札幌フィルハーモニー管弦楽団第56回定期演奏会

札幌は5月大型連休の頃から比較的好天が続いていたが、運動会が予定されている月末の土日は雨模様が心配される天気予報である。孫は本州にいて直接の関わりはないが青空の下で無事に行事が行われてほしいと願う。

昨年と同様に5月から始まった時計台のボランティア活動で既に4回の活動を終えた。週一度のペースで活動に加わっている。「旧札幌農学校演武場」の建物は明治39年から「札幌市時計台」となっている。演武場設立当初には時計は無く、3年後の1881年(明治14年)から時計は稼働している。現在2階は夜は頻繁にコンサートに利用されて多くの札幌市民にも親しまれているが、「演武場」として使われていた歴史を知らない人が多いようである。来館者の多くは観光客で年間20万人で外国人の来館者が1割強。明治時代に作られた72台の日本の時計機械で現在も稼働しているのは札幌の時計台のみである。マン・パワーで動き続けている時計の存在を目のあたりにして感激する人が大部分である。予想外の知識を得て感謝されることが多い活動でやり甲斐がある。

今月のKitaraでのコンサート鑑賞は6回目。最近10年間の統計を取ってみたら、春150回、夏203回、秋202回、冬158回となっていた。(*秋が断然多いと思っていたが、PMFで夏が多くなっている)。コンサートの開始前には1日中降り続いた雨も止んでいて、中島公園の緑も一層映え、ライラックの紫色の花や橙色のつつじが鮮やかに咲き誇っていた。

2017年5月17日(土) 開演:18:30  札幌コンサートホールKitara大ホール
 〈Program〉
  ウォルトン:戴冠行進曲 「王冠」
  チャイコフスキー:イタリア奇想曲
  ブラームス:交響曲第4番 ホ短調

ウォルトン(1902-83)の名を知ったのは諏訪内晶子のヴァイオリン協奏曲のCDにシベリウスとカップリングされていた十数年前。彼はブリテンと並ぶ20世紀のイギリスの作曲家だと分かった。ハイフェッツからの委嘱を受けて書いたヴァイオリン協奏曲の他にヴィオラ協奏曲、チェロ協奏曲も優れた作品だという。しかし、コンサートで聴いた記憶はない。
ウォルトンは英国王の戴冠式のための行進曲を2曲作曲している。1曲目はジョージ6世の時(1937年)の「王冠」で尾高忠明指揮札響の名曲シリーズ(*エリザベス女王の即位60周年に当たる2012年)、2曲目はエリザべス2世の時(1953年)の「宝玉と王の杖」も尾高&札響で2016年4月の名曲シリーズ。
「王冠」(Crown Imperial)は若々しく気高い王を迎えるに相応しい勇ましい行進曲。ジョージ6世は映画「国王のスピーチ」で話題となったエリザベス女王の父君。5年前に訪れたバッキンガム宮殿前の衛兵の行進の様子も思い浮かべながら聴いた。英国人の勇気、希望、誇りが湧き上がるような曲。金管楽器も多く、大人数での演奏は難しそうであったが、オープニングを飾るに相応しい威勢の良い曲であった。

チャイコフスキーが40歳の頃にイタリアを旅行して書いた「イタリア奇想曲」(Italian Capriccio)。彼が旅行中に耳にしたファンファーレで始まった曲はイタリア滞在中の思い出が“カプリッチョ”(気ままに)綴られた。メロディ・メーカーとしてのチャイコフスキーの魅力が溢れた曲。チャイコフスキーが耳にした民謡の旋律によるイタリア組曲は風土や人々の明るさが横溢している。午前中にYouTubeで広上指揮京都市響の素晴らしい演奏を堪能した。
札フィルのトランペット奏者のファンファーレは見事! 第1曲は緊張もあったのか金管奏者の音が思い切り出ていないように思われたが、それに比べてずっと聴きやすくなっていた。かなりの練習量を積んだのだろうが、迫力が違っていても楽しい雰囲気で聴けた。オーボエの演奏も良かったし弦楽器の響きもまずまずだった。

指揮は板倉雄司。昨年の定期の指揮も担当した様子。北海道教育大学札幌分校卒で同大学院修了。現在は札幌創成高等学校教諭。地元で活躍中で昨年の定期に続いての指揮だそうである。

後半の交響曲は2管編成のオーケストラ。ブラームスが交響曲を本格的に書き始めたのは40歳を過ぎてからで、生涯に4つの交響曲しか作らなかった。しかし、4つの交響曲は全て優れていて演奏機会が多い。特に「第1番」と「第4番」は完成度が高い名作である。
「第4番」は重厚長大な作品。この曲がスタートして札フィルの安定した実力が発揮されたように感じた。弦楽器と管楽器の調和がとれた演奏で前半と見違えるような印象を受けた。聴きなれない吹奏楽的な管弦楽曲の響きと聴きなれた交響曲の落ち着いた響きの違いによる個人的な印象かも知れない。
楽章の流れは今更触れない。フルート独奏のメロディが美しかったが、全体的にバランスのとれた良い演奏のように思った。

プロの演奏会とは違うアマチュアの演奏会の雰囲気と聴衆の年齢層。アマチュアのオーケストラを応援する人々の姿も好ましい。演奏終了後の拍手は盛大であった。
アンコール曲は「ブラームス:ハンガリー舞曲第4番」。

札フィルの演奏を初めて聴いたのが2007年であるが、Kitaraボランテイアが札フィルのチェロ奏者として活躍していることもあって、13年以降聴き続けて、(昨年は都合で聴かなかったが)今回が5回目だった。
職業に従事しながら、あるいは趣味としてオーケストラに所属して音楽を楽しみ、他の人々に音楽を届けることは素晴らしい。簡単にできることではないが、続けてほしい。

※プログラムに札フィルのメンバーの一言が載っていた。チェロ奏者が視覚障がい者のために点字プログラムの作成を続けているという。昨年は同伴者が必要な人が32名参加、点字プログラムは16名分も作ったそうである。楽器演奏のほかにも貴重な活動をしていることを知って心からの敬意を表したい。

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Author:fsuterry
年間60回以上札幌コンサートホールKitaraに通うクラシック音楽ファン。クラシック全般に関心があるがオーケストラ・ピアノ曲が特に好きである。 

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