていたので、帰り際に話しかけてみた。ドイツから休暇を利用して札幌コンサートホールに駆け付けたという。Kitaraの音響の評判を聞いてコンサートを聴きに来た様子だった。詳しい話はできなかったが、音響の素晴らしさに感動して満足していた。また、PMFコンサート5枚のチケットを買ってあげて一緒に鑑賞する友人にホワイエで偶然に会えたのも良かった。










 
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Author:fsuterry
年間60回以上札幌コンサートホールKitaraに通うクラシック音楽ファン。クラシック全般に関心があるがオーケストラ・ピアノ曲が特に好きである。 

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