札響第598回定期演奏会(広上淳一・友情客演指揮者就任記念)

広上淳一は現在、京都市交響楽団常任指揮者兼ミュージック・アドヴァイザー、東京音楽大学指揮科教授を務め、全国各地のオーケストラに客演する他に、オペラ指揮などで日本の音楽界の牽牛役として目覚ましい活躍をしている。京都市響を関西随一のレヴェルに引き上げた手腕も高く評価されている。2012年からは毎年Kitaraのステージで札響に客演している。今年のKitaraのニューイヤーに続いての札響指揮。2017年4月から札響友情客演指揮者に就任。珍しいタイトルであるが、札響に対する深い想いと愛情から日本人指揮者としてを何らかの役割を果たしたい思いに駆られたのではないかと推察する。

2017年4月22日(土) 14:00開演  札幌コンサートホールKitara大ホール

《コルンゴルト生誕120周年&没後60年記念》

指揮/広上 淳一     ヴァイオリン/ ダニエル・ホープ
女性合唱/札響合唱団    合唱指揮/長内 勲

〈Program〉
 コルンゴルト:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 op.35
 ホルスト:組曲「惑星」 op.32

コルンゴルト(1897-1957)の名は現代音楽や映画音楽で知られるアメリカの作曲家と思い込んでいた。最近のコンサートで彼の曲が演奏される機会が増えているようである。3月に漆原啓子がヴァイオリン曲で「から騒ぎ」を弾いた。その時に目にした作曲者の名前の綴りからドイツ系と思った。Korngoldはオーストリア=ハンガリー帝国(現在のチェコ)に生まれ、4歳でウィ-ンに移住。1934年に渡米して映画音楽をたくさん書いた。1943年にアメリカに帰化。近年、コルンゴルトの再評価が進んでいるらしい。
札響初演となったこの曲を1974年2月定期(指揮:秋山和慶、ヴァイオリン:藤原浜雄)で聴いていたことが判った。当時の会場は札幌市民会館で全然記憶に残っていない。余程のことがないと忘れているほうが普通かもしれない。
 
この曲はフーベルマンのために着想されたが、彼の急死でハイフェッツに献呈。初演が1947年、セントルイス響の演奏で行われた。どの楽章も彼が書いた映画音楽が基になっている。ハリウッドで活躍した作曲家の様子も分る理解しやすい現代音楽になっている。ヴァイオリンの名手に捧げた高度な技法が用いられている曲のように思えた。

ヴァイオリンのDaniel Hopeは1974年英国生まれ。メニューインと60回を越す共演を重ねたとされる。数多くの著名なオーケストラや一流演奏家たちと共演を重ね、録音も多く、ラジオやテレビの司会者としても活躍している。
ダニエル・ホープは珍しい曲の演奏で聴衆を魅了し、大喝采を浴びた。アンコールに弾いた曲も今までに聞いたことがなく、普通のクラシック音楽とは違う感じの曲だった。難しいと思われる曲でも集中して聴く耳を持つ日本人の礼儀正しさも常日頃すごいと思っている。

ホルスト(1874-1934)が残した「ジュピター」は人気曲。全7曲から成る組曲を聴く機会はめったにない。札響の全曲演奏は今回が20年ぶりで3回目のようである。2000年にカラヤン指揮ウィーン・フィルのCDで一時は聴き親しんで、10年にレヴァイン指揮シカゴ響のCDで金管の響きを好んだ。その後は殆ど耳にしていないが、ここ数年はPMFのテーマ曲として「ジュピター」は気に入りのメロディとなっている。

壮大な宇宙をテーマにした“THE PLANETS”.。4管編成でホルン6本、多数の打楽器やオルガンも使われ、札響メンバーのほかに30名に近い客演奏者が出演した。
第1曲「火星」は戦争を予感させる緊迫感に満ちたダイナミックな曲。第2曲「金星」は穏やかで安らぎに満ちた平和な曲。第3曲「水星」は陽気で軽やかな曲。第4曲「木星」は6本のホルンが奏でる朗々とした快活な気分の主題で始まる。この楽章は全曲の中心で規模も大きく、英国的な雰囲気が出ている印象を受ける。第5曲「土星」は年老いて感じる想いの曲。第6曲「天王星」は魔術師に導かれるような曲。第7曲「冥王星」は幽玄な雰囲気が漂う神秘的な曲で女性合唱を伴う。

約50分を要する大オーケストラによる演奏を最初から最後まで広上は小柄な体を大きく使ってとてもダイナミックな指揮ぶりだった。拍手大喝采に包まれて、ホルン首席の山田圭祐、オーボエの関美矢子はじめ木管・金管奏者、打楽器奏者たちの健闘を湛え札響の全メンバーに拍手を贈る広上の姿も好ましいものであった。
コンサートの終わりに広上淳一は聴衆に向けて札響の奏でる音楽の素晴らしさを語り、札幌と北海道のオーケストラとして世界に誇るオーケストラのために聴衆とともに彼自身も精進していくと力強い挨拶をした。
 
※彼の挨拶の中で“オーケストラは街のレストランである”という言葉が印象に残った。









 
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年間60回以上札幌コンサートホールKitaraに通うクラシック音楽ファン。クラシック全般に関心があるがオーケストラ・ピアノ曲が特に好きである。 

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