札響第595回定期演奏会 “バイロイトの伝説 飯森泰次郎”(ゲスト/ホジャイノフ)

新国立劇場第6代オペラ芸術監督を務める飯森泰次郎がワーグナーの《ニーベルングの指環》の名曲を指揮する。1970年以降20年以上にわたってバイロイト音楽祭で助手と務めて研鑽を積み、ワーグナーの伝統を受け継ぐ指揮者は彼の右に出る者がいないほどの日本のワーグナー・オペラの第一人者。
09年、12年に次いで3回目のKitara 登場。

ニコライ・ホジャイノフは2010年のショパン国際ピアノコンクールでファイナリスト。このコンクールでは予選が終わって優勝の呼び声が高まったが、経験不足で協奏曲がうまくいかなくて入賞できなかった。その後、日本での人気は高くなって各地でリサイタルを開いている。札響との共演は前回14年2月名曲シリーズ(*チャイコフスキー第1番)に続いて2度目。14年ダブリン国際ピアノコンクール優勝。14年11月に飯森範親指揮山形響と共演して「ベートーヴェン:第4番」を山形で聴いた。日本の文化にも詳しく、日本語も理解できる知識人。

2016年11月26日(土) 14:00開演  札幌コンサートKitara 大ホール
〈Program〉
 ベートーヴェン:ピアノ協奏曲 第5番 変ホ長調 作品73「皇帝」
 ワーグナー:『ニーベルングの指環』より
          「ワルハラ城への入場」、「ワルキューレの騎行」、「魔の災の音楽」、
          「森のささやき」、「ジークフリートの葬送行進曲」、「ブリュンヒルデの自己犠牲」

「皇帝」はベートーヴェンの5曲のピアノ協奏曲の中で最もポピュラーな曲。前回は6月オルフェウス室内管の札幌公演で辻井伸行が弾いた。同じ曲でもピアニストやオーケストラの違いによって印象も異なる。今回はロシアの逸材ホジャイノフの強烈で個性的な演奏で絢爛豪華なピアニズムが展開された。「第3番」や「第4番」も味のある曲なのだが、「第5番」の華やかさが聴衆を圧倒する。指揮者もソリストと充分にコミュニケーションをとっていた。聴き慣れたメロディが聴衆を惹きつけ聴く者の集中力を高めたように思った。
ブラヴォーの声が上がり盛大な拍手の後、アンコールに応えて『ビゼー(ブゾーニ編):カルメン』が弾かれた。聴き慣れた旋律が様々な変奏をしながら繰り返し幻想曲風に弾かれた。超絶技巧が続く見事な演奏に聴衆の心も奪われた。演奏後の鳴りやまぬ拍手と歓声に応えての2曲目のアンコール曲は『リスト:グランド・ギャロップ・クロマティック』(*輸入盤リスト全集にこの曲が収録されていた。曲のタイトルの日本語は“半音階的大ギャロップ”になるらしい)。 この曲もリストならではの超絶技巧による曲で度肝を抜かれる演奏だった。演奏が終わって、もうアンコール曲はないと思っても暫しの間、割れんばかりの拍手が続いた。こんな聴衆の反応は未だかって無いほどだった。(*前日とは違うアンコール曲を披露するレパートリーの広さに恐れ入った。)

楽劇『ニーべルングの指環』の4部作より〈ハイライト〉の上演が2010年10月Kitaraで開催された。トヨタ・コミュ二ティ・コンサートとして北海道交響楽団創立30周年記念演奏会であった。
当時はワーグナーの楽劇の知識が殆どなくてストーリーも余りよく解らずに鑑賞した。ナレーション付きでジークリンデ、ブリュンヒルデ、ジ―クムント、ジークフリート、ヴォータンの歌唱の場面は眼前に浮かんでくる。ストーリーは今でも詳しくは理解していない。《ラインの黄金》、《ワルキューレ》、《ジークフリート》、《神々の黄昏》の4つのオペラから成る超大作。世界を支配する魔力を持つ指環をめぐって繰り広げられる神々族とニーベルング族や人間たちの死闘が描かれた作品。この程度の知識で登場する人物の名も上記の数人しか知らない。
最も聴き慣れた曲は「ワルキューレの騎行」で4管編成で聴く生の音楽は壮大であった。ストーリーは考えずに聴き入ったのは「森のささやき」。大音響で響く雄大な曲の中で特に印象に残った美しい旋律に満ちた曲。「ジークフリートの葬送行進曲」はCDがあって耳にしていた旋律であった。とにかく50分程度の管弦楽曲は聴きごたえあって大変良かった。とても満足した。
さすがオペラで人後に落ちない第一人者は暗譜で通した。上演時間が15時間近くもかかる『指環』全曲からすると朝飯前なのだろう。聴衆の満足度はもちろんのこと、指揮者自身も得意のワーグナーもので満足そうであった。
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年間60回以上札幌コンサートホールKitaraに通うクラシック音楽ファン。クラシック全般に関心があるがオーケストラ・ピアノ曲が特に好きである。 

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