札響名曲シリーズ2016-17 Vol.4 チェコを離れて(組曲「火の鳥」)

〈森の響フレンドコンサート〉 札響名曲シリーズ2016-2017

指揮/ ラドミル・エリシュカ

チェコを離れて  エリシュカのお気に入り

先週の札響第594回定期演奏会に続いて札響名誉指揮者ラドミル・エリシュカが故郷チェコにとらわれず、お気に入りの名曲を披露するコンサートになった。ロンドン、ウィ-ン、ライプツィヒの都市に続く第4回は出来ればエリシュカと繋がりのある思い出の都市になることが期待されたのだが、今回の演目はシリーズの一貫性に欠けていたのは少々残念であった。エリシュカは定期演奏会のチェコ音楽シリーズや2年前の名曲シリーズでもチェコの音楽を数多く取り上げてきているので、都市に因んだ名曲を選曲することは困難であったと想像できる。
エリシュカ人気は凄いと改めて実感するほどの客の入り。定期は2日間の日程で行なわれ、名曲シリーズは1日だけという事情もあるが、最近の演奏会は満席状態とは言えない状況である。本日の公演は満席に近くてエリシュカ人気の高さを物語っていた。

〈Program〉
 モーツァルト:交響曲第40番 ト短調 K.550
 ドヴォルジャーク:アメリカ組曲 op.98b B.190
 ストラヴィンスキー:組曲「火の鳥」(1919年版)

エリシュカは人々に最も親しまれているモーツァルトの交響曲で早々に聴衆の心を掴んだ。札響首席客演指揮者に就任した2008年4月定期と09年4月定期にはモーツァルトのピアノ協奏曲とヴァイオリン協奏曲をそれぞれ指揮している。14年11月定期では交響曲38番「プラハ」も指揮しており、ベートーヴェン、ブラームス、チャイコフスキーと得意とする作曲家も多くてレパートリーは広い。

モーツァルトの交響曲で短調の曲は少ない。ト短調の調性の曲は第25番と第40番だけ。「第40番」はモーツァルトの不遇の晩年の心境を表しているかのように悲劇的な暗さに満ちている。しかしながら、悲哀が優美な旋律で綴られても地上の苦しみを乗り越える力強さもある。第41番と並んで名曲として聴く機会が多いが、この曲ではトランペットとティンパニが使われていないのに改めて気付いた。
演奏が終わるとブラヴォーの声があちこちから湧き上がって盛大な拍手喝采! 来年以降の演奏会で「ジュピター」を聴く機会がありそうである。

ドヴォルジャークの「アメリカ組曲」は余り知られていない曲。アメリカの音楽院院長在任中に作曲された「交響曲第9番 新世界より」、「チェロ協奏曲」、「弦楽四重奏曲 アメリカ」が有名であるが、同じ時期に書かれたピアノの「組曲」が管弦楽曲版として自ら編曲した。
初めて耳にしたがアメリカ的な音楽で親しみやすいメロディに溢れ、5楽章構成の20分ほどの曲。2管づつの木管、10本の金管による演奏は華麗で勇壮であった。アメリカの地のリズムを入れながらボヘミアの雰囲気も感じさせる曲作り。五音音階も多用されていたのも印象的であった。

ストラヴィンスキーの3大バレエの第1作「火の鳥」。1909年、ロシア・バレエ団のディアギレフから依頼を受けて作曲して、パリ初演が大成功。原曲のバレエはロシアの幾つかの妖精の物語を寄せ集めたもの。「魔王カスチェイの魔法にかけられた若い王子が火の鳥の救けによって自由の身となり、王女とめでたく結ばれるというストーリー」。作風は師のR.コルサコフの影響を受けて後期ロマン派風の色彩が強いとされる。バレエ音楽は1919年に2管編成の組曲に書き換えられた。
組曲は「序奏~火の鳥とその踊り」、「火の鳥のヴァリエーション」、「王女たちのロンド」、「カスチェイ王の悪魔の踊り」、「子守歌」、「終曲」の6つの部分から成る。
序奏が始まって現代音楽の世界が広がった。やはりストラヴィンスキーの音楽は従来の音楽とは違うと思ったのは最初だけだった。もう今では何度か耳にして聴き慣れた心地よい音楽に変わった。曲の繊細さ、大胆さが表現されて、色々な旋律が心地よく響き渡り素晴らしい音楽に浸れた。エリシュカの魔力にすっかり引き込まれていた。
力強いフィナーレで曲が終わるとホールにブラヴォーの声が一段と大きく広がり、満員の聴衆の感動が伝わった。どんな音楽でも聴衆を感動の渦に巻き込むエリシュカの魔法にかかった感じがした。
エリシュカの音楽作りに応えたオーケストラの底力を印象つけられた。

アンコール曲は《スメタナ:歌劇「売られた花嫁」より “道化師の踊り”》。


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Author:fsuterry
年間60回以上札幌コンサートホールKitaraに通うクラシック音楽ファン。クラシック全般に関心があるがオーケストラ・ピアノ曲が特に好きである。 

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