METライブビューイング2016-17 第8作《モーツァルト:イドメネオ》

モーツァルトの序曲集に《イドメネオ》が入っていて何度か「序曲」は聴いているが、メロディには親しんではいない。今までコンサートで演目になった記憶もない。オペラのタイトルを知ってはいてもストーリーは全く知らない。そんなわけで今回はこのオペラ鑑賞を予め日程に入れていた。

指揮/ ジェイムズ・レヴァイン   演出/ ジャン=ピエール・ポネル
出演/ マシュー・ポレンザーニ、 アリス・クート、 エルザ・ヴァン・デン・ヒーヴァー、 ネイディ-ン・シエラ

全3幕。舞台はトロイア戦争後のクレタ島。イタリア語上演。
クレタ王イドメネオの息子イダマンテは戦争に負けて囚われの身となっているトロイア王女イリアを密かに愛している。クレタに逃れているアルゴスの王女エレットラもイダマンテを愛している。
戦争からの帰路で海で嵐に巻き込まれたイドメネオは海神ネプチューンに助けてもらう代償として、帰還して最初に出会った人間を生贄にして差し出す約束をした。その人物が自分の息子だった。
イドメネオの家臣アルバーチェが王の遭難を告げ、人々は悲しみに沈む。
イダマンテはトロイアの捕虜たちに自由を与えると告げ、イリアに愛を告白する。捕虜の解放に反対するエレットラはイダマンテとイリアの2人を見て嫉妬と復讐の念に燃える。
アルバーチェは王から事の次第を聞いてイダマンテとエレットラを一緒にアルゴスに行かせて海神の鎮まりを待つ策を取る。王の命に従って船出しようとすると嵐が起こって怪獣が現れる。怪獣を退治しに赴くイダマンテ。自分を避ける父の想いが解らない息子。怪獣退治に成功して勝利の合唱の中を帰還したイダマンテはイドメネオの真意を知り、潔く死を決意する。イリアが身代わりを申し出る。海神の像が動いて、神の声で「イドメネオは退位して、イダマンテがイリアを王妃にして即位するように」告げる。人々の喜びの合唱で幕を閉じる。

歌手で名を知っていたのはイドメネオ役のポレンザーニのみ。5年前のMET《愛の妙薬》で聴いて印象に残っていた。悩める王を見事な演唱で表現したMETのスター的存在。
メゾソプラノのクートはズボン役を主に得意とする歌手だそうである。余り違和感は無かったが、主役のズボン役は今まで観たオペラでは無かった。慣れていないせいか女性の配役の方が良かった気はした。
イリア役のシエラは純真無垢な可愛らしい王女として歌唱力も演技も初々しい新進ソプラノ歌手。フロリダ出身だそうだが、今後の活躍が期待される。
エレットラ役のヒーヴァーはとても個性的で卓越した表現力でドラマティックな演唱を繰り広げ異彩を放っていた。
本日の上映は個々の歌手のアリアは良かったが場面の展開に変化がなくてやや盛り上がりに欠けた。

休憩2回を挟んで4時間半。正味200分の大作。指揮者レヴァインとオーケストラピットの映像が普段より多かった。40年以上にわたる音楽監督を昨年で退任したレヴァインに対する敬意を感じた。レヴァインもすっかり健康を回復した様子だった。今回の特別映像はいつもより興味深く、特にレヴァインの1988年当時の《ナクソス島のアリアドネ》上演に際してオーケストラや歌手の指導の様子が放映された。凄く印象に残って良かった。ジェシー・ノーマンとキャスリン・バトルの往年の大歌手の素晴らしい歌声が聴けて感動した。オペラ上演に向けてレヴァインがピアノを弾いて彼らと話し合いながら音楽つくりをしている姿は信じられないような光景で宝物の映像のように思った。




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年間60回以上札幌コンサートホールKitaraに通うクラシック音楽ファン。クラシック全般に関心があるがオーケストラ・ピアノ曲が特に好きである。 

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