上野星矢フルートリサイタル2016 札幌公演

上野星矢(Seiya Ueno)の名を知って初めて聴いたフルート・リサイタルが2015年2月。非常に魅力的なフルート奏者だった。《ジャン=ピエール・ランパル フルート・リサイタル》を1987年に旭川で聴いたことがあって、日本の奏者では工藤重典のコンサートは何回か聴いていた。上野のコンサートを聴く大きなきっかけも多分ランパル国際コンクール優勝者で新進気鋭の奏者ということだったと思う。札幌交響楽団の定期演奏会では首席フルート奏者・高橋聖純の奏でるソロ・パートを通してフルートの音色の格別な美しさに聴き惚れることが多い。上野星矢は国内外のオーケストラと共演を重ね、世界の舞台でリサイタルや室内楽を展開し、カーネギーホールでもデビューして活躍中のフル-ト界の俊英。

2016年11月16日(水) 19:00開演  札幌コンサートホールKitara小ホール

〈Program〉
 ジョルジュ・ユー:ファンタジー
 ラヴェル(上野星矢&内門卓也編):マ・メール・ロワ
 ヴィドール:フルート組曲 作品34
 ライネッケ:フルート・ソナタ「ウンディーネ」 作品167
 ビゼー(上野星矢&内門卓也編):カルメン幻想曲

George Hue(1858-1948)はフランスの作曲家で初めて聞く名前で、綴りに関心があった。Victor Hugo(ヴィクトル・ユーゴー)は有名なフランスの小説家で、綴りから苗字の頭文字“H”は読まないラテン系の言語(仏語、伊語など)から判断できる。(*サッカーの本田(Honda)はイタリアでは“オンダ”と呼ばれている。)
話題が横道にそれたが、「ファンタジー」の世界に導かれるイントロとなった小品。

「マ・メール・ロワ」はラヴェル(1875-1937)に懐く友人の子供2人のためのピアノ連弾曲として書かれた。後にバレエ版や管弦曲版に編曲された。いつも耳にするのはオーケストラ版で演奏会に備えて聴くCDはブーレーズ指揮ベルリン・フィルかインバル指揮フランス国立管である。7曲か8曲構成の曲が編曲版で演奏された。子供を神秘的で幻想的な世界に誘うラヴェルならではの音の魅力がフルートとピアノで充分に表現されていた。曲調に変化があってフルートの高度な演奏技巧も鑑賞できて良かった。

ヴィドール(1844-1937)の名はオルガン曲を通して知っていた。パリ音楽院オルガン科教授以外に作曲科教授を務めていたのは知らなかった。約20分のフルート組曲でピアノの旋律の美しさも同時に味わえた。ピアノ伴奏の内門卓也(Takuya Uchikado)もかなり優れた力量を示した。(*一緒に聴いていた妻がピアニストを褒めていた。)
内門はクラリネット奏者として名高いオッテンザマー兄弟をはじめ世界の一流奏者と共演しているというからその実力のほども理解できる。東京藝術大学作曲科卒で同大学院修士課程修了。今回のコンサートで編曲も担当しているが幅広い活動がうなずける音楽家。

ライネッケ(1824-1910)はドイツの作曲家で彼の代表作の一つが、1882年に書かれた「フルート・ソナタ」。戯曲「ウンディ-ネ」に着想を得た作品。4楽章構成の曲に物語が詳細に書かれていたが第1楽章の話の筋だけ苦労して読んでダウン! 用紙は立派だが紙面が濃紺で書かれた字が読みづらい。読み手への配慮が足りない制作者の感覚にビックリ!
「水の精」のストーリーと分ったので、あとは音楽に身を任せた。何とか演奏は楽しんだが、少々フラストレーションが堪って残念ではあった。

ビゼー(1838-75)もフランスの作曲家として極めて有名で、オペラ《カルメン》は人々に広く愛されている。劇中の魅力的な旋律を使った「カルメン幻想曲」が色々な楽器で演奏されている。私はサラサーテやワックスマンのヴァイオリン曲に親しんでいる。フルートによる「カルメン幻想曲」を聴くのは初めてだと思う。 
超絶技巧を駆使して親しいメロディが奏でられるのは楽しい。上野&内門二人の編曲による演奏は15分にも亘る熱演だった。

アンコール曲は「尾崎 豊:I Love You 」で昨年と同じだったが、初めて聴いた人には意外な選曲。

※上野は2015年秋にアメリカ国内ツアーを8か所で開催して成功を収めたようである。“Ueno”は日本人はローマ字読みで正しく読めるが、アメリカ人は戸惑ってから“ユーイノ”と発音すると思う。アルファベット読みになるからである。大リーグで活躍中の「上原」は渡米当時「ユーイハラ」と呼ばれていた。親しくなると苗字で呼ばないで、ニックネイムを使う。日本語で「ウ」で始まる語は英語では「ユ」が原則。ユガンダ、ユルグアイ、ユクレイン(Ukuraine)。
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年間60回以上札幌コンサートホールKitaraに通うクラシック音楽ファン。クラシック全般に関心があるがオーケストラ・ピアノ曲が特に好きである。 

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