名古屋フィル第440回定期演奏会(小泉&オピッツ)と名古屋城見学

2006年に結成された日本プロオーケストラファンクラブ協議会(JOFC)の今年度総会が11月19日(土曜日)名古屋で行われた。第10回JOFC総会の主催は名フィル・ファン・クラブ。総会の会場はSMBCパーク栄 会議室で7団体から約50名が参加して午後1時~3時までグールプ討論。
総会終了後に《名フィル第440回定期演奏会》鑑賞に備えて【愛知県芸術劇場コンサートホール】に歩いて移動。セントラルパークとなる大通りに建つテレビ塔も目立ち、名古屋の都心、栄地区にある大型文化施設も交通に便利な場所に立地する。

愛知県芸術劇場の建物全体は本格的3面舞台がある大ホール、コンサートホール、小ホールを持つ芸術劇場の他に美術館、アートライブラリーで構成されている。1992年開館の建物に入ったのは今回が初めてである。コンサートホールの映像は写真で何回か目にしているが実際に見てホールの素晴らしさを実感した。
コンサートホールは正面にオルガンが設置され、バルコニーがアリーナ型ステージと平土間席を取り囲む形式。客席は1800席。白いカーテンを連想させるコンクリート製の天井が印象的。

2016年11月19日(土) 4:00pm  愛知県芸術劇場コンサートホール

指揮/ 小泉 和裕 (Kazuhiro Koizumi)(名フィル音楽監督)
ピアノ/ ゲルハルト・オピッツ(Gerhard Oppitz)
管弦楽/ 名古屋フィルハーモニー交響楽団

〈Program〉
 ブラームス:ピアノ協奏曲第1番 ニ短調 作品15
 バルトーク:管弦楽のための協奏曲 Sz.116

小泉和裕は1949年、京都生まれ。72年第3回カラヤン国際指揮者コンクール優勝を果たし、ベルリン・フィル、フランス国立管、ウィ―ン・フィルなどのヨーロッパのメジャー・オーケストラと共演。その後もバイエルン放送響、シカゴ響でも客演指揮。新日本フィル音楽監督(75-79)、カナダ・ウィ二ペグ響音楽監督(83-89)、九州響首席指揮者(89-96)を歴任。東京都響では首席指揮者(95-98)、首席客演指揮者(99-08)、レジデント・コンダクター(08-13)を務め、日本センチュリー響音楽監督も歴任。現在は東京都響終身名誉指揮者、九州響音楽監督、仙台フィル首席客演指揮者、神奈川フィル特別客演指揮者。2016年4月より名フィル音楽監督。
マエストロ小泉の指揮ぶりを観るのは92年札響定期、07年と09年は都響札幌公演、12年札響定期に続いて今回が5度目となる。

ゲルハルト・オピッツは1953年、ドイツ出身のピアニスト。ヴィルヘルム・ケンプの後を継ぐドイツ伝統のピアニスト界の巨匠。77年第2回ルービンシュタイン国際ピアノコンクール優勝。ウィ-ン・フィル、ベルリン・フィルをはじめ世界のオーケストラと共演。90年代に日本での知名度が高まり、特に2005年~08年まで東京のステージで〈ベートーヴェン・ピアノソナタ全曲演奏会〉を企画して大成功を収めた。その後の日本国内ツアーに繋がったと思う。
初めてオピッツのリサイタルを聴いたのが08年でべート―ヴェンの4大ピアノ・ソナタ。12年のピアノ・リサイタルではベートーヴェン、シューマン、シューベルトを弾いた。彼の得意な主要分野はドイツ古典派とロマン派の作品のように思われた。日本での音楽活動が多く親日家として知られる。ドイツ人気質と生真面目な性格が彼の演奏とステージマナーからも伝わってくる。日本人との相性が合う印象を深くしている。第3回目が昨年12月の札響定期で「ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第4番」を弾いて聴衆から嵐のような大喝采を受けた。オピッツの日本での人気の高さを改めて認識した。

名古屋フィルハーモニー交響楽団は1990年3月に札響tと合同演奏を行った。毎日新聞北海道印刷30周年記念として「マーラー:千人の交響曲」が当時の北海道厚生年金会館で演奏があったことを記憶している。(*指揮は高関健、ソリストは二期会会員8名、合唱は札幌の大合唱団。) 名フィルは「トヨタ・マスター・プレイヤーズ、ウィ―ン」との年1回の合同演奏で親しみのあるオーケストラ。今回は単独の生演奏を聴ける滅多にない機会で楽しみにしていた。

ブラームス(1833-97)はピアノ協奏曲を2曲残している。1858年に完成された『第1番』はピアノ協奏曲として着想されたものではなかった。最初は2台のピアノのためのソナタとして書かれたが、第1楽章にオーケストレーションを施して交響曲にしようとした。最終的にはピアノ協奏曲に仕上げられ、ブラームスがオーケストラを用いた最初の作品となった。
華やかで色彩感豊かな曲ではないが、重厚感のある作品だと思う。悲劇的で情熱的な力強い表現に富む調べで長大な第1楽章。第2楽章は静かな情感を湛えた緩徐楽章。第3楽章はエネルギッシュな躍動感に満ちたフィナーレ。
オピッツによる生演奏のブラームスを聴いたのは初めてであるが重厚感あふれる演奏で指揮者との阿吽の呼吸もピッタリ。3階のほぼ中央に近い席からホール全体を見渡せ、ピアニストの運指も見れて曲の醍醐味を味わえた。

