札幌北高等学校合唱部 第36回定期演奏会

年に一度の札幌北高合唱部の定期演奏会の時期となった。3月下旬に入っても歩道には残雪があって春の訪れを感じれない。今年も例年と同じように合唱部から案内状と招待券が送られてきていた。年度末は何かと慌ただしい時期で落ち着いた気分で過ごすことが少ない。昨年は脚が不自由でタクシーで移動していたことを考えると今年は気分的に楽である。10年、11年、13年、15年に続いて北高定期演奏会を聴くことになった。

2017年3月27日(月) 開演:18:30  札幌コンサートホールKitara大ホール

1st Stage:[祈る] ~松下耕作品集~
2nd Stage〈OBステージ〉:[南の島の物語]~九州・沖縄の音楽を集めて~
3rd Stage:[春夏秋冬]~めぐる季節と旅立ち~
4th Stage〈合同ステージ〉:信長貴富作曲 混声合唱とピアノのための [新しい歌](2台ピアノ版)

コンサートの始めに本日の出演者全員がステージに登場して歌う札幌北高等学校校歌は在職時にも学校で聴けなかった迫力のある大合唱なのでひと際感慨に浸った。(*時代が平成になって札幌北高を退職した職員が毎年一度集まって会合を開いている折に校歌を歌うこともあって歌に親しんでいるが、在学生・卒業生が一緒になって歌うレヴェルの高い合唱は感慨一入。)

合唱部員49名(男子14、女子33)による第1ステージは格調の高い合唱曲。松下 耕(1962- )は現代日本合唱界を代表する作曲家。「祈ること」を基調にしたテーマの作品から4曲。鳥や内戦を題材にして平和と幸せを祈る詩を音で綴った作品。コンクールに向けて取り組み常日頃から言葉を大切にして歌う習慣を身に着けてきている成果が美しいハーモニーとなって聴けた。

第2ステージは東京方面からも駆け付けた約150名の合唱部OB・OGによるステージ。九州(特に熊本)・沖縄の曲から4曲。①あんたがたどこさ ②安里屋ユンタ ③おてもやん ④島唄。4曲とも自分の世代では歌詞も知っていて懐かしい民謡。混声合唱のために作曲されたものだが、良い曲は時代が流れても何らかの形で音楽が歌い継がれて行くことを目のあたりにした。(*昨年のPMFウイーンが室内楽曲として弦楽器に乗せて熊本のわらべ歌「あんたがたどこさ」を中心とした日本のメロディをアンコールに演奏した場面を思い出した。)若い学生もこの機会に日本の伝統的な歌が編曲されて新しい角度から時代をつなぐ面白さを味わったことだろう。

第3ステージはチョット堅苦しい合唱曲を離れてポピュラーな曲。制服を私服に着替えて現代のティ-ン・エイジャーらしい溌溂として心も軽くなるステージ。①蕾(コブクロ 2007) ②花火(aiko 1999) ③青い珊瑚礁(松田聖子 1979) ④秋桜(山口百恵 1997)⑤なごり雪(かぐやひめ 1974) ⑥麦の唄(中島みゆき 2014)。

大体の歌詞とメロディに親しんでいたのは③以降、①はメロディだけで②はタイトルを含めて全然知らなかった。プログラムを見なくても作詞・作曲者が分かったのは“さだまさし”と“中島みゆき”。どんなジャンルでも良い歌は歌い継がれるのだと思った。歌の紹介の仕方も巧み。マイクの使い方も上手で、話し手の声はほとんど私の耳に届いた。(*コンサートではマイクの使い方によってホールで声が通らないことが多い。私の耳のせいかとしばしば思いはするが、、、)「花火」での照明が目を引いた。Kitaraの照明装置をたっぷり使っての演出にはビックリするやら感心するほどであった。衣装や振付に工夫がなされていたが、ステージ真上と臨時の照明器具を使っての演出はKitaraの協力を得たのかなと思った。花火の雰囲気が出ていてとても良かった。舞台芸術として、単なる音楽だけでなく幅広く芸術的な試みをできる範囲で追求することは好ましい。
学校教育の中での合唱にとどまらず、歌う楽しさを人々に広く伝えている姿に心を打たれるものがあった。

最終ステージは総勢200名ほどの在校生と卒業生の合同ステージ。合唱として「新しい姿」を作り上げている21世紀の合唱。小学校・中学校・高校・大学・一般の部と合唱における日本のレヴェルはかなり高いのではないかと思っている。作曲家と合唱指導者が協力して新しい合唱曲を生み出す姿がこのステージを通して改めて感じた。

外国人の翻訳詩を題材として信長貴富(1971- )が2000年に「新しい歌」を作曲。当初の男声版、混声版が08年に「男声・2台ピアノ版」となった。札幌北高合唱部顧問の委嘱で書かれた「混声・2台ピアノ版」という作曲家の作品が2009年3月の定期演奏会で初演されたという。
北高合唱部の特徴に合う曲を合唱部顧問・平田稔夫の集大成として200名もの歌声で力強く歌い上げられた。2台ピアノ版で聴く合唱曲は極めて珍しい。《混声合唱とピアノのための「新しい歌」(2台ピアノ版)》は音量が増えただけでなく、重厚で華やかなサウンドが迫力を生み出し魅力あふれる合唱曲となってKitara大ホールに響いた。

コンサートを聴きに来た高校生や大学生の姿が目立ったが、若いほとばしるエネルギーに接していつもの生活環境とは違う空間も楽しめた。

※1200名余の聴衆が詰めかけたコンサートの帰りに、20年前からKitaraで姿を100回以上も見かける目の不自由な年配の方に出会った。クラシックコンサートだけでなく高校生の合唱も聴きに来られていることを知って嬉しくなった。視覚障碍者で音楽を愛好する人の鑑賞力はさぞかし研ぎ澄まされたものなのだろうと想像している。いつもKitaraレセプショニストの案内を受けているが、今度帰り道でお会いした時には声をかけて一緒に手をつなぐ申し出をしようと思った。





 
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

fsuterry

Author:fsuterry
年間60回以上札幌コンサートホールKitaraに通うクラシック音楽ファン。クラシック全般に関心があるがオーケストラ・ピアノ曲が特に好きである。 

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR