青木晃一ヴィオラリサイタル

文化庁委託事業〈平成28年度次代の文化を創造する新進芸術家育成事業〉
     新進演奏家育成プロジェクト リサイタル・シリーズSAPPORO11

3年前の札響12月定期公演終了後に〈札響くらぶ・クリスマスパーティ〉が開催された折に、会に参加していた青木晃一さんに会う機会があった。Kitaraホールでのステージ姿は毎月のように見慣れていたが、若い演奏家の溌剌とした品のある対応に好印象を受けていた。9月の〈札響くらぶ交流会〉で今回のリサイタルの案内を受けてチケットをその場で購入していた。(*本人が会場で16日と18日のコンサート出演のチラシを配っていた。)

2016年12月16日(金) 19:00開演  札幌コンサートホールKitara大ホール

青木晃一(Koichi Aoki)は兵庫県姫路市出身。桐朋学園大学、ケルン音楽大学、同大学院修士課程に学ぶ。ドイツ留学中に数多くの国際音楽祭に参加。デュッセルドルフ響などで副首席奏者、幾つかのオーケストラアで客演首席奏者を務める。ドイツを中心にソリスト、室内楽奏者として活躍。2012年、札幌交響楽団に入団。現在、ヴィオラ副首席奏者。

ピアノは田島ゆみ。2008年、ドイツ・フライブルク国立音楽大学大学院修士課程を修了。ヨーロッパ各地でピアノデュオ、室内楽活動を展開し、ドイツ国内の音楽祭にも参加。11年余のドイツ滞在の後、2014年帰国して札幌を拠点に活動。札響首席奏者たちとの共演をはじめ、様々な室内楽コンサートで活躍し、2015年以降PMFコンダクティング・アカデミー・ピアニストを務めている。

〈PROGRAM〉
 J.S.バッハ:無伴奏ヴィオラ組曲 第6番 ト長調 BWV1012
 バックス:ヴィオラとピアノの為のソナタ
 ヒンデミット:無伴奏ヴィオラ・ソナタ(1937)
 ブラームス:ピアノとヴァイオリンの為のソナタ第2番 変ホ長調 作品120-2

バッハ(1685-1750)の無伴奏チェロ組曲はカザルスのCDを所有していて、去る9月に堤剛のリサイタルで聴いた。ヴィオリストが中心のヴィオラのCDはバシュメットと今井信子のものしか所有していない。ヴィオラ・ソロが入るコンサートもバシュメットと今井によるものだけである。そういう意味で今回の青木のリサイタルは私にとって極めて稀なコンサートである。
無伴奏チェロ組曲第6番はバッハが考案した5弦楽器ヴィオラ・ポンポーザのために作曲されたとされる。今回はこの曲がニ長調からト長調に移調して演奏された。最も高度な技巧が必要とされる「第6番」がチェロの響きとは違うが、バロック音楽特有の雄渾壮麗な曲として興味深く聴けた。

バックス(1883-1953)は初めて名を聞く作曲家。プログラムノートによるとアイルランド民謡が取り入れられた曲。現代曲ながら、抒情的な旋律を持ち親しみやすい。第2楽章のスケルツォでのリズミックなピアノ伴奏に合わせてのヴィオラの響きも印象的。ピアノの魅力も充分で味わい深かった。

ヒンデミット(1895-1963)は有名な現代作曲家として、彼の曲はPMFではしばしば取り上げられていた。ヴァイオリン奏者・ヴィオラ奏者として活躍したとは知らなかった。ヴィオラという楽器を愛し続けて、4つの無伴奏曲を含む7つのヴィオラ・ソナタを遺したという。解説には音楽史上最大の“ヴィオラ作曲家”と書かれていた。この曲が書かれた頃、ヒンデミットはナチスから社会的地位を奪われてドイツでの音楽活動が困難で、アメリカ演奏旅行中の列車の中で書かれた作品だそうである。
ヴィオラの楽器の特性と技巧が最大限に生かされた作品。ヒンデミットならではの現代曲と言える感じがした。

ブラームス(1833-97)の作品120はバシュメットのdisc(*1992,Torontoでの録音盤)に入っていて、今回の演奏会に備えて久しぶりに聴いてみた。「第2番」は特に魅力的な曲だった。このヴィオラ・ソナタ第2番が「クラリネット・ソナタ第2番」としてカール・ライスター(*カラヤン時代のベルリン・フィル奏者)のCDにも入っていることを知ってビックリした。両方の曲を各4回ほど聴いてみたが、弦の方が自分の好みに合っていて、とても気に入った。
第1楽章はアレグロ・アマビーレで美しい旋律の変奏が幸福感を漂わせる。第2楽章はスケルツォ的な感じのアレグロ・アパッショナート。第3楽章はアンダンテ・コン・モートで変奏曲の形式。第5変奏で見事なフィナーレ。
生の演奏を聴いてブラームスの室内楽曲の素晴らしさを味わった。

ヴィオラはオーケストラや室内楽では地味なパートを担当して目立たない楽器。チェロよりも小回りが利く楽器でヴァイオリンに近い運動性を持つが、ヴィオラのためのオリジナル作品が少ないために馴染みの曲が圧倒的に少ないのが実情である。
今回は〈新進演奏家育成プロジェクト〉としては実績を充分に積んだヴィオリスト青木晃一の出番が遅すぎた感さえした。「ヴィオラ・リサイタル」に相応しいプログラムのもとで彼のヴィルトオージティが遺憾なく発揮された聴き応えのある演奏会であった。

演奏終了後の聴衆の盛大な拍手に応えてアンコール曲が2曲演奏された。
①メンデルスゾーン:歌の翼に  ②レ―ガ―:子守歌
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Author:fsuterry
年間60回以上札幌コンサートホールKitaraに通うクラシック音楽ファン。クラシック全般に関心があるがオーケストラ・ピアノ曲が特に好きである。 

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