新進演奏家育成プロジェクト オーケストラ・シリーズ 第36回札幌

文化庁・日本演奏家連盟・札幌交響楽団が主催するプロジェクトとして昨年になって初めて知ったオーケストラ・シリーズ。平成28年度オーディションで選ばれた5名の新人演奏家が札響と協演するコンサート。時間があれば瑞々しい若者の演奏を耳にするのも楽しい。
円光寺雅彦は45歳ごろの98ー02年に札響正指揮者を務めて若手の指揮者として活躍してKitaraで聴く機会も比較的多かった。国内オーケストラへの客演も多く、現在は名古屋フィル正指揮者、桐朋学園大学院大学特別招聘教授。彼の指揮ぶりを見るのは今回が8回目。

2017年2月16日(木) 19:00開演  札幌コンサートホールKitara大ホール

指揮/ 円光寺 雅彦    管弦楽/ 札幌交響楽団

【1部】
 田中 望末(ピアノ)
   メンデルスゾーン:ピアノ協奏曲第1番 ト短調 作品25
 吉田 真樹子(ソプラノ)
   ビゼー:歌劇「カルメン」より “ミカエラのアリア”、“不安にさせるものなどない”
 三輪 主恭(バリトン)
   ベッリーニ:歌劇「清教徒」より “あぁ! 永遠に私はあなたを失ってしまった”
   ヴェルディ:歌劇「ドン・カルロ」より “私の最後の日”
【2部】
 佐藤 友美(フルート)
   ライネッケ:フルート協奏曲 ニ長調 作品283
 島方 瞭(ヴァイオリン)
   ドヴォルジャーク:ヴァイオリン協奏曲 イ短調 作品53

昨年に続いて2回目の『新進演奏家育成プロジェクト オーケストラ・シリーズ』を聴いたが、さすが厳しいオーディションに合格して選ばれた演奏家だけあって満足度の高いコンサート。プロを目指す若者のレヴェルの高さと音楽の広がりを感じた。今までのシリーズで2人の札響楽団員が出演していることからもレヴェルの高さが推し量れる。
公演冊子によると、札幌のオーディション参加者は30名(ピアノ10名、声楽6名、弦楽器4名、管打楽器10名)。

声楽の2名は学業を終えて、プロとして音楽活動を展開しているようである。歌手活動を続けるには声を磨くだけでなく、演唱に耐えれる体力も必要らしい。海外のオペラ歌手の容姿を見慣れるとスタイルにこだわっていられない気がする。
三輪はステージ・マナーを含めて堂々たる歌声で聴衆を魅了した。将来を嘱望されるバリトン歌手への成長が大いに期待される。吉田の歌も良かったが、オペラの主役のアリアを歌ってくれた方が聴衆の心に響くのかなと感じた。

「ライネッケ:フルート協奏曲」は昨年のコンサートで一度耳にしたこともあって、聴きやすかった。プロと同レヴェルの熱演で相当な実力の持ち主。フルートという楽器の魅力が伝わった。

メンデルスゾーンとドヴォルジャークの協奏曲は久しぶりで耳にする。最近の演奏会でも耳にすることもなく、自宅でCDを聴くことも暫くなかった。それだけに新鮮な気持ちで聴けた。
コンサートの最初に登場した田中は溌溂とした演奏で切れ目なく続く楽章を力強く引き切った。メンデルスゾーンは多方面にわたって才能を発揮したが、ピアノ曲では他の作曲家のような特徴が読み取れない。単純で爽やかで、整然としたスタイルで書かれているように思った。ピアノ協奏曲としてもっと変化に富んだ曲の方が味わいがある。技量は示せる曲ではあるが、聴く者の心に響く曲として少々物足りないものを感じた。

コンサートの取りを務めた島方はドヴォルジャークが残した唯一のヴァイオリン協奏曲を熱演した。正に満を持して披露した演奏は圧巻であった。メロディメーカーとして秀でたドヴォルジャークの美しい旋律、ボヘミアの民俗音楽に満ちたスラヴの音楽的魅力が満喫できる曲。演奏終了後にはブラヴォーの声も上がった。ホルンの響きとともに演奏する場面が何度かあって特別な感慨もあった。(*父と子の共演かなと類推したが確かではない。)
桐朋学園大学1年在学中で今後の活躍が楽しみである。

5人の演奏家にはオーケストラをバックに演奏した喜びを大切にして今後の一層の精進を期待したい。

※メンデルスゾーンのピアノ協奏曲には思い出がある。2002年5月にぺライアがアカデミー室内管を率いて来札した折に、演奏会終了後のサイン会が小ホールのエントランスの廊下で行われた。(*大ホールのホワイエが10時には閉められるのでサイン会の会場が移された。) その時に「バッハ:ピアノ協奏曲第1・2・4番」と「メンデルゾーン:ピアノ協奏曲第1・2番」の2枚のCDを購入し、丁寧に書かれたフルネームのサインをもらって嬉しい対応があったのが今でも忘れられない。その感激を5年前のブログに書いた。

※ドヴォルジャークのヴァイオリン協奏曲のCDはブダペスト祝祭管弦楽団が諏訪内晶子とKitaraで演奏会を開いた2000年5月に買い求めた。イヴァン・フィッシャーとゾルタン・コチシュが設立したオーケストラ。コンサートで諏訪内のCDを買ったが、サインはフィッシャーのものだった。(:*最近のブログではコチシュとハンガリーに関しての記述が偶々続いている。)

記憶をたどって昔のプログラムを読み返すのも楽しみになっている。暇な時間があるからできることなのだろう。
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Author:fsuterry
年間60回以上札幌コンサートホールKitaraに通うクラシック音楽ファン。クラシック全般に関心があるがオーケストラ・ピアノ曲が特に好きである。 

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