石川祐支&大平由美子 デュオ・リサイタル

石川祐支(cello)&大平由美子(piano)デュオは2014年9月以来の2年ぶりのリサイタル。前回は重量級のプログラムで少々力みがあった感じがした。今回もベートーヴェンとブラームスのソナタの入るプログラムで重厚感があり、二人は共演を重ねて経験を積んでいて期待できそうである。

2016年11月4日(金) 7:00PM開演 札幌コンサートホールKitara小ホール
 
〈Program〉
 ストラヴィンスキー:イタリア組曲(チェロとピアノ版)
 ベートーヴェン:ピアノとチェロのためのソナタ第2番 ト短調 作品5-2
 ドヴォルザーク:「ボヘミアの森」より “森の静けさ”
 ブラームス:ピアノとチェロのためのソナタ第1番 ホ短調 作品38

ストラヴィンスキー(1882-1971)は〈3大バレエ〉で有名な現代作曲家である。「イタリア組曲」の原曲がバレエ音楽「プルチネッラ」とは知らなかった。アバド指揮ロンドン響による全曲のCDを所有している。管弦楽のための「プルチネッラ組曲」は演奏会で聴いたことがある。室内楽のために5曲から成る「イタリア組曲」として発表されたのが1932年という。
チェロの巨匠ピアティゴルスキーの意向を汲んで書かれたのでチェロ作品として難曲中の難曲と知られているそうである。色々な技巧が駆使されていて石川の演奏は見事で魅力的であった。バレエ音楽の雰囲気もあるが、特に第4曲“タランテラ”での超絶技巧が目を引いた。大変面白い曲として聴けて楽しかった。

ベートーヴェンの「第2番」のCDは持っていない。第3~5番はロストロポーヴィチ&リヒテル、マイスキー&アルゲリッチのCDは持っているのだが、初期の作品は聴いたことがなかった。
曲は2楽章構成。第1楽章がアダージョの長大な序奏と、それに続く流麗なアレグロでスケールが大きい楽章。第2楽章はロンド形式で表情豊かな曲作り。チェロもピアノと対等な役割を担うがピアノ・パートが際立った演奏技巧を披露する曲。第3番以降のチェロ・ソナタと遜色のない曲だと思えた。

ドヴォルザークはピアノ二重奏曲「ボヘミアの森より」6つの描写的小品を書いていて、その後に第5曲「静けさ」をチェロのピアノのための二重奏曲に編曲した。5分余りの曲でドヴォルザークならではの美しい旋律。原曲の第5曲のみカセットかCDで聴いていることが判った。

ブラームスのチェロ・ソナタはデュ・プレ&バレンボイムのCDがあるので今日の午前と午後2回聴いておいた。3回目に耳にした生演奏が、やはり生き生きとした演奏となって聴きごたえが違った。
「第1番」を書き始めたのは29歳の時だったが、この頃は悩み事が多くて作曲が思うように捗らなかったようである。30歳でウィ―ンのジングアカデミーの指揮者に就任したが、満足のいく職でなくて8ヶ月後に辞任した。故郷ハンブルグのフィルハーモニック指揮者を目指したが、実現しなくて悩んでいたらしい。曲の完成は3年後であった。
このソナタからは、若き日のブラームスの心の葛藤や秘めた思い、激情、故郷への郷愁などが綴られている。チェロの物悲し気な旋律が心に響き渡る。チェロとピアノが激しく対立しながら曲を彩る。ブラームスらしいドラマ性を感じさせる曲作りであると思った。

このデュオは人気があって多くの聴衆を集める。演奏終了後には盛大な拍手が送られた。
アンコール曲は「ドヴォルザーク:母の教え給えし歌」。

今回のコンサートはCD発売記念として開催された。終演後のサイン会で多くの客がホワイエに列を作っていた。
石川祐支が札響首席チェロ奏者に就任してから11年、オーケストラのチェロのソロ・パートでも素晴らしい音色を毎回響かせている。札響になくてはならない存在で、他のオーケストラと共演してのコンチェルト演奏、室内楽での活動などで私自身聴く機会が結構ある。
大平由美子はベルリン芸術大学卒業後、2008年に帰国するまでベルリンで幅広く活動していた。彼女のプロフィールを読むといつも私の学生時代を思い出す。当時ラジオを通して歌声を聴いていたドイツ・リートの20世紀伝説の歌手、シュワルツコップやフィッシャー=ディースカウの許で彼女は伴奏法などを学んでいたというからピアノの実力のほどが推し量れる。同時に親近感も沸く。現在は札幌在住で地元の音楽界に多大な貢献をしている。
石川と大平の相性も良いようであり、今後も定期的にデュオが続いていくことを期待する。

※昨年11月4日はピリス&メネセスのデュオ・リサイタルの日であった。私は心臓のバイパス手術を受けた日で翌日までICUで昏睡状態にあり、親戚にチケットを譲って聴いてもらった。医学の進歩は驚くべきもので今では月10回ほどのペースでKitaraに足を運べるほどに健康を取り戻している。音楽は心を安らかにして気を楽にしてくれる。私にとってクラシック音楽は健康の源である。


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年間60回以上札幌コンサートホールKitaraに通うクラシック音楽ファン。クラシック全般に関心があるがオーケストラ・ピアノ曲が特に好きである。 

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