堤 剛 バッハ無伴奏チェロ組曲全曲演奏会

〈Kitaraワールドソリストシリーズ〉

堤 剛(Tsuyoshi Tsutsumi)は1942年、東京生まれ。日本のチェロ界というより名実ともに音楽界全体を〉代表する重鎮。1961年アメリカ・インディアナ大学に留学してシュタルケルに師事。63年カザルス国際コンクール第1位。インディアナ大学教授(1988-2006)、桐朋学園大学学長(2004-2013)を歴任。現在は霧島国際音楽祭音楽監督、サントリーホール館長を務めながら演奏活動も続ける偉大なチェリスト。
彼が1960年N響海外演奏旅行(70日間)のソリストとして中村紘子らとともに同行して欧米各地で公演を行なった報道はつい先ごろもなされCDもリリースされるようである。その後の堤の世界各地のオーケストラとの共演、リサイタルの活躍は述べるまでもない。

私が初めて彼のコンサートを聴いたのは1988年10月にスラットキン指揮ロンドン・フィルとの共演で「ドヴォコン」を弾いた。2回目は89年7月ダン・タイ・ソン、ヨーゼフ・スーク、堤剛の〈トリオの夕べ〉で「ノットゥルノ」、」「ドゥムキ」「大公」を聴いた。3回目は93年4月の札響定期で外山雄三指揮で「ショスターコーヴィチ第1番」だった。その後、20年以上も聴く機会がなかったのが不思議である。今回のプログラムでは忙しい職務の中でチェロを弾き続ける彼の人生の意気込みを肌で感じたい。

2016年9月11日(日) 14:00開演  札幌コンサートホールKitara大ホール

〈プログラム〉
 J.S.バッハ:無伴奏チェロ組曲 
     第1番 ト長調 BWV1007、 第5番 ハ短調 BWV1011、    
      第2番 ニ短調 BWV1008、  第6番 ニ長調 BWV1012、
     第4番 変ホ長調 BWV1010、 第3番 ハ長調 BWV1009

バッハの無伴奏チェロ組曲は2000年頃にヨーヨー・マの第1・3・5番を購入し、その後カザルスの全曲盤を購入し、間もなくマイスキーの第2・4・6番を手に入れようと思ったが店頭で見つからなかった。やむなくマイスキーの第1・3・5番のCDを手に入れることになった。CDで一時よく耳にしたが演奏会で聴く機会は無かった、近年は家で聴くこともめったになかった。国内では上森祥平をはじめ海野幹雄、宮田大などの無伴奏チェロ組曲の演奏会が盛んに開催されるようになったようである。今回は日本の大御所・堤剛のリサイタルで聴き逃すわけにはいかなかた。

6曲から成る組曲の構成はアルマンド、クーラント、サラバンド、ジークという基本的な4つの舞曲に加えて第1曲に個性的な前奏曲と愛らしい自由な挿入舞曲がついている。挿入舞曲は第1・2番は1対のメヌエット、第3・4番は1対のブーレ、第5・6番は1対のガボット。極めてシステマティックで感心するほどの巧みな構成。

堤は以前の演奏会で曲の順番通りに演奏したが、後半に向かうほど高難度な技巧が凝らされた曲の演奏に後半は息切れがするほどであった体験に基づいて、曲の順番を入れ替えて今回の演奏会に臨んだようである。

第1番は曲集の冒頭を飾るにふさわしい清々しい音楽。最初の前奏曲が各曲の特徴を決定づけるものになっている。ドイツ起源のアルマンド、フランス起源のクーラント、スペイン起源のサラバンド、イギリス起源のジ―グが軸になって展開され、メヌエット、ブーレ、ガボットと呼ばれる舞曲が入るが細かいことは残念ながら区別できない。

2曲づつまとめて演奏して20分の休憩時間を2回入れて14時開始の演目の終了時間が17時20分。正味160分を要した演奏。カザルスの全曲演奏の時間は約130分だったので、前奏曲に味付けをしたり、繰り返しなどのメロディが増えているのかどうかは分らない。
チェリストの想いが伝わってくる演奏で何とか集中力を切らさないように努めて最初から最後まで聴けた。バッハの世界に入り込んで大曲を弾き切る堤剛の偉大さに驚嘆した。名実ともに日本の音楽界を代表する大家のKitara公演で聴衆の期待も大きく、かなり多くの音楽愛好家が客席を埋めた。演奏終了後の聴衆の反応も凄かった。
全力を使っての演奏で疲労困憊だろうと誰もが想像してアンコール曲はないだろうと思った。ところが2曲も演奏してくれた。体力、精神力も合わせて持ち続けて演奏力を維持していくのは至難の業ではないかと思った。音楽に見せた彼の姿勢に改めて感服した。
アンコール曲は「プロコフィエフ:マーチ」と「カザルス:鳥の歌」。
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年間60回以上札幌コンサートホールKitaraに通うクラシック音楽ファン。クラシック全般に関心があるがオーケストラ・ピアノ曲が特に好きである。 

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