チョ・ソンジン ピアノ・リサイタル

ライヴ・コンサートは昨年12月23日以来で、2週間以上も間が空いたのは稀である。TVh北海道とオフィイス・ワン主催の《ニュー・イヤー・スペシャル・コンサート2017》。札幌では『2015年ショパン国際ピアノ・コンクール優勝記念』として開催され、【チョ・ソンジン ピアノ・リサイタル】はその後、福岡・大阪・東京・川崎・名古屋でも開かれ、2月には同プログラムでニューヨーク・カーネギーホールでのリサイタル・デビューも行われる予定という。

チョ・ソンジン(Seong-Jin Cho)は1994年ソウル生まれ。09年浜松国際ピアノコンクールでは15歳で最年少優勝。10年PMFオープニングコンサートに出演して「チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番」をPMFオーケストラと共演。11年チャイコフスキー国際コンクール第3位入賞、その後はパリ国立高等音楽院でミシェル・ベロフ(*辻井伸行のクライバーン・コンクール優勝時の審査員、2013年Kitara来演)に師事。14年ルービンシュタイン・コンクール第3位。15年10月に行われた第17回ショパン国際コンクールの後、11月にはフェドセーエフ指揮N響と共演、直後にアムステルダムでフルシャ指揮ロイヤルコンセルトへボウ管とも共演して別々のコンチェルトを演奏。16年1・2月にはショパン・コンクール以前から決まっていた日本公演に加えて、ショパン・コンクールの入賞者ガラ・コンサートなども重なってハード・スケジュールをこなしていた。

10年、16年に続き3回目のKitaraのステージ。

2016年1月9日(月・祝) 1:30開演  札幌コンサートホールKitara大ホール
〈Program〉
 ベルク:ピアノ・ソナタ ロ短調 Op.1
 シューベルト:ピアノ・ソナタ 第19番 ハ短調 D.958
 ショパン:24の前奏曲 Op.28

ベルク(1885-1935)はシェーンベルク、ヴェーベルンと共に「新ウィーン学派」と呼ばれる作曲家。彼の名を名乗ったアルバン・ベルク弦楽四重奏団は世界最高のカルテットとして親しまれた。ベルクの「ヴァイオリン協奏曲」は渡辺玲子のCDがあって何回か耳にするが、鑑賞が難しい。
ベルクのピアノ・ソナタは初めて聴いた。7・8分程度の単一楽章の曲で古典的なソナタ形式。ロ短調となっているが調性を超えた曲作り。現代音楽として特別な違和感は無く聴けた。

シューベルトは最近は歌曲よりピアノ曲を聴く機会が断然多くなった。全21曲のソナタの中で近年は「第21番」は度々聴く。彼が亡くなる1828年11月の2ヵ月前に書き上げられた3曲(第19・20・21番)はシューベルト最後の作品。「ピアノのための3つの小品」は遺作となった。3作とも各4楽章構成で大作となっている。
「第19番」は前年に死去したベートーヴェンの影響が特に色濃く表れている曲とされる。ベートーヴェンを想起させる力強い第1主題とコラール風の柔らかい第2主題を中心に展開される第1楽章。シューベルトらしい歌謡的な美しさ溢れる第2楽章。第3楽章は素朴な味わいの短いメヌエット。第4楽章は主題が多彩に展開される長大なフィナーレ。
ポピュラーな曲ではないが、演奏終了後にブラヴォーの声があちこちから上がるほどに聴衆を魅了したチョ・ソンジン。

ショパンの《24の前奏曲》の中でも「第15番 雨だれ」は最も有名で親しまれている曲。演奏時間が一番短い30秒から一番長い5分程度の曲が24曲。この作品は第1番のハ長調から第24番のニ短調まで24の調をすべて用いて書かれた。長調と短調が交互に現れる。第15番は何度も同じ音が繰り返されるところが雨のしずくを表しているように聞こえるところから、後に「雨だれ」と名づけられた。他に親しんでいる曲は1分足らずの「第7番 アンダンティーノ」、「第24番 アレグロ・アパッショナート」の2曲ぐらいだった。昨年のユンディ・リのリサイタルでも<24の前奏曲〉を聴いたこともあって、身近に感じれる曲も増えた。対比が面白い「第10番」やドラマティックな演奏の「第18番」など。

卓越したテクニックと透明な美しい音色で綴られる変化に富んだ曲の流れに最初から最後まで集中度を保ち続けた聴衆も素晴らしかった。演奏終了後のホールは歓声に湧いた。近現代の曲も含め必ずしも耳慣れた曲ではないプログラムにも関わらず、今日のオーディエンスの反応は凄かった。心が揺さぶられる演奏に浸れて感動を覚えて胸が高鳴った。
アンコール曲は「ドビュッシー:月の光」と「ブラームス:ハンガリー舞曲第5番」。誰もが耳にしたことのあるポピュラーな曲が本格的なプログラミングのコンサートに華を添えた。
集客を重視して、ともすれば安易に陥りがちなプログラミングも演奏家と聴衆の要求度が一致すると成功するのではないかと痛感した。22歳の若い韓国人ピアニストの日韓文化交流に果たす役割も小さくない。
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Author:fsuterry
年間60回以上札幌コンサートホールKitaraに通うクラシック音楽ファン。クラシック全般に関心があるがオーケストラ・ピアノ曲が特に好きである。 

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