第18回「札響くらぶサロン」ミニコンサート/チェロ:小野木 遼)

札響のメンバーが「札響くらぶサロン」でミニコンサートを開いてくれるようになったのが15年の第9回ヴァイオリン河邊さん、第10回ホルン山田さん。その後は年4回定期的に開催されているが毎回参加できているわけではない。第15回から会場が豊平館になり、オーボエ関さん、第16回トランペット前川さんのコンサートで参加者も増えて活気を帯びてきている。開催の労を取ってくれる役員には感謝の気持ちでいっぱいである。ミニコンサートも今回で早や10回に達した。引き続き札響メンバーの協力が得られることを期待したい。

さて、今回のソリストは札響チェロ奏者の小野木 遼(RYO ONOKI)さん。1987年、北見出身。東京藝術大学を経て、同大学院修了。PMF2007にも参加。サントリーホール・チェンバームージック・アカデミー1・2期生。国内外のコンクールにも入賞を重ね、国際的に活躍する竹澤恭子、渡辺玲子、マリオ・ブルネロ、ラデク・バボラークとも室内楽で共演するほどの実力者。
彼は平成27年度新進演奏家育成プロジェクト・オーケストラ・シリーズ札幌公演で札響と共演して「ショスタコーヴィチ:チェロ協奏曲第1番」を昨年1月にKitaraで演奏した。更に、昨年2月のKitara主催リスト音楽院セミナーで最優秀受講生に選ばれ、今年の春にハンガリーで開催された「ブダペスト・スプリング・フェスティバル」に参加した。

〈演奏曲目〉
 J.S.バッハ:無伴奏チェロ組曲第4番
 ジョージ・クラム:無伴奏チェロ・ソナタ
 黛 敏郎:「BUNRAKU」~チェロ独奏のための

バッハの「無伴奏チェロ組曲」は昨年、堤剛の全曲演奏会があって記憶に新しい。3時間半の熱演が強烈な印象を残した。メインが3番か5番のような気がする。バッハのヴァイオリン曲に比べると数回耳にするだけでは親しむ旋律はそう多くはない。前奏曲、アルマンド、クーラント、サラバンド、ブーレ、ジーグと続いたが、第5曲“ブーレ”だけが馴染みのメロディ。「第4番」は手が大きくないと広がりが大きいので手の小さな女性では演奏が難しいそうである。

ジョージ・クラム(George Crumb)は始めて聞く名前。アメリカの現代音楽の作曲家で音楽教育者らしい(1929- )。米国では知名度の高い現代作曲家らしく、演奏家の間では彼の曲が親しまれているようである。演奏された曲には“To my mother”という言葉がつけられていると説明があった。現代曲らしい響きはあるが、母に捧げた曲か優しい雰囲気も込められ美しくて比較的に理解しやすい曲であった。

黛 敏郎(1929-97)は日本のクラシック音楽、現代音楽界を代表する音楽家。黛(MAYUZUMI)は音楽のあらゆるジャンルで数多の作品を遺している。「涅槃交響曲」、やオペラ「金閣寺」などタイトルだけ覚えている作品はあるが、近年、彼の曲を直接に聴いた記憶は殆どない。これだけ有名な作曲家なのに不思議ではある。(*札響30周年の全演奏曲目の記録には「まんだら交響曲」、「舞楽」、「越後獅子」、「スポーツニューステーマ」が載っている。)
彼は1964年の東京オリンピックの年に「題名のない音楽会」をテレビで開始してクラシック音楽の普及に貢献したことでも知られているが、この番組が今日も続いているのは感慨深い。

文楽の雰囲気に満ちた日本の古典芸能をチェロで表現する試みは、タイトルが「BUNRAKU」と書かれているので海外に紹介する意図があって作曲されたと想像される(1960年作)。邦楽、日本人の心を三味線に通ずる(?)西洋楽器で表現した試みは素晴らしい。ピッチカート奏法を使うと三味線が奏でる音が生じる。チェロから奏でられるとは想像もつかない音が紡がれ、興味津々で10分ほどの曲を聴けた。近松門左衛門の「心中天の網島」の文楽の場面も浮かんだが、目の前で奏でられる音に終始惹きつけられた。海外でも人気の作品で大好評であったことが容易に想像される。

今回の3曲はハンガリー公演でも演奏し、ライプツイヒ、ブダペストの様子も語ってくれた。演奏終了後にブラヴォーの声が上がって、殆どの人が初めて聴く「BUNNRAKU」に感動の様子。

恒例の交流パーティでは小野木さんが同じテーブルの目の前に座って非常に気さくな態度で話に応じてくれた。彼のCDにサインをもらう人々に対応しながらもいろいろな話に付き合ってくれた。いつも隣り合わせる知人との話も興味深く今日も楽しい時間を過ごせた。

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Author:fsuterry
年間60回以上札幌コンサートホールKitaraに通うクラシック音楽ファン。クラシック全般に関心があるがオーケストラ・ピアノ曲が特に好きである。 

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