ダヴィデ・マリアーノ デビューリサイタル(Kitara専属オルガ二スト)

2016年10月8日(土) 14:00開演  札幌コンサートホールKitara大ホール

第18代札幌コンサートホール専属オルガニストは今回初めてイタリアから赴任する。札幌市は毎年1人若手のオルガニストをヨーロッパから招いている。これまではフランス人が多かったが昨年はアメリカから初めてオルガニストを迎えた。
ダヴィデ・マリアーノ(Davide Mariano)は1988年、イタリア生まれ。イタリア、ウィ―ンの音楽院に学び、オルガンとチェンバロの修士号取得。2008年以降の国際コンクールで優秀な成績を収めている。2015年にパリ高等音楽院でミシェル・プヴァ―ル、オリヴィエ・ラトリ―らに師事。16年、アーテイスト・ディプロマ・オブ・オルガンを取得。これまでに、ウィ―ン楽友協会大ホールやマドリード国立音楽堂をはじめ欧米やアジア各国でコンサートを行うほか、ヨーロッパ各地の音楽祭に出演。

〈Program〉
 J.S.バッハ:トッカータとフーガ ニ短調 BWV565
 クープラン:「修道院のためのミサ」より ティエルス・アン・タイユ
 ヴィヴァルディ(J.S.バッハ編):協奏曲 イ短調 BWV593
 モーツァルト:アンダンテ ヘ長調 K.616
 J.S.バッハ:前奏曲とフーガ ト長調 BWV541
 ヴィドール:オルガン交響曲 第6番 ト短調 作品42-2より 第1・4楽章
 ヴィエルヌ:幻想的小品集より 即興曲 作品54-2
 ボッシ:スケルツォ ト短調 作品49-2
 ギルマン:オルガン・ソナタ第1番 ニ短調 作品42より 第3楽章

前半5曲は18世紀までのオルガン音楽。「バッハ:トッカータとフーガ」は最も有名なオルガン曲。Kitaraでオルガンを聴き始めてからCDやコンサートで何十回も聴いている。オルガン曲を聴いてすぐタイトルが分るのはこの曲ぐらいである。自由な即興演奏は何度聴いても親しみが湧いて飽きない。

バッハはヴィヴァルディの協奏曲をオルガンとチェンバロのための作品に編曲している。「ニ短調 BWV596」が第15代オルガニスト、カチョルのCDに収録されていた。

「モーツァルト:アンダンテ」は自動オルガンのための曲で、数年前に第5代メルツォーバとカチョルの連弾で聴いたことがある。

「バッハ:前奏曲とフーガ ト長調」は求職中の長男ヴィルヘルム・フリーデマンのために写譜してオーディションに備えさせた曲と言われる。息子は幸いドレスデンの教会オルガニストの職を得て12年間つとめた。この曲はイタリア風の明るい曲調で演奏技法も凝らされオルガン曲として優れていると思った。

演奏終了後にブラヴォーの声が上がるぐらいに聴衆を魅了する素晴らしい演奏であった。譜めくりストを置かずに演奏したのでRA.席に座った人はオルガニストの手元、足元がハッキリ見えて良かったと思う。(以前RA席に座って手鍵盤、足鍵盤が見えたが近年は譜めくりストがいる場合が多くて2階席や3階席から鑑賞している。今後はオルガン・ソロの場合にはRA席かLA席に座ってみる気になった。) 前半が終って解りやすいオルガン音楽を楽しめた。

後半は19世紀以降のオルガン音楽。ヴィドール、ヴィエルヌは第10代以降のオルガニストの演奏会を通して彼らの名を知るようになった。「ヴィドール:オルガン交響曲第6番」は今までに演奏会で2・3度聴いたことがある。
「オルガン交響曲第6番」はオルガン制作技術の発展によって大規模なオルガン音楽として書かれた。1878年パリ万博に際して作建設された宮殿の公共コンサートホールでヴィドール自身が初演した曲。「第1楽章 アレグロ」は足鍵盤も頻繁に使われた壮大な演奏となった。
「第4楽章 カンタービレ」はオーボエやトランペットの音色で奏でられる美しいメロディ。第1楽章と比べて響きが対照的であった。19世紀のオルガン音楽がオーケストラの交響曲のように作られていることを実感した。

第1楽章と第4楽章の間に「ヴィエルヌ:幻想小品集より “即興曲”」が演奏された。ヴィエルヌはヴィドールの弟子で印象主義の作曲家。ヴィエルヌの作品はドビュッシーのピアノ曲のオルガン版のように叙景的な特徴がある。ヴィエルヌの曲はCDでしばしば聴いている。Kitara専属オルガニストの日本語サポート活動を通して知り合った3人のオルガニスト(第10代シルヴァン・エリ、第11代シンディ・カスティーヨ、第12代ローラン=シプリアン・ジロー)がリリースしたCDの中に「ヴィエルヌの幻想小品集」より数曲が収録されている。“太陽の賛歌”、“月の光”、“ライン川で”など。今日のコンサートの前にヴィエルヌの曲を再び聴いてみた。オルガン曲に親しむと同時に彼等との交流を思い出す機会ともなっている。

ボッシとギルマンは初めて聞く名前。ボッシはヴィドールやヴィエルヌと同時代のイタリアの作曲家。フランスの作曲家のスケルツォに影響を受けたボッシはイタリア的要素を「スケルツォ」作品として多く残した。彼は演奏旅行でイタリアのオルガン楽曲を世界に広めたコンサート・オルガニストであった。明るいイタリアの雰囲気を感じさせる曲であった。
ギルマンは1878年パリ万博の際に宮殿のコンサートで「オルガン・ソナタ第1番」を初演。「第3楽章 フィナーレ」は合唱のようなオルガンの大音響で演奏された。本日のコンサートのフィナーレを飾るにふさわしい華々しい曲となった。

オルガン・コンサートはその時によって客の入りが違うが今日は多い方だったと思う。プログラミングが巧みでオルガン曲に慣れていない人でも充分に楽しめるコンサートであった。私自身の好みもあるが今日のコンサートは大満足であった。例年2回ほどのオルガン曲の鑑賞を増やしても良いと思えた。
マリアーノは“アンコール曲にバッハの小フーガを演奏します。楽しんでください。”と日本語で挨拶して聴衆に好印象を与えた。アンコール曲はニ短調の「トッカータとフーガ」と並んで有名な作品で、マリー=クレール・アランのCDで聴いている曲だと分かった。



スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

fsuterry

Author:fsuterry
年間60回以上札幌コンサートホールKitaraに通うクラシック音楽ファン。クラシック全般に関心があるがオーケストラ・ピアノ曲が特に好きである。 

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR