タリス・スコラーズ~モンティヴェルディ生誕450年記念~

コンサート鑑賞前に毎年開催される大学のゼミ仲間の会合が入っていた。道庁前のホテルで会食2時間の予定を途中で切り上げて地下鉄に乗り継いで急いで会場に駆け付けたがコンサート開始時間の直前に飛び込んだ感じになってしまった。レセプショニストにはお世話をおかけした。

世界最高のア・カペラ合唱団と言われる《タリス・スコラーズ》は前回はKitaraリニューアル・オープン記念として開催され4ヶ月の休館後の最初のコンサート(2015年4月17日)で特別な印象が残る合唱団でもあった。2年ぶいとなるが、同合唱団にとっては3度目のKitaraのステージ。
指揮はピーター・フィリップス(Peter Phillips)。1973年にフィリップスが創立し。年間70回の演奏を教会やコンサートで行っている。今回が16度目の来日。来日メンバーの歌手は前回同様10名。ソプラノ4名、アルト2名、テノール2名、バス2名。(*メンバー5人は前回とは違うメンバー)

今回の公演は《モンティヴェルデイ生誕450年記念》と銘打って開催された。
モンティヴェルディ(1567-1643)はルネサンス音楽とバロック音楽の過渡期にあたるイタリアの作曲家。ヴェネツィア音楽の最も華やかな時代を作り上げた。音楽の様式に変革をもたらした改革者とされる。オペラの最初期の作品「オルフェオ」で知られる。

2017年6月6日(火) 19:00開演  札幌コンサートホールKitara大ホール
 〈Program〉
  タリス:ミサ曲 “おさなごわれらに生まれ”(約25分)
  バード:“めでたし、真実なる御体”(約4分)、 “義人らの魂は”(約3分)、
       “聖所にて至高なる主を賛美もて祝え”(約6分)
  アレグリ:ミゼレーレ(約12分)
  モンティヴェルディ:無伴奏による4声のミサ(約22分)
  パレストリーナ:“しもべらよ、主をたたえよ”(約7分)

タリス(1505頃ー85)はヘンリ8世、エドワード6世、メアリ1世、エリザベス1世と4人の英国王に仕えて活動した。王室礼拝堂のために多くの教会音楽を書いた。この曲はメアリ1世時代の1554年作曲とみられる7声のミサ曲。
※この合唱団の名はこの作曲家に由来して正式名は“THE TALLIS SCHOLARS”.。

バード(1540頃ー1623)は1572年から女王エリザベス1世に仕えて王室礼拝堂の音楽家として活躍し、英語による教会音楽も書いたが、終生カトリックの信仰を持ち続けて伝統的なラテン語による教会音楽を数多く残した。
3曲共にラテン語で書かれた4声か5声のモテトゥス。今回初めて耳にした作曲家名。

ピアノ伴奏なしで聴く「ア・カペラ」は声の美しさが直接に伝わるので何とも心に染み入リ安らぎを覚えた。

プログラム前半はルネサンス時代に活躍したイングランドの2人の作曲家の宗教曲だったが、プログラム後半はルネサンス時代からバロック時代にかけてのイタリアの3人作曲家の宗教曲が歌われた。

アレグリ(1582-1652)は初期バロック時代のローマを代表する作曲家。《ミゼレーレ》はラテン語で「憐れみたまえ」という意味で、伝統的な手法で書かれたアレグリの代表作といわれ、5声合唱と4声合唱が交互に歌い合う2重合唱の形による9声曲。ステージに5名、オルガン演奏台前に1名(カウンターテナー、3階客席最後部に4名の歌手の配置。
合唱の掛け合いが面白くカウンター・テナーと後方から響き渡るソプラノの高音の歌声が素晴らしく特に心地良かった。前回はRA席で歌手全員の姿を見れたが、今回は真正面から声が聴きとれるように1階席にしたので、歌手の姿は退場の際に3階出口で確認できただけであった。ホールに響き渡るソプラノの歌声に魅了されて歌唱中に何度か3階後方を見渡す人もいたが、姿までは見えなかったようである。
タリス・スコラーズも何度も取り上げている代表曲で何度聴いても圧倒的で魅力的なア・カペラである。先月の札響定期でラトヴィア放送合唱団の「夕映えのなかで~マーラーのアダージェット」も絶品だったが、世界的な合唱団の無伴奏による合唱曲を続けて堪能できたのは幸運である。

モンテヴェルデイの名は知っていたが、教会音楽に関する知識は皆無である。彼が書いたオペラの方に関心がある。「音楽の友」6月号に彼のオペラ「ウリッセの帰還」について書かれた記事があった。モーツァルトの「イドメネオ」の父と子の再会は「ウリッセ」の父と子の再会と似ている。オペラの原型を作った音楽家とオペラの伝統を引き継いだ音楽家の話が繋がるような記事を読んで興味を覚えたのである。

パレストリーナ(1525頃ー94)は16世紀後半の最も重要な作曲家のひとり。教皇庁をはじめローマ各地で活動し、様々な種類の教会音楽を書き残した。前回は「教皇マルチェルスのミサ曲」が演奏された。

ローマ教皇庁聖歌隊のために書かれた《ミゼーレ》は教皇庁システィナ礼拝堂以外では演奏できない門外不出の秘曲とされてきた。14歳のモーツァルトが教皇庁でこの曲を聴いた後に記憶だけで楽譜に書き記したというエピソードでも名高い曲。1994年、システィナ礼拝堂の大修復が終わったことを記念するコンサートでタリス・スコラーズがこの曲を演奏しているという。私も2000年8月に訪れたバチカン市国にあるシスティナ礼拝堂のミケランジェロが書いた有名な天井画を思い出して再び曲の重みを感じた。
演奏曲は全体的に良かったが、何といっても《ミゼーレ》が断然素晴らしかった。

アンコール曲はモンティヴェルディの曲を含む2曲。演奏終了後にスタンディング・オヴェイションをする人があちこちで目立つほど聴衆に無伴奏合唱の素晴らしさが伝わった。ホワイエでCDを買い求めてサイン会に並ぶ人の多さにも演奏会に感動した人々の様子が見て取れた。

強調文かった
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Author:fsuterry
年間60回以上札幌コンサートホールKitaraに通うクラシック音楽ファン。クラシック全般に関心があるがオーケストラ・ピアノ曲が特に好きである。 

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