札幌シンフォニエッタ第60回演奏会

2年前のKitara休館中に札幌シンフォニエッタ第55回演奏会を聴いたことがあった。1983年結成のこのアマチュア・オーケストラの存在は知っていたが、前回は当時の札響オーボエ首席奏者金子亜末の客演が魅力で出かけていた。
今回は今月上旬にKitaraのコンサート会場で出会った教え子(かかりつけの歯科医)に招待されて偶々スケジュールが空いていたので好意に応えることができた。彼女が高校時代に吹奏楽部員だったのは知っていたが、フルート奏者としても活躍している姿を目にするのも嬉しいことであった。

2017年6月25日(日) 13:30開演  札幌サンプラザホール

指揮/御法川 雄也(Minorikawa Yuya)
ピアノ/富永 峻(Tominaga Shun)

御法川は現在、N響ヴィオラ奏者。2003年、桐朋学園大学卒業。在学中からバレエ音楽「くるみ割り人形」(全幕)で関西フィルを指揮し、卒業後には同じ演目で大阪響、関西フィルにも登場。09年N響入団。10年には静岡響の定期に堤俊作の代役で出演し、12年にはバレエ公演で札響とも共演。16年、ロイヤル・チェンバー・オーケストラのバレエ公演を指揮。N響のほかに幾つかのオーケストラのメンバーでもあり、幅広い音楽活動を行っている。

富永はポルトガル、スペイン、ドイツで育った日本人ピアニスト。スペインで数々の国際コンクールに入賞して、マドリード王立音楽院在学中はスペイン各地でソロリサイタル・室内楽コンサートを開催。その後、ドイツ・フライブルグ音楽大学に学び、同大学でソリストクラス(修士課程)を卒業。2010年に帰国。14年、15年と東京オペラシテイで連続してリサイタルを開催。16年よりsonorium(東京都杉並区)でシリーズコンサートを実施。

〈Program〉
 ベートーヴェン:バレエ音楽「プロメテウスの創造物」序曲 作品43
           ピアノ協奏曲第4番 ト長調 作品58
 シューマン:交響曲第4番 ニ短調 作品120

バレエ音楽というと「白鳥の湖」や「くるみ割り人形」のようなロマンティック・バレエを思い浮かべがちである。ベートーヴェンは物語と音楽を一体化させたオペラやミュージカルのような総合芸術作品を目指したという。彼が書き上げた11曲の序曲のうちの一番最初の序曲となった。前年に作曲された交響曲第1番(1800年)と同じ調性のハ長調の曲。この機会に後で「交響曲第1番」を聴いてみようと思った。

この2年ほどは演奏会で「第5番 皇帝」を聴く機会が多くて「第4番」は久しぶりである。私が「第4番」が好きだと何年か前に言ったのを耳にしていた教え子が今回の演奏会を紹介してくれた一因でもあったようだ。
「ピアノ協奏曲第4番」は華麗な演奏効果という点では「第5番」に及ばないが、豊かな情感や緻密な曲の構築の面では優れた作品となっていると思う。創意工夫の特徴のひとつはオーケストラの演奏の前に独奏ピアノが第1主題を提示して曲が始まることである。
ピアノが奏でる音が澄み切っていて新鮮な音色で輝いていた。ピアニストの繊細なタッチで紡がれる旋律に心が奪われた。柔らかな手が自由自在に鍵盤を這う姿も魅力だった。長大な第1楽章の後の短い緩徐楽章では管楽器とティンパニの演奏は無く、静かで抒情的な弦の響きだけで幻想的な雰囲気が漂う。これも生演奏で観ていて直ぐ気づくことである。第3楽章はリズミカルな主題を中心に曲が展開され、明るくて美しいクライマックスへと向かう。ベートーヴェン自身が初演を行ったというピアノの名手ならではの曲作り。初めて名を聞く演奏家のピアニズムに魅せられた。チャンスがあればもう一度聴いて観たいと思えるピアニストだった。
2管編成の曲であるが、フルートが1名で教え子の演奏に思わず目が行った。
500席余りのホールはほぼ満席状態だったが、演奏終了後の聴衆の反応にも感動の様子があらわれていた。ブラヴォーの声が飛び交い、カーテンコールでアンコール曲に「シューマン=リスト:献呈」が演奏された。この小品の演奏も心に響いた。

シューマンが1841年から51年の間に書き上げた4曲の交響曲。「第4番」は実質的にシューマンの2番目の交響曲。“管弦楽の年”の1841年に続いて着手してクララの誕生日の贈り物として一応完成されたが、出版されずに第3番の翌年の51年に改作されて出版の運びとなった。初演はシューマン自身の指揮で行われた。
曲は全楽章切れ目なく演奏された。ここ10年は聴いていないと思うが、憂愁と幻想的な雰囲気が漂い、シューマンが最初に「交響的幻想曲」と名付けた意味が分かる曲であった。ホルンとトロンボーンの演奏も目を引いた。
 
指揮者のプロフィールにも書いたが、若いが経験豊富で非常に力強くて若さに溢れたエネルギーが伝わる指揮ぶりが全3曲を通して印象付けられた。素晴らしい演奏に満足した聴衆の反応は演奏終了後に再び起こった拍手大喝采とブラヴォーの叫びに出ていた。50名弱のアマチュアオーケストラが作り上げる音楽に感動さえ覚えた。

アンコール曲に演奏された「シャブリエ:ハバネラ」の心地よいリズムに心も躍った。雨模様の午後だったが、外に出てからの小雨にも気分は沈まなかった。2年ぶりのホールには歩いても30分程度で来れる距離である。次回の演奏会の予定がプログラムに記載されていたが、都合がつけば次回も聴きに来ようと思わせるコンサートであった。



 

関連記事
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

fsuterry

Author:fsuterry
年間60回以上札幌コンサートホールKitaraに通うクラシック音楽ファン。クラシック全般に関心があるがオーケストラ・ピアノ曲が特に好きである。 

最新記事
カテゴリ
月別アーカイブ
検索フォーム
最新コメント
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR