リスト音楽院教授陣(M・ペレーニ他)による第20回記念ガラコンサート

〈第20回リスト音楽院セミナー〉
札幌コンサートホールが1997年の開館以来、毎年開催しているリスト音楽院セミナーが20周年を迎えた。セミナーの折に、これまでピアノやチェロの教授のデュオやリサイタルが開かれてきた。セミナーのボランティアとして7・8年前に教授陣や受講生のための受付として2回ほど活動したこともあり、彼らのリサイタルも何回か聴いたことがある。
昨年はミクローシュ・ペレーニのチェロ・リサイタルを久しぶりに聴く予定が体調不良で断念せざるを得ず残念至極であった。昨年2月は7回予定のコンサート鑑賞が2回だけに終わった。今年は慎重を期して15日と16日の2回のコンサートのチケットは数日前に購入した。

2017年2月15日(水) 19:00開演  札幌コンサートホールKitara小ホール

ピアノ/ シャーンドル・ファルヴァイ、 イシュトヴァーン・ラントシュ
チェロ/ ミクローシュ・ペレーニ、   ハープ/ アンドレア・ヴィーグ

二人のピアニストは各々リスト音楽院に学び、ラントシュは94-97年、ファルヴァイは97-2004年にわたってリスト音楽院学長を務めた。彼らは演奏活動と教育活動の両面で活躍し、コンクールの審査員も務めている。ヴィーグは13年11月よりリスト音楽院学長に就任している。
ペレーニは今や世界のトップ・チェリストとして知られ、近年は毎年のように東京でリサイタルを開催している。80年よりリスト音楽院教授。07、09、11年に続いて6年ぶりに彼の演奏を聴いた。

〈Program〉
 J.S.バッハ(コダーイ編曲):前奏曲とフーガ ニ短調 BWV539 (チェロ、ピアノ)
 シューベルト:即興曲 変ロ長調 作品142-3
         即興曲 変ホ長調 作品90-2 (ピアノ・ソロ)
 ワルター=キューネ:チャイコフスキーの歌劇「エフゲニー・オネーギン」
                       の主題による幻想曲(ハープ・ソロ)
 コダーイ:ハンガリーのロンド(チェロ、ピアノ)
 ドビュッシー:前奏曲集 第2集より 5曲(ピアノ・ソロ)
 ブルッフ:コル・ニドライ 作品47(チェロ、ハープ)
 パガニーニ:ロッシーニの歌劇「エジプトのモーゼ」の主題による変奏曲(チェロ、ハープ)
 ドビュッシー:小組曲 (ピアノ連弾)

バルトークとともにハンガリーの大作曲家コダーイはチェロの名手でもあり、バッハのオルガン曲をチェロとピアノのためにいくつか編曲している。ペレーニ&コチシュ(*昨年11月逝去)が編曲版をCD録音しているそうである。オルガン曲もチェロが入ると趣が変わって違った聴き方ができる。

シューベルトの「4つの即興曲 作品90と作品142」は親しみやすい曲。ハンガリーのピアノの巨匠シフのCDで聴き続けて、シューベルトのピアノ曲の中では“気に入りの曲”になっている。近年は演奏会で聴く機会も多くなった。ピアノの鍵盤を動き回る運指にも見入った。

「エフゲニー・オネーギン」はオペラ以外にオーケストラで一部分を聴くことがあったが、ハープによる演奏は珍しかった。ハープの持つ美しさや華やかさが際立った音楽を楽しめた。

ハンガリー民謡を収集してハンガリーの国民音楽をバルトークとともに作り上げたコダーイは今年は没後50年となる。「ハンガリーのロンド」は原曲の管弦楽のための作品をペレーニがチェロとピアノのために編曲して2017年に出版されるそうである。世界に先駆けて日本での初演だったのかも知れない。

ドビュッシーの前奏曲集は1・2集各12曲で全24曲構成。誰もが耳にして親しまれている「亜麻色の髪の乙女」は特別で、他の曲は何度聴いてもタイトルは全く浮かんでこない。タイトルなしで先入観を持たずに聴いたほうが良い聴き方かもしれないと思うようになった。ドビュッシー独特の色彩感に富んだ豊かな音色を想像力を働かせて聴いてみた。自然の風景の中に人間の孤独が描かれていたり、スペインや東洋の異国情緒が漂う調べとともに人の味わう感情が表現されているように思った。

「コル・ニドライ」は一度コンサートでチェロ曲として聴いたことがあるような気がする。ヘブライ語で「神の日」を意味するタイトルだそうだが、曲は重々しくなく明るい美しい旋律を持った作品で、チェロの人気作品のようである。チェロとハープの二重奏で演奏された。

日本語のタイトルがいろいろあって同一曲で何度か耳にしているのだが、違う曲かと勘違いすることがある。コンサートでは1・2度聴いたくらいである。手元にあるCDはシュタルケルとフルニエの両巨匠のチェロ小品集で「パガニーニ:モーゼ幻想曲」、「パガニーニ:ロッシーニの《モーゼ》の主題による変奏曲」となっている。タイトル名は違うが同一の曲で魅力的な作品。
ロッシーニの歌劇《エジプトのモーゼ》の中の旋律を主題として用いた変奏曲をヴァイオリン曲としてパガニーニが書いた。原曲はヴァイオリンのG線のみで演奏される作品。ピエール・フルニエがチェロ曲に編曲してチェロのレパートリーとなっている。
チェロとハープの二重奏で演奏され名演となった。客席を埋めた聴衆の感動を呼び起こした。

最後のプログラムはピアノ連弾。ピアノ2台が並列して、譜めくりストも2人。2階ほぼ中央から見る興味深い連弾だった。連弾曲は鑑賞しやすい単純明解な曲。〈小組曲〉は全4曲で各曲3部形式で、ドビュッシーの若いころの作品。「小舟にて」、「行列」、「メヌエット」、「バレエ」。前奏曲集など他のピアノ曲とは明らかに違う作品だが、若さが横溢して美しい曲が綴られた。今まであまり聴いたことの無い曲を味わった。

第一線で活躍する音楽家4人がステージに登場したガラコ・ンサートは素晴らしかった。補助席まで用意された大盛況に教授陣にも聴衆の満足度が伝わったのか、アンコール曲が2曲も披露された。
小型オルガンも用意され、ピアノ、チェロ、ハープの4つの楽器による演奏は極めて印象深いものとなった。
アンコール曲は①J.S.バッハ(コダーイ編):前奏曲とフーガ ニ短調 BWX853 ②リスト:悲歌 第1番。

11日のウィンター・オルガンコンサートが“ハンガーリの贈りもの”となったが、第20回記念ガラ・コンサートと合わせてリスト音楽院教授が5人も登場する画期的なイヴェントになった。ハンガリー・オーストリア帝国として一時代を築いた歴史のある国の文化が今日も息づいているのは感慨深い。19日まで続くリスト音楽院セミナーの成功を期待する。

※2000年8月のイタリア・ギリシャ観光を思い出した。当時はイタリアからギリシャに何故か直行できずにローマのレオナルド・ダ・ヴィンチ国際空港からハンガリーのブダペスト国際空港に立ち寄ったことがいまだに記憶として残っている。ブタペスト空港内の土産店で買い求めたハンガリーの小物の民芸品が今も飾り戸棚に入っている。空港でフロリダのNaples(ナポリ)から来た高校生と空港内で待ち時間に話し合った思い出も今思えば懐かしい。(*アメリカにはヨーロッパの都市名と同じ地名が数多くある。フロリダにはヴェニスという地名もある。) 過去を思い出して懐かしさにふける日々が多くなった。



 
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

Author:fsuterry
年間60回以上札幌コンサートホールKitaraに通うクラシック音楽ファン。クラシック全般に関心があるがオーケストラ・ピアノ曲が特に好きである。 

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR