宮崎陽江 ヴァイオリン協奏曲の夕べ 2016 (大友&札響)

ヴァイオリニストがコンサートのソリストとしてオーケストラと共演してヴァイオリン協奏曲を弾く機会は数多くある。ソリストの名を中心にして『宮崎陽江ヴァイオリン協奏曲の夕べ』というタイトルで開催されるコンサートは極めて稀である。
昨年12月のコンサートの時から今回のプログラムが決まっていて大友直人の出演があるので予定に入れていた。

指揮/ 大友 直人(Naoto Otomo)
ヴァイオリン/ 宮崎 陽江(Yoe Miyazaki)
管弦楽/ 札幌交響楽団(Sapporo Symphony Orchestra)

大友直人は1958年東京生まれ。桐朋学園大学卒業。22歳でN響デビュー。在京オーケストラに次々と客演。86年大阪フィルと欧州ツアー、92年東京響と東南アジアツアー、96年再び東京響と欧州ツアーと海外公演もこなし破竹の勢いで日本の俊英指揮者として活躍。コロラド響、インディアナポリス響、ロイヤル・ストックホルム・フィルなどの海外のオーケストラにも客演。88年、「魔弾の射手」でオペラデビューも行って、「リゴレット」、「魔笛」などの他に「忠臣蔵」、「ジュニア・バタフライ」の独特な演目を披露して意欲的な指揮活動を展開。イタリアのプッチーニ音楽祭でも注目を浴びた。
現在、群馬交響楽団音楽監督、東京交響楽団名誉客演指揮者、京都市交響楽団桂冠指揮者、琉球交響楽団ミュージックアドバイザー。
彼の指揮活動を初めて見たのが86年日本フィル正指揮者としての旭川公演。続いて、92年に日本フィル札幌公演。時を置いて06年、京都市響常任指揮者として京都市響創立50周年記念でKitaraに登場。近年は現ニューヨーク・フィル音楽監督のアラン・ギルバートと国際音楽セミナーを毎年開催して教育的活動にも従事している。10年ぶりの札幌公演。

2016年12月7日(水) 19:00開演  札幌コンサートホールKitara大ホール
〈オール・ベートーヴェン・プログラム〉
  プロメテウスの創造物 Op.43 より 序曲
  ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 Op.61
  交響曲第7番 イ長調 Op.92

バレエ音楽として書かれた「プロメテウスの創造物」は現在は上演される機会は殆どない。「序曲」は度々コンサートで取り上げられる。昨年11月、アシュケナージ指揮札響定期でも演奏された。12年11月にもエリシュカ指揮札響演奏の記録もある。5分程度の序曲なのでコンサートのイントロに使われやすいのだろう。曲の詳細は解らなくてもタイトルから様々な想像力を生かして鑑賞できる。

4大ヴァイオリン協奏曲は演奏会が多いが何時聴いても素晴らしい楽曲。ベートーヴェンが書いた唯一のヴァイオリン協奏曲は定期的に耳にして50年にもなるが全然飽きない。べズロードニーのヴァイオリン独奏でロジェストヴェンスキー指揮モスクワ・フィルによるLPレコードは擦り切れるほど聴いた。今はCDが7枚あって、ハイフェッツ、シゲティ、グリュミオー、パールマン、クレーメル、キョン=ファなどの演奏を聴く。ソロとオーケストラが統合して響き合う交響的色彩が強い曲。美しく伸びやかに歌うソロとともに奏でられるオーケストラも抒情的で気品と壮大さを感じさせる。
ベートーヴェンはピアノ協奏曲と違ってカデンツァを書いていないことに今回注目した。カデンツァはクライスラーのものが有名のようである。ハイフェッツ、クライスラーは自らのカデンツァを使っている。宮崎陽江はかなり意欲的な活動を展開しているので、彼女自身のカデンツァを使ったのかもしれない。曲の細かいところまでは解らないが、宮崎は風格も身について堂々たる演奏を展開した。

「第7番」は13年2月のサロネン指揮フィルハーモニア管の演奏に感動した記憶が鮮明である。ベートーヴェンは最も好きな作曲家で交響曲は「第5番」、「第6番」、「第9番」により親しみを持っていた。演奏会に臨むモチヴェーションや集中度によって鑑賞の印象は異なることも間間ある。
「第7番」は2管編成で「英雄」、「運命」や「田園」に比べて少し軽めの交響曲に見られていた感じがする。この曲の特徴は何よりもリズムという要素に重点が置かれている。ヒロイズムや闘争心も描かれで生命感、躍動感に溢れた作品。10年ほど前から「第8番」とともにその曲の良さを味わい出したが、現在の日本における「第7番」の人気度は極めて高い。

本日は大友直人指揮のもと札響弦楽器陣の安定した演奏とともに木管・金管・打楽器奏者の健闘もあってリズム感のある「第7番」を大いに楽しめた。メロディに富み、聴衆の理解しやすい音楽が終わると一段と大きなブラヴォーの叫び声があちこちから沸き上がった。いつもの札響定期とは違って若い学生の姿もかなり多かった。各楽章におけるリズム・パターンが躍動感を生み、若者の心を揺さぶっていたような気がした。
演奏終了後の盛大な拍手大喝采と歓声は指揮者・大友直人と「第7番」の曲の相乗効果のように思った。アンコールを期待する雰囲気もあったが今回はその場ではなかった。どんな曲でも品の良い音楽を作り上げるマエストロに感服!
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年間60回以上札幌コンサートホールKitaraに通うクラシック音楽ファン。クラシック全般に関心があるがオーケストラ・ピアノ曲が特に好きである。 

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