三上亮(Vn)&宮澤むじか(Pf) デュオリサイタル

元札響コンサートマスター(2007-11)の三上亮と札幌在住のピアニスト宮澤むじかによるデュオリサイタル。三上は4年間の札響在籍中にNew Kitara ホールカルテットのメンバーとしても活躍。その後、東京を拠点として自由な音楽活動をしているようである。札幌には14年に〈ヴィルタス・クヮルテットwith宮澤むじか〉のKitara公演を聴く機会を持った。15年にはチェリストとのデュオや室内楽公演も聴いた。デュオとはいえ、リサイタルのような感じでコンサートを聴きに来た。

2017年4月27日(金) 7:00PM開演  ザ・ルーテルホール
〈Program〉
【第一部】
 モーツァルト:ピアノとヴァイオリンのためのソナタ ホ短調 K.304
  シューベルト=リスト:水の上で歌う 作品72(ピアノ・ソロ:宮澤むじか)
               糸を紡ぐグレートヒェン、  どこへ 
 ミルシテイン:パガニニアーナ(ヴァイオリン・ソロ:三上亮)
【第二部】 
 R.シュトラウス:ヴァイオリン・ソナタ 変ホ長調 作品18

人気のヴァイオリニストと地元のピアニストの共演ということで会場に入った途端ドアーからロビーに通じる空間が人であふれかえっていた。このホールには先月も来ているが整理券を配って番号順に入場させているのは初めてであった。余りに混雑していて、整理券を渡している係の人の姿も見えずに受付近くに行って整理券が必要なことが判った。主催者の要領の悪い対応に少々いらつきを覚えた。2階のホールに入ると間もなく満席状態になった。やはり客席が埋まると気分も高揚する。

モーツァルトの曲は長調が大部分で軽快で明るい曲が多いのが特徴。ヴァイオリン・ソナタで短調の曲は「K304」だけである。この曲は2楽章構成。第1楽章はアレグロで悲しみが漂う陰鬱な感じの曲。謙虚で打ち解けた調べもあり、飾り気のない美しさも感じれた。第2楽章のメヌエットはメランコリーに陥りながらも気品を失わない姿も感じ取れた。巡業ピアニストとして旅をするモーツァルトの心境を思い浮かべながら聴いてみた。この曲はコンサートでもよく耳にするが、演奏前に三上のトークもあってそれを参考にしながら聴けた。

宮澤むじかは現在、札幌コンセルヴァトワール専任講師で実績を積んだピアニスト。今までにコンチェルトや前回のヴィルタス・クヮルテット室内楽公演でも演奏を聴いたことがあるが、非常に堂々とした力強い演奏で印象に残っている。
今回はシューベルト=リストのピアノ曲を3曲続けて演奏した。3曲共に原曲はシューベルトの歌曲。第1曲は初めて聴いたと思う。第2曲は聴く機会の多い曲で、シューベルトはゲーテのファウストに曲をつけた。第3曲の「どこへ?」はキーシンが弾くCDに3分ほどの曲が入っているのに気づいた。有名な曲なのだろうが、メロディには慣れていなかった。
宮澤の演奏は綺麗な歌心に包まれていた。

ミルシテイン(1904-92)はロシア国内でホロヴィッツと組んで演奏会を行っていたヴァイオリンのヴィルトオーソ。グラズノフの協奏曲でデビューし、たまたま彼のこの曲のCDを所有している。「パガニニアーナ」は“パガニーニあれこれ”という意味でミルシテインがパガニーニ作品から聴きどころを集めて編曲した。「24のカプリース」第24番を主題とする変奏など超絶技巧の旋律が次々とメドレーで綴られる曲。1954年頃にアメリカで作曲され、ミルシテインの看板曲になったという。
三上亮は無伴奏ヴァイオリン曲で難曲と思われる高度な技巧を要する曲を凄いスピードで弾き切った。彼のヴァイオリン・ソロを聴いて流石一流のヴァイオリニストで、聴きに来た価値があると思った。

R.シュトラウスが書いた唯一のヴァイオリン・ソナタは先月、漆原啓子のリサイタルでも聴いた。第1楽章は表情豊かにロマンティックでドラマティックな曲が展開される。第2楽章はアンダンテ・カンタービレ。甘美な旋律が面々と歌われる美しい緩徐楽章。第3楽章のフィナーレは情熱的な主題の数々が魅力的なメロディとなって瑞々しく展開された。
三上が昨年より貸与された1628年製のニコロ・アマティを手にして彼の紡ぎだす音も一層輝きを増しているように感じた。

ステージのライトが照り付けて30度を越す中で満席の聴衆に気分も高揚しての熱演。“北海道はいいですね!”と言ってアンコールに2曲。①ドビュッシー:亜麻色の髪の乙女  ②モンティ:チャルダッシュ。

次回の三上のコンサートに是非来ようと思わせるコンサートだった。帰りにミニ・バー“Old Classic”に立ち寄って珍しいデュ・プレの
映像(1962年)を見て感激した。彼女が17歳当時の白黒の貴重な映像だった。帰る頃にお世話になっている札響くらぶのメンバーに会えて交流できたのも嬉しかった。


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年間60回以上札幌コンサートホールKitaraに通うクラシック音楽ファン。クラシック全般に関心があるがオーケストラ・ピアノ曲が特に好きである。 

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