バルトーク(1881-1945)は1940年にハンガリーからアメリカに亡命したが、新天地では彼の名声は届かずに不遇な生活を送っていた。1943年に同じハンガリー出身でアメリカで活躍中の指揮者フリッツ・ライナーら友人たちの支援があり、ボストン響音楽監督クーセヴィツキーから現代音楽普及のための作品の委嘱を受けた。当時、バルトークは白血病で病床にあったが、3ヶ月足らずでこの『管弦楽のための協奏曲』を完成させたと言う。
曲のタイトルが面白い。「協奏曲」は一般には独奏楽器とオーケストラによる作品を指す。バルトークのこの作品では独奏は“オーケストラ全体”。曲が多彩に展開されて、いろいろな楽器にスポットが当てられる。極めて独創的な曲作りで、初演時から大成功を収め、現代音楽の傑作として評価されている。バルトークの管弦楽作品の中で最も演奏機会の多い作品。

実は昨年9月のホリガー指揮札響定期でも聴いているが、座席が1階11列で弦楽器奏者の後ろに位置する木管・金管奏者の姿が全て明瞭に見渡せる状況ではない。今回は3階席ほぼ中央からステージ上の演奏者の姿が全てハッキリと視界に入った。独奏楽器の演奏の際に耳と目の両方で確かめることができた。曲の面白さが倍加した。独奏楽器の響きを聴き分けることができて、第1楽章から終曲の第5楽章まで曲を堪能できた。今まで何回か耳にしている曲がこんなに興味深く鑑賞できたことはない。
普段と違った環境のもとで気分も高揚して聴けたとは思うが、とにかく2日連続の公演が毎回満席状態が続く名フィルの演奏も素晴らしかった。演奏終了後の万雷の拍手に包まれたホールを後にして外に出た。清々しい気持ちになって演奏会の感想を友人と話しながら懇親会会場に向かった。
毎年“TOYOTA MASTER PLAYERS, WIEN”との共演を含めた演奏会の積み重ねによって、名フィルのレヴェルも確実に向上しているのではないかと思った。マエストロ小泉や若手の指揮者、川瀬賢太郎たちの下で成長を続ける名フィルの今後に注目したい。
(*12月の名フィル・コンサートの客演指揮者が尾高忠明と知って、いっそう名フィルに親しみを感じた。

JOFC懇親会はSMBCパーク栄1階ロビーで開催されたが嬉しいことにマエストロ小泉も20日の名フィル大阪公演のため出発直前に会場に姿を見せて挨拶した。今年は名フィル創立50周年に当たり、大阪・新潟・上田での特別公演が続くが、名フィル・シェフの仕事が最後になると語った。品格がにじみ出る姿を間近にして感激した。
更にビックリして感激したことが起こった。演奏会終了後のサイン会が終ってからオピッツが懇親会会場に姿を見せた。英語と日本語で挨拶して小泉先生との共演は嬉しかったと述べた。名フィルとは22年ぶりの共演で懐かしそうであった。20日からの名フィル特別3公演で「ベートーヴェン:皇帝」を演奏する予定などを詳しく話した。実直に語る姿も予め抱いていた印象の通りであった。通り一遍の挨拶ではなくて愛情のこもった話に出席者一同は感激した面持ちで耳を傾けて退出する姿を見送った。

懇親会の後に同じ会場で二次会も行なわれてお開きとなる9時20分ごろまで会合に出席した人々と懇談した。札響くらぶから17名の会員が参加して三次会に向かう人もいたが、私も含め半数がタクシーでホテルに帰った。
翌日は犬山城・明治村に出かける人が多いようだったが、私は25年ほど前に出かけ場所なので単独行動にした。名古屋市は初めて訪れたので名古屋城を中心に観光した。「なごや観光ルートバス」を利用して名古屋城と徳川美術館を観て回った。それぞれ2時間以上の時間をかけてゆっくり鑑賞できた。

名古屋城では11時開始のボランティアが案内してくれるグループに加わっての観覧。親切なボランティアの案内で効率的に見学できて良かった。本丸御殿の復元工事が2018年の完成を目指して進められている。2013年5月から「玄関・表書院」の公開が始まり、
今年の6月からは「対面所・下御膳所」などの公開も始まっていた。本丸御殿復元工事の一部を観覧できるとは思っていなかったので大収穫であった。
予想以上に見ごたえのある城で天守閣は正午ごろには階段を上り下りする人々で混雑した。当日は日曜日だったので外国人の姿も多く見られ、行きかう言語もさまざまであった。

※札幌では10年ぶりの日本一に輝いた日本ハムファイターズのパレードが行われ、サッカーJ2の北海道コンサドーレ札幌が優勝を飾って5年ぶりのJ1昇格を決めた日でもあった。
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年間60回以上札幌コンサートホールKitaraに通うクラシック音楽ファン。クラシック全般に関心があるがオーケストラ・ピアノ曲が特に好きである。 

